銀歯のデメリットは見た目だけじゃない?白い歯に変えるメリットについても解説
こんにちは!
大阪 梅田のえみは総合歯科 理事長 加藤直之です。
「口を開けたときに銀歯が見えるのが気になる」「銀歯は身体に悪影響がないのか」
虫歯治療において使用される銀歯は金属のため、目立ちやすい見た目はもちろん、身体への悪影響などのデメリットが気になる方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、銀歯の特徴やデメリットについて徹底解説します。
銀歯を白くする治療法や、銀歯が身体に与える影響についても解説するので、銀歯を白くしたいと検討中の方も、ぜひ参考にしてください。
また下記のページでは、銀歯が気になる方へ向けた、セラミック治療について詳しく紹介していますので、合わせてチェックしましょう。
目次
銀歯は金銀パラジウムという金属でできている
金銀パラジウムは、金属で硬く力がかかりやすい部分でも使えるというメリットがある一方で、「噛み合わせる反対側の歯が痛みやすい」「金属アレルギーを引き起こす恐れがある」などのデメリットもあるのです。
そして外国では、以下のように国によって金銀パラジウムの使用を制限している所があります。
- ドイツ:歯科業界に対して使用しないことが勧告されている
- スウェーデン:妊婦と小児には完全に使用を禁止されている
銀歯のデメリット
ここからは以下の銀歯のデメリットを紹介します。
- 虫歯になりやすい
- 銀歯が目立つ
- 歯ぐきが黒ずむことがある(メタルタトゥー)
- 金属アレルギーになることがある
- ガルバニー電流が起こることがある
それぞれのデメリットが理解できるように、詳しくチェックしていきましょう。
虫歯になりやすい
銀歯のデメリットの1つめに、虫歯になりやすいことが挙げられます。
銀歯は金属のため噛む力などによって変形しやすく、歯とのあいだに隙間ができ、歯垢(虫歯菌の集まり)がたまりやすくなるからです。
歯垢が隙間に溜まった状態を放置してしまうと虫歯になり、銀歯の中の虫歯は気づきにくいため、虫歯が進行して重症化する恐れがあります。
なお一度治療した歯が再度虫歯になることを、「2次カリエス」と呼びます。
銀歯が目立つ
銀歯は金属でできているため、白い歯の中に銀歯が混ざると目立ちやすいです。
特に下の歯の銀歯は、大きく口を開けると目立ちやすい傾向にあります。
銀歯やセラミックなどの歯科材料は、歯を削った後の状態によって「部分的な詰め物」と「歯の全体を覆う被せ物」に分けられます。
一般的には、第一小臼歯以降(前から4番目の歯)になると銀歯が適用されることを覚えておきましょう。
歯ぐきが黒ずむことがある(メタルタトゥー)
メタルタトゥーとは、銀歯の金属が歯ぐきに少しずつ溶けだして、歯ぐきが黒ずんだ状態のことです。
一度歯ぐきが金属によって黒ずむと、歯ブラシなどでこすっても落ちません。
この歯ぐきの黒ずみを解消するには、専用の薬剤やレーザーを使った歯ぐきの表面を剥がすピーリングの方法のみです。
そして、もし歯ぐきの黒ずみを解消するピーリングを行ったとしても、銀歯の素材を変えないと黒ずみが再発する恐れがあります。
メタルタトゥーを根本的に解決するには、銀歯を別の素材に変更することが必要です。
金属アレルギーになることがある
口の中の銀歯をそのままにしておくと、金属アレルギーになる恐れがあります。
銀歯の金属が口の中で酸と反応し、金属イオンが溶けだしてしまうからです。
金属イオンは唾液と一緒に摂取され、少しずつ体内に蓄積されることで、金属アレルギーが発症します。
もともと金属アレルギーがなかった方でも、個人の体質や免疫力の変化によって、急に金属アレルギーになることもあります。
したがって歯の修復物を検討する際には、自身の金属アレルギーのリスクを理解し、可能であればセラミック治療も視野に入れておきましょう。
※参考:「歯科と金属アレルギー」について
ガルバニー電流が起こることがある
異なる金属が口の中にあると、唾液が電解質となって電位差が発生し、電流が生じることがあり、これをガルバニー電流(ガルバニック電流)といいます。
例えば、銀歯でアルミ箔を噛んだり、金属製のスプーンやフォークを噛んだりしたときに、頭に響くような「キーン」とした不快な感覚を生じるのが主な症状です。
そして、頭痛・耳鳴り・めまい・肩こりなどの症状が起きることもあります。
銀歯のメリット
次に以下の銀歯のメリットを見ていきましょう。
- 保険適用で費用を抑えられる
- 比較的割れにくい
保険適用で費用を抑えられる
日本では銀歯は保険適用内のため、費用を抑えることができます。
