歯周病治療の流れとは?重度の歯周病を治す治療法や治療期間・費用も解説

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こんにちは!大阪 梅田のえみは総合歯科、理事長の加藤直之です。

歯周病治療の目的は、炎症を引き起こしている原因を除去し、感染が起こりにくい口内環境を作り出すことです。歯周病が進行していると、歯を支えている骨が溶けている可能性があるので、進行度合いに応じて治療の流れは異なります。

そこで本記事では、一般的な歯周病治療の流れや重度の歯周病治療について解説します。自宅でできる歯周病になりづらい口内の作り方も掲載しているので、歯周病治療を受けようか検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

また、当院での歯周病治療の流れは、下記のページで詳しく紹介しています。歯周病治療の費用やアフターケアが気になる方は、合わせてチェックしましょう。

歯周病治療を行う3つの目的とは

口内で増殖した歯周病原菌によって引き起こされる歯周病。歯科医院で行われる歯周病治療は進行度合いによって異なりますが、治療の目的は以下のように共通しています。

  • 症状を緩和させる
  • 悪化させている原因を除去する
  • 清潔な口内環境を作る

それぞれ詳しく見ていきましょう。

症状を緩和させる

歯周病が進行してくると、日常生活に支障をきたすほどの症状に見舞われることがあります。そのため、症状を緩和させて日々の辛さを和らげるのも、重要な目的の一つです。歯周病は初期症状が出にくい病気ですので、以下のような症状が現れた頃には、歯周病が進行している可能性があります。

  • 歯茎が赤みを帯びて腫れる
  • 歯磨きや食事の際に歯茎から出血する
  • 歯茎が炎症を起こして痛みを感じる
  • 口臭が酷くなる
  • 歯肉が下がって歯が長く見える
  • 歯がぐらぐらする
  • 歯茎から膿が出てくる

悪化させている原因を除去する

歯周病を悪化させている原因を突き止め、除去することが、歯周病の根本的な解決に繋がります。歯周病の原因は、歯周病原菌が塊になったプラーク(歯垢)です。歯周病原菌は酸素が少ない場所を好むので、酸素が少ない歯周ポケットに入り込みます。

そして、プラークに潜む歯周病原菌が毒素を産生することで、炎症を引き起こすのです。また、プラークは2〜3日が経過すると石灰化し、歯石になります。歯石は歯ブラシでは除去できないため、歯科医院で除去してもらう必要があります。

清潔な口内環境を作る

歯周病はプラークコントロールが不十分だと再発しやすい病気です。一時的に症状を緩和させるだけでなく、清潔な口内環境を作ることによって、歯周病原菌の増殖を抑えます。また、歯周病治療には、患者様の協力も不可欠です。

自宅でできる歯周病の予防方法を教わることで、歯周病が発症しづらい清潔な腔内環境が持続します。患者様自身に歯周病の知識を深めてもらうことも、歯周病治療の一環と言えるでしょう。

歯周病治療の7ステップの流れとは

歯周病の最初の段階で行われる基本治療は、以下のような7つの流れで進んでいきます。患者様の口内状態によりますが、通院回数は6回〜10回程です。

  • ステップ1|初診カウンセリング
  • ステップ2|精密検査
  • ステップ3|治療計画立案
  • ステップ4|レーザー治療
  • ステップ5|スケーリング
  • ステップ6|ブラッシング
  • ステップ7|メンテナンス

それぞれの治療内容について、詳しく見ていきましょう。

ステップ1|初診カウンセリング

まずは、患者様が抱えている心配事やお悩みを歯科医師が伺います。費用や痛み、期間など、重視しているポイントは患者様によって異なるでしょう。今後の治療方針や費用に関する説明を受け、十分に納得した上で治療に入っていきます。

歯周病について分からないことがあれば、この治療前のカウンセリングの場で質問しましょう。患者様自身も歯周病に関する知識を深めることで、歯科医師とよく話し合い、自分に合った最善の治療法を選べるようになります。

