差し歯の平均寿命は?5つの種類ごとの交換時期や寿命を延ばす対策も解説

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こんにちは!大阪 梅田のえみは総合歯科、理事長の加藤直之です。

失った歯を取り戻す差し歯にかかる費用は、自費の素材を選ぶと比較的高くなります。高い費用をかけて治療した差し歯の寿命が短いと、後悔する結果になりかねません。また、寿命を延ばす対策を事前に把握しておくことで、生涯差し歯にかける費用を減らせます。

そこで本記事では、差し歯の素材ごとの平均寿命について解説します。差し歯を交換するタイミングや寿命を延ばすための対策も掲載しているので、納得のいく素材を選んだ上で差し歯を長持ちさせたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

また、当院での差し歯治療については、下記のページで詳しく紹介しています。当院で採用している素材や治療内容が気になる方は、合わせてチェックしましょう。

歯の根に製作する差し歯とは?

差し歯は、失った歯を補綴する人工歯の一種で、クラウンや被せ物とも呼ばれています。重度の虫歯や交通事故などで一部の歯が欠損した場合に行う治療法です。

そのため、差し歯は歯の根っこ(歯根)が残っていなければ、適用できません。差し歯では、歯根に土台を立て、その上から人工歯を被せることで歯の先端(歯冠)を回復させます(※1)。

※1参考:治療後の差し歯

重度の虫歯の場合は、最初に虫歯菌に侵された歯を削り、神経を取る治療を行います。歯質や神経をたくさん取り除いた状態では、被せ物を装着できません。そのため、神経があった箇所に土台(コア)を差し込み、上から被せ物を被せるのです。

差し歯の寿命は40年?種類ごとの交換時期を解説

差し歯の寿命は、一律で目安があるわけではなく、素材によって異なります。また、保険適用の素材に比べて、自由診療の素材の方が長持ちする傾向にあります。自由診療の素材を選び、メンテナンスを怠らなければ、20年以上使い続けられる可能性もあるでしょう。

差し歯の主な素材ごとの交換時期は、以下のとおりです。

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それぞれ詳しく見ていきましょう。

硬質レジン

保険適用である硬質レジンは、むき出しになった金銀パラジウム合金などの金属に、プラスチックのレジンを被せた素材です。硬質レジンの寿命は、約7年〜9年と言われています。金属ほどの耐久性はありません。

硬質レジンは、金属を土台にしているので、金属の成分が溶けだすと歯茎が黒ずむ可能性があります。また、レジンの表面には無数の穴が空いており、プラークが蓄積しやすいです。その結果、虫歯や歯周病を招くリスクが高まり、寿命を縮めることにも繋がります。

ハイブリッドレジン

CAD/CAM冠とも呼ばれるハイブリッドレジンは、プラスチックとセラミックを混ぜ合わせた素材です。ハイブリッドレジンの寿命は、約7年〜8年と言われています。治療する歯が以下の何れかに該当する場合のみ、保険適用になります。

  • 上下の4番と5番の歯
  • 7番の歯が全て残っている方に限り、上下の7番の歯
  • 金属アレルギーの方に限り、上下の6番と7番の歯

ハイブリッドレジンは金属を一切使用していないため、歯茎が黒ずむ心配はいりません。しかし、硬質レジンのように金属の補強がないので、割れる危険は高まります。

オールセラミック

自由診療のオールセラミックは、全てがセラミック(陶器)で作られています。オールセラミックの寿命は、約10年〜15年です。オールセラミックは、費用がかかる分、天然歯に近い透明度と美しい白さを実現できます。

レジンのように表面に穴が空いておらず、滑らかに研磨されているため、プラークが付着しづらいです。そのため、虫歯や歯周病のリスクが低く、長寿命に繋がっています。約400MPaという天然歯とほぼ同等の硬度を誇るのも魅力です。

ジルコニア

自由診療の素材であるジルコニアは、人工ダイヤモンドとも呼ばれています。オールセラミックよりも強度が高いですが、向かい合っている歯を痛めるリスクから、寿命は約10年です。ただし、メンテナンスを怠らなければ、一生使える素材とも言われています。

硬さは1300MPaと、オールセラミックの約3倍の強度を誇るため、高い咀嚼力が必要な奥歯に適している素材です。また、差し歯の素材の中でも、トップクラスの審美性を誇ります。

ジルライト

自由診療であるジルライトは、ジルコニアの耐久性や機能性を有したまま、お手頃価格で提供されている素材です。コンピュータ機器を駆使することで、低価格を実現しています。ジルライトの寿命は、ジルコニアと同じく約10年程度と思われます。

ジルライトは色調を調整できず、白めの単一色しか選べないのが唯一の難点です。しかし、ジルコニアと同等の高い耐久性を誇るので、費用対効果の高い素材と言えるでしょう。

前歯・奥歯の差し歯を交換する3つのタイミング

差し歯の寿命が来たことを何をもって判断するのか、疑問に思う方も多いのではないでしょうか。前歯や奥歯の差し歯を交換するタイミングは、以下のとおりです。

  • 差し歯が変色した
  • 差し歯が取れやすくなった
  • 歯根にヒビが入った

それぞれ詳しく解説します。

差し歯が変色した

見た目に影響する程、差し歯が変色してきた時は、交換するタイミングです。特に、保険適用のプラスチックの素材は変色しやすく、コーヒーやカレーといった着色を促す食事により、茶色や黄色に変色してきます。

