インプラントをすると口臭がでるのはなぜ?原因と対策について徹底解説!
こんにちは!大阪 梅田のえみは総合歯科、理事長の加藤直之です。
インプラント治療後に「口臭が気になるようになってきた」「口臭を防ぐ方法が知りたい」と悩む方は決して少なくありません。
しかし、原因と適切な対策を知れば、口臭の悩みもきちんと解決できるでしょう。そこで本記事では、以下のポイントを詳しく解説します。
- インプラントで口臭が起きる原因
- 口臭を自分でチェックする方法
- インプラントが原因の口臭対策
インプラント治療後の口臭が気になる方は、ぜひ参考にしてください。
また、当院でのインプラントについては、下記のページで紹介しています。
インプラント治療の流れや料金についても詳しく掲載しているので、合わせて参考にしてみてください。
目次
インプラントで口臭が起きる3つの原因
基本的に、インプラントには口臭の原因になる材料は含まれていません。
インプラントを入れて口臭が発生した場合には、インプラント自体よりもお口の中の環境が荒れている可能性があります。
インプラントで口臭が起きる原因は以下の3つです。
- インプラント周囲に磨き残しがある
- インプラント周囲炎になっている
- インプラントのネジが緩んでいる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
原因①インプラント周囲に磨き残しがある
インプラントは天然の歯と比較すると、口臭の原因になるプラークが溜まりやすいです。
通常、天然の歯は歯根膜(歯と骨をつなぐ膜)がありますが、インプラントは歯根膜がないので、歯肉溝という溝が深くなりやすくなります。すなわち、深くなった溝にプラークが溜まり、口臭の原因になるのです。
そして、プラークは歯肉溝だけでなく歯と歯の間にも溜まります。
インプラントの形状によっては、歯と歯のあいだの隙間が大きくなることがあるので、なおのことプラークは溜まりやすくなるでしょう。
したがって、インプラントは時間をかけて丁寧に清掃し、磨き残しがないようにしなければなりません。
原因②インプラント周囲炎になっている
口内環境が汚れている場合、たとえインプラントでも天然の歯と同じように歯ぐきに炎症を起こします。このインプラント周辺の歯ぐきの炎症を、インプラント周囲炎と呼びます。
インプラント周囲炎の原因は、天然の歯と同じプラーク。そして、ある程度進行すると歯ぐきが炎症を起こし、最終的に骨が溶けて歯ぐきから膿が出てきます。
無論、歯ぐきの膿は口臭の直接的な原因になるため、もし「口が臭い」と感じた場合は、歯科医院でインプラント周囲炎になっているかどうかをチェックしてもらいましょう。
もちろん、当医院でもお口のケアを行っているので、ぜひお問い合わせください。
原因③インプラントのネジが緩んでいる
インプラントは「上部構造(人工歯)」「アバットメント(支台部)」「フィクスチャー(人工歯根)」の3つで構成されています。
そして、フィクスチャーとアバットメントはネジ状で結合されている物が多くなっていますが、長期間経つとネジが緩んでくることがあり、唾液やプラークが溜まって口臭が発生します。
また、プラークが溜まることで周囲の歯ぐきが炎症を起こしてしまうリスクがあることも覚えておきましょう。
インプラント以外の口臭の原因は?