例えば3割負担の場合、1本の歯に対する銀歯治療は数千円で済むことが一般的です。
比較的割れにくい
銀歯のメリットの2つめは、比較的割れなくくて丈夫なことです。
銀歯は金属でできているため、厚みが薄くても割れたり欠けたりすることが少ないです。
強度が高く丈夫な銀歯は、治療時の歯を削る量を最小限にすることができます。
ただし割れにくいものの変形はしやすいため、定期的にメンテナンスに通い虫歯や詰め物のチェックを行ってもらいましょう。
銀歯を白くする治療法
ここからは銀歯を白くする治療法を見ていきましょう。
- コンポジットレジン
- CAD/CAM冠
- ダイレクトボンディング
- セラミック
それぞれ詳しく解説します。
コンポジットレジン
コンポジットレジン修復法とは、歯科治療の修復の際にレジンと無機質フィラーの複合材料であるコンポジットレジンを歯に詰めていく治療法のことです。
この方法は虫歯などで悪くなった歯質だけを除去し、コンポジットレジンを直接埋めることで、歯を削る量を大幅に減らし、健康な歯質を削る必要がありません。
そしてこのコンポジットレジンには、色調が数種類あるため、患者さんに合った色調を使用することで審美的でも優れた仕上がりを期待できます。
さらに、コンポジットレジンは金属を全く使用していないため、金属アレルギーの方にも適しています。
ただし材料がプラスチックで作られているため、月日が経つと割れたり着色することがあるので注意が必要です。
CAD/CAM冠
CAD/CAM冠とは、プラスチックでできた白い被せ物のことです。
今までは、小臼歯以降(前から4番目の歯よりも奥歯)の歯に被せ物をする場合、保険適用だと銀歯だけの取り扱いでしたが、2020年9月1日から改定され、ほぼ全ての歯にCAD/CAM冠を入れることができるようになりました。
無条件でCAD/CAM冠を入れられるのは、前歯から第二小臼歯(前から5番目の歯)までです。
噛んだときに力がかかりやすい奥歯はCAD/CAM冠が破折することもあるため、注意が必要です。
第一大臼歯(前から6番目の歯)にCAD/CAM冠を保険内で入れるためには、第二大臼歯(前から7番目の歯)が上下4本とも残っていて、正常な噛み合わせであることを満たしている必要があります。
第二大臼歯にCAD/CAM冠を保険内で入れる場合は、金属アレルギーであることが条件です。ただし皮膚科などでの診断が必要で、自己申告だけでは適用されません。
ダイレクトボンディング
ダイレクトボンディングとは、ハイブリッドセラミックという素材を口の中で直接詰めて、歯の修復を行う治療法のことです。
歯の型取りなどは不要で、1日で治療が終了するため治療期間もかかりません。
このダイレクトボンディングのように、1日で治療が終わる治療法に、前に解説したコンポジットレジンがあります。
コンポジットレジンと比較したときのダイレクトボンディングの特徴は、以下の通りです。
- 天然の歯の質感に近づけやすい
- 変色しにくい
- 破折しにくい
ダイレクトボンディングの材料はハイブリッドセラミックでできており、コンポジットレジンのプラスチックと比較すると強度が高いため、丈夫で破折しにくい傾向にあります。
セラミックが含まれていて、色調のラインナップも豊富なため、天然の歯の色や質感に近づけやすく変色も少ないです。
ただしこちらは保険適用外であるため、費用が高額になる傾向にあります。
セラミック
セラミックは虫歯などで歯を削った際に、自費治療で修復の材料として使用される詰め物や被せ物のことです。
白くて透明感のある陶器の素材を使用しており表面がツルツルしているため、見た目がキレイで、プラークが付きにくいのが大きなメリットです。
そして、ひと言でセラミックとは言っても、以下のような様々な種類があり、それぞれ特徴が異なります。
- オールセラミック
- メタルボンド
- ラミネートべニア
オールセラミック
オールセラミックとは、セラミックのみで作られた被せ物のことです。
金属を一切使用しないため、金属アレルギーの方でも使用でき、天然歯のような質感や透明感を再現することができます。
ただし、強い衝撃が加わると割れることもあります。
メタルボンド
メタルボンドは、内側が金属でできており、外側をセラミックでコーティングしている被せ物のことです。
金属を使用しているため、強度の面で優れており、キレイな歯と耐久性を求める方におすすめです。
ただし金属を使用しているため、オールセラミックと比較すると透明感や色調は劣りやすい傾向にあります。
ラミネートべニア
ラミネートベニアは、歯の表面を薄く削り、付け爪のようにセラミックを貼り付ける治療法のことです。
