抜歯後からインプラント治療までの期間は?2つの埋入法や流れを解説
こんにちは!大阪 梅田の えみは総合歯科、理事長の加藤直之です。
天然歯に近い噛み心地と見た目を実現するインプラント。治療に抜歯を伴う場合、抜歯後からインプラント埋入までの「歯がない期間」がどれくらいあるのか、気になる方は多いのではないでしょうか。抜歯後すぐに治療を行うか、抜歯による傷の治癒を待つかは、その時の歯茎や骨の状態によっても変わってきます。
そこで本記事では、抜歯後からインプラント治療までの期間や流れについて紹介します。土台となるインプラント体を埋入した後に装着する仮歯についても解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
また、当院でのインプラント治療に関しては、下記のページで詳しく紹介しています。具体的な抜歯後の治療内容や費用について気になる方は、合わせてチェックしましょう。
目次
抜歯後にインプラント治療を行うまでの期間はどれくらい?
失った歯を取り戻すための治療法であるインプラント治療ですが、虫歯や歯周病が進行している歯が残っている等のケースでは、埋入前に抜歯を行います。
抜歯からインプラント治療までの期間によっては、日常生活への支障や精神的な負担の増加が予想されるため、どのくらい期間を空けるのか気になりますよね。
抜歯後にインプラント体を埋入するタイミングによって、次の2つの埋入法に分かれます。
- 抜歯後すぐに治療を行う「抜歯即時埋入法」
- 傷の治癒を待つ「抜歯待時埋入法」
それぞれ詳しく見ていきましょう。
抜歯後すぐに治療を行う「抜歯即時埋入法」
文字通り、歯を抜いたと同時にインプラント体を埋入する方法が、抜歯即時埋入法です。1回法とも呼ばれています。
通常、抜歯を伴うインプラント治療では、細菌感染を防ぐために歯茎や骨が完治するまでの2〜3ヶ月は空ける必要があります。しかし、近年の歯科医療の発展に伴い、傷の完治を待つ場合と待たない場合で予後に差が見られないことが分かりました。
抜歯から埋入まで期間が空いてしまうと、患者様の不安や恐怖が長引いてしまいます。そのため、患者様の負担軽減のために抜歯即時埋入法を採用する歯科医院も増えています。
抜歯即時埋入法のメリット・デメリットは次の通りです。
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傷の治癒を待つ「抜歯待時埋入法」
抜歯後の歯茎や骨の傷が回復するまで待ち、インプラントの埋入手術を行う方法が抜歯待時埋入法です。抜歯と手術を2回に分けることから、2回法とも呼ばれています。
抜歯を行った箇所の骨が歯周病や怪我によって減少していた場合は、抜歯後すぐに埋入できません。そのため、インプラント体を埋められるだけの土台ができるまで待つ必要があるのです。待機期間は、抜歯後6ヶ月程度が目安と言われています(※1)。
※1参考:歯科インプラント治療指針
また、細菌感染によって骨とインプラント体が結合しなくなるリスクを減らせるため、抜歯待時埋入法は多くの歯科医院で採用されています。
抜歯待時埋入法のメリット・デメリットは次の通りです。
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インプラント治療で抜歯後に仮歯を着用するまでの流れ
抜歯後にインプラントを埋入した後も、歯がない期間があります。それは、人工歯着用までの期間です。インプラント手術を行った直後は、周りの骨とインプラント体が完全に結合していないため、数ヶ月は人工歯が装着できません。
そのため、人工歯着用までの期間だけ「仮歯」を使用します。歯の状態によっては仮歯を入れないこともありますが、次の章で解説する理由から仮歯を着用するのが望ましいです。
また、仮歯はあらかじめ型取りをして整形しているので、インプラント埋入から仮歯着用までの歯がない期間は短いでしょう。手術した患部の縫合や抜糸を行った後に仮歯を装着します。
インプラント治療の全体の流れや期間が気になる方は、こちらの記事も合わせてチェックしてみてください。
関連記事:インプラントの治療期間は?治療の流れや骨造成に伴う期間の平均も解説
抜歯後のインプラント治療で仮歯を着用する5つの理由
歯がない期間を避けたい方にとって、抜歯後の仮歯は重要な役割を果たすでしょう。また、仮歯を装着するのには、審美性の問題も含めて次のような理由があります。
- 顎の骨を安定させるため
- 歯茎の状態を整えるため
- 歯並びの歪みを防ぐため