ここまでは、インプラントで口臭が起きる原因について解説しましたが、次はインプラント以外の口臭の原因も見ていきましょう。
主な原因は大きく分けて以下の5つです。
- 虫歯や歯周病がある
- ブリッジにプラークが溜まる
- 全身疾患がある
- ドライマウスになっている
- 舌苔がある
それぞれ詳しく解説します。
原因①虫歯や歯周病がある
虫歯や歯周病は口臭の大きな原因です。
虫歯になると歯に穴ができて、その中に食べかすが溜まりやすくなることで口臭が発生します。そして、溜まった食べかすが細菌によって分解されることで、臭いを生み出すのです。
また、虫歯の進行によって、歯の神経が腐敗した際も腐敗臭を発します。
加えて、歯周病も口臭の原因でよく挙げられる原因の一つ。歯周ポケットという深い溝が形成され、プラークが溜まりやすくなります。
プラーク内の嫌気性菌が代謝すると、硫化水素やメチルメルカプタンを発生するため、こちらも口臭の大きな原因となるでしょう。
※参考:口臭がひどい|口腔外科相談室
原因②ブリッジにプラークが溜まる
ブリッジは被せ物が繋がっているので、フロスを通して清掃ができません。そのため、歯と歯のあいだにプラークが溜まりやすく、口臭が発生しやすくなります。
そして、ブリッジのポンティックの基底面も、プラークが溜まりやすい部分です。ポンティックとは歯が欠損しているところに、あたかも歯があるようにする部分のことを言います。
ポンティックの下部は歯間ブラシでも清掃が難しいので、スーパーフロスなども使って丁寧に清掃しなければなりません。
ブリッジについてくわしく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
関連記事:インプラントかブリッジか?費用・寿命などの違いやメリット・デメリットを徹底比較
原因③全身疾患がある
ここまでは、プラークが原因で口臭になることを解説しましたが、口臭はお口の中の環境が原因でない場合もあります。
たとえば、全身疾患が原因で口臭が発生することもあり、中でも最も代表的なものの一つが糖尿病です。
糖尿病になると糖を代謝できないため、代わりに脂肪を代謝します。そして、脂肪の代謝時に使うアセトンが口臭の原因となります。
また、糖尿病以外にも口臭の原因になる全身疾患があります。
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全身疾患が原因で口臭が発生し始めた場合は、速やかに医院に相談してみましょう。
原因④ドライマウスになっている
ドライマウスになると口臭が発生しやすくなります。
唾液には自浄作用がありますが、ドライマウスで唾液の量が減ると、自浄作用が弱まってプラークが溜まりやすくなるからです。
ドライマウスの原因は、主に以下の5つとなります。
- ストレスや筋力の低下
- 薬物の副作用
- シェーグレン症候群(自己免疫疾患)
- 更年期障害
- 口呼吸
対策したい場合は、以下の方法を試しましょう。
- よく噛んで唾液の分泌を促す
- 唾液腺を刺激する
- リラックスできる環境を整える
- 鼻で呼吸するように意識する
よく噛むと唾液がたくさん出てくるので、自浄作用によりプラークも溜まりにくくなります。また、顎の真下にある唾液腺を親指でグッと押すと、ジワーッと唾液が出てくるので、実践してみると良いでしょう。
また、リラックスできる環境を整えることも大切。鼻詰まりが原因の場合は耳鼻科に相談してみるのがおすすめです。
原因⑤舌苔がある
舌苔とはお口の清掃不良が原因で、舌に苔状の細菌が付着する状態のことを言います。
舌の表面は凸凹しているので、細菌が付着しやすく、嫌気性菌が口臭を発生させてしまいます。
対策方法としては、舌苔のクリーニングが効果的です。
柔らかい歯ブラシで上から下に優しく舌をなでるように動かして、舌苔を取り除きましょう。
間違っても、硬い歯ブラシでこすることは避けてください。舌を傷つけてしまうので、柔らかい歯ブラシを使うことがポイントです。
舌専用のクリーニングブラシも市販されているので、どのブラシがいいかわからない場合はぜひ検討してみましょう。
※参考:舌苔/兵庫医科大学病院
インプラントで口臭があるかチェックする方法
自分で口臭があるかわからない場合は、セルフチェックの方法を試してみましょう。
おすすめのチェック方法は以下の3つです。
- コップや袋を使う
- 自分の舌を確認する
- 口臭チェッカーで確認する
コップや袋を使う
コップや袋を使う口臭チェックの方法は、以下の通りです。
- コップや袋の中に息を吹き込む
- 吹き込んだらすぐに吹き込み口を閉じる
- 臭いを嗅いでみる
コップや袋のサイズが大きすぎると臭いを感じにくいので、小さいサイズがおすすめです。
自分で嗅いでみて、不快な臭いを感じた場合は、口臭があると考えて良いでしょう。
このときに鼻が詰まっていて臭いがわからない場合は、家族にチェックしてもらってください。
自分の舌を確認する
自分の舌を見て、表面が白くなっている場合は口臭があると考えられます。
舌の表面は通常ピンク色をしていますが、白くなっている場合は口臭の原因である舌苔が付着している可能性があるからです。
舌苔の部分でも解説したように、舌苔とは不快な臭いを発生させる細菌の集まり。そして、舌の色が白色だけでなく、黄色くなっている場合はさらに細菌が多く付着している可能性があります。
実際に鏡でチェックして、しっかり舌の色を確認しましょう。
口臭チェッカーで確認する
コップや袋を使った方法で口臭がわからなかったり、より分かりやすい方法で口臭の有無を知りたいのなら「口臭チェッカー」を使うのもおすすめです。
口臭チェッカーは、口臭を発生させる揮発性硫化物を測定して口臭を判別します。
口臭のチェックは歯科医院で測定できますし、近年では市販の口臭チェッカーも販売されています。
臭いの判別がわかりやすく数値化されることで口臭を判別できるので、自分の感覚だけではわからない場合は、口臭チェッカーの購入を検討してみてください。
インプラントが原因の口臭対策とは?