こちらは歯を丸々被せるオールセラミックとは異なり、歯の外側だけを削るため、歯の切削量が少なく施術期間が比較的短いのも特徴です。
ただし、場合によってはセラミックを貼り付けたところが外れたり、破折することもあります。
以下の記事ではセラミックのデメリットについて詳しく解説しているので、参考にしてください。
関連記事:セラミッククラウンのデメリットは?後悔した症例と長持ちさせる3つのコツ
銀歯を白くするメリット・デメリット
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それぞれのメリットやデメリットが理解できるように詳しく見ていきましょう。
銀歯を白くするメリット
銀歯を白くするメリットは以下の項目が挙げられます。
- 見た目がきれい
- 虫歯になりにくい
- 種類が豊富
- 長持ちしやすい
- 金属アレルギーやメタルタトゥーのリスクが少ない
銀歯を白くすると天然の歯となじみやすくなるため、見た目を美しく整えることができます。
前に解説した通り、銀歯を白くする材料には様々な種類があるため、それぞれの特徴を踏まえて選べます。
そして、特にセラミックは表面がツルツルしているためプラークやステイン(タバコやコーヒーなどの着色汚れ)が付きにくく、虫歯になりにくい傾向にあります。
セラミック治療の中のメタルボンド以外は、金属を全く使用していないため、金属アレルギーの方でも治療することが可能です。
銀歯を白くするデメリット
銀歯を白くするデメリットは、以下の通りです。
- 保険適用外のため費用がかかる
- 材料が割れたり欠けたりすることがある
セラミックは保険適用外のため、費用が高くなります。
費用に関しては、部分的な詰め物・被せ物によっても変わり、被せ物のほうが高い傾向にあります。
被せ物の費用について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
関連記事:差し歯の値段は?5つの素材の相場や保険適用のメリット・デメリットを解説
そしてセラミックは、コンポジットレジンと比較すると硬いため比較的割れにくいですが、極端に硬い物を噛むなどの衝撃が加わると破折することがあるので、注意が必要です。
銀歯のデメリットについてのQ&A
- 銀歯を外すのにもデメリットはありますか
- 銀歯が身体に悪いのは嘘だと聞きましたが本当ですか
それぞれの疑問が理解できるようにチェックしていきましょう。
銀歯を外すのにもデメリットはありますか
銀歯を外すこと自体にリスクはありません。
ただし白い詰め物や被せ物の治療を行うには、銀歯を外した後に健康な歯を少し削ることがあります。銀歯よりもセラミックなどの白い材料は割れやすい傾向にあるので、被せ物に厚みを持たせるために、削ることがあるのです。
そして銀歯を外して白い詰め物に変える材料が、セラミックなどの保険適用外の材料の場合は、銀歯よりも費用が高くなります。
CAD/CAM冠などの保険適用の被せ物なら費用を抑えることができますが、全ての歯に適用されるわけではなく範囲が限られているため、注意が必要です。
銀歯が身体に悪いのは嘘だと聞きましたが、本当ですか
一般的な保険適用の銀歯は、金銀パラジウム合金という金属で作られており、金属アレルギーやメタルタトゥー(金属が溶けて歯ぐきが黒ずんだ状態)を引き起こすことがあるため、嘘とは言えません。
そして、ひと昔前まで使用されていた金属の「アマルガム」は、水銀を多く含んでいるのが特徴で、水銀によって健康被害を引き起こす恐れがあると懸念されてきました。
ただし、アマルガムは安定した金属であることが分かり、口の中にアマルガムがある状態が続いても、アマルガムが口の中に溶けだすことはないと言われています。
注意しないといけないのは、アマルガムを外すときに削りカスなどが、身体に悪影響を引き起こす恐れがあるため、外す際は口腔外バキュームの使用や、頻繁にうがいを促すなどの対策が必要でしょう。
まとめ|銀歯のデメリット・メリットを理解して治療を進めよう
銀歯のデメリットは、金属の見た目はもちろん、身体に金属アレルギーなどの悪影響を及ぼすことがあります。
銀歯を白くするには保険外で費用がかかりますが、銀歯の見た目が気にならなくなり、メタルタトゥーやアレルギーのリスクが少ないので、気になる場合は検討してみましょう。
当院では治療に入る前に、丁寧なカウンセリングを行い、お悩みやお口の状態に合わせてオーダーメイドの治療プランをご提案いたします。
まずはお気軽に当院へご相談ください。スタッフ一同心よりお待ちしております。