歯のブリッジ治療とは?3つの素材ごとの費用やメリット・デメリットも解説
こんにちは!大阪 梅田のえみは総合歯科、理事長の加藤直之です。
失った歯を取り戻す治療の一つであるブリッジは、失った歯の両隣の歯を支えにして、人工歯を装着する治療法です。治療にかかる費用は、人工歯の素材によって異なります。天然歯のような噛み合わせを実現する一方で、健康な歯に負担がかかるのが特徴です。
そこで本記事では、歯のブリッジ治療について解説します。ブリッジのメリット・デメリットやブリッジ以外の治療法も掲載しているので、欠損歯を補うための治療を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
また、当院での欠損歯に対する治療は、下記のページで詳しく紹介しています。当院でおすすめしているインプラント治療の費用や治療内容が気になる方は、合わせてチェックしましょう。
目次
歯を補うブリッジ治療とは
ブリッジ治療とは、失った歯の本数が少ない場合に用いられる治療法です。欠損歯の両隣の歯を削って土台を作り、橋をかけるように人工歯を被せます。ブリッジでは土台が必要なので、連続して多くの歯を失っている場合には適用できません。
全国の約2000人を対象にした調査では、補綴物を装着している者の割合として、インプラントや入れ歯を抑えて、ブリッジが最も高いという結果になりました(※1)。
※1参考:令和4年 歯科疾患実態調査結果の概要
ブリッジで土台にする歯は全周にわたって、1〜1.5mm程度削る必要があります。前後の歯は削りますが、インプラントのように歯肉の切開などの外科手術は不要です。また、入れ歯のように取り外しの必要がなく、通常の歯磨きでお手入れできます。
ブリッジの寿命は7〜8年程度と言われていますが、被せ物の精度や噛み合わせ、メンテナンス次第では、それより長くも短くもなり得るでしょう。外科手術への不安が大きく、短期間で治療を終わらせたい方には、ブリッジはおすすめの治療法と言えるでしょう。
歯のブリッジに使われる3つの素材と値段
歯のブリッジに使われる主な素材の費用を比較した表はこちらです。
[table id=113 /]
それぞれ詳しく見ていきましょう。
【保険適用】レジン
ブリッジの裏面と内側は金属がむき出しの状態で、表面のみを白色のレジンでコーティングした素材を「硬質レジン」と呼びます。硬質レジンの相場は、1本あたり約10,000円ほどです。レジンは保険適用なので、患者様の経済的な負担を軽減できます。
硬質レジンのメリット・デメリットは、以下のとおりです。
[table id=114 /]
レジンはプラスチックでできているので、経年劣化しやすく、着色や変色が起きやすいです。また、歯に負担がかかると、欠けたり、割れたりすることもあるでしょう。
【保険適用外】メタルボンド
金属の被せ物の表裏面にセラミックを焼き付けた素材が、メタルボンドです。保険適用外により、相場は8万円〜15万円程度と言われています。土台となる内側に金属を使用していることから、強度に優れ、欠けたり割れたりといったトラブルを軽減できるのが大きなメリットです。
外側にセラミックを使用していることから、比較的自然な見た目を再現できますが、オールセラミックよりは審美性が劣ります。長時間使用していると金属が溶け出してくる恐れがあり、歯茎が黒ずむ可能性もあります。金属アレルギーの方は、適用できません。
【保険適用外】オールセラミック
金属を含まない、ブリッジの全てがセラミックで作られた素材が、オールセラミックです。メタルボンドと同様に保険適用外で、相場は8万〜18万程です。金属を一切使用しないことから、金属アレルギーの方でも安心して治療を受けられます。
オールセラミックの主なメリット・デメリットは、以下のとおりです。
[table id=115 /]
レジンとは打って変わって、費用面以外にはメリットしかありません。天然歯のような透明度に仕上げられるので、前歯などの目立つ箇所にブリッジを検討している方にもおすすめです。
欠損歯のブリッジ治療の5つのメリット
両隣の歯を支えにして人工歯を装着するブリッジ治療は、治療期間が短く、外科手術を行わない手軽さが魅力です。ブリッジ治療の主なメリットを5つ紹介します。
- 天然歯に近い感覚で噛める
- 保険が適用できる場合がある
- 取り外す必要がない
- 治療期間が短い
- 外科手術を伴わない
それぞれ詳しく見ていきましょう。
天然歯に近い感覚で噛める
ブリッジは入れ歯とは異なり、固定式の人工歯が入るので、天然歯に近い感覚で噛めます。人工歯は元の歯の形状に合わせて作られるので、噛む力が均等に分散され、腔内の異物感もほとんどありません。
固定されていることから、硬い食べ物でも安心して強く噛みしめられるので、食事で人工歯が外れる心配をする必要がありません。