- 細菌感染や外部刺激を防ぐため
- 審美性を保つため
それぞれ詳しく見ていきます。
顎の骨を安定させるため
仮歯は、変形した顎の骨を安定させる役割もあります。インプラント体と顎の骨が完全に結合したとしても、通常通り噛んだときの負荷に耐えれるとは限りません。
仮歯を装着し、日常で徐々に負荷を加えていくことで、人工歯を装着したときの咬合圧に耐えれるだけの顎の骨を安定させるのです。
また、入れ歯による圧迫で顎骨が吸収されていたり、歯が抜けたまま放置していたために顎骨が変形していたりする場合は、仮歯の形状を調整していくことがあります。最終的には、安定した顎の骨を生成した上で、人工歯を着用します。
歯茎の状態を整えるため
インプラント体の埋入から人工歯装着までの期間中、仮歯を着用しなければ歯茎の状態は大きく変化します。歯があったからこそ、その歯を囲うように形成されていた歯茎は、歯がなくなると吸収を起こし痩せていくでしょう。
そのままの状態で人工歯を装着してしまうと、アバットメントが露出したり、歯が長く見えたりと不自然な仕上がりになってしまいます。歯がない期間だけ見た目の悪さを我慢すれば良いわけではなく、歯がない期間は人工歯装着後の見た目にも悪影響をもたらすのです。
このような事態を防ぐために、人工歯が入るまでは、仮歯によって歯茎の状態を整えます。
歯並びの歪みを防ぐため
歯がない部分があると、周囲の歯はその隙間を埋めるように移動してきます。仮歯をしない場合、歯の間に隙間が生じるので、人工歯を装着するまでの間に周囲の歯は元の位置から大きくズレることになるでしょう。
周囲の歯が動くことによる影響は次の通りです。
- 歯並びが悪くなる
- 噛み合わせが変化する
- 人工歯が適用しなくなる
歯肉に埋まったインプラント体だけでは、周囲の歯の移動を制御できないので、仮歯を着用しなければなりません。
細菌感染や外部刺激を防ぐため
口内には400種類以上の細菌が生息し、歯垢1gあたりの菌の数は便よりも多い傾向です(※2)。また、常在菌の中には、虫歯や歯周病の原因となる細菌も存在します。
※2参考:口腔衛生と口腔内細菌
そのため、インプラント体を埋入した患部を野ざらしにしておくと、細菌感染を引き起こしかねません。また、インプラント体の金属が他の組織を傷つけたり、外部刺激によって患部が傷ついたりする恐れもあります。
そのような事態を防ぐために仮歯を着用することで、細菌や外部刺激から口内を守ることができるのです。
審美性を保つため
最後に、仮歯をつけないということは歯がない状態で過ごすということですので、見た目が悪くなります。特に前歯の治療を行っている場合は、審美性が大きく損なわれます。
また、歯がないことによって発音が上手くできないケースがあり、会話にも支障をきたしかねません。仮歯を着用することで、一貫して自然な見た目を維持することが可能です。
気になる抜歯後のインプラント治療にかかる費用
歯周病に感染したり、怪我によって破損、抜歯した後から始まるインプラントの治療にかかる費用は、歯科医院によって異なります。その理由は、治療内容やインプラントの種類が異なるためです。
また、インプラント治療は保険適用外なので、他の治療法に比べて高額になるのが特徴です。参考までに、当院でのインプラント治療にかかる費用は、計594,000円となっております。
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万が一、インプラント治療後にインプラントが破損、もしくは脱落した場合にも2年間の保証期間が付いています。さらに、インプラント1本につき33,000円を追加でお支払いただくことで、保証期間を10年に延長することも可能です。
抜歯後にインプラント以外に実施できる2つの治療法
抜歯後の歯を取り戻す治療法は、インプラント治療しか選択肢がないわけではありません。
高額費用や心身的な負担を考慮して、他の選択肢も検討したい方は多いのではないでしょうか。抜歯後にインプラント以外に実施できる主な治療法は次の2つです。
- お手入れ簡単「入れ歯」
- 噛み合わせが良い「ブリッジ」
それぞれ詳しく解説します。
お手入れ簡単「入れ歯」
入れ歯とは、歯茎や顎の粘膜に触れる土台を持つ義歯のことです。入れ歯には、部分入れ歯と総入れ歯があります。
部分入れ歯は、残っている自分の歯を補う目的で使用し、金具を使って固定します。総入れ歯は、全ての歯がなくなってしまった場合にする入れ歯です。もちろん、いずれも取り外しできます。
インプラント治療と比較したときの入れ歯のメリットは次の通りです。
