インプラント周囲炎は予防できる?原因や対策法について解説

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こんにちは!大阪 梅田の えみは総合歯科、理事長の加藤直之です。

「インプラント周囲炎ってどんな病気?」

「インプラント周囲炎はどうしたら予防できるんだろう?」

インプラント周囲炎について上記のような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

インプラント周囲炎はインプラント周囲の組織が歯周病感染を起こした状態で、インプラントの寿命を短くしてしまう原因の一つです。

インプラント周囲炎の原因や予防法を知り、適切な行動を取ることで、インプラント自体の寿命を延ばすことが可能です。

本記事では、具体的な治療内容についても解説しています。もし詳細が気になる方は、ぜひ当院の診療科目ページもご覧になってください。

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インプラント周囲炎とは?

インプラント周囲炎とは、インプラント周囲の組織が歯周病感染を起こした状態です。

インプラントは天然歯と同じように歯周病感染を起こしますが、天然歯におこる歯周病と比べると歯周病に感染しやすく、重症化しやすい傾向があります。

インプラント周囲炎について以下の2つを紹介します。

  • インプラント周囲粘膜炎
  • インプラント周囲炎

天然歯は「歯根膜」という歯と歯槽骨の間に膜が存在しており、歯根膜が細菌の侵入を防いでいます。

しかし、インプラントには歯根膜がありません。

また、歯根膜には歯肉や顎の骨に栄養や血液を供給する役割もあるため、歯根膜を持たないインプラントは組織周辺の免疫力が低く、天然歯より「インプラント周囲炎」を引き起こしやすい状態です。

インプラントの寿命については以下の記事でも解説しています。治療前により知識を深めておきましょう。

関連記事:インプラントの寿命はどれくらい?寿命を延ばす対策や再手術の費用も解説

正常なインプラントの状態

インプラントにおける「正常な状態」とは、以下のとおりです。正常な状態を知ることで、異常の早期発見につながるため、しっかり押さえておきましょう。

  • 歯肉はうすいピンク色をしている
  • インプラント体が顎の骨としっかり結合していてグラつかない
  • 腫れや痛みがない

インプラントは、トラブルがない限り腫れたりグラつくことがほとんどありません。

しかし、仮に無症状でも見えない部分に炎症が発生しているケースもあるため、定期的にメンテナンスをおこない、毎日のケアを丁寧に実施することが大切です。

インプラント周囲粘膜炎

インプラント粘膜炎とは、インプラント周囲炎の初期段階であり、インプラント周囲の粘膜に炎症が起こる現象を指します。

天然歯でいうと歯肉炎のような状態であり、以下のような症状があらわれます。

  • 歯茎の腫れや赤み
  • 歯磨きをした時に出血する

ただし、インプラント周囲粘膜炎は症状に乏しく自覚症状がほとんどありません

もし自覚しても、すでにインプラント周囲炎が進行しているケースが多いため、少しでも違和感を感じた場合は歯科医師へ早めに相談しましょう。

インプラント周囲炎

インプラント周囲炎は、インプラント周囲粘膜炎が進行し歯槽骨まで炎症が及んだ状態です。

主な症状は以下のとおりとなります。

  • 歯肉の腫れや出血
  • 排膿(膿がでる)
  • インプラントがグラつく

インプラント周囲炎により、歯肉や歯槽骨の破壊が進むと、インプラントを支えることができなくなり、脱落などリスクが高まります。

進行の程度は軽度〜高度に分けられており、軽度の段階で治療を開始することができれば、重症化が防げる可能性は十分にあるでしょう。

普段から口腔ケアを徹底し、こまめにインプラントの状態を観察するのがおすすめです。

インプラント周囲炎の原因

インプラント周囲炎の主な原因はプラークで、口腔内に歯周病菌が増殖することによって引き起こされます

他にも、貧血や糖尿病といった全身疾患の既往がある方は、炎症を悪化させる要因になります。

インプラント周囲炎の原因は以下の3点です。

  • プラーク
  • タバコ
  • 貧血や糖尿病

生活習慣などもインプラント周囲炎の発症に関わるため、口腔ケアだけでなく既往の治療をし、生活習慣を見直すことも重要です。

以下の記事でも、インプラントと既往症の関係性について解説しています。

関連記事:インプラントのリスクとは?手術中・治療後に起きうる10個のリスクを解説

プラーク

雑菌の塊を意味するプラークは付着した状態が長く続くほど歯肉に炎症が起こりやすくなります。数ある中でも、最もインプラント周囲炎を引き起こしやすい原因といえるでしょう。

参考までに、歯肉に炎症をおこした状態を「インプラント周囲炎」と呼びますが、自然歯の場合は「歯周病」となります。

プラークは、時間が経つと硬くなり「歯石」として天然歯やインプラント表面に付着します。そして、時間が経つとブラッシングだけでは取り除くことができません。

また、プラークは日々のブラッシングだけで100%除去することが難しいため、定期的に歯科医院に通い口腔内を清掃してもらうことが大切です。

タバコ

タバコに含まれるニコチンや一酸化炭素には血管収縮作用などがあり、炎症を悪化させる要因になります。

歯肉に十分な酸素や栄養が行き届かなくなり、インプラント周囲炎を引き起こしやすくなるため、もしインプラント周囲炎のリスクを下げたいのなら、いち早く禁煙した方が良いでしょう。

貧血や糖尿病

糖尿病などで血糖値が高い状態では細菌に対する抵抗力が弱くなるとされています。

インプラント周囲炎はもちろん、通常の傷や病気も治癒が遅れる可能性があるため、事前に歯科医師に相談しなければなりません。

また、普段から貧血気味な方も注意が必要です。栄養や酸素を運ぶ赤血球や免疫力に関わる白血球を十分に供給できないため、免疫力が低下して感染しやすい状態となってしまいます。

以上のことから、インプラント周囲炎を予防するには、糖尿病と貧血の有無も事前に確認し、適切な治療を受けるか、歯科医師に対応を考えてもらうのがおすすめです。

インプラント周囲炎の治療内容

糖尿病などで血糖値が高い状態では細菌に対する抵抗力が弱くなるとされています。

インプラント周囲炎はもちろん、通常の傷や病気も治癒が遅れる可能性があるため、事前に歯科医師に相談しなければなりません。

また、普段から貧血気味な方も注意が必要です。栄養や酸素を運ぶ赤血球や免疫力に関わる白血球を十分に供給できないため、免疫力が低下して感染しやすい状態となってしまいます。

以上のことから、インプラント周囲炎を予防するには、糖尿病と貧血の有無も事前に確認し、適切な治療を受けるか、歯科医師に対応を考えてもらうのがおすすめです。

インプラント周囲炎の治療内容

インプラント周囲炎は、症状や進行具合によって治療内容が異なります。

ここからは、インプラント周囲炎の症状について以下2つの治療法を見ていきましょう。

  • インプラント周囲粘膜炎の場合
  • インプラント周囲炎の場合

インプラント周囲炎は簡単な処置で済む場合もありますが、症状や進行具合次第では、歯肉の切開を伴う場合があります。

インプラント周囲粘粘膜炎の場合

インプラント周囲粘膜炎になった場合、基本的に自然治癒することはないため歯科医師による治療が必要になります。

インプラント周囲粘膜炎は「インプラント周囲炎」の初期段階であり、炎症範囲も歯肉に止まっているため、比較的簡単な処置で済む場合が多い

インプラント周囲粘膜炎の主な治療方法は、以下の2つとなります。

  • 歯石やプラークの除去
  • ブラッシング指導

インプラント周囲粘膜炎の基本的な治療は、炎症の原因である歯石やプラーク除去ですが、状態によっては薬剤を使った消毒や洗浄、局所的に抗菌薬を使用する場合もあります。

また、口腔内を衛生的に保てるよう、歯科医院でブラッシング指導を実施してもらうことで、より一層インプラント周囲粘膜炎の予防につながるでしょう。

インプラント周囲炎の場合

インプラント周囲炎の治療も「歯肉の腫脹や骨吸収」「排膿の有無」といった進行度合いによって治療内容が変わります

レーザー治療や歯肉の切開が必要 になることもあるため、治療内容によっては心身に苦痛を伴うでしょう。

具体的な治療内容は、口腔内の状態や既往歴なども考慮し、歯科医師がその都度提案します。そのため、個人によってアプローチが変わるため、詳しくは歯科医師に相談してみてください。

インプラント周囲炎の予防と対策

インプラント周囲炎の予防は比較的シンプルとなっており、特に難しいことはありません。

  • メンテナンスに通う
  • 徹底したセルフケアを行う

日々のケアを丁寧におこない、メンテナンスのために定期的に通院することで、インプラント周囲炎のリスクを抑えられます。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

メンテナンスに通う

インプラントも天然歯と同様に定期的なメンテナンスが必要です。

インプラントは、天然歯のように虫歯になることはありませんが、歯肉に埋まっている以上、歯周炎を始めとする様々なトラブルが生じる可能性があります。

また、日々のブラッシングだけでは落としきれない汚れもあるため、歯科医師にメンテナンスしてもらうと良いでしょう。

もちろん、特に問題を感じなくてもメンテナンスは受けられます。むしろ、インプラントの健全な状態チェックと予防が可能となるので、積極的に通ってみてください。

徹底したセルフケアを行う

インプラント周囲炎を予防するには、丁寧なブラッシングとフロスや歯間ブラシを用いて、歯間部の清掃をおこなうことも大切です。

インプラント周囲炎の主な原因はプラークですが、プラークは歯ブラシだけでは十分に磨ききることができません。

歯間部にもプラークが付着するため、歯ブラシだけでは行き届かない部分は、フロスや歯間ブラシを用いて清掃をおこなうことで口腔内をより衛生的にすることができます。

インプラント周囲炎の予防に関する質問

インプラント周囲炎の予防に関する質問について特に多いものを以下2つにまとめました。

  • インプラント周囲炎の進行速度はどれくらいですか
  • インプラント周囲炎の治療にかかる費用はどれくらいですか

インプラント周囲炎の進行速度や治療費についても把握し、予防意識を高めておきましょう。

インプラント周囲炎の進行速度はどれくらいですか

インプラント周囲炎は、天然歯の歯周病と比べて約10〜20倍の速度で悪化するといわれています。

進行速度が早い理由として、天然歯に存在する「歯根膜」がインプラントに存在しないことが大きな要因です。

歯根膜は「細菌の侵入を防ぐ」「栄養や酸素を歯肉や歯槽骨に運ぶ」といった役割を担っていますが、インプラントには歯根膜がありません。

そのため、細菌への抵抗力がほとんどなく、炎症や骨吸収の速度が早くなってしまうのです。

インプラント周囲炎をおこさないためには、日々のセルフケアを丁寧におこない、プラークを除去することが重要となります。

インプラント周囲炎の治療にかかる費用はどれくらいですか?

治療費は、インプラント周囲炎の状態により変動します。

参考までに、当院のインプラントのメンテナンスは5,000〜10,000円ほどです。

ただし、レーザー治療などの料金設定も歯科医院によって異なるため、費用の疑問については一度、かかりつけの歯科医師に相談をすると良いでしょう。

まとめ|インプラント周囲炎を予防して長持ちさせよう

本記事で解説したとおり、インプラントで注意するべき口腔トラブルには「インプラント周囲粘膜炎」と「インプラント周囲炎」の2種類があります。

インプラント周囲粘膜炎は、インプラントの周囲にある粘膜が炎症をおこした状態であり、粘膜炎が進行することで、インプラント周囲炎になります。

インプラント周囲炎進行すると、炎症が歯肉や歯槽骨まで到達してしまい、インプラントの動揺や脱落の原因となるため、普段から以下を実施して予防しましょう。

  • メンテナンスに通う
  • 徹底したセルフケアを行う

インプラント周囲粘膜炎や周囲炎をおこさないためには、ブラッシングだけでなくフロスや歯間ブラシを用いた徹底したセルフケアが重要です。

しかし、セルフケアだけでは落としきれない汚れもあるため、定期的にメンテナンスをする必要があります。

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この記事を書いた人

加藤 直之

大阪の梅田にあるえみは総合歯科、加藤です。 当院は、歯医者さんの「痛い・怖い・行きたくない」というイメージをなくし、患者様が悩みを相談できてリラックスした状態で治療ができるそんな医院を目指し運営しております。

資格・所属

NPO法人日本歯科予防協会理事/ISOI インプラント認定医/ドライマウス認定医/日本ドライマウス学会会員/日本抗加齢歯学会会員/医療情報技師認定証/ITIインプラント認定/AQBインプラント認定/ザイブインプラント認定/POIインプラント認定/インプラント学会 所属ブローネマルクインプラント認定/SARGONインプラント認定/審美歯科学会認証