インプラントの平均年齢は?年齢層ごとの割合や高齢者の治療リスクも解説

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こんにちは!大阪 梅田のえみは総合歯科、理事長の加藤直之です。

失った歯を取り戻す治療法のうち、最も自分の歯に近い感覚を得られるインプラント。インプラント治療を受けた患者様の平均年齢は40〜60歳で、高齢になるほどリスクも高くなると言われています。そのため、インプラント治療に不安を覚える方も少なくありません。

そこで本記事では、インプラントを受けた患者様の年齢層ごとの割合や適応年齢、年齢制限について解説します。年齢が若くて治療を受けられるか不安な方や、高齢で治療リスクが気になる方は、ぜひ参考にしてみてください。

また、当院でのインプラント治療に関しては、下記のページで詳しく紹介しています。具体的な治療内容や費用について気になる方は、合わせてチェックしましょう。

当院のインプラントの特徴について詳しくみる

インプラント治療の平均年齢とは?

インプラント治療を受ける平均年齢は、40〜60歳と言われています。40代というと、仕事や子育てに邁進し、歯のケアが疎かになり歯に異常が出やすい年代です。そして、50代に差し掛かり生活が落ち着いてきた頃合いで、インプラント治療を検討することになります。

ちなみに、永久歯が本格的に抜け始める年齢も50歳から。50代では約2.6本だった歯の損失本数は、60代で約5.7本、70代になると約9.5本まで増加します。(※1)

※1参考:平成28年歯科疾患実態調査結果の概要

そして、歯が抜ける原因としては歯周病が最も多いため、既に歯が抜けてしまったという方は、歯のケア方法から見直しましょう。

年齢層ごとのインプラント患者の割合

厚生労働省が調査したデータによると、日本のインプラント治療の普及率は、全人口の約2.7%と言われています。そのうち、各年齢層ごとのインプラントの患者様の割合は次の通りです(※1)。

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※2:当院では、20代〜30代の患者様も年間で約5名程が治療を受けられています

それぞれ詳しく見ていきましょう。

20代〜30代のインプラント患者割合

厚生労働省の調査結果では0%ですが、当院では毎年一定数の患者様がインプラント治療を受診されます。そのため、私はまだ20代だからと安心はできません。

歯周病の進行、虫歯の悪化などが原因で、20~30代でも歯を失う可能性は十分にあります。また、先天的に永久歯が少ないケースもあり、日常生活における不慮の事故により突然歯が欠損する可能性もゼロではありません。

そして、もし歯が抜けてしまったという20〜30代の方は、可能な限り早めの治療を検討しましょう。なぜなら、歯が抜けたまま放置していると、嚙み合わせの悪さなどが心身ともに悪影響を与えるためです。

もちろん、20代でもインプラント治療は受けられます。早いうちからインプラント治療を受ければその分長く使うことができるので、費用対効果を高められるでしょう。

40代のインプラント患者割合

40代を境にインプラントの患者様が増え始める傾向です。具体的なインプラントの割合は全体の約1.8%であり、28本ある親知らずを除いた永久歯は、45歳ごろを皮切りに少しずつ減少していきます。

実際に、45歳からの10年間で何らかの義歯を使用している割合は、約30%にも上ります。(※1)

そして、40代以上が歯を失う大半の原因を占めるのが、歯周病。歯と歯茎の間にある溝(通称:歯周ポケット)が4mm以上ある場合に歯周病が疑われますが、その割合は実に45%を占めます。

以上のことから、歯周病は40代後半ごろから徐々に重症化しやすくなると考えて良いでしょう。そのため、既に歯周病や虫歯を患っている場合は、早急に治療を始める必要があります。

50代のインプラント患者割合

50代は、40代で重症化した歯周病により、歯が抜ける本数が急増する傾向です。

50代のインプラント患者様の割合は約2.1%を占めます。40代までは平均1本以下であった永久歯の喪失本数は、50代を境に50〜54歳で2本、55〜59歳で3.1本と増加傾向が見られます(※1)。

一方、これだけ歯を失っているのに、40代〜50代にかけてインプラント治療の割合があまり増加していないと思われた方もいるかもしれません。

実際のところ、50代で歯を失った場合に選択される治療法は、入れ歯やインプラントよりもブリッジなどの被せ物が多く、具体的な割合は入れ歯の約4〜5倍と言われています。実は、インプラントの割合は全治療法の5%にも届かないのです。

60代のインプラント患者割合

50代と比較してインプラント患者様の割合は増加し、約3.5%に上ります。60歳以上では、全人口の約80%にあたる人が1本以上の大人の歯を失っているということが分かりました(※1)。

60代以上になると自然治癒力が低下するため、外科手術における傷の回復に時間がかかります。そのため、歯を失った60代以上の多くの方が、治療法として入れ歯やブリッジを選択しています。

しかし、だからといって入れ歯やブリッジが最適とは限りません。入れ歯やブリッジでは、自然歯とは異なるお手入れの方法が必要になります。したがって、メンテナンスを怠っていると、そこから細菌に感染し、誤嚥性肺炎を引き起こす可能性があります。

