歯周病を予防する10の方法とは?歯周病予防に役立つアイテムも紹介

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こんにちは!大阪 梅田のえみは総合歯科、理事長の加藤直之です。

歯の脱落だけでなく、全身疾患に繋がるリスクもある歯周病。唾液によって感染するので、既に口内に歯周病原菌がいる可能性は十分あります。しかし、適切な予防を行うことで、歯周病原菌の増殖を抑制し、発症を防ぐことは可能です。

そこで本記事では、自宅や歯科医院で行える歯周病の予防方法について解説します。歯周病予防に役立つアイテムも掲載しているので、歯周病を未然に防ぎたい方や歯周病治療後に再発を防ぎたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

また、当院での歯周病予防治療は、下記のページで詳しく紹介しています。予防治療の内容や流れが気になる方は、合わせてチェックしましょう。

歯周病予防が重要な3つの理由 

細菌感染によって引き起こされる歯周病の末路は、口内だけの問題に留まりません。適切な予防と治療を行わなければ、以下のようなリスクが高まります。

  • 歯が抜け落ちるリスクがある
  • 全身疾患に繋がるリスクがある
  • 早産・低体重児出産のリスクがある

それぞれのリスクについて、詳しく見ていきましょう。

歯が抜け落ちるリスクがある

歯周病の初期段階である歯肉炎の症状は、歯茎の炎症のみに留まっていますが、歯周炎へと進行すると歯周組織が破壊されていきます。そのまま放置していると、最終的には歯が脱落します。実際に、日本人が歯を失う原因として最も多いのが歯周病です(※1)。

※1参考:第2回 永久歯の抜歯原因調査 報告書

また、歯が抜け落ちると以下のような悪影響が周りにも及びます。

  • 噛み合わせのバランスが悪くなる
  • 見た目が老けてみえる
  • 他の歯が抜けるリスクが高まる
  • 認知症や顎関節症のリスクが高まる
  • 発音が悪くなる
  • 治療費が高額になる

1本の歯が抜けることで、周りの歯が抜けた箇所に移動してくるため、噛み合わせが悪くなります。歯と歯の間の隙間が広くなることで、空気が漏れて、発音の悪化も起こりえるでしょう。結果的に、歯が抜けた箇所や周りの歯に対する治療費が、高額になるのです。

全身疾患に繋がるリスクがある

歯周病の本当の恐ろしさは、全身疾患にも繋がるリスクがある点にあります。口内で増殖した歯周病原菌が歯茎の血管の中に入り込むことで、全身に毒素が巡り、様々な疾患を誘発します。歯周病が影響していると報告されている全身疾患は、以下のとおりです。

  • 心疾患
  • 脳梗塞
  • 誤嚥性肺炎
  • 糖尿病
  • 関節リウマチ
  • 骨粗鬆症
  • メタボリックシンドローム

全身疾患にまで発展してしまうと、口内だけの治療では対処しきれません。予防を徹底した上で、少しでも症状を自覚したら、すぐに歯科医院を受診しましょう。歯周病が関係している全身疾患について詳しく知りたい方は、こちらの記事も併せてチェックしてください。

関連記事:歯周病と全身疾患とのつながりとは?疾患の特徴と歯周病予防について解説

早産・低体重児出産のリスクがある

妊娠している方は、歯周病に特に注意が必要です。歯周病を患っている妊婦は、そうでない妊婦に比べて、早産や低体重児出産のリスクが約7.9倍も高いと言われています。「早産」とは、妊娠22週以降37週未満の出産を指し、「低体重児出産」とは、2500g未満の新生児の出産を指します。

歯周病原菌が産生する毒素が子宮まで到達することで、子宮の収縮を引き起こすのです。妊娠中はホルモンの変化によって、洗浄作用や殺菌作用のある唾液の分泌量が減るので、ただでさえ歯周病の発症リスクが高まります。歯科検診を積極的に受け、自身だけでなく、赤ちゃんの健康も守りましょう。