ステップ2|精密検査

歯周病は初期症状がほとんどないので、検査をしなければ口内の正確な状態が把握できません。レントゲンなどを用いて、歯周病の進行度合いを診断します。歯周病治療におけるレントゲンの主な役割は、以下のとおりです。

  • 歯を支える骨(歯槽骨)が、どの程度破壊されているか確かめる
  • 歯周病原菌の温床になる歯石が、どこに付着しているか把握する
  • 画像を患者様に見せながら、分かりやすく説明できる

ステップ3|治療計画立案

歯科衛生士と歯科医師から検査結果の説明を受け、まずは自身の口内の状態を把握します。その上で、どのように治療を進めていくのかを話し合い、治療計画を立案します。

治療計画の立案は、口内の状態と患者様のご要望を考慮した最善の治療方法を導き出すために重要なステップです。特に、全身疾患をお持ちの方は免疫力の問題もあるため、多角的かつ慎重に治療計画を立てる必要があります。

ステップ4|レーザー治療

ここからは、歯周病の原因を除去していくステップです。レーザーを歯周ポケットに照射することで、精密に歯周病原菌の殺菌と洗浄を図ります。また、レーザー治療には、以下のようなメリットがあります。

  • 歯周ポケットの奥深くや複雑な形状の内部にも到達する
  • 歯根に沈着している内毒素を無効化する
  • 耐性菌ができない
  • 腫れや痛みがほとんどない
  • 歯茎の治癒を早める

歯周病のレーザー治療のメリット・デメリットや費用について気になる方は、こちらの記事も併せてチェックしてみてください。

関連記事:歯周病のレーザー治療とは?進行度別の費用やメリット・デメリットも解説

ステップ5|スケーリング

スケーラーと呼ばれる器具を使い、プラークや歯石を機械的に除去する治療が、スケーリングです。プラークは時間の経過とともに歯石へと変化し、ブラッシングでは取り除けなくなります。

スケーリングによって安全に歯石を除去し、歯の表面を滑らかにすることでプラークや歯石の再付着も防止できるのです。また、スケーリングには、口臭改善の効果もあります。口臭の原因となっているガスを産生する歯周病原菌の数を減らせるからです。

ステップ6|ブラッシング

最後の仕上げとして、歯科衛生士によるブラッシングがあります。歯ブラシだけでなく、デンタルフロスなども用いて、残っているプラークを除去します。また、歯科医院でいくら口内を綺麗にできたとしても、自宅のブラッシングが不十分であれば意味がありません。

歯科衛生士に自宅でのブラッシング方法をチェックしてもらい、正しい磨き方を教えてもらいます。これにより、歯周病が再発しづらい口内を維持できるのです。

ステップ7|メンテナンス

歯周病は再発していたとしても、初期症状がないため、症状が進行してしまう恐れがあります。治療後も定期的にメンテナンスを行うことで、以下のような効果が得られます。

  • 歯周病を早期に発見でき、治療にかかる負担が少なくなる
  • 磨き残したプラークや歯石を除去してもらえる
  • 自宅でのブラッシング方法のフィードバックが得られる

歯周病は再発が多い病気なので、油断は禁物です。特に、歯周ポケットが深くなっている場合はプラークが溜まりやすく、奥深くや内部に入り込んでしまうと自宅での除去が難しくなります。定期的なメンテナンスによって、歯周病の再発や進行を食い止めましょう。

重度の歯周病を根本から治すTHP治療とは

歯周病が重度まで進行し、歯槽骨の吸収が起こっている場合は、上記の基本治療だけでは不十分である可能性があります。トータルヘルスプログラムを行うことで、重度の歯周病であっても根本治療が可能です。

  • トータルヘルスプログラムの特徴
  • THP治療が向いている人とは
  • THP治療の流れ

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

トータルヘルスプログラムの特徴

口腔内の細菌だけでなく、腸内細菌にまでアプローチし、根本的な原因を除去することで、歯周病の再発リスクを極限まで減らす治療が「トータルヘルスプログラム(THP治療)」です。また、重度の歯周病の場合は、歯茎の切開や抜歯を伴う場合がありますが、THP治療では外科処置が必要ありません。