保険が適用できる場合がある
ブリッジは歯が欠損した部分の治療なので、保険の適用が可能です。しかし、保険を適用するためには、いくつかの条件を満たす必要があります。自身の症例が保険適用対象かどうかは、歯科医院で相談しましょう。ブリッジに保険が適用される条件は、以下のとおりです。
- 失った歯が連続した2本以内であること
失った1本または隣り合った2本の歯が保険適用の対象です。ただし、犬歯を含む場合は保険適用にならない場合があります。例外として、前歯が欠損している場合は、連続した4本までが保険適用の対象です。
- 土台となる歯が健康であること
ブリッジでは両隣の歯を支えにするので、土台になる歯が健康であることが前提条件です。土台となる歯が欠けていたり、虫歯や歯周病に侵されていたりする場合は、保険適用の対象にはなりません。
- 指定されたブリッジ素材であること
レジンや金銀パラジウムを使用した素材のみが保険適用の対象です。
取り外す必要がない
ブリッジは入れ歯とは違い、人工歯を取り外す必要がありません。そのため、普段の歯磨きでお手入れができます。しかし、両隣の歯に繋げて被せ物をしているという複雑な形状をしているため、丁寧なケアが欠かせません。
ブリッジの寿命を延ばすためには、以下のような道具を用いてケアを行います。
- 歯ブラシ
ブリッジにおける人工歯「ポンティック」と歯茎の間には汚れがたまりやすいので、歯ブラシの毛先を歯茎側に傾けて優しくブラッシングします。
- タフトブラシ
毛束が一つの小さな歯ブラシです。ポンティックの細かい部分を磨けます。
- スーパーフロス
ブリッジの下などを掃除するために、通常よりも大きめサイズのフロスです。ポンティックと歯肉の間を往復させることで、汚れを取り除きます。
- 歯間ブラシ
スーパーフロスと同様に、ポンティックと歯肉の間を往復させることで汚れを落とします。ポンティックと歯肉の隙間が狭い場合は、スーパーフロスを使用しましょう。
治療期間が短い
骨が固定されるまで数ヶ月待つインプラントと異なり、早ければ2週間前後で治療が完了します。2〜3回の治療で終わるので、早急に歯を入れたい方にとっては最適な治療法と言えるでしょう。
ただし、ブリッジでは健康な歯を削るので、慎重に治療計画を立てる必要があります。また、ブリッジが出来上がるまでの仮歯を装着している期間があるので、1ヶ月〜2ヶ月は要する認識でいた方が良いでしょう。
外科手術を伴わない
インプラントのように歯肉の切開のような外科手術がありません。そのため、外科手術に対して恐怖心がある方や、糖尿病や高血圧の方でも安心して治療を行えます。
外科手術を伴わないので、治療中の細菌感染のリスクもありません。ただし、支えの歯を削る際には、神経に触れて痛みが生じる可能性があるので、麻酔をする必要はあります。
欠損歯のブリッジ治療の3つのデメリット
- 健康な歯を削る必要がある
- 歯への負担がかかりやすい
- 治療が適用できる範囲が限られる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
健康な歯を削る必要がある
ブリッジを製作するには、土台となる健康な両隣の歯を削る必要があります。削ることによって、健康な歯の寿命を縮めることにも繋がりかねません。土台となる歯は40%〜70%を削るため、神経部分を取らなければならないこともあります。
神経を取った歯の根っこは、折れやすくなったり、割れやすくなったりします。さらに、削った歯の周りには細菌が集まりやすくなり、歯周病を引き起こすと抜歯する事態にもなりかねません。
歯への負担がかかりやすい
ブリッジは構造上、2本の歯で3本分の役割を果たす必要があります。そのため、本来加わる力の1.2〜1.5倍の力が支えの歯に加わることになるのです。通常よりも支えの歯に負担がかかるので、寿命を縮めることにも繋がります。
そのため、支えとなる歯は、歯そのものだけでなく、歯茎や歯を支えている骨もしっかりしている必要があります。また、治療後も支えとなる歯が虫歯や歯周病にかからないように、入念なケアが欠かせません。
抜け落ちた歯1本を補強するはずが、ケアを疎かにしていると、両隣の歯を失うリスクも高めるのです。
治療が適用できる範囲が限られる
ブリッジは、両隣の歯を支えにする性質上、適用できないケースも存在します。以下の何れかのケースに該当しないか、確認してみてください。
- 土台になる歯の健康状態が悪い
- 複数の歯を失っている
- 一番奥の歯を失った
支えとなる両隣の歯がぐらついていたり、大きな虫歯がある場合は、ブリッジ治療が難しくなります。また、連続して複数の歯を失っている場合は、その分長いブリッジを作る必要があり、両隣の歯に負担がかかりすぎます。一番奥の歯を失っている場合も、支えとなる歯がありません。