- 保険適用なので安価
- 修理・調整がしやすい
- お手入れが簡単
また、入れ歯には次のようなデメリットも存在します。
- 食べ物が詰まりやすくなる
- 不安定なので、不快感がある
- 噛み合わせが悪い
費用を抑えたい方やインプラントに必要な骨量が足りない方、歯の数が極端に少ないご高齢の方などに、入れ歯はおすすめの治療法と言えるでしょう。
噛み合わせが良い「ブリッジ」
ブリッジとは、失った歯の両隣の歯を支えに橋をかけるようにして、義歯を取り付ける治療法です。健康な歯を削らなければならないというデメリットはあるものの、自然歯のような噛み合わせを実現できます。
インプラント治療と比較したときのブリッジのメリットは次の通りです。
- 保険適用なので安価
- 治療後の違和感がほとんどない
- 固定されるので、安定感が高い
ブリッジ治療について詳しく気になる方は、こちらの記事も合わせてチェックしてみましょう。記事の中では、インプラント・ブリッジ・入れ歯の違いを全5項目で比較しているので、歯を失った治療法を検討する上での参考にしてください。
関連記事:インプラントかブリッジか?費用・寿命などの違いやメリット・デメリットを徹底比較
抜歯後のインプラントに関するQ&A
最後に、抜歯後のインプラントに関するよくある質問を解説します。
- インプラント治療で抜歯後からの食事はどのように摂るの?
- 抜歯後5年が経過してもインプラント治療は受けられる?
- 抜歯即時インプラントは全ての人に適応する?
- 抜歯後の治療法はインプラントとブリッジのどちらが良い?
それぞれ詳しく見ていきましょう。
インプラント治療で抜歯後からの食事はどのように摂るの?
抜歯を行った後は、患部に関わる細菌感染や外部刺激による炎症のリスクがあるため、食事には十分気をつけなければなりません。インプラント治療において抜歯を行った場合、次のような食事は控えましょう。
- 熱い又は冷たいもの
- 酸っぱいもの
- 辛いもの
- 粘着性のあるもの
- アルコール類
何れも傷の治りを遅くするので、治療期間が延びてしまう恐れがあります。反対に抜歯後の食事として推奨されているのは、豆腐やうどんなどの柔らかい飲食物です。
ただし、栄養が偏り過ぎないように配慮しつつ、患部の状態を見ながら徐々に通常の食事へと戻していきましょう。
抜歯後5年が経過してもインプラント治療は受けられる?
歯がない状態で放置していると、隙間を埋めるように周囲の歯が移動するため、インプラントを埋入できるスペースを確保できない可能性があります。また、顎の骨が吸収され、十分な骨量がないと治療はさらに難しくなるでしょう。
そのため、抜歯後5年経過してもインプラント治療が可能かどうかは、実際に歯科医院を受診し口腔内を検査する必要があります。
抜歯即時インプラントは全ての人に適応する?
治療費が抑えられ、治療期間が短く済むというメリットがある抜歯即時インプラントですが、どの方でも適応できるとは限りません。治療を受けるためには、主に以下のような条件を満たしている必要があります。
- インプラントを埋入できる十分な骨量がある
- 歯周病を患っていない
- 患部の周辺に虫歯がない
- 初期固定が得られる
また、感染リスクの高さから安全面を考慮して、歯科医院が抜歯即時インプラントを採用していない場合も少なくありません。歯科医院が抜歯即時インプラントを導入しているか、あなたの口内の状態が条件を満たしているかについては、歯科医師と相談しましょう。
抜歯後の治療法はインプラントとブリッジのどちらが良い?
インプラント治療とブリッジ治療を比較する上での大きな違いの一つとして、ブリッジ治療は隣接する歯を削るというポイントがあります。隣接する歯が健康であった場合、ブリッジ治療は歯にとってマイナスとなるでしょう。
このように、残存している歯の状態やリスク、平均寿命、費用、治療期間などの要素によって、どちらが良いかは患者様次第で変わります。
まとめ|抜歯後からインプラントまでの期間は医師に相談しよう
抜歯後からインプラント治療までの期間は、歯茎や骨の状態によって変わります。抜歯即時埋入法と抜歯待時埋入法のどちらを採用するかは、担当医師としっかり相談しましょう。
また、歯がない期間はインプラント埋入後から人工歯を入れるまでの間にも存在します。一般的には、手術後に間もなく仮歯を入れるため、見た目への影響は心配いりません。
当院では、患者様の意思に寄り添ったインプラント治療を行っております。ご興味のある方は、ぜひ以下のページをご覧ください。