セラミッククラウンのデメリットは?後悔した症例と長持ちさせる3つのコツ
こんにちは!大阪 梅田のえみは総合歯科、理事長の加藤直之です。
天然歯のような自然な美しさが特徴であるセラミッククラウンを希望しているものの、決断できずに悩む方もいるでしょう。
陶器と同じ素材であるセラミッククラウンには、見た目の美しさなどのメリットもありますが知っておくべきデメリットもあります。
本記事では、セラミックのデメリットや後悔した症例を解説します。あわせて、長持ちさせるコツも紹介するので治療方法に悩む方の参考になれば幸いです。
当院では患者さんとのコミュニケーションを重要視し、丁寧な説明とカウンセリングを心がけております。ご不明点などあれば、お気軽にご相談ください。
目次
セラミッククラウンのデメリット3選
セラミッククラウンのデメリットは3つあります。
- 強い衝撃には弱い
- 他の被せ物と比べて歯質を削る量が多い
- 自費診療で費用が高い
セラミックを検討している方は、デメリットも理解しましょう。
強い衝撃には弱い
お茶碗などの陶器と同じ素材で作られたセラミックは、硬い材料ではあるものの衝撃に弱い点がデメリットです。
例えば、お茶碗などの食器を落とすと割れてしまいます。口腔内ではぶつけたり歯ぎしり・食いしばりなどの衝撃が加わったりした場合、割れてしまうことがあります。
セラミックは大きく割れると修理が難しいため、再度作り直しが必要です。
歯ぎしりの癖がある場合は、予防するマウスピースであるナイトガードを入れるといい でしょう。
他の被せ物と比べて歯質を削る量が多い
セラミッククラウンの治療では、被せ物の厚さを確保するために歯質を多く削る必要があります。
衝撃に弱いというセラミックのデメリットをカバーするには、歯質を多く削り被せ物の厚みを確保しなければなりません。
神経のある歯では多く削るほど神経に近づき、痛みが出る可能性が高くなるでしょう。痛みが出た際には神経を取る治療が必要になるだけでなく、歯の寿命も短くなってしまいます。
一方、保険適用の銀歯は薄くても強度が高い素材であるため、セラミックと比べて歯質を削る量が少なくすみます。
健康な歯を削ってセラミッククラウンを入れる計画をしている方は、削ることで起こりうるデメリットを理解しておきましょう。
自費診療で費用が高い
セラミッククラウンを入れる治療は自費診療であるため、治療費用が高くなります。
セラミックの治療費用は歯科医院によってさまざまですが、一般的な相場は8〜15万円ほどです。
費用が高額であるため、数年でトラブルが起きるとコストパフォーマンスが悪く、後悔することもあるでしょう。
保険適用内で入れられる被せ物と比べると、金額の負担が大きくなる点ではデメリットと言えます。
セラミックや被せ物の費用に関しては、こちらの記事も参考にしてください。
関連記事:セラミックが高い5つの理由とは?歯の詰め物・被せ物の素材ごとの費用も解説
関連記事:差し歯の値段は?5つの素材の相場や保険適用のメリット・デメリットを解説
セラミッククラウンのメリット3選
- 変色せず見た目も美しい
- 金属アレルギーの心配がない
- 汚れがつきにくく虫歯になりにくい
当院ではセラミッククラウンでの治療を検討している方へ、丁寧な説明を心がけております。不安な点などありましたら、お気軽にご相談ください。
変色せず見た目も美しい
セラミッククラウンは、被せ物の白さや透明感・ツヤなどを天然歯のように自然に再現できる点が大きなメリットです。
また、セラミックは陶器と同じ素材でできているため、変色しないのも特徴でしょう。
例えば、保険適用であるプラスチックの素材では装着した時点では周りの歯の色と揃っていますが、時間の経過とともに劣化し変色します。
銀歯などの金属を使用した被せ物の場合は、金属イオンが溶け出し、歯茎が変色してしまうケースがあります。
セラミックは時間が経過しても変色せず、金属を使わないため歯茎が変色する心配もありません。
セラミッククラウンは装着した状態の自然な美しさを保てる被せ物と言えます。
金属アレルギーの心配がない
金属を使用しないセラミッククラウンであれば、金属アレルギーのリスクがありません。
金属アレルギーとは金属に触れると、かぶれやかゆみなどの症状が出るもので銀歯が原因で発症することがあります。
アレルギーが出る金属の種類は人によって異なりますが、歯科治療で使われる主な金属は以下のとおりです。
【アレルギーが出にくい金属】
- 金
- 銀
- チタン
【アレルギーが出ることがある金属】
- ニッケル
- コバルト
- 銅
- パラジウム
- スズ
保険適用で使われる金属の多くはパラジウム合金で、長く使用していると金属イオンが溶け出し、唾液とともに体内に取り込まれ金属アレルギーを引き起こします。銀歯による金属アレルギーはすぐに症状が現れるとは限らず、装着から数年経ってから発症するケースもあります。
金属アレルギーの心配がある方は、金属を使用しないセラミッククラウンなら安心して治療が受けられるでしょう。
汚れがつきにくく虫歯になりにくい
