奥歯のインプラントにかかる費用やメリット・デメリットを徹底解説!
こんにちは!大阪 梅田のえみは総合歯科、理事長の加藤直之です。
虫歯や歯周病で奥歯を失った場合、インプラントを選ぶ方が多くなっています。他の治療に比べてインプラントは、天然歯と同様の見た目や機能を回復できるからです。
ただ、「奥歯のインプラントの費用や、大きなデメリットがないか気になる」「他の治療法と比べて、インプラントが良い理由が知りたい」と思っている方もいるでしょう。
そこで本記事では、奥歯のインプラントにかかる費用やメリット・デメリットについて紹介します。
奥歯にインプラントができないケース、他の治療法などについても解説。奥歯のインプラントを検討している方はぜひ参考にしてください。
また、当院でのインプラント治療については下記のページでも詳しく紹介しています。治療法や治療症例なども記載されていますので、お気軽にご覧ください。
目次
奥歯とは?インプラントに必要な基礎知識
インプラント治療について詳しく説明する前に、まずは奥歯の範囲や役割について知っておきましょう。
奥歯の範囲
奥歯は大きく分けて「小臼歯」と「大臼歯」の2つに分けられます。前歯から数えて4番目の歯を「第一小臼歯」、5番目の歯が「第二小臼歯」です。
そして、前歯から6番目の歯は「第一大臼歯」、7番目の歯は「第二大臼歯」となり、上下左右合わせて16本の歯が、一般的に「奥歯」とされています。なお、親知らずは「第三大臼歯」と呼ばれており、奥歯に含まれることもあります。
奥歯の役割
奥歯の主な役割は食べ物をすり潰すことですが、他にも下記のような役割があります。
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歯を失ったままにしておくと起こる弊害
奥歯を失ったときに何もせず放置しておくと、以下のようなトラブルが起きる可能性があります。
- 歯が傾く、伸びる
- 咬合力の低下
- 糖質編重食に陥る など
歯を失うとその隣の歯が傾いたり、噛み合う歯が伸びるなど、噛み合わせが悪くなります。その結果、しっかりと噛めないことから糖質編重食に陥るケースがあります。
ちなみに、糖質編重食とは咬合力が低下したことで、固い食材を避けて柔らかい食材(お米、うどん、カレーなど)を頻繁に食べるようになることです。栄養バランスが悪くなり、高血圧や肥満など生活習慣病を引き起こすことがあります。
奥歯のインプラント治療にかかる費用相場
インプラント治療は保険適応外で自費治療になるため、高額な費用を支払うケースがあります。また、インプラントを埋める本数によってもかかる費用が異なるため、ここでは参考までに、当院のインプラント治療に必要な基本的な料金をご紹介します。
1本あたりの費用
- 手術費用:1本50万円〜(一次手術462,000円、二次手術55,000円、上部構造)
また、以下の項目も費用に含まれています。
- 初診カウンセリング
- 事前精密検査(虫歯・歯周病検査、血液検査、CTスキャン、模型採取など)
- 投薬(静脈内鎮静法や術後の鎮静剤など)
- メンテナンス(5,000円/回〜15,000円/回)
2本~3本以上になった場合の費用
奥歯を複数失った場合「失った本数分のインプラントを入れる」「インプラントブリッジ」「オールオン4」の3つの治療法があります。
たとえば、奥歯を3本連続で失っている場合にインプラントを3本入れるとなると、当然費用はより高額になります。そこで、奥歯を複数本失っている場合には、インプラントブリッジをするケースが多い傾向です。インプラントを橋渡しのように2本埋入して連結した被せ物を装着することで、費用を抑えられます。インプラントブリッジの費用は、約60万円〜が相場です。
また、上下どちらかの歯を全て失った場合は、オールオン4を導入するケースがあります。
オールオン4とは4本のインプラントを土台にして、その上に連結した上部構造(被せ物)を取り付けることで、見た目や噛む機能を回復する治療法です。
オールオン4の費用は、インプラントに取り付ける上部構造の材質によって変わります。
そのためオールオン4の費用は、片顎200万円〜300万円が相場になります。
なお、当院ではオールオン4の治療は実施しておりません。
奥歯をインプラントにする3つのメリット
奥歯にインプラント治療を施すメリットは3つあります。
- 残存歯も良好な状態を維持できる
- 全身状態にも好影響を与える
- 寿命が長く長期的かつ快適に使える
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
また、インプラントの基本的なメリット・デメリットを知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
関連記事:奥歯のインプラントにかかる費用やメリット・デメリットを徹底解説!