歯周病を予防するための7つの方法

歯周病は、歯周病原菌の増殖によって発症します。歯周病を予防するためには、以下のような対策を行い、歯周病原菌が増殖しづらい口内環境を維持する必要があります。

  • 毎日のセルフケアを丁寧に行う
  • バランスの良い食べ物を摂る
  • タバコを控える
  • 口呼吸をやめる
  • 歯ぎしり・食いしばりの癖を治す
  • 生活習慣(睡眠・運動)を改善する
  • 歯科医院で定期的なクリーニングを受ける

それぞれの予防法を詳しく見ていきましょう。

毎日のセルフケアを丁寧に行う

自宅でできる歯周病予防として、最も重要なのが毎日のセルフケアです。食事や間食の後になるべく早く歯磨きをすることで、歯周病原菌の増殖を抑え、口内を中性に戻すことで虫歯も予防できます。

また、就寝中は唾液の分泌量が減るため、歯周病原菌が増殖しやすくなります。就寝前の歯磨きを丁寧に行うことに加えて、起きたらすぐに歯磨きを行いましょう。

バランスの良い食べ物を摂る

歯周病予防では、摂取する食べ物にも気を付ける必要があります。食事の摂り方次第では、歯周病原菌を増殖させたり、抗酸化作用や免疫の向上効果を発揮したりします。以下のポイントに気を付けて、普段の食事を見直してみてください。

  • 主食、主菜、副菜のバランスが良い食事を選ぶ
  • 唾液の分泌量が増える食物繊維を多く含んだ野菜を選ぶ
  • 抗酸化作用が高いビタミンC、E、カロテンが豊富に含まれる野菜や果物を摂る
  • 歯や歯槽骨の材料になるカルシウムやマグネシウムを摂る
  • 糖分の多い飲食物を控える

また、何を食べるかも重要ですが、いつ食べるかも重要です。食べカスが口内に残るのを防ぐために、間食や夜食は控えましょう。

タバコを控える

喫煙の習慣がある方は、禁煙に取り組むことで、歯周病の予防効果があります。タバコに含まれる有害物質によって血管が収縮し、歯周ポケットの血流が悪くなることで、歯周病原菌が増殖しやすくなります。また、タバコによる免疫力の低下も歯周病を誘発する一因です。

さらに、タバコによって血流が悪くなると、歯茎から出血がしづらくなるので、初期症状を見逃してしまうかもしれません。禁煙は歯周病のリスクを下げるだけでなく、口臭の減少やがんのリスクを下げたり、味覚を回復させたりする効果も期待できるので、ぜひ取り込んでみてください。

口呼吸をやめる

口呼吸も歯周病の発症を助長します。口呼吸をしていると、分泌された唾液が乾燥するので、プラークが歯の表面に付着しやすくなります。また、唾液の自浄作用が十分に働きません。

日中帯は鼻呼吸をしているという方でも、朝起きた時に喉が異様に渇いていたり、喉が痛かったりする場合は、睡眠中は口呼吸になっている可能性があります。口呼吸は歯並びが影響している場合もあるので、歯科医院を受診するのがおすすめです。

歯ぎしり・食いしばりの癖を治す

上下の歯を噛み合わせて横に擦り合わせる歯ぎしりや、上下の歯を強く噛みしめる食いしばりの癖も、歯周病のリスクを高めます。歯ぎしりや食いしばりは歯周組織に大きな負担を与え、歯を支える骨が吸収されます。力と炎症による負担が歯茎にかかることで、歯のぐらつきを助長することになるのです。

歯科医院では、歯ぎしりや食いしばりの治療もできます。また、歯ぎしりや食いしばりの一因として、ストレスも挙げられるため、リラックスして過ごすことを心掛けてみてください。

生活習慣(睡眠・運動)を改善する

睡眠や運動といった生活習慣も、歯周病と関係しています。筑波大学が2021年に行った研究によると、メタボリック症候群の患者が3ヵ月の運動療法を実施した結果、歯周病の菌が減少していることが分かりました(※2)。

※2参考:メタボ患者の歯周病は運動で改善する

運動によって全身に血液が巡ることで、歯茎の再生能力が高まるので、歯周病予防になります。また、睡眠不足によって自律神経が乱れると、唾液の分泌量が減り、歯周病に発症しやすくなります。適度な運動と十分な睡眠を意識して過ごしましょう。