陶器と同じ素材であるセラミックは表面が滑らかで変形しにくいため、汚れがつきにくく虫歯になりにくいメリットがあります。
そのうえ、長期間使用しても変形しないセラミックは、歯と被せ物の間に隙間が生じにくいことも虫歯になりにくい理由の一つです。
一方、銀歯はセラミックと比べて汚れがつきやすく長期間使用すると変形するため、二次虫歯が起こりやすくなります。二次虫歯を起こした歯は再度治療を行いますが、治療を繰り返すほど歯の寿命は短くなります。
歯を長く残すためにも、セラミックは有効な手段と言えるでしょう。
ただし、汚れがつきにくいとはいえ、歯磨きが不十分では虫歯になる可能性があります。虫歯や歯周病の原因となる歯垢が蓄積しないように、セルフケアの徹底が必要です。
セラミック歯を入れて後悔した4つの症例
セラミックの歯を入れて後悔した方に多い症例は、以下4つです。
- セラミックが欠けたり割れたりしてしまった
- 土台となる歯が虫歯になってしまった
- 痛みが出て再治療が必要になってしまった
- 歯茎が下がり見た目が悪くなってしまった
セラミックを入れて後悔しないように、それぞれの症例を確認しましょう。
セラミックが欠けたり割れたりしてしまった
セラミックは硬度が高い素材であるものの衝撃に弱いため、歯ぎしりや食いしばりの力によって欠けたり割れたりすることがあります。
普段の食事では噛む力をコントロールしているだけでなく、食物もクッションの役割をしていることから、極端に硬いものを噛まない限りセラミックはほぼ割れません。
一方、歯ぎしりや食いしばりは男性の場合、60〜80kg程度の力が歯や顎に加わってしまうと言われています。特に、就寝中の歯ぎしり・食いしばりは無意識に行われ、クッションとなる食物もなくダイレクトに歯への力が加わってしまいます。
したがって、歯ぎしりや食いしばりの習慣がある方はセラミックが割れないようにマウスピースを装着し、対策するのが重要です。
土台となる歯が虫歯になってしまった
虫歯になりにくいと言われるセラミッククラウンでも、銀歯と同様に土台となる歯が虫歯になることがあります。
セラミックは土台になる歯と緊密に接着するため、虫歯になりにくいと言われていますが、虫歯リスクはゼロではありません。被せ物の接着力が弱まると歯との隙間から虫歯菌が入り込み、土台が虫歯になります。
また「セラミックは虫歯になりにくい」という安心感からセルフケアが疎かになり、かえって口腔内の衛生状態が悪くなるケースがあるのも事実です。
土台となる歯が虫歯になると被せ物自体をやり直す必要もあるため、長持ちさせたい方はセルフケアや定期検診などで対策しましょう。
痛みが出て再治療が必要になってしまった
神経を残した歯で削る量が多いと、あとから痛みが出て被せ物を外すケースもあります。
神経がある歯にセラミッククラウンを入れた場合、痛みやしみ方を感じることがありますが、軽度の症状は徐々に落ち着くケースがほとんどです。
しかし、症状が強いと神経の炎症である歯髄炎を起こしているため、神経をとる治療が必要となり被せ物を外さなくてはいけません。
したがって、事前に歯質を削る量が多く歯髄炎を起こす可能性があるケースでは、仮歯を入れて様子を見たりあらかじめ神経の治療を行ったりする必要があります。
神経がない歯でも根の先に炎症が起こる場合があるため、どちらにせよ再治療が必要になる可能性があることを理解しておきましょう。
歯茎が下がり見た目が悪くなってしまった
セラミッククラウンを装着したときよりも歯茎が下がったことで歯の根が露出し、見た目が悪くなるケースも後悔した症例の一つです。
通常、セラミッククラウンを入れる際は歯と歯茎の境目に合わせます。しかし、時間の経過とともに当初の位置からずれることがあります。
歯茎が下がる理由は、以下3つです。
- 歯茎の炎症が残ったまま被せ物を入れてしまった
- ブラッシング圧が強く歯茎が退縮した
- 加齢により歯茎が退縮した
歯茎の炎症が残ったまま被せ物を入れると、炎症が引いたときに当初の位置からずれてしまいます。また、ブラッシング圧が強いと歯茎に必要以上に刺激が加わり、歯茎が下がってしまうので注意が必要です。
ただし、歯肉退縮は加齢とともに起こりうるため、歯茎や歯磨き習慣に問題がなくても装着した数年後に歯茎が下がってしまうことがあります。
歯の根の色は表層のエナメル質と比べて濃く、露出すると目立ってしまい見た目を気にする方も一定数見られます。
セラミックは老後まで使える?寿命と長持ちさせる3つのコツ
セラミッククラウンの寿命は一般的に10〜20年と言われています。しかし、口腔内の状態や使用状況によっては10年も持たないケースもあるため、老後まで使えるとは限りません。
セラミッククラウンを長持ちさせるコツは、以下3つです。
- 丁寧な歯磨き
- マウスピースの装着
- 定期検診の受診
自費診療で入れたセラミックをできるだけ長く使えるよう、チェックしましょう。
丁寧な歯磨き
セラミッククラウンを老後まで長持ちさせるには、毎日の丁寧な歯磨きが欠かせません。
汚れがつきにくいセラミックですが、セルフケアを怠れば口腔内に汚れが溜まり虫歯や歯周病のリスクは高まります。