前歯は見た目に影響しやすいので、変色しづらい素材を選ぶことが重要です。自由診療のオールセラミックは全てが陶器でできているので、水分を吸収せず、経年によって変色することがありません。

差し歯が取れやすくなった

差し歯は、接着剤で固定されているため、時間の経過とともに接着力が低下します。接着力が弱まり、差し歯が頻繁に取れるようであれば、差し歯の交換時期と言えるでしょう。

以下のような習慣がある方は、差し歯が取れやすい傾向にあるので、注意してください。

  • 食べ物を噛む時に、しっかり噛みしめる方
  • 通常時に強く噛みしめている方
  • 就寝中の歯ぎしりが強い方

上記のような習慣があると、人工歯は揺さぶられて接着層が破壊されます。

歯根にヒビが入った

噛み合わせの不具合が生じていたり、噛み方に悪い癖があったりすると、歯根に負担がかかります。負担が蓄積し、歯根にヒビが入った場合も、交換するタイミングです。

歯根にヒビが入ると以下のような症状が現れる場合があります。

  • 噛む時に違和感がある
  • 冷たい物や温かい物を飲み食いすると、しみる
  • 物を噛むと痛い

歯根のヒビが深い場合は、抜歯になる可能性があるので、早急に歯科医院を受診しましょう。

差し歯の寿命を延ばすための5つの対策

先述した差し歯の寿命は目安であり、以下のような対策を取ることで延ばすことも可能です。高い費用をかけて治療した差し歯を、早い段階で失わないために、差し歯治療を行う前から頭に入れておきましょう。

  • 虫歯・歯周病を予防する
  • 歯ぎしり・食いしばりの癖を治す
  • 噛み合わせを整える
  • 保険適用外の差し歯を選ぶ
  • 定期的に歯科医院を受診する

それぞれの対策を詳しく解説します。

虫歯・歯周病を予防する

毎日の手入れを入念に行い、虫歯や歯周病を予防することは、差し歯の寿命を延ばすことにも繋がります。差し歯は、以下のような理由から虫歯・歯周病が進行しやすいです。

  • 神経を抜いていると痛みを感じず、虫歯や歯周病に気づきにくい
  • プラスチックの素材は、虫歯や歯周病の原因となるプラークが溜まりやすい

歯間ブラシやデンタルフロスも使い、プラークが溜まりやすい隙間も丁寧に磨いてください。正しいブラッシング方法が分からない方は、歯科医院で指導してもらうのが良いでしょう。

歯ぎしり・食いしばりの癖を治す

無意識に行っている歯ぎしりや食いしばりは、差し歯が割れたり、取れたりするリスクを高めるため、差し歯の寿命を縮める行為といっても過言ではありません。歯ぎしりや食いしばりの癖を治すことは、差し歯の長寿命に直結します。

意識して治したつもりでも、就寝中などの意識が及ばない間に悪習慣を行っている可能性があるので、歯科医院で相談してみるのもおすすめです。

噛み合わせを整える

歯の噛み合わせを整えることも、差し歯の寿命を延ばす対策の一つです。噛み合わせが悪く、差し歯に力が偏っていると、割れたり、取れたりする原因になります。また、力が加わらない健康な歯にも悪影響が及んでしまいます。

天然歯と被せ物が摩耗する速度は異なるので、定期的に歯科医院を受診し、噛み合わせを調整してもらいましょう。

保険適用外の差し歯を選ぶ

保険適用外の差し歯は、保険適用の差し歯に比べて寿命が長いです。その分、費用は高くなりますが、頻繁に交換する必要がないので、結果的に安く済む可能性もあります。

保険適用外の素材の平均寿命は、全て10年を超えています。また、毎日のケアを徹底することで、生涯使用できる可能性もあるでしょう。寿命を延ばすために保険適用外を選びたいが、費用が気になるという方は、以下の記事も参考にしてみてください。

関連記事:差し歯の値段は?5つの素材の相場や保険適用のメリット・デメリットを解説

定期的に歯科医院を受診する

差し歯の治療後は、定期的に歯科医院を受診することで、寿命を長持ちさせられます。歯科医院では、以下のような診療を受けるのがおすすめです。

  • 噛み合わせの調整
  • 歯ブラシで磨ききれていない歯垢や歯石の除去
  • 虫歯や歯周病がないかの確認

セルフケアで腔内の汚れを完全に落とすのは難しいので、歯科医院で定期的に隅々まで掃除してもらうことで、虫歯・歯周病を予防します。また、自身では気づきにくい虫歯や歯周病を早期発見できるのも大きなメリットです。