歯科医院で定期的なクリーニングを受ける

自宅での予防に加えて、定期的に歯科医院のクリーニングを受けるのがおすすめです。歯周病は初期症状がほとんどない病気ですので、歯科医院で検査を受けることで初めて、歯周病の進行が判明することがあります。

また、セルフケアで落とせていない汚れを掃除してもらえるので、歯周ポケットの奥深くや内部に歯垢や歯石が蓄積するのを防げます。定期的に歯科医院のクリーニングを受けることで、歯周病の早期発見と予防の二つの効果が期待できるのです。

歯科医院での歯周病の3つの予防方法

自宅でできる歯周病予防には限界があるのも事実です。歯周病を徹底的に予防するためには、自宅と歯科医院の双方からのプラークコントロールが欠かせません。歯科医院で実施する歯周病予防に効果のある治療は、以下のとおりです。

  • 歯垢・歯石を除去する
  • 噛み合わせを調整する
  • ブラッシング指導を受ける

それぞれ詳しく見ていきましょう。

歯垢・歯石を除去する

自宅で行う歯磨きでは、歯石は除去できません。また、歯周ポケットが深かったり、噛み合わせが悪かったりすると、磨き残した歯垢も多くなります。歯科医院では、スケーラーと呼ばれる器具を使い、歯面に付いた歯垢や歯石を機械的に除去します。

また、歯の表面を研磨することで、今後歯垢が付きづらくすることも可能です。当院では、スケーリングやブラッシングに加えて、副作用を少なくできるレーザー治療によって、歯周ポケット内の細菌を殺菌・洗浄します。

噛み合わせを調整する

噛み合わせが悪く、歯周病のリスクを高めている場合は、噛み合わせの高さなどを調整します。噛み合わせの悪さは、以下のような点から歯周病を助長しています。

  • 過剰な負担がかかることで、歯槽骨が吸収する
  • 消化不良を起こしやすくなり、免疫力が低下する
  • 顎関節症や肩こりなどを誘発し、ストレスによって唾液の分泌量が減少する

噛み合わせ治療には、歯を削る方法やマウスピースを使用する方法などがあるため、詳しい治療方法が知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。

関連記事:噛み合わせ治療には何がある?噛み合わせがおかしくなる原因と治療方法を解説

ブラッシング指導を受ける

自宅でできる歯周病予防として重要であるブラッシングですが、一般的に口腔内全体の約60%〜70%の磨き残しがあると言われています。誤ったブラッシングを頑張ったとしても、残念ながら歯周病予防の効果は低いです。

歯科医院では歯科衛生士からブラッシングをしてもらえるだけでなく、自宅での正しいブラッシング方法を教わることができます。ブラッシング指導を受けるメリットは、以下のとおりです。

  • 普段の歯磨きの問題点を客観的に理解できる
  • 歯磨きのポイントが理解できる
  • 自分の歯に最適な歯磨きの仕方が身につく

一度、ブラッシング指導を受けるだけで、今後の口内の健康状態が大きく変わるので、ぜひ受診してみてください。

自宅での歯周病予防に役立つ4つの道具と使い方

歯周病原菌を繁殖させないために欠かせない毎日の歯磨き。以下の4つの道具を併用することで、除去できるプラークの範囲が広がります。

  • 歯ブラシ
  • 歯間ブラシ
  • デンタルフロス
  • タフトブラシ

それぞれの道具について、詳しく見ていきましょう。

歯ブラシ

正しい歯磨きには、まずは適切な歯ブラシ選びが重要です。以下のポイントを抑えて、あなたに合った歯ブラシを選んでみてください。

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歯ブラシを使用する際は、歯と歯茎の隙間に45度の角度で当てるようにしましょう。また、歯ブラシは毛先が開いてくると、プラークの除去率が約6割まで落ちます。1か月に1度のペースで歯ブラシを交換するのが、理想的です。

歯間ブラシ

歯と歯の隙間のプラークを除去するのに適した清掃用具が、歯間ブラシです。特に、歯と歯の間が広く空いている三角形の隙間に使用するのに向いています。L字タイプの歯間ブラシは、奥歯の清掃におすすめです。

歯間ブラシは、歯茎を傷つけないように歯と歯の間に斜めからゆっくり差し込みます。歯間を水平にしたら、2〜3回前後に動かして清掃しましょう。最後は口をゆすいで汚れを落としたら、終了です。