歯磨きの際は歯と歯茎の境目に歯ブラシの毛先が45度の角度で当たるようにし、小刻みに動かしましょう。また、歯ブラシ以外にデンタルフロスや歯間ブラシなどの補助用具を併用すると、汚れの残りやすい部分も効率的に清掃できます。
「セラミックは汚れがつきにくいから」と安心せず、丁寧な歯磨きを心がけてください。
マウスピースの装着
歯ぎしりや食いしばりの習慣があるとセラミッククラウンが割れる原因になるため、予防するマウスピースを入れるのがおすすめです。
歯ぎしりや食いしばりはセラミックの寿命を縮めるだけでなく、歯茎や顎関節にも影響を及ぼします。
あらかじめ習慣が自覚できている場合は、事前に担当医に相談しましょう。
可能なら事前に治療できるのが望ましいですが、歯ぎしりや食いしばりは就寝中に無意識に起こしていることが多くみられます。セラミッククラウンを装着したら、早めにマウスピースを作成するのが、長持ちさせるコツの一つです。
定期検診の受診
セラミッククラウンを長持ちさせるためには、セルフケア以外に定期検診も重要です。
初期の虫歯や歯周病は症状がほとんどありません。したがって、初期のうちに自分で気づくのは難しく、症状が出たときには進行しているケースが多いのも事実です。
一般的に、定期検診では虫歯や歯周病などの口腔内のチェックだけでなく、自分ではケアできない部分の歯垢や歯石を除去します。
痛みや腫れなどの症状がないと定期検診を先延ばしにしがちですが、再治療にならないためにも重要な治療です。自費診療でお金をかけてセラミッククラウンを入れても、セルフケアやメンテナンスを怠ってはトラブルが生じるため、注意しましょう。
セラミッククラウンに関するQ&A
セラミッククラウンでの治療に関して、良くある質問は以下のとおりです。
- セラミックが絶対ダメだと言われる理由は?
- 銀歯とセラミックはどちらがいいですか?
- セラミックを勧める歯医者は信用できないのか?
セラミッククラウンを検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
セラミックが絶対ダメと言われる理由は?
セラミックが絶対ダメだと言われる理由は、以下4つです。
- 割れる可能性がある
- 歯質を削る量が多い
- 自費診療で治療費用が高い
- ずっと使えるとは限らない
セラミッククラウンは自費診療で費用がかかりますが、必ずしも長く使えるとは限りません。
一般的に、セラミックの寿命は10〜20年と言われていますが、口腔内や使用状況によっては10年も持たないケースもあります。
セラミックにはデメリットがありますが、銀歯にはないメリットもあり一概にダメとは言いきれません。したがって、メリット・デメリットをしっかり理解したうえで、治療方法を選択するのが重要です。
後悔のないよう、不安な点などは担当医に相談しましょう。
銀歯とセラミックどっちがいい ですか?
銀歯とセラミッククラウンのうち、どちらの被せ物がいいかは以下を参考にしてください。
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銀歯は、歯質を削る量が少なく丈夫であることや、保険適用のため費用が抑えられるメリットがあります。
一方、セラミックは自然で綺麗な見た目で金属アレルギーがあっても安心して使えるうえ、虫歯になりにくい点がメリットです。
銀歯もセラミックもそれぞれにメリット・デメリットがあるため、優先したい項目によってどちらの被せ物がいいか検討しましょう。
詳しくは、こちらの記事も合わせてチェックしてください。
関連記事:奥歯の治療は銀歯とセラミックどっちがいいの?材質の違いについても解説!
セラミックを勧める歯医者は信用できませんか?
被せ物は保険診療でも行えますが、セラミッククラウンは保険の材料にはないメリットがあるため歯科医師は勧めています。
保険適応の被せ物におけるデメリットは、以下のとおりです。
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セラミックはそれぞれのデメリットをカバーできるメリットがあります。したがって、自費診療のセラミックを勧めるからと言って不安に思う必要はありません。
ただし、健康な歯を削ってまでセラミッククラウンの治療を勧める場合は注意してください。必要に応じて、ほかの歯科医院を受診し相談するのもいいでしょう。
まとめ|セラミックはメリットとデメリットの理解も必要
セラミッククラウンを検討する際には、メリットだけでなくデメリットを理解したうえで決断するのが重要です。
セラミックを入れる前には歯茎や歯ぎしりなど、装着後に起こりうるトラブルの対策をしておくと綺麗な状態で長く使用できます。
費用をかけてセラミックを入れても、セルフケアや定期検診を怠っては寿命が縮まってしまいます。症状がないからと先延ばしにせず、しっかり管理しましょう。
当院では、治療後には定期検診をおすすめしております。口腔内の検査やクリーニングとともに患者さんのお口の健康維持に努めておりますので、お気軽にお問い合わせください。