ブリッジ以外の欠損歯の2つの治療法
ブリッジが適用できない場合に選択できる治療法として、インプラントと入れ歯が挙げられます。また、それぞれメリット・デメリットが異なるので、あなたに合った治療法はブリッジではない可能性も十分にあるでしょう。それぞれの治療法を比較します。
[table id=116 /]
◎:比較的良い(値段が安い) ◯比較的普通 △:比較的悪い(値段が高い)
ブリッジ以外の治療法について、詳しく見ていきましょう。
インプラント
歯を失った部分の顎の骨に金属製の歯根を埋め込み、その上に人工歯を装着する治療法がインプラントです。3つの治療法の中で、最も天然歯に近い見た目と噛み心地を実現してくれます。その一方で、外科手術が必要になり、費用や治療期間を要するといったデメリットも存在します。
インプラントとブリッジはどちらがおすすめかや、併用できるかについて気になる方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
関連記事:インプラントかブリッジか?費用・寿命などの違いやメリット・デメリットを徹底比較
当院はインプラント認定医の医師が治療を行っており、5年連続でインプラント地域最優秀賞を受賞した実績を誇ります。専門医とコンピュータによる精密な治療計画と正確な手術シミュレーションによって、患者様の負担を最小限に抑えます。
麻酔専門医による静脈内鎮静法を採用しているため、手術中の痛みが心配な方もご安心ください。
入れ歯
ブリッジやインプラントとは異なり、装置の取り外しができる治療法が入れ歯です。入れ歯は金属のバネを使う部分入れ歯と、歯茎に吸着させる総入れ歯に分かれます。入れ歯のメリット・デメリットは、以下のとおりです。
[table id=117 /]
当院では、歯の専門医と歯科衛生士が患者様に最適な入れ歯を提案させていただきます。また、フィット感や審美面に優れた入れ歯とフルオーダーの入れ歯の2種類からも選択できます。
歯のブリッジに関するよくある質問
最後に、歯のブリッジ治療について、よくある質問を紹介します。
- 前歯のブリッジで後悔する主な理由は?
- ブリッジで削った歯や支える歯は痛い?
- 歯のブリッジのやり直しにかかる費用は?
それぞれ詳しく見ていきましょう。
前歯のブリッジで後悔する主な理由は?
ブリッジは外科手術を伴わず、保険適用の素材もあることから、患者様の負担を減らせる治療法と言えます。しかし、治療後に以下のような要因で後悔する結果にもなりかねません。
- 痛みや違和感が生じた
- ブリッジが外れた
- 歯の色が不自然に見える
ブリッジを装着して間もない期間は、特に痛みや違和感が生じやすいです。痛みや違和感が酷い場合は、迷わず歯科医院を受診しましょう。
前歯のブリッジ治療は、見た目に直結します。ブリッジに過度な力が加わったり、接着が甘かったりするとブリッジが外れる恐れもあります。また、他の歯とブリッジの素材の色が合わずに不自然に見えることも、後悔する要因の一つです。
ブリッジで削った歯や支える歯は痛い?
神経のある歯を削った場合は、治療後1〜2週間ほどは痛みを感じることがあります。また、ブリッジを支えている両隣の歯は、削っていることから虫歯や歯周病になりやすいです。
虫歯や歯周病が悪化すると、痛みが出てきます。ブリッジが劣化し、噛み合わせが合わなくなると「歯根膜炎」を引き起こし、痛みが出る可能性もあるでしょう。
歯のブリッジのやり直しにかかる費用は?
ブリッジのやり直しにかかる費用の相場は、15,000〜80,000円程度です。選ぶ素材が保険適用か自由診療かによっても、費用は異なります。ブリッジがやり直しにならないためにも、治療後は以下のような点に気をつけましょう。
- 歯科医院で定期的にクリーニングを受ける
- 歯間ブラシ等で歯とブリッジの隙間を清掃する
- 食いしばりや歯ぎしりの癖を治す
まとめ|歯のブリッジが向いているかは歯科医院で相談しよう
歯のブリッジは、欠損歯の両隣の歯を削って土台を作り、橋をかけるように人工歯を装着する治療法です。治療期間が短く、保険適用される場合があるというメリットがありますが、支えとなる歯に負担がかかり過ぎるというデメリットもあります。
インプラントはブリッジよりも費用と期間がかかりますが、天然歯のような噛み心地と審美性を実現できる治療法です。どの治療法が適切かは、歯科医院でしっかり相談しましょう。
当院では、豊富な執刀経験を持つインプラントの専門医が、患者様のお悩みや疑問に寄り添った治療を行います。ブリッジと比較した時のインプラントの魅力や、治療の流れについて気になる方は、下記のページをご覧ください。