残存歯も良好な状態で維持できる
インプラントは残存歯が傾いたり、噛み合わせの歯が伸びたりするのを防ぎます。
また、奥歯を失うと噛み合わせのバランスが崩れて噛む力も低下しますが、インプラントで噛み合わせを調整し適切な力で噛めるようになるため、残存歯への負担もありません。
全身状態にも好影響を与える
奥歯にインプラントをすると口だけでなく全身にも好影響が期待できます。
たとえば、奥歯がない状態で言葉を発すると空気が漏れて「キ」「シ」「チ」などの発音がしにくいです。一方、インプラントは天然歯があった時と同様の発音ができ、会話中のストレスが軽減されるでしょう。
他にも、奥歯をインプラントにすることで歯を噛み締められるため、スポーツなどで重要な瞬発力が増す可能性もあります。
加えて、記憶力は噛む刺激が脳へと伝わり活性化すると言われています。したがって、しっかり噛めるようになれば、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚を刺激して多くの情報を脳へ伝達させることができるため、認知症や痴呆などの予防にも繋がるでしょう。
また、1本失うとその部分を避けるように反対側で噛むようになります。口周りの筋肉のバランスが崩れて背骨が歪む原因にもなり得ますが、奥歯をインプラントにすることで、噛み合わせが安定し、体のバランスも整う効果もあります。
寿命が長く長期的かつ快適に使える
奥歯を失った場合には、インプラント、ブリッジ、入れ歯の3つの治療法があります。
それぞれの治療の寿命とセルフケアの方法は以下の通りです。
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上表からインプラントは、他の治療に比べて寿命が長いことがわかります。また、セルフケア(毎日の歯磨き)が天然歯と同様のケアで済むため管理しやすいのが魅力です。
加えて、インプラントの寿命について詳しく知りたい方は、下記の記事もチェックしてください。
関連記事:インプラントの寿命はどれくらい?寿命を延ばす対策や再手術の費用も解説
奥歯をインプラントにする2つのデメリット
ここでは、奥歯をインプラントにするデメリットを見ていきましょう。
- オプションの手術が必要になるケースが多い
- インプラント周囲炎を起こしやすい
それぞれについて詳しく解説します。
オプションの手術が必要になるケースが多い
オプション手術とは骨を増やす手術のことで奥歯の構造上、骨再生が必要になるケースが多いです。
上顎には目の下から鼻の辺りまでに上顎洞という空洞が存在し、上顎洞が奥歯周辺に存在することで、骨の厚みが薄くなる傾向があります。骨の厚みがないとインプラントが安定せず、抜け落ちる原因になりかねません。
そういった、インプラントのトラブルを防ぐためにも、奥歯のインプラントでは「ソケットリフト」や「サイナスリフト」といったオプション手術をするケースが多くなっています。
一方、下の顎には下歯槽管といって神経や血管が集まった管が存在しており、奥歯付近にあることから、誤って傷つけてしまうと痛みや出血、麻痺などの原因になります。
特に、歯を失った部分は骨が痩せて下歯槽管との距離が近く、オプション手術が必要になることも少なくありません。
ちなみに、当院では専門技術が必要なインプラントのオプション手術にも対応しているため、上記のようなケースでも柔軟に対応できるでしょう。
インプラント周囲炎を起こしやすい
インプラント周囲炎とは、インプラント周辺の組織に炎症が起きる病気のことです。口腔内が不衛生になり歯周病菌が増えるとインプラント周囲炎が発症しやすくなります。
初期症状は歯茎が赤く腫れて出血する程度ですが、重症化すると骨が溶けてインプラントが抜け落ちてしまいます。
特に奥歯は歯磨きが届きにくく、磨き残しが多くなりやすい部位です。インプラント周囲炎を防ぐには、奥歯に届く頭が小さい歯ブラシで丁寧に磨き、定期的にメンテナンスを受けることが重要となります。