当院では、差し歯の治療後に虫歯・歯周病の検査、歯垢や歯石の除去などを目的とした定期メンテンスを行っております。

歯を補う「差し歯」以外の3つの治療法の寿命

差し歯は、歯根が残っている場合に適用される治療法です。そのため、歯根が全くなかったり、歯根の長さや幅が足りなかったりする場合は、以下の3つの治療法から選択できます。

  • インプラント
  • ブリッジ
  • 入れ歯

それぞれの治療法の寿命や特徴を見ていきましょう。

インプラント

顎の骨に人工歯根を埋め込み、人工歯を装着する治療法であるインプラント。保険適用外なので、他の治療法と比べて費用はかかりますが、寿命は10年〜15年と最も長いです。

10年〜15年経過しても上顎で約90%の残存率を誇っているため、メンテナンスを怠らなければ、生涯使える人工歯と言えるでしょう(※1)。

※1参考:歯科インプラント治療のためのQ&A

インプラントのメリット・デメリットは、以下のとおりです。

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インプラントの寿命を縮める原因や延ばす方法について気になる方は、こちらの記事も参考にしてみてください。

関連記事:インプラントの寿命はどれくらい?寿命を延ばす対策や再手術の費用も解説

ブリッジ

失った本数が少ない場合に用いられるブリッジは、両隣の歯を支えにして人工歯を被せる治療法です。ブリッジの寿命は、約7年〜8年と言われています。ブリッジは隙間に汚れが残りやすく、虫歯や歯周病のリスクが高いので、寿命を縮める結果になりかねません。

ブリッジのメリット・デメリットは、以下のとおりです。

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ブリッジの寿命を縮める原因や素材ごとの費用について気になる方は、こちらの記事も参考にしてみてください。

関連記事:歯のブリッジ治療とは?3つの素材ごとの費用やメリット・デメリットも解説

入れ歯

歯を支える床を持つ義歯が、入れ歯です。入れ歯には「部分入れ歯」と「総入れ歯」の2種類があり、何れも保険が適用されます。入れ歯の寿命は、約4年〜5年です。

入れ歯は、噛む・話すといった通常の動作で消耗し、手入れを行っていたとしても素材が劣化します。また、手入れを怠ったり、洗浄時に落としたりすることで、寿命はさらに縮まります。入れ歯のメリット・デメリットは、以下のとおりです。

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差し歯の寿命に関するよくある質問

最後に、差し歯の寿命について、よくある質問を紹介します。

  • 前歯を差し歯にして後悔する理由は?
  • 前歯・奥歯で差し歯の寿命は異なる?

それぞれ詳しく見ていきましょう。

前歯を差し歯にして後悔する理由は?

外からよく見える場所にある前歯を差し歯にすることで、最も後悔するのは「見た目」の問題です。差し歯は以下のような見た目の問題を引き起こす可能性があります。

  • 差し歯のサイズが合わずに、歯並びを悪化させる
  • 接着力が弱まり、差し歯が取れる
  • 差し歯が着色して、黄ばむ
  • 歯茎が黒ずむ

保険適用の素材は、保険適用外の素材よりも歯の着色や歯茎の黒ずみを誘発するので、注意してください。

前歯・奥歯で差し歯の寿命は異なる?

差し歯をする位置によって寿命は変わりません。ただし、前歯は見た目に直結するので、変色が早く進めば、交換したほうが望ましい場合もあります。また、奥歯は噛みしめる力が強いので、強度の弱い素材を選んでしまうと、寿命が短い可能性もあるでしょう。

そのため、前歯には審美性の高いセラミックなどの自由診療の素材、奥歯には強度の高い保険適用の金属や自由診療のジルコニアなどの素材を選ぶのがおすすめです。

まとめ|差し歯の寿命は10年〜20年と言われている

差し歯の寿命は素材によって異なります。保険適用の素材は、費用を抑えられる一方で寿命が短いです。自由診療の素材は、メンテナンスを怠らなければ10年〜20年と長持ちします。

寿命を延ばすためには、定期的に歯科医院を受診し、歯並びの調整や歯垢・歯石の除去をしてもらいましょう。また、日々の丁寧なブラッシングも欠かせません。

当院では、2万本以上の豊富な診療実績を誇り、患者様の希望に合った差し歯の素材を提案させていただきます。差し歯治療の流れや素材ごとの費用が気になる方は、下記のページをご覧ください。

この記事を書いた人

加藤 直之

大阪の梅田にあるえみは総合歯科、加藤です。 当院は、歯医者さんの「痛い・怖い・行きたくない」というイメージをなくし、患者様が悩みを相談できてリラックスした状態で治療ができるそんな医院を目指し運営しております。

資格・所属

NPO法人日本歯科予防協会理事/ISOI インプラント認定医/ドライマウス認定医/日本ドライマウス学会会員/日本抗加齢歯学会会員/医療情報技師認定証/ITIインプラント認定/AQBインプラント認定/ザイブインプラント認定/POIインプラント認定/インプラント学会 所属ブローネマルクインプラント認定/SARGONインプラント認定/審美歯科学会認証