その点インプラントは、顎の骨にしっかりと根づいているため、自然歯と同じようにお手入れすることが可能です。インプラントだけでなく、ブリッジも検討してみたいという方は、こちらの記事も合わせてチェックしてみてください。

関連記事:インプラントかブリッジか?費用・寿命などの違いやメリット・デメリットを徹底比較

70代のインプラント患者割合

70代のインプラント患者様の割合は約3.6%であり、60代の割合とほとんど変わりません。70代を超えると、これまで増加傾向にあったブリッジ治療は逆に減少傾向となり、入れ歯治療の増加率が上がります。しかし、これまで入れ歯治療をしてきた70代以上の方は、次のような悩みを抱えています。

  • 入れ歯が合わず食事が楽しめない
  • 発音がきちんとできない
  • 口臭が気になる

一方で、インプラントは自然歯のような噛み合わせを実現し、入れ歯よりも清掃しやすく口臭が発生しづらくなります。70歳以上でも、身体の健康に問題がなければインプラント治療は行えるので、ぜひ当院にご相談ください。

インプラントの年齢制限は18歳以上

インプラント治療が可能な年齢は18歳以上と定められており、年齢さえクリアしていれば誰でも治療は行えます。しかし、年齢制限を満たしていても、治療できないケースもあるため、以下で詳しく確認していきましょう。

  • インプラント治療に年齢制限がある理由
  • 年齢制限を満たしていても受けられないケース
  • 知っておきたいインプラントの適応年齢

インプラント治療に年齢制限がある理由

まず結論として、18歳未満の患者様はインプラント治療を受けることができません。なぜなら、18歳未満は顎の骨が発達しきっておらず、インプラントを埋入することで噛み合わせが乱れる恐れがあるためです。

一方、インプラントには上限の年齢が定められていません。そのため、100歳を超える方でも、健康状態に問題がなければ治療を受けることは可能です。

実際に、当院でも80歳を超える方のインプラント治療を行っております。ただし、治療には外科手術を伴うため、万全な健康状態である必要があります。手術前の採血等の検査で異常が発見された方や、糖尿病などの疾患をお持ちの場合は、歯科医師との事前相談が必要になることもあるので、あらかじめ注意してください。

年齢制限を満たしていても受けられないケース

インプラント治療は外科手術を行うことから、たとえ年齢制限を満たしていても、次のような条件に該当する方は、治療を受けられないことがあります。

  • 口腔内の状態が悪い
  • 治療後に継続的に通院できない
  • 重度の全身疾患を持っている

実際に、口腔内の状態が悪いと、歯の下の骨にまで歯周病の細菌感染が広がっていることが少なくありません。その状態でインプラントを埋入すると、骨結合がうまくいかずインプラントがすぐに取れてしまうのです。

また、手術が成功しても、インプラントの寿命を長引かせるには継続的な通院が必要です。しかし、高齢になってくると急な怪我や病気に見舞われ、通院が難しくなる場合もあります。

さらに、以下のような重度の疾患をお持ちの方は、インプラント治療の対象外となる可能性が高い点に注意しましょう(※2)。

  • 糖尿病
  • 循環器系疾患
  • がんの放射線治療中または治療後
  • 血液系の疾患
  • 骨粗鬆症

※2参考:歯科インプラント治療指針

知っておきたいインプラントの適応年齢

インプラント治療は18歳以上から受けられますが、医学的に推奨されている年齢は別に存在します。

1996年にスウェーデンで開催された会議により、インプラントは顎の骨の成長に対応できないという理由から、20歳以上の治療が望ましいとされました。

顎の骨が成長しきる前にインプラントを埋入した場合、その箇所の骨の成長を阻害する可能性があるからです。

ただし、顎の骨の成長度合いは人によって個人差があるため、やはり20歳以上でも一概にインプラント治療が行えるとは限りません。治療可能かどうかは必ず歯科医師としっかり相談しましょう。

また、当院ではインプラントの手術を行う前の精密検査で、通常のレントゲンだけでなく、CTスキャンによる骨の情報と口の型取りによる歯肉の粘膜の情報を採取します。これらの複合的なシュミレーションを行った上で、安全に治療を行うので、安心して治療に臨んで頂けます。

老後のインプラントは悲惨?3つのリスクを解説

インプラント治療は、手術に耐える体力はもちろん、治療後の通院が必要であったりと、受診するための条件が多い治療法です。そして、それらの条件は高齢になればなるほど、満たすことが難しくなります。

そのため、インプラント治療に興味があっても、なかなか踏み出せない高齢の患者様は少なくないでしょう。また、受診条件のみならず、次に示すようなリスクも把握しておく必要があります。

  • 細菌に感染しやすい
  • インプラント体と骨が結合しにくい
  • 高額の医療費がかかる

それぞれ詳しく解説します。

細菌に感染しやすい

高齢者のインプラント治療は、若年層に比べて細菌感染の確率が比較的高い傾向です。外科手術においては、歯肉を切開し顎の骨を削り、インプラント体を埋め込みます。その際に、歯垢や唾液の中の細菌が切断した歯肉や骨の中に入り込む可能性があります。