デンタルフロス

歯と歯の間の面を磨くのに適した清掃用具が、デンタルフロスです。歯科医院を受診した際に、歯科衛生士から勧められたことがある方も、多いのではないでしょうか。歯科医院で受けるクリーニングでも、実践を交えて使い方を指導してもらえます。

糸巻きタイプを使用する際は、以下の手順で使用しましょう。

  1. 40cmくらいに切り、両手の中指に数周巻きつける
  2. 両手の人差し指と親指で糸を操作し、歯と歯の間にゆっくり挿入する
  3. 歯に巻きつけるようにして、歯の面を数回擦る
  4. そのまま動かしながら、糸を取り除く
  5. 全ての歯と歯の間に対して、2~4を繰り返す

タフトブラシ

毛先が一つにまとまった小さな歯ブラシであるタフトブラシは、聞き馴染みがない方も多いのではないでしょうか。歯と歯茎の間の境目や歯と歯の間の磨き残したプラークを除去するのに役立つアイテムです。

鉛筆の持ち方で持ち、気になる箇所に毛先を当てて磨きます。歯並びが悪い箇所や詰め物・被せ物の隙間など、歯ブラシだけでは届きづらい場所を磨けるのでおすすめです。

歯周病の予防に関するよくある質問

最後に、歯周病の予防について、よくある質問を紹介します。

  • 歯周病は歯磨きで治りますか?
  • 歯周病予防におすすめのマウスウォッシュとは?
  • 歯周病予防を謳った歯磨き粉やうがい薬の効果は

それぞれ詳しく見ていきましょう。

歯周病は歯磨きで治りますか?

歯茎が腫れる歯肉炎の段階では、2〜3週間セルフケアを徹底することで、治ることもあります。ただし、歯石が溜まっている場合は、歯科医院でしか除去できません。セルフケアだけで治ると自己判断すると、歯周病が進行して歯槽骨が溶けていく恐れもあります。

少しでも歯周病の症状を自覚している場合は、歯科医院を受診し、適切な処置を行ってもらいましょう。また、治療後も再発予防のために、丁寧なブラッシングは欠かさないでください。

歯周病予防におすすめのマウスウォッシュとは?

口をゆすぐだけで殺菌効果が得られるマウスウォッシュは、歯周病予防にも一時的に効果を発揮します。殺菌効果がある塩化セチルピリジウムや塩化ベンゼトニウム、エッセンシャルオイルが配合されているマウスウォッシュを選ぶのがおすすめです。

歯周病予防を謳った歯磨き粉やうがい薬の効果は

歯磨き粉やうがい薬は、歯周病予防には一定の効果が期待できます。ただし、歯磨き粉やうがい薬の殺菌成分は、細菌が集合したバイオフィルムの中までは届きません。あくまでも歯磨きの補助的な役割に過ぎないことを覚えておきましょう。

まとめ|歯周病予防のためにクリーニングを受けよう

歯周病は、口内だけでなく、全身疾患にも繋がる病気です。すでに歯周病原菌が口内に存在していたとしても、日々のブラッシングや生活習慣の改善などによって予防できます。ただし、自宅でできる予防には限界があるので、歯科医院で定期的にクリーニングを受けてください。

当院では、歯周病になりにくい口内環境を実現できる予防治療を行っております。レーザー治療やスケーリング、ブラッシングによって歯垢や歯石を隅々まで除去します。当院の歯周病予防治療や定期健診が気になる方は、下記のページをご覧ください。

この記事を書いた人

加藤 直之

大阪の梅田にあるえみは総合歯科、加藤です。 当院は、歯医者さんの「痛い・怖い・行きたくない」というイメージをなくし、患者様が悩みを相談できてリラックスした状態で治療ができるそんな医院を目指し運営しております。

資格・所属

NPO法人日本歯科予防協会理事/ISOI インプラント認定医/ドライマウス認定医/日本ドライマウス学会会員/日本抗加齢歯学会会員/医療情報技師認定証/ITIインプラント認定/AQBインプラント認定/ザイブインプラント認定/POIインプラント認定/インプラント学会 所属ブローネマルクインプラント認定/SARGONインプラント認定/審美歯科学会認証