奥歯をインプラントにできないケース
インプラントは人工歯根を埋める外科手術が必要になるため、以下に当てはまる方は奥歯のインプラント治療が行えない可能性があります。
- 全身疾患がある
- ヘビースモーカー
たとえば、全身疾患の一種である骨粗しょう症の方は骨密度が低く、骨折を防ぐためにビスフォスフォネート製剤(BP製剤)を服用している場合があります。BP製剤の服用中に外科手術を行うと顎骨壊死(骨が腐る)のリスクが高くなるため、インプラント治療できない可能性が高いでしょう。
ただし、内科の主治医と相談して薬の種類を変えたり、服用を一時的に中断したりと対処すればインプラントは可能になります。
また、ヘビースモーカーの方もインプラントにできない可能性があります。
インプラントが骨に定着せず脱落したり、免疫力の低下で細菌感染を起こしたりするリスクが高くなるためです。もちろん、減煙することでインプラント治療が行える可能性は上がりますが、安全性を考えると禁煙がおすすめです。
奥歯のインプラントは上顎と下顎で難易度が異なる?
奥歯といっても上顎と下顎では骨や神経などの状態に違いがあり、インプラントの難易度も異なってきます。
ここでは、治療部位に分けてインプラントの難易度を表にまとめました。
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上表の結果を基に、次からはそれぞれの部位の難易度について詳しく解説していきます。
上顎奥歯の難易度
まずは、上顎奥歯の難易度についてです。
大臼歯
上顎の第一大臼歯と第二大臼歯は、インプラントの難易度が高い傾向にあります。
上顎には上顎洞があり、奥側になるほど骨が薄くなっている場合が多いためです。
難易度が高まる可能性を含めて、まずはCT撮影(骨を立体的に見ることができる機器)を行い、骨の量や厚さを確認していきます。その後、骨の量や幅が足りない場合には、「サイナスリフト」や「ソケットリフト」といった骨再生を行い、適切なサイズのインプラントを埋入していきます。
小臼歯
上顎の第一小臼歯のインプラントは、普通〜簡単くらいの難易度でしょう。
第一小臼歯の周辺は上顎洞がなく、オプションなしでインプラントを埋入できるケースが多いからです。
一方で、上顎の第二小臼歯から上顎洞が広がり、骨の幅が薄くなるため、難易度は高くなります。
ちなみに、小臼歯治療の流れは、大臼歯と同様にCTで骨の厚みを確認後、必要に応じて骨を増やす手術を行うのが一般的です。
下顎奥歯の難易度
つぎは、下顎奥歯の難易度を確認していきましょう。
大臼歯
下顎の第一大臼歯のインプラントは、比較的簡単な手術になります。この部位は下歯槽管から距離が離れていて、骨の量や固さが十分に残りやすいからです。また、オプション手術が不要なケースが多く、インプラントを埋入するだけで終了することもあります。
一方、下歯槽管との距離が近く、骨の密度も柔らかい上に、舌側の骨が薄くえぐれている形状となっていることから、下顎の第二大臼歯のインプラントは難易度が高まります。
インプラントを埋入する方向と歯を取り付ける方向に違いが出てくるため、高度な技術が必要になるのも難易度が上がる理由のひとつです。
小臼歯
下顎の第二小臼歯のインプラントは、難易度が高くなります。
オトガイ孔(神経が内側から外側に出る穴)が、第二小臼歯の真下に存在するからです。オトガイ孔を避けるために周囲を剥離して直視するケースもありますが、現在ではCTで位置を正確に確認してからオペを行うことが多い傾向です。
対して、下顎の第一小臼歯のインプラントはオトガイ孔が真下にないため、難易度が低めです。ただし、小臼歯付近は骨の幅が足りないこともあり、適切なサイズのインプラントの選択が重要になります。
抜歯した奥歯に対するインプラント以外の選択肢
抜歯した奥歯には、インプラント以外にブリッジと入れ歯の選択肢があります。
それぞれの治療法のメリット・デメリットを見ていきましょう。
