季節ごとのドライマウスの傾向と口腔トラブル|歯科医院が解説する原因と対策

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はじめに|季節によって変わる「口の渇き」

えみは総合歯科大阪梅田院、理事長の加藤です。今回は季節ごとのドライマウスの原因と対策についてお話させていただきます。

「口が乾く」「ネバつきが気になる」など、ドライマウスの症状を感じる方は少なくありません。ドライマウス(口腔乾燥症)は一時的な不快感にとどまらず、虫歯や歯周病、口臭などのリスクを高めるため、早めのケアが大切です。

ドライマウスは「春・夏・秋・冬」でそれぞれ異なる要因が関係しています。この記事では、歯科医師の立場から 季節ごとのドライマウスの特徴と原因、予防法、歯科での対応 を詳しく解説します。

 

ドライマウスとは?放置するとどうなる?

ドライマウス(口腔乾燥症)とは、唾液分泌量が減少したり、唾液の質が低下することで口の中が乾燥する状態を指します。(参考:<日本歯科医師会

主な症状

  • 口の渇きやネバつき 
  • 舌のひび割れ、口内炎の多発 
  • 強い口臭 
  • 飲み込みにくさや味覚障害 
  • 入れ歯の不適合 

放置すると…

  • 虫歯や歯周病のリスク増加 
  • 舌苔が厚くなり口臭悪化 
  • 食欲低下、栄養バランスの乱れ 
  • 睡眠障害や生活の質(QOL)低下 

つまり、ドライマウスは「ただの口の渇き」ではなく、全身の健康に影響する口腔疾患なのです。

 

季節ごとのドライマウスの傾向と原因

春|花粉症による口呼吸の増加

春は花粉症に悩む方が急増する季節です。鼻づまりのために口呼吸が増え、口腔乾燥を招きやすくなります。

春に多い原因

  • 花粉症やアレルギー性鼻炎 → 鼻呼吸困難 
  • マスク生活で口呼吸癖が定着 
  • 新生活のストレス → 自律神経の乱れ 

歯科的リスク

  • 口呼吸による慢性的な乾燥 
  • 舌苔や口臭の悪化 
  • 歯茎の炎症リスク増大 

【対策】

  • 鼻呼吸を意識するトレーニング 
  • 唾液腺マッサージで唾液分泌を促す 
  • 花粉症対策(抗アレルギー薬)をかかりつけ医と相談 
  • 定期的な水分補給 

夏|脱水・熱中症による唾液減少

夏は汗を大量にかくため、体内の水分不足が唾液腺にも影響します。脱水や熱中症は、ドライマウスを悪化させる代表的な原因です。

夏に多い原因

  • 発汗による脱水 
  • 冷たい飲み物・甘い清涼飲料の摂りすぎ 
  • エアコンによる室内乾燥 
  • 屋外活動での水分補給不足 

歯科的リスク

  • 唾液の自浄作用が低下し、虫歯・歯周病が進行 
  • 甘い飲み物の頻繁な摂取で酸蝕歯・虫歯リスク増加 
  • 口臭の悪化 

【対策】

  • こまめな水分補給(常温水が理想) 
  • スポーツドリンクの多用を避ける 
  • エアコン使用時の加湿 
  • ミネラルを含む食事で脱水予防 

秋|乾燥+免疫低下による口腔環境悪化

秋は空気が乾燥し始めるだけでなく、夏の疲れが残って免疫力が下がりやすい季節です。

秋に多い原因

  • 空気の乾燥 → 唾液蒸発増加 
  • 夏バテの蓄積 → 自律神経の乱れ 
  • 食欲の秋で糖分・脂肪分の多い食事が増える 

歯科的リスク

  • 歯茎の腫れや出血が悪化しやすい 
  • 口内炎の多発 → 細菌繁殖で口臭増加 
  • 歯周病の進行が目立つ 

【対策】

  • 水分補給と併せて加湿器で湿度管理 
  • バランスの良い食事で免疫維持 
  • 栄養不足を補うビタミン・ミネラル摂取 
  • 定期健診で歯周病チェック 

冬|乾燥+暖房で最も乾燥が強まる季節

冬は年間を通じて最も乾燥が強く、ドライマウスに悩む人が急増します。

冬に多い原因

  • 暖房による空気の乾燥 
  • 水分摂取不足(喉が渇きにくい) 
  • 年末年始の生活リズムの乱れ 
  • 薬の副作用(風邪薬、抗アレルギー薬など) 

歯科的リスク

  • 口腔乾燥による強い口臭 
  • 舌苔の厚み増加 → 細菌繁殖 
  • 入れ歯の不適合・口内炎の増加 

【対策】

  • 室内の加湿を徹底(加湿器・濡れタオル) 
  • ぬるま湯や常温水でのこまめな水分補給 
  • 舌・唾液腺マッサージで分泌促進 
  • 歯科医院でのクリーニングで細菌コントロール 

 

歯科医院でできるドライマウス対策

季節ごとのセルフケアに加えて、歯科医院での専門的なケアも有効です。

  • 唾液検査・口臭測定:乾燥度や細菌量を客観的にチェック 
  • スケーリング・クリーニング:歯石やプラークを除去し細菌繁殖を抑制 
  • 保湿ジェル・マウススプレーの提案 
  • 噛み合わせ・入れ歯の調整 
  • 生活習慣指導(食事・水分・鼻呼吸トレーニング) 

 

まとめ|季節ごとに変化する口腔環境に注意

まとめ

  • :花粉症による口呼吸でドライマウス増加 
  • :脱水や熱中症で唾液量が減少 
  • :乾燥+免疫低下で炎症や口臭が悪化 
  • :乾燥と暖房で最も強い口腔乾燥 

ドライマウスは季節性の要因と生活習慣の両方が関与する病気です。季節ごとのリスクを理解し、セルフケアと定期的な歯科受診を組み合わせることで、口腔乾燥を予防し快適な毎日を送ることができます。

 

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この記事を書いた人

加藤 直之

大阪の梅田にあるえみは総合歯科、加藤です。 当院は、歯医者さんの「痛い・怖い・行きたくない」というイメージをなくし、患者様が悩みを相談できてリラックスした状態で治療ができるそんな医院を目指し運営しております。

資格・所属

NPO法人日本歯科予防協会理事/ISOI インプラント認定医/ドライマウス認定医/日本ドライマウス学会会員/日本抗加齢歯学会会員/医療情報技師認定証/ITIインプラント認定/AQBインプラント認定/ザイブインプラント認定/POIインプラント認定/インプラント学会 所属ブローネマルクインプラント認定/SARGONインプラント認定/審美歯科学会認証

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