若い患者様なら、細菌が入り込んでも感染まで至らないかもしれません。しかし、高齢者は免疫力が低いため、若年層に比べて細菌感染のリスクが高まってしまうのです。

インプラント治療で感染する恐れのある感染症や、その他のリスクについて気になる方は、こちらの記事も合わせてチェックしましょう。

関連記事:インプラントのリスクとは?手術中・治療後に起きうる10個のリスクを解説

インプラント体と骨が結合しにくい

高齢者は、若年層と比べてインプラント体が歯の下の骨と結合しづらい傾向にあります。なぜなら、高齢になり免疫力が低下すると、顎の骨を削ったときの傷口の回復に時間がかかるためです。

インプラント治療では、歯茎を切開して顎の骨を削った後に、インプラント体と顎の骨を結合しなければなりません。万が一、結合がうまくいかなかった場合は、インプラント体が脱落する恐れがあります。その場合は再手術しなければならなくなり、さらに体力や治療費が必要となってしまうでしょう。

高額の医療費がかかる

インプラント治療は、入れ歯やブリッジに比べて治療費が高額です。また、入れ歯は保険診療なのに対して、インプラント治療は自由診療になるため保険適用外です。医療費控除による税金の還付を受けることは可能ですが、全額自己負担になることを覚えておきましょう。

さらに、高齢者が受けるインプラント治療では、先に述べた「細菌感染のリスク」「骨結合がしづらいリスク」によって治療期間が延長することがあります。延長した分だけ、治療費は高額になりますので、金銭的な負担が大きくなる可能性も考慮してください。

参考までに、当院のインプラントの埋込1次手術にかかる費用は、合計¥594,000 (税込み)です。各内訳の詳細な内容については、お気軽にご相談ください。

費用内訳:

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インプラント治療の年齢に関するQ&A

最後に、インプラント治療の年齢に関するよくある質問を解説します。

  • やらなきゃよかったと後悔しやすい年齢はいくつ?
  • インプラント治療の痛みは年齢によって差がありますか?
  • 高齢者がインプラントを受ける上での注意点は?

それぞれ詳しく見ていきましょう。

やらなきゃよかったと後悔しやすい年齢はいくつ?

20代という若さで歯を失った方は、60代で歯を失った方と同じようにインプラント治療を考えて良いのか、気になるでしょう。

顎の骨の成長過程が終われば、インプラント治療を行うことは可能です。しかし、人生の早い段階でインプラント治療を受けるということは、残りの人生をインプラントを管理しながら生きていくことを意味します。管理を怠ってしまえば、歯周病にもなりかねません。

そのため、20代でのインプラント埋入は、後悔する可能性がないとは言い切れません。その一方で、歯を失った状態を長引かせるのもまた、健康に悪影響を及ぼします。どのような選択が望ましいかは、歯科医師と相談して決めましょう。

インプラント治療の痛みは年齢によって差がありますか?

当院では、静脈内鎮静法によって麻酔を打つため年齢による痛みの差はありません。ただし、麻酔の効きやすさについては個人差があります。

手術後の痛みは、通常の抜歯程度と思っておけば問題ありません。静脈内鎮静法では、ほとんど眠っているような状態で手術を受けられる上に、点滴内には痛みどめや腫れ止めの薬も導入しているため、手術中の痛みがないだけでなく、術後も快適に過ごせます。

どうしても痛みへの恐怖が拭えないという方でも、不安を可能な限り和らげてから治療していきますので、ご安心ください。

高齢者がインプラントを受ける上での注意点は?

高齢者の場合は、突然の怪我や病気で術後の通院が難しくなることが考えられます。そのため、治療を受ける前に、通院できなくなった場合の対処法を考えてくれる医院を探しましょう。

また、重度の持病をお持ちの方は、インプラント治療が受けられない可能性があります。初回のカウンセリングで現在の病状をしっかり申告しましょう。

まとめ|インプラント治療は年齢制限とリスクを理解して臨みましょう

インプラント治療の平均年齢は40〜60歳ですが、18歳以上で健康に問題がなければ、治療を受けることは可能です。

ただし、本記事で紹介したようにどの年齢においても、インプラント治療のリスクは付き物です。歯科医師としっかり相談し、あなたに合った治療法を選択しましょう。

また、当院では患者様一人ひとりの意思を尊重したインプラント治療を行っております。ご興味のある方は、ぜひ以下のページをご覧ください。

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この記事を書いた人

加藤 直之

大阪の梅田にあるえみは総合歯科、加藤です。 当院は、歯医者さんの「痛い・怖い・行きたくない」というイメージをなくし、患者様が悩みを相談できてリラックスした状態で治療ができるそんな医院を目指し運営しております。

資格・所属

NPO法人日本歯科予防協会理事/ISOI インプラント認定医/ドライマウス認定医/日本ドライマウス学会会員/日本抗加齢歯学会会員/医療情報技師認定証/ITIインプラント認定/AQBインプラント認定/ザイブインプラント認定/POIインプラント認定/インプラント学会 所属ブローネマルクインプラント認定/SARGONインプラント認定/審美歯科学会認証