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上表を踏まえ、入れ歯よりインプラントがおすすめな理由は次の通りです。
- 天然歯と変わらない見た目にできる
- 食事を楽しめる(しっかりと噛める)
- 入れ歯は歯茎に慣れるまで調整が必要で痛みが出やすいが、インプラントは痛みなくすぐに使える
また、下記の理由から、ブリッジと比較してもインプラントのほうがおすすめと言えます。
- 健康な歯を削る必要がない
- 歯磨きが天然歯があるときと変わらない
インプラントとブリッジの違いについて詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。
関連記事:インプラントかブリッジか?費用・寿命などの違いやメリット・デメリットを徹底比較
奥歯のインプラントに関するQ&A
ここでは、奥歯のインプラントに関するよくある質問に回答していきます。
- 奥歯のインプラントは保険適応になりますか
- 30代や40代でも奥歯のインプラントはできますか
- 奥歯のインプラント治療は痛みが強いですか
- 奥歯のインプラント治療は痛みが強いですか
それぞれについて見ていきましょう。
奥歯のインプラントは保険適用になりますか
インプラントは、基本的に保険適用外の治療法ですが、デンタルローンを活用して月々の支払いを軽減することは可能です。また、インプラントは医療費控除の対象になるので、申請すれば費用の負担を抑えることができます。
加えて、インプラント治療と保険の関係性について詳しく知りたい方は、こちらも合わせて確認しておくと安心です。
関連記事:インプラント治療に保険は適用できる?生命保険や医療費控除についても解説
30代や40代でも奥歯のインプラントはできますか
30代や40代の方でも奥歯のインプラントは可能です。この年代はインプラントと骨の結合が得やすく、傷口の治りも比較的早い傾向がありインプラント治療に適していると言えます。
一方で、歯周病のリスクが高まりやすい年代でもあるため、治療後は定期的なメンテンナンスが重要になります。
また、若いうちは問題ないかもしれませんが、高齢になってから認知症や寝たきりなどの状態になると、セルフケアが難しくなってしまい、虫歯や歯周病リスクは格段に高まるでしょう。
もし、将来も見据えてインプラント治療を行いたいなら、ワンピースタイプのインプラントより、対面する歯茎を傷つけないアバットメント(インプラント体と上部構造の接続部分)を外せるツーピースタイプ型を検討してみてください。ツーピースタイプ型は取り外して洗浄できるため、衛生面でもおすすめです。
インプラントと年齢の関係について詳しく知りたい方は、下記の記事も合わせて確認しておきましょう。
関連記事:インプラントの平均年齢は?年齢層ごとの割合や高齢者の治療リスクも解説
奥歯のインプラント治療は痛みが強いですか
インプラント治療は局所麻酔や静脈内鎮静法といった方法で麻酔をするので、基本的に痛みを感じません。また、術後には麻酔が切れる前に鎮静剤を服用してもらうため、その後の痛みも感じにくいです。
参考までに、当院では3本以上のインプラントをする場合、静脈内鎮静法をおすすめしています。麻酔の専門医が点滴を行い、半分眠っている状態で手術を受けられるため痛みをほとんど感じません。また、副作用もほとんどなく治療後も問題なく帰宅できる方ばかりですので、痛みに不安がある方はぜひお気軽にご相談ください。
まとめ|奥歯のインプラントはメリットが多い
奥歯は外から見えにくい部分ですが、放置すると日常生活に支障が出る可能性があります。特に奥歯は「噛む」のに重要な部分です。インプラントは見た目の美しさだけでなく、噛む機能も天然歯と同様に優れています。
デメリットも把握した上で、その後の生活も快適に過ごせるように自分に合った治療法を選択していきましょう。
当院のインプラント治療について興味のある方は、下記のページをご覧ください。
もちろん、どんな些細な不明点もお問合せ頂ければ、丁寧にご説明させて頂きます。