インプラントは糖尿病でもできる?他の全身疾患との関係についても解説

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こんにちは!大阪 梅田の えみは総合歯科、理事長 加藤直之です。

インプラントは、審美性を保ちながら失った歯を取り戻せる人気の治療法ですが、糖尿病などの全身疾患が治療に大きな影響を及ぼすことがあります。

いざ治療を検討しても、「抜歯を機にインプラントを勧められたけど、糖尿病があっても大丈夫なのかを知りたい」「糖尿病以外に問題となる全身疾患が知りたい」と悩む方も多いでしょう。

そこで今回は、インプラントと糖尿病、その他全身疾患との関連性についても解説します。

  • そもそも糖尿病とは何か
  • hba1cや血糖値がどれぐらいになればインプラント治療ができるのか
  • 他の全身疾患の場合インプラント治療は受けれるのか

上記の内容が理解できるので、インプラント治療を検討しつつ、糖尿病を持っている方は、ぜひ最後までご覧ください。

また、当院でのインプラント治療に関しては、下記のページで詳細に紹介しています。具体的な治療内容や費用について気になる方は、合わせてチェックしましょう。

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インプラントは糖尿病の人でもできる?

インプラントは糖尿病の病態や症状によって受けられるかどうかが決まります。あまりにも重度の糖尿病を患っている場合は、治療を避けたほうが良いでしょう。

ただ、病状が深刻だからといってインプラント治療を諦める必要はありません。状況によっては、糖尿病を発症していてもインプラントを受けられます。

日頃から口腔内(お口の中)の清掃を入念に行い、普段の食生活を見直す努力を行えば、糖尿病の緩和が可能です。

インプラント治療を検討していて糖尿病の病態が気になる方は、毎日の食生活を見直してみましょう。

そもそも糖尿病とは?

糖尿病とは、ブドウ糖を分解する作用を持つ膵臓が、正常に機能しないことで発症する病気です。血糖値を下げる役割を持つインスリンが十分に働かず、血液中にブドウ糖が増えすぎることが原因とされています。

有効的に使われないブドウ糖が尿に混ざり、そのまま尿とともに排泄されることから「糖尿病」と名付けられました。

糖尿病には下記のように3種類が存在します。

  • 1型糖尿病
  • 2型糖尿病
  • 妊娠糖尿病

1つずつ解説していきますので、ぜひ参考にしてください。

1型糖尿病

1型糖尿病は、遺伝が原因で起こる先天性の糖尿病です。免疫細胞であるリンパ球が、インスリンを生成する膵臓の部位、膵臓ランゲルハンス島β細胞を誤って破壊することにより発症するとされています。

膵臓の細胞が破壊されることにより、インスリンの生産が困難となる糖尿病です。1型糖尿病は、おもに子どもや青年など若年者に見られる傾向にあり、治療ではインスリンを注射で補う方法がとられます。

免疫力の低下が懸念されるため、インプラント治療を受けられる可能性は低くなってしまうでしょう。

2型糖尿病

2型糖尿病は、遺伝的要素のほかに運動不足や食生活などの生活習慣に問題がある場合に生じる病気です。成人したのちに発症することが多く、また肥満体系の方がかかりやすい傾向にあります。

おもにインスリンが正常に機能せず血糖値が下がらなかったり、インスリンの分泌が減ってしまったりという症状が特徴です。

治療法として、はじめに運動療法や食事療法による対応を行い経過を観察します。2つの方法で改善が見られない場合は、インスリンの投与を行うことが必要です。

妊娠糖尿病

妊娠糖尿病とは、妊娠中に発症した母体に生じる、軽い糖代謝異常を指します。本格的な糖尿病ではないにしても、妊娠すると血糖値の上昇が見られやすくなるなどの症状が表れることで名付けられました。

糖代謝異常とは、妊娠時に胎盤から分泌されるホルモンの影響で、インスリンの量または働きが不十分となる状態をいいます。

インスリンがうまく機能しないことで、血糖の調節が正常に行われなくなり、糖の代謝に異常が起こるのです。血糖値が一定の基準より高くなった場合に、妊娠糖尿病と診断されます。

糖尿病がお口にもたらす影響とは?

糖尿病の発症は、口腔内の環境に対して大きな繋がりを示します。糖尿病の病態が重症化すると、それに比例するように口腔内の状態も悪化が進むので、お口のケアにも力を入れましょう。

糖尿病によって与えられるお口への影響は下記の通り。

  • 唾液の分泌が減る
  • 歯周病が悪化する

1つずつ解説していきますので、とくに糖尿病を持っている方は、ぜひ口腔内をケアする際の参考にしてください。

唾液の分泌が減る

糖尿病は、進行すると免疫機能が低下する影響で、唾液の分泌量が減少する可能性が生じます。

唾液には自浄作用と抗菌作用という機能が含まれており、飲食物による汚れを洗い流したり、口腔内に潜む雑菌の増殖を阻止したりします。

唾液の分泌が減ると、お口の中が乾くだけでなく、2つの作用が働かなくなる原因になりかねません。菌にとって、居心地の良い環境ができあがってしまいます。汚れが残った状態が続き、さらなる菌の増殖につながるでしょう。

また、糖尿病を発症すると多尿などの症状も見られます。脱水症状の原因となり、口腔内の乾燥を誘発させる恐れがあるため注意が必要です。

歯周病が悪化する

糖尿病を患っている方は、歯周病の悪化が多く見られます。糖尿病の発症により免疫力が低下し、歯ぐきの炎症が起こりやすくなることが原因です。

歯周病と糖尿病は大きな繋がりがあり、それぞれの症状は比例します。つまり、どちらかが悪化すると、もう一方も悪化するのです。

とくに糖尿病を持っている方は、インプラントの周囲の歯周組織が炎症を起こすインプラント周囲炎の発症リスクが伴います。

また前項で述べたように、唾液の分泌が減るため、自浄作用と抗菌作用が働かなくなってしまいます。口腔内環境の悪化と、歯周病の原因菌が増殖する可能性が増えるため、より歯周病のリスクが高まるでしょう。

糖尿病を持っている方は、十分な専門知識を持った糖尿病治療の担当医に相談することをおすすめします。

インプラント周囲炎の予防法について詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。

関連記事:インプラント周囲炎は予防できる?原因や対策について解説

糖尿病の人がインプラント治療をする場合の注意点は?

インプラントを検討している糖尿病の患者様には、確認すべき注意点がいくつか存在します。治療時に起こりうるリスクを回避するためにも、糖尿病の病態と処置が受けられる状態なのかを把握することは大切です。

インプラント治療を受ける糖尿病の患者様が注意すべき点は以下の通り。

  • 空腹時の血糖値が180mg/dl以下であることを確認する
  • 傷口の治りが遅く細菌感染しやすいリスクを理解する
  • インプラントの手術中に発作が起こらないか注意する
  • 糖尿病の担当医と連携を取れるか歯科に確認する

糖尿病を持っている場合は、該当する項目はないかを今のうちに確認しておきましょう。

空腹時の血糖値が180mg/dl以下であることを確認する

糖尿病を持った方がインプラント治療を受けられる基準として、空腹時の血糖値があげられます。空腹時血糖の数値が180mg/dl未満であれば治療は可能ですが、超えている場合は受けることができません。

また、空腹時の血糖値のほかに、hba1c値も基準として挙げられます。hba1cは、数値が6.9以下であれば問題はないとされているので、インプラント治療を受ける際に確認しておきましょう。

糖尿病を持っている場合は、どれだけ血糖コントロールができているかが重要です。飲酒や喫煙をできるだけ控え、日頃から食生活を見直すよう心がけておくことが、糖尿病改善のポイントとなります。

傷口の治りが遅く細菌感染しやすいリスクを理解する

インプラント治療を受ける方は、手術後の細菌による感染にも注意しましょう。糖尿病になると、ケガや手術によりできた傷の治りが遅くなってしまう創傷治癒遅延が起こる可能性があります。

人体にできた傷を正常に治すためには、細胞に十分な酸素と栄養分が行きわたっていることが大切です。

しかし、糖尿病によってインスリンの分泌不足または機能不全が生じると、細胞の傷を治癒する機能が正常に働きません。

創傷治癒遅延が生じると、インプラントの処置後にできた口腔内の傷が治りにくくなってしまいます。傷口が長期間残ると、細菌の侵入を促してしまい、感染を引き起こすリスクが高くなるのです。

糖尿病を持っている方は、感染リスクも視野に入れて、あらかじめ医師に相談しておきましょう。

インプラントの手術中に発作が起こらないか注意する

インプラントの処置中、高血糖発作または低血糖発作を起こす可能性にも注意が必要です。インプラント治療中の眠気やダルさ、動悸、冷汗、けいれんなどの症状は、低血糖発作のあらわれかもしれません。

発作の症状を放置したまま治療を続けると、昏睡状態に陥る危険性もあります。低血糖による昏睡は、命の危険に関わるほど危険性が高いので、十分気をつけましょう。

一方で高血糖発作は、血糖コントロールの状態が不良の際に手術を受けたり、過度なストレスが加わったりすることで発症します。場合によっては昏睡状態を引き起こしますが、少しずつ発症するので低血糖発作時の昏睡状態と比べ、それほど緊急性はありません。

インプラントを検討している方は、事前にモニタリングやブドウ糖の摂取を行っているか、歯科医院に確認しておきましょう。

糖尿病の担当医と連携を取れるか歯科に確認する

安全なインプラント治療を行うためには、糖尿病のかかりつけ医と担当の歯科医師が綿密に連携できるかを確認することが必要です。

かかりつけ医と歯科医師が連携することで、空腹時の血糖値やhba1cの数値が把握され、インプラント治療の承諾が得られます。

インプラント治療は糖尿病を持っている方が受ける場合、事前の正しい血糖コントロールが必要不可欠です。主治医と相談し、きちんとコントロールすることで、糖尿病の改善に近づきます。

血糖値を下げる薬を服用していたり、インスリン注射を打ったりしている場合は、必ず医師にインプラントの治療について相談しましょう。

インプラントと糖尿病に関連するよくある質問

インプラントの治療と糖尿病との関係について、さまざまな疑問を持つ方は多くいるでしょう。インプラント以外にも、抜歯などの大がかりな治療について気になっている方もいるかもしれません。

今回は、そんな不安を持つ方からの質問内容をまとめました。糖尿病以外の全身疾患との関係についても解説しているので、参考にしてみてください。

インプラント治療に関するよくある質問事項は以下の通り。

  • 糖尿病の人は抜歯できないと聞きましたが、本当ですか
  • インプラントで糖尿病のほかに気を付ける全身疾患はありますか

1つずつ答えていきますので、ぜひ確認してみましょう。

糖尿病の人は抜歯できないと聞きましたが、本当ですか

糖尿病の方は抜歯を受けられないという話はよく耳にするでしょう。しかし、糖尿病があるからといって、すぐに諦める必要はありません。

糖尿病の方が抜歯を受けられるかどうかは、病態や症状によって決まります。糖尿病を表すhba1cの数値が8.0以下に落ち着けば抜歯の治療が可能です。

糖尿病の症状は、日頃の血糖コントロールがどれだけできているか、また口腔内のケアがどれだけできているかで大きく変わります。

現在、重度の糖尿病を発症している方は、日常的な血糖コントロールを行い症状の改善に努めましょう。

インプラントで糖尿病のほかに気を付ける全身疾患はありますか

インプラントの治療は全身疾患にも大きく関係しています。とくに高血圧の方や心疾患、脳梗塞を発症している患者様は、かかりつけ医との連携は外せません。

手術中の血圧は、治療に対する不安や緊張感が原因で急激に上昇する可能性があるので、高血圧症の方はとくに注意が必要です。

また高血圧症は、最高血圧が140mmHg以上、最低血圧が90mmHg以上と定義されています。治療中に気分不快、動悸などの症状を起こす原因にもなるので、高い数値が出た場合は無理せず治療を延期しましょう。

また心疾患や脳梗塞などの全身疾患を持っている方は、内服している薬の影響で手術中の出血が止まりにくくなる可能性があります。

インプラントを検討していて全身疾患を発症している方は、必ず担当の医師に相談し、治療ができるかどうかを確認してみてください。

医師と歯科医師が連携して疾患の状態を把握することが、安全なインプラント治療を行うための良い対策になるでしょう。

インプラント治療自体の不安を軽減させたい方は、下記の記事も参考にしてください。

関連記事:インプラントが怖いと言われる8つの理由とは?恐怖を軽減する方法も解説

まとめ|インプラントと糖尿病の関係を理解して治療を検討しよう

インプラントの治療を受ける方で糖尿病を持っている場合は、病状の改善に努めましょう。

糖尿病を持った方が安心してインプラント治療を受けるには、血糖のコントロールや口腔内のケアが大切です。

とくに歯周病の改善は、インプラント対策にとっても重要ですが、糖尿病の改善のためにもつながります。歯周治療を受けて歯周病が改善されると、糖尿病も同時に改善される傾向があるため、お口のケアも必要な対策の1つです。

血糖値やhba1cの数値が高くても諦めず、歯周状態は常に良好な状態にして、十分な血糖コントロールを行いましょう。

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この記事を書いた人

加藤 直之

大阪の梅田にあるえみは総合歯科、加藤です。 当院は、歯医者さんの「痛い・怖い・行きたくない」というイメージをなくし、患者様が悩みを相談できてリラックスした状態で治療ができるそんな医院を目指し運営しております。

資格・所属

NPO法人日本歯科予防協会理事/ISOI インプラント認定医/ドライマウス認定医/日本ドライマウス学会会員/日本抗加齢歯学会会員/医療情報技師認定証/ITIインプラント認定/AQBインプラント認定/ザイブインプラント認定/POIインプラント認定/インプラント学会 所属ブローネマルクインプラント認定/SARGONインプラント認定/審美歯科学会認証