当院は、全国でも有数の遺伝子検査が行えるクリニックです。口内に潜む細菌や成分量を遺伝子レベルで検査し、歯周病の原因をピンポイントで突き止めます。通常の検査では分からない、強力な歯周病原菌であるポルフィノモナス・ジンジバリスの検出も可能です。

THP治療が向いている人とは

歯周病のリスクを低減するという点において、THP治療は非常に優れた治療法です。保険適用外のため、基本治療と比較すると費用はかかりますが、再発防止効果が持続するので、費用対効果は高いと言えるでしょう。THP治療が向いている人の特徴は、以下のとおりです。

  • 治療後の再発を防ぎたい人
  • 従来の治療後に再発を繰り返してしまう人
  • 外科処置を行いたくない人
  • 通院回数を最小限にしたい人
  • 自費診療を許容できる人

元々歯並びが悪かったり、歯磨きが苦手だったりする場合は、再発リスクが高まります。THP治療では根本治療が期待できるので、生涯の歯科医院への通院回数を減らしたい方にも、おすすめの治療法です。

THP治療の流れ

THP治療では、様々な角度から、あらゆる方法を盛り込んで根本解決を目指します。THP治療の基本的な流れは、以下のとおりです。

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自分でできる歯周病が進行しづらい環境の作り方

歯科医院での治療が終了した後は、自宅での歯周病予防が重要です。以下のような方法を行うことで、歯周病原菌が再び増殖しづらい口内環境を維持できます。

  • 日々のブラッシングを丁寧に行う
  • 生活習慣を改善する
  • 定期的にメンテナンスを受ける

それぞれの予防法について、詳しく見ていきましょう。

日々のブラッシングを丁寧に行う

歯周病を予防するには、日々の生活で増えたプラークを除去する「プラークコントロール」が必要です。以下のようなポイントに気をつけて、毎日のブラッシングを行いましょう。

  • 歯磨きの回数は重要ではなく、1回1回を丁寧に磨く
  • 食後30分~1時間後を目安に歯を磨く
  • 就寝中は歯周病原菌が増殖しやすいため、就寝前は特に丁寧に磨く
  • 歯と歯茎の境目に45度で毛先を当て、左右に小刻みに磨く
  • 歯の表面は、毛先を直角に当てて磨く

歯周病の予防について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

関連記事:歯周病を予防する10の方法とは?歯周病予防に役立つアイテムも紹介

生活習慣を改善する

歯周病の直接的な原因は、細菌が塊になったプラークや歯石ですが、それらを増殖させる生活習慣も間接的な要因です。免疫力を低下させたり、口内環境を悪化させたりする生活習慣が該当します。生活習慣を改善するために、以下のようなポイントに気を付けましょう。

  • 栄養バランスの良い食事を摂る
  • 間食や夜食を控える
  • アルコールやタバコを控える
  • 十分な睡眠時間を確保する
  • 適度に運動する
  • よく笑う習慣をつける

定期的にメンテナンスを受ける

自宅でできる歯周病予防には限界があるので、定期的に歯科医院でメンテナンスを受けましょう。プロの手でしっかり口内を掃除してもらうことで、歯周ポケットの奥深くや内部に入り込んだプラークや歯石も除去できます。

また、歯周病やその他の腔内トラブルを早期発見できるので、結果的に治療期間や治療費を抑えることが可能です。メンテナンスを受ける適切なタイミングについては、歯科医院で伺ってみてください。

歯周病の治療の流れに関するよくある質問

最後に、歯周病の治療の流れについて、よくある質問を紹介します。

  • 歯周病治療の期間はどのくらい?
  • 歯周病治療にかかる費用はどのくらい?
  • 40代女性で歯周病が手遅れとなる症状は?
  • 自分でