虫歯が口臭を引き起こす3つの原因とは?治療法や自宅でできる対策も解説

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こんにちは!大阪 梅田のえみは総合歯科、理事長の加藤直之です。

虫歯といえば、歯がしみたり、溶けたりするイメージが強い方も多いと思いますが、進行すると口臭を発する病気でもあります。長年虫歯を放置していると、気付かないうちに周りの人に口臭を感じさせているかもしれません。虫歯による口臭を治すためには、自宅のセルフケアと歯科医院での治療の両面からのアプローチが必要です。

そこで本記事では、虫歯による口臭について解説します。口臭を発する原因や臭いを消すための方法、根本的な治療法も掲載しているので、虫歯による口臭を治したいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

また、当院での口臭治療は、下記のページで詳しく紹介しています。口臭検査の内容や費用が気になる方は、合わせてチェックしましょう。

虫歯の口臭はどんな匂い?

口臭の原因の90%以上が、虫歯や歯周病などの口内トラブルにあると言われています。虫歯は、原因菌が産生する酸によって、歯のエナメル質・象牙質・歯髄が溶けていく病気です。虫歯の進行に伴って口臭は酷くなり、以下のような臭いを発するようになります。

  • 生ごみのにおい
  • 腐った卵のにおい
  • 硫黄のようなにおい

口臭は、現代人の口のお悩みのトップ3にランクインする程、重大な問題です(※1)。しかし、口臭の原因が虫歯などの口内トラブルにあると認知していても、実際に歯科医院に行く人の割合は1割を満たしません。

※1参考:10代〜70代の男女1万人に聞く、お口の臭い調査

歯科医院を受診して口内トラブルの特定・治療を行うことで、口臭を気にすることなく、堂々と人前で会話できるようになるでしょう。

虫歯が口臭を引き起こす3つの原因

歯はエナメル質、象牙質、歯髄の3つの層から構成されており、どの層まで虫歯が進行しているかによってC0~C4の5段階で表されます。虫歯が象牙質に達したC2以上になると、以下のような原因によって、口臭を発するようになるのです。

  • 歯の穴に食べかすが詰まる
  • 歯の神経が腐敗する
  • 歯根の先に膿が溜まっている

それぞれの原因について、詳しく見ていきましょう。

歯の穴に食べかすが詰まる

ミュータンス菌と呼ばれる虫歯の原因菌が歯に穴を開け、そこに詰まった食べかすが腐敗していくことで、臭いを発します。ミュータンス菌は、口内にある糖分を餌にして酸を産生し、歯を溶かしていきます。

歯の表面にあるエナメル質は酸に弱く、カルシウムやリンが溶けることで、歯に穴が空いてしまうのです。肉眼で確認できる程の穴がある場合、象牙質にまで虫歯が達している可能性が高く、穴に詰まった食べかすを歯ブラシで除去するのは難しくなります。

歯の神経が腐敗する

象牙質の更に奥にある歯髄にまで進行しているC3を超えると、歯髄内の神経や血管が腐敗し、強い臭いを発するようになります。歯髄炎とも呼ばれるこの段階では、以下のような症状を自覚するようになるのが特徴です。

  • 冷たい物や熱い物がしみる
  • 歯がズキズキと痛む
  • 顎の痛みや頭痛などが併発する

神経が完全に死んでしまうと、痛みは一時的に引いたように感じますが、口臭は各段に酷くなっています。歯が完全に崩壊する恐れがあるので、早急に歯科医院を受診してください。

歯根の先に膿が溜まっている

虫歯によって歯が完全に溶けて、歯根だけの状態になったC4では、歯根の先に細菌が感染していきます。次第に歯根の先には膿が溜まるようになり、その膿が口臭を悪化させます。膿に含まれている口臭の主な原因物質は、メチルメルカプタンです。

メチルメルカプタンは、硫黄を含んだ揮発性の物質で、腐った玉ねぎのようなにおいを発します。この段階は、根尖性歯周炎とも呼ばれ、歯周組織が炎症を起こしているため、神経がなかったとしても激しい痛みを生じるのが特徴です。

虫歯以外にも考えられる口臭の5つの原因

口臭の原因は、虫歯だけではありません。虫歯が存在しないにも関わらず、口臭を指摘される場合は、以下の何れかに起因している可能性が高いです。

  • 生理的口臭|唾液の分泌量が減少した
  • 生理的口臭|飲食物や喫煙が影響している
  • 病的口臭|歯周病を患っている
  • 病的口臭|舌苔が付着している
  • 病的口臭|全身疾患を患っている

それぞれの口臭の原因について、詳しく見ていきましょう。

生理的口臭|唾液の分泌量が減少した

口臭は、唾液の分泌量に直結しています。唾液には、口の中を洗浄する作用があるため、唾液が減って口内が乾燥すると、口臭が悪化するのです。生活している中で誰しも唾液量が減少する、以下のような状況における口臭は、生理的口臭と呼ばれます。

  • 朝起きた時
  • 長時間食事をしていない時
  • 緊張している時
  • ストレスにさらされている時
  • ホルモンが変調している時

睡眠中は、唾液腺が刺激されないため、唾液の分泌量が減少します。そのため、起床時は1日の中で最も口臭が強くなりがちです。また、緊張やストレスによって、唾液の分泌が抑制される交感神経が優位になる状況に置かれている場合も、口臭の悪化を招きます。

生理的口臭|飲食物や喫煙が影響している

飲食物や喫煙などの外部の要因による口臭も、生理的口臭の一つです。飲食物による口臭は、アリシンやインドール、アンモニアといった物質が臭いの元になります。口臭に影響を及ぼす主な飲食物は、ニンニク・ニラ・玉ねぎ・乳製品・納豆などです。

また、タバコに含まれるタールという成分は、口内だけでなく、肺の内部から特有の悪臭を放ちます。さらに、タバコに含まれるニコチンは、唾液の分泌を抑制する作用があるため、口臭の悪化を助長するのです。

病的口臭|歯周病を患っている

虫歯などの口内トラブルに起因している口臭は、病的口臭と呼ばれます。その中でも歯周病は、悪臭を放つ揮発性硫黄化合物というガスを複数発生させる病気です。歯周病原菌が産生する揮発性硫黄化合物には、以下のような種類があります。

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歯周病は、歯周病原菌が血液中に入り込むことで、全身疾患にも繋がる恐れがあります。歯周病のにおいや治療法について詳しく知りたい方は、以下の記事もチェックしましょう。

関連記事:歯周病の口臭はどんなにおい?臭い以外の症状や5つの治し方も解説

病的口臭|舌苔が付着している

口臭の元になる揮発性硫黄化合物は、舌苔でも作られます。舌苔とは、舌の上に付着した白っぽい汚れのことで、細菌やタンパク質を豊富に含んでいます。舌苔が多くなる状況は、以下のとおりです。

  • 口の中が乾燥している時
  • 体調が悪い時
  • 胃腸の病気を患っている時
  • 脱水を起こしている時

舌苔を増やさないためには、食事中よく噛んで、唾液の分泌を促すことが重要です。

病的口臭|全身疾患を患っている

口臭の原因は、口内だけに留まりません。扁桃腺炎や慢性鼻炎、蓄膿症などの耳鼻咽喉科領域の疾患も、口内に降りてきた膿が原因で口臭を発します。その他には、肝機能や腎機能が低下した場合、糖尿病や悪性腫瘍を患っている場合も、口臭の一因です。全身疾患によって、代謝された産物が血液中に増えることで、口臭が悪化します。

口臭の原因が虫歯にある場合のチェックリスト

口臭には様々な原因が絡んでいるため、臭いだけで虫歯があるとは断定できません。以下のような症状がある場合は、虫歯の可能性が高いので、早急に歯科医院を受診してください。

  • 冷たい物や甘い物を食べるとしみる
  • 歯に刺激を加えると痛い
  • 歯の溝に黒ずみがある

それぞれの症状について、詳しく見ていきましょう。

冷たい物や甘い物を食べるとしみる

歯の表面を覆っているエナメル質が虫歯によって溶け、中の象牙質が露出している場合には、冷たい物や甘い物を食べてしみる、という症状が現れます。虫歯が原因かどうか見分けるポイントは、しみるのが一過性ではなく、10秒以上持続するかどうかです。

初期の虫歯には自覚症状がなく、歯がしみる段階では、既にC2まで進行しています。歯がしみる他の原因として知覚過敏も考えられますが、何れの場合も治療が必要なので、症状を自覚したらすぐに歯科医院を受診しましょう。

歯に刺激を加えると痛い

象牙質が露出したC2の段階では、象牙質に加わった刺激が象牙細管という細かな管を通して、神経がある歯髄に伝わります。冷温刺激や食事時の圧迫刺激が歯髄へと伝わり、痛みとして認識されるのです。

虫歯が歯髄へと達したC3の段階では、歯髄炎を引き起こし、激痛が走ります。歯髄炎が酷くなると、歯の痛みだけでなく、頭痛や顎の痛みも引き起こす場合があります。歯髄炎を放置して神経が完全に死んでしまうと、これまでとは打って変わって痛みを全く感じません。

歯の溝に黒ずみがある

歯ブラシが届きにくい歯の溝が黒ずんでいる場合は、虫歯が進行している可能性があります。初期虫歯では、歯は白や茶色っぽい色に変化します。歯の表面からカルシウムやリン酸が溶けだしている(脱灰)のですが、唾液の作用である再石灰化が正常に働けば、元に戻るのが特徴です。

しかし、再石灰化のスピードよりも脱灰のスピードが早いと、虫歯は進行し、侵された部分は黒色へと変化していきます。ただし、歯の黒ずみは、着色による汚れである可能性もあります。歯が黒い場合に考えられる原因と対策が知りたい方は、以下の記事もチェックしてみてください。

関連記事:歯茎が赤黒い6つの原因とは?歯茎の腫れ・痛み等の症状や治療法も解説

虫歯の口臭のにおいを消すための対策

歯科医院で虫歯を治療するまでの間、以下のような対策を行うことで、一時的に口臭を和らげることは可能です。口臭は周りの人に不快な思いをさせる恐れがあるので、普段から口臭対策は万全にしておきましょう。

  • こまめに水分補給する
  • 長時間口内に食べ物を残さない
  • キシリトール・フッ素配合の歯磨き粉を使う

それぞれの対策について、詳しく見ていきましょう。

こまめに水分補給する

利尿作用のない水やお茶で、こまめに水分補給しましょう。唾液には、食べかすを洗い流したり、殺菌・抗菌したりする作用があります。唾液の元になっている水分が体内に不足していると、唾液の分泌量が減少します。唾液の量が減少すると、口臭の元になる細菌は増殖し、食べかすは滞留し続けるのです。

長時間口内に食べ物を残さない

口内に食べ物が残り続けていると、細菌の餌になり、口臭の原因物質が発生しやすくなります。食事後は必ず歯磨きをしたり、口をゆすいだりすることで、口内に食べ物が滞在している時間を極力短縮させましょう。また、虫歯の原因菌は食べ物の糖分を餌にして、酸を発生させるので、さらに虫歯が進行することになります。

キシリトール・フッ素配合の歯磨き粉を使う

口臭の元凶である虫歯の原因菌に直接働きかける、キシリトールやフッ素が配合された歯磨き粉を使うのもおすすめです。キシリトールには、虫歯の原因菌であるミュータンス菌の増殖を抑える作用があります。また、唾液の分泌も促すので、唾液量が減る就寝前の歯磨きにも最適です。

歯科医院の治療でも使われるフッ素は、虫歯の発生や進行を抑止する効果が認められた薬効成分です。フッ化物イオン濃度は、1,000ppmF以上のタイプを選ぶことで、口臭・虫歯予防に効果が期待できるでしょう。

口臭を根本解決!虫歯の3つの治療法

口臭の原因である虫歯を根本的に解決するためには、主に以下のような治療を受ける必要があります。虫歯の進行度合いや歯科医院によっても、採用される治療法は異なるので、あなたの虫歯の状態に合った治療法を歯科医師に相談してみてください。

  • 歯をクリーニングする
  • 歯を削り詰め物をする
  • 歯の神経を取り除く

それぞれの治療法について、詳しく見ていきましょう。

歯をクリーニングする

歯科医院のクリーニングでは、虫歯の検査やプラーク・歯石の除去を主に行います。自宅でどんなに丁寧に歯を磨いていても、歯と歯の隙間や奥歯などに磨き残しはあるものです。歯科医院では、専用の器具を用いて、口内を綺麗に掃除します。

また、初期症状がほとんどない虫歯を早期発見できるのも、クリーニングの魅力です。虫歯の治療が完了した後も、定期的にメンテナンスを受けるようにしましょう。

当院のクリーニングでは、ガスクロマトグラフ検査を行うことで、口内に存在する口臭の原因物質の量を特定できます。

歯を削り詰め物をする

初期虫歯でなければ、一般的には虫歯が進行している部分を削り、詰め物を装着します。ただし、虫歯の範囲が大きく、削る量が多い場合は、被せ物を装着する場合もあります。詰め物の主な素材と特徴は、以下のとおりです。

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歯の詰め物の種類や費用について気になる方は、こちらの記事もチェックしましょう。

関連記事:歯の詰め物と被せ物の違いとは?素材の種類とメリット・デメリット

歯の神経を取り除く

虫歯の原因菌が歯髄まで感染している場合は、神経を取り除く抜髄という治療を行う場合があります。一度歯髄炎になってしまうと、元の状態には戻りません。抜髄を行うことで、痛みは取り除けます。何もしなくてもズキズキ痛む場合は、早急に歯科医院を受診してください。

虫歯の口臭に関するよくある質問

最後に、虫歯の口臭について、よくある質問を紹介します。

  • 虫歯の口臭は自覚症状がある?
  • 親知らずは虫歯の口臭に繋がりやすい?
  • 虫歯を抜歯した後に口臭を感じる理由は?

それぞれ詳しく見ていきましょう。

虫歯の口臭は自覚症状がある?

虫歯は初期症状がほとんどないので、痛んだり、しみたりといった自覚症状がなく、口臭を発している可能性があります。また、虫歯の進行速度は個人差があるため、口臭を自覚した頃には、虫歯が象牙質や歯髄にまで達している恐れがあります。虫歯を早期発見するためにも、定期的にクリーニングを受けましょう。

親知らずは虫歯の口臭に繋がりやすい?

一番奥に位置する4本の親知らずは、虫歯による口臭に繋がりやすいです。しっかりとケアができている親知らずであれば、問題はありません。しかし、以下のような理由から、親知らずは口臭リスクが高いと言えます。

  • 一番奥にあるため、ブラッシングがしづらい
  • 部分的に埋もれている場合は、隙間に食べかすが詰まりやすい
  • 複雑な形状になっている場合は、歯ブラシが当たらない

虫歯を抜歯した後に口臭を感じる理由は?

重度の虫歯で抜歯を行った場合、抜歯した位置から悪臭を発することがあります。抜歯で生じた傷口は、白血球やリンパ球が修復にあたりますが、その過程で死んだ血液細胞が膿へと変わり、臭いの原因になるのです。また、抜歯後の痛みから歯磨きが難しくなり、汚れが溜まりやすくなるのも、口臭の原因となります。

まとめ|歯科医院で虫歯の口臭を改善しよう

虫歯による口臭は、食べかすが詰まったり、神経が腐ったりすることで起こります。ただし、歯が黒い・しみる・痛むといった症状がない場合は、生理現象やその他の口内トラブルが原因である可能性が高いです。口臭の原因を特定するためにも、まずは歯科医院を受診しましょう。

虫歯が口臭の原因になっている場合は、歯科医院で歯のクリーニングを行う必要があります。虫歯が進行していると、削って詰め物や被せ物をしたり、神経を抜いたりする治療が必要です。

当院では、遺伝子レベルで虫歯の原因菌を特定し、虫歯を根本的に解決できる治療を行っております。当院の口臭治療について気になる方は、下記のページをご覧ください。

この記事を書いた人

加藤 直之

大阪の梅田にあるえみは総合歯科、加藤です。 当院は、歯医者さんの「痛い・怖い・行きたくない」というイメージをなくし、患者様が悩みを相談できてリラックスした状態で治療ができるそんな医院を目指し運営しております。

資格・所属

NPO法人日本歯科予防協会理事/ISOI インプラント認定医/ドライマウス認定医/日本ドライマウス学会会員/日本抗加齢歯学会会員/医療情報技師認定証/ITIインプラント認定/AQBインプラント認定/ザイブインプラント認定/POIインプラント認定/インプラント学会 所属ブローネマルクインプラント認定/SARGONインプラント認定/審美歯科学会認証