インプラントの口臭の原因が理解できたら、具体的な対策も把握しておきましょう。
- 歯磨きを徹底する
- メンテナンスを受ける
歯磨きを徹底する
インプラントの口臭で最も確実且つ簡単な対策といえるのが、徹底的な歯磨きです。口臭の原因の多くは口内の清掃不良であり、歯科医院に行かなくても改善するケースがあります。
実際に、インプラントは構造上、天然の歯よりも清掃しにくい形をしています。したがって、インプラント治療を行う前の歯磨きだけでは、口臭の原因であるプラークが除去できていないケースが多いのです。
インプラントを清掃するなら、普通の歯ブラシに加えてタフトブラシを使うのがおすすめ。タフトブラシはブラシのヘッドがコンパクトなので、インプラントの根元などの細かい部分の清掃に向いています。
こちらの記事ではインプラントに使う歯磨き粉について解説していますので、合わせて参考にしてください。
関連記事:インプラント治療後の歯磨き粉は何がいい?選び方やポイントについて解説
フロスや歯間ブラシで歯間部の清掃を行う
インプラントはもちろんのこと、天然歯も歯と歯のあいだにプラークが残りやすいです。
普通の歯ブラシだけでは歯間部の清掃が十分でないこともあるので、極力フロスや歯間ブラシも使いましょう。
また、フロスや歯間ブラシを使う際は、以下2つのポイントを押さえる必要があります。
- インプラントの表面に沿わせるようなイメージで清掃する
- 歯肉溝(歯ぐきのポケット)の中に入れるように通す
上記を意識しながら歯間部を清掃すると、より効果的にプラークを除去できるので、さっそく今日から実践してみてください。
デンタルリンスを使う
歯磨きに加えて、様々な殺菌効果が配合されている、デンタルリンスも使うとより口臭除去が期待できます。
使用するときは、殺菌成分がお口のすみずみまで行き渡ることをイメージしながらゆすぐと効果的です。
ちなみに、デンタルリンスにはアルコールタイプとノンアルコールタイプに分けられます。
- さっぱりした使用感がお好みの場合はアルコールタイプ
- お口の中が敏感な場合はノンアルコールタイプ
使用感やお口の状態に合わせて、検討しましょう。
メンテナンスを受ける
インプラントの口臭対策としては、歯科医院でのメンテナンスも効果的です。
メンテナンスを受けることで、歯磨きだけでは落としきれないプラークと歯石を除去できるでしょう。
また、メンテナンスは口臭予防だけでなく、インプラントの寿命を延ばす上でも重要です。
インプラント周囲炎があったり、インプラントのネジが緩んでしまった場合にも定期的にメンテナンスを受けていればすぐに対応してもらえます。
当院では、半年~1年に1回のメンテナンスをおすすめしており、インプラントの点検や咬み合わせのチェック、お口のクリーニングを行います。インプラント治療を検討している方はぜひお気軽にご相談ください。
インプラントの口臭でよくある質問
ここからはインプラントの口臭でよくある質問をご紹介します。
- インプラント手術の直後は臭いますか
- インプラントの腐敗臭の原因は何ですか
それぞれ回答していきますね。
インプラント手術の直後は臭いますか
インプラントの手術を行ったからといって、必ず口臭が発生するとは限りません。
先ほど解説したとおり、インプラント自体には口臭の原因になる材料が含まれていないからです。
ただし、手術の直後でもインプラント以外の箇所は清掃しなければなりません。もし怠ると、プラークが溜まって口臭を発生させてしまうので、術部以外はしっかり清掃しましょう。
インプラントの腐敗臭の原因は何ですか
腐敗臭の原因はプラークです。
プラークの中の細菌が硫化水素やメチルメルカプタン、ジメチルサルファイドという臭いの強いガスを作ります。
また、インプラント周囲炎の歯ぐきの溝から出る膿や出血も、不快な臭いを発してしまうことを覚えておきましょう。
まとめ|インプラントの口臭はしっかり対策すれば防ぐことができる
インプラントの口臭はインプラント自体に問題があるのではなく、お口の中の環境が荒れていることが1番の原因と言えます。そのため、毎日の丁寧な歯磨きと定期的なメンテナンスが何よりも大切です。
口内環境を整えることで、インプラントはもちろん天然の歯も長持ちさせることができるでしょう。
当院では、インプラントをご検討中の方や口臭が気になるといったご相談も随時受け付けております。ぜひ、お気軽にご相談ください。