インプラントの種類を徹底比較!メーカー・パーツごとの特徴を解説
こんにちは!大阪 梅田のえみは総合歯科
理事長の加藤直之です。
歯を失った後の治療としてインプラントという治療方法を耳にしたことがあるかと思います。インプラント治療の話を聞く中で「インプラントの種類によって手術の進め方が変わってくる」「治療にかかる金額も異なる」「転医する場合同じメーカーを扱っている歯科医院を探さないといけない」と言われた経験はないでしょうか。
今回は「歯科医院でよく扱われるインプラントの種類」についてメーカーやパーツの特徴などを解説していきます。
目次
インプラントの種類を知る前に|基本構造を解説
昨今、日本国内では国内外のメーカー問わず20種類以上のインプラントが販売されています。
インプラントの基本的な構造として
- 人工歯(上部構造)
- 支台部(アバットメント)
- 歯根部(インプラント体/フィクスチャー)
から成り立ちます。
インプラントは自分の口の中に入るものです。
まずはこのインプラントの構造の基本をしっかり理解していきましょう。
基本のパーツ
インプラントは3つのパーツから成り立ちます。
材質などの種類はメーカーや術式によって変わります。
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基本のタイプ
インプラントにはワンピースタイプとツーピースタイプの2種類があります。
一般的にツーピースタイプがよく使用されます。
この2種類の違いについて解説していきます。
- ワンピースタイプ
支台部と歯根部が一体になったもの。
メリット:手術回数が1回少ない
デメリット:顎の骨が薄い人は対象外で、炎症などのトラブルが起きた場合はインプラント体そのものを撤去する必要がある
- ツーピースタイプ
支台部と歯根部が別々になったもの。
メリット:顎の骨が痩せていても手術が可能でパーツごとのトラブルに対応できる。
デメリット:ワンピースタイプより部品が多くその分の費用がかかり、治療回数も多くかかる
必ずしもツーピースタイプは手術が2回かかるというわけではありません。
顎の骨の状態などにより手術が1回で済む場合もあります。機能面で大きな違いはありませんので、当院で問題がない場合はツーピースタイプを使用しています。
関連記事:インプラントの治療期間は?治療の流れや骨造成に伴う期間の平均も解説
インプラントの種類①メーカー
実はインプラントのメーカーは国内外合わせて100種類以上あり、日本の歯科医院で取り扱っているメーカーでも20種類ほどあります。ここでは当院で取り扱っている「京セラ社のインプラント」と国内で多く取り扱われているインプラントメーカー4社をピックアップして紹介していきます。
京セラ社
国産メーカーの中で一番歴史が古く、日本で開発、製造されている製品のため、日本人の骨格に合わせた形状・サイズであることが特徴です。
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ストローマン社
スイスに本社があり、ITI(インプラント学術団体)と提携しながら開発に取り組んでいる世界シェアNo.1のメーカーです。
特殊な表面加工により骨との強固な結合を可能にしています。
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ノーベル・バイオケア社
スウェーデンに本社があり、インプラントを発明した一番歴史の長いメーカーです。
長い歴史があるがゆえ、さまざまな症例にも対応できるのが特徴です。
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アストラテック社
スウェーデンに本社があり、インプラント埋入後、周辺組織に負担が少ないインプラントの開発に取り組んでおり、骨吸収が起こりにくいのが特徴です。
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ジンヴィ社(旧ジンマー・バイオメット・デンタル社)
アメリカに本社があり、アメリカで高いシェアを誇るメーカーです。
特殊な表面加工でインプラントの審美性や定着性に優れており、骨の状態がよくないなどの難症例にも対応できるのが特徴です。
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寿命が長いインプラントだからこそ、どこのメーカーのインプラントが使われているのかを知るのは大変重要になってきます。
各メーカーによって適応症例も少し変わりますが当院で扱っている「京セラ社のインプラント」は日本人の骨格に合わせて開発されているインプラントです。当院ではメンテナンスもしっかり行っていますので安心してお任せください。
インプラントの種類②上部構造(被せ物・義歯)
インプラントが埋入されたあと、歯として見える部分に装着されるのが上部構造です。
人工歯の上部構造の種類としては以下の3種類があります。
- クラウン
- ブリッジ
- 義歯
インプラントを埋入した本数によって選択する上部構造が変わります。
材質の種類
人工歯にあたる上部構造に使用される素材としてセラミックが一般的です。
見た目は白い歯ですがセラミックによっても少し違いがあります。
ここでは3種類のセラミックの違いについて解説していきましょう。
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これらすべてセラミックでできているため、歯ぎしり・食いしばりなど極端な力が加わると割れる可能性があります。歯ぎしり・食いしばりが強い人には金合金が採用される事もありますが、稀なのでここでは割愛いたします。
3種類のセラミックの違いについてもう少し詳しくみていきましょう。
オールセラミック
歯科で使用する材質の中で最も審美性が高いセラミックになります。
天然歯に近い色調・光沢が再現できるため、前歯の上部構造に適しています。
ただ、強度はジルコニアセラミックには劣るため、噛む力が強い人はジルコニアセラミックを選択することをオススメします。
ジルコニアセラミック
人工ダイヤモンドとも呼ばれるセラミックで耐久性がかなりあります。
白くきれいな材質ではありますが透明度はオールセラミックより劣ります。
当院で採用している上部構造はこのジルコニアセラミックで価格は165,000円(税込み)です。
ハイブリッドセラミック
セラミックと歯科用レジンのプラスチックを混ぜた材料です。
オールセラミックやジルコニアセラミックより安価なのが最大の特徴です。
ただ、耐久性や審美性は上記2種類のセラミックより劣ってしまいます。また、色の変色や汚れが付着しやすいという部分も懸念点です。
固定方法の種類
ワンピースタイプ・ツーピースタイプであったとしてもフィクスチャーに上部構造を固定しないといけません。固定方法は2つあります。
スクリュー固定
上部構造をフィクスチャーをネジで固定する方法を「スクリュー固定」といいます。
メンテナンスの際ネジを外して上部構造を洗浄したり周囲組織の確認もできたりするので衛生的でインプラント周囲炎も起きにくいです。
ただ、ネジの固定が甘く、緩んでしまった場合は炎症が起きたり、インプラントの場所によってはネジ穴が見えるたりする場合もあります。
当院ではもしもの時に取り外せるよう「スクリュー固定」を採用しています。
セメント固定
上部構造を接着剤で固定する方法を「セメント固定」といいます。
接着剤で固定するので、かみ合わせの調整がしやすくネジ穴が見える心配はありません。
ただ、簡単に取り外せるスクリュー固定とは違い、上部構造が破損してしまった、セメントが残っていたため炎症が起きてしまったなどのトラブルの場合は上部構造を壊し作り直さないといけません。
インプラントの種類③アバットメント(支台部)の金属
フィクスチャーと人工歯を繋ぐ連結装置になります。しっかりフィットさせないといけないのでフィクスチャーと同じメーカーの物を使用します。
また、微妙な角度や嚙み合わせの調整を行うのもアバットメントの役割です。
材質によって違いがあるので、詳しく解説していきます。
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ワンピースタイプの場合はアバットメントとフィクスチャーが一体になっているので同じ材質になります。
ジルコニア
天然の歯に近い白さのため審美性に優れています。また、金属だと目立つ歯ぐき下がりの面においても審美性は上回ります。さらに天然の歯よりも耐久性に優れています。
金属を使用していないので金属アレルギーの方でも使用できます。
ただ、硬すぎるため、天然の歯を傷つけてしまう可能性があります。
純チタン・チタン合金
チタンは骨との結合がいいため、歯ぐきにも密着しやすく固定性には優れています。
ただし、歯ぐきが下がってきたとき金属が見えてくる可能性があるので審美性はジルコニアより劣ります。錆びにくく耐久性がいいのが特徴です。
金合金
金を含む合金で作られたアバットメントです。天然の歯に近い硬度で適合がいいのが特徴です。金が使用されているので、歯ぐきが下がってきた時の審美性やコスト面が懸念点になります。
インプラントの種類④フィクスチャー(人工歯根)
顎の骨の中に埋入するフィクスチャーには生体親和性の高い純チタン・チタン合金が採用されています。フィクスチャーの形状には骨との結合がよいとされている下記4種類のタイプが採用されています。
- スクリュータイプ
- シリンダータイプ
- バスケットタイプブレードタイプ
ただ、バスケットタイプは名の通りバスケットのような空洞のため強度が弱く、ブレードタイプも力のかかり方に偏りが生じやすく破損が多いため最近では使われなくなりました。
ここでは、よく使われる2種類について解説していきます。
スクリュータイプ
一般的に使用されているネジのような形状のフィクスチャーです。
ネジになっているので顎の骨との結合がよく固定しやすいのが特徴です。
先が細くなっているテーパータイプと太さが変わらないストレートタイプとあります。
シリンダータイプ
ネジのような形状ではなく筒のような形状のフィクスチャーです。
顎の骨に埋入するさいハンマーで打ち込むので埋入自体はシンプルです。
表面積が小さいため初期固定が弱いというデメリットがあります。
インプラントの種類⑤フィクスチャーの表面加工
埋入したフィクスチャーと顎の骨の結合をよくするために各メーカーさまざまな表面加工処理がフィクスチャーに施されています。
よく行われる表面加工処理は下記4種類です。
- サンドブラスト
- 酸エッチング
- 機械研磨
- ハイドロキシアパタイト
それぞれの処理の特徴について解説していきます。
サンドブラスト
一般的によく使用されている処理方法です。
細かい砂のような物質でフィクスチャーのチタン表面の酸化被膜を除去し、表面を粗造に加工することで骨との結合をよくします。
酸エッチング
塩酸、フッ素、硫酸を用いてフィクスチャー表面に凹凸を付与する処理方法です。
表面に凹凸ができることで骨との結合をよくします。
機械研磨
機械を使用しフィクスチャー表面を滑らかにする処理方法です。
表面を滑らかにすることにより骨に接触しても問題ないように処理されます。
ハイドロキシアパタイト
フィクスチャー表面にハイドロキシアパタイトの粉末をコーティングします。
ハイドロキシアパタイトは骨や歯を構成する物質で、フィクスチャー周囲の骨の回復と骨との結合をよくします。
インプラントの種類⑥治療方法
一般的に行う1回法、2回法の場合インプラントを埋入してから骨と結合するまで3~6ヶ月待つ必要があります。インプラントと骨の結合を待ち、そこから上部構造を作っていきます。
ただし、顎の骨の状態や治療方法によっては噛めるタイミングが異なる治療方法があります。ここではその2種類の治療方法を紹介します。
即時荷重法
インプラントを埋入した直後に仮歯を装着する方法です。
一般的にインプラントと顎の骨の結合を待つ間、負荷をかけられないため歯抜けの状態になりますが、即時荷重法は仮歯も装着するので歯抜けの状態になりません。
ただし、装着するのは仮歯なので噛む際にあまり負荷をかけないように注意する必要があります。
オーバーデンチャー
インプラント埋入して固定源をつくり入れ歯を支える治療方法です。
一般的な入れ歯は粘膜で入れ歯を支えるため噛む力で沈んだり粘膜が傷ついたりします。
オーバーデンチャーの場合はインプラントで支えるため入れ歯が安定します。
ただし、しっかり固定されしっかり噛める分入れ歯が破損しやすいという欠点もあります。
インプラントの種類⑦骨造成の方法
歯周病やその他の原因で骨が少ない・薄いなど必要な場合にインプラント埋入後、安定を図るため補助的な骨造成の手術を行う場合があります。
インプラント埋入時に行う場合もあれば、骨の形成を待つためにインプラント埋入以前に行う場合もあります。
以下の3つが当院で行っている治療と料金です。
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詳しく内容を解説していきます。
GBR
GBRは骨再生誘導法ともいいます。インプラント埋入時に骨が必要な場所に自家骨や人工骨、骨補填剤を注入し「メンブレン」と呼ばれる特殊な薄い遮断膜で周囲を覆うことで骨の形成を促進します。基本的にインプラント埋入時に行うため治療期間が伸びることはありません。
ソケットリフト
上顎の奥歯の骨が足りない場合に行われる手術です。
インプラントを埋め込む方向から上顎洞の底部を持ち上げて骨補填剤を注入します。上顎の骨の高さが3〜5㎜以上ある場合に適応されます。こちらも基本的にインプラント埋入時に行うため治療期間が伸びることはありません。
サイナスリフト
上顎の奥歯の骨が足りない場合に行われる手術です。
上顎の骨の高さが4㎜に満たない場合、歯ぐきを切って上顎洞の底部を持ち上げてスペースを作り骨補填剤を注入します。ソケットリフトより負担は大きいですが広範囲で骨の造成ができます。手術後4〜6ヶ月に、骨が形成されてからインプラント埋入を行います。
まとめ|インプラントの種類を知って特徴を理解しましょう。
いかがでしたでしょうか。インプラントと言ってもメーカーや材質などいろんなタイプのものがありますよね。当院では「京セラ社のインプラント」を使用しています。検査もCT撮影などを行い一人ひとりのお口の中の状態に合わせて適切な手術の提案をいたします。
インプラントはお口の中で長く付き合う物になります。少しでも疑問に思ったこと、気になることがあれば遠慮なく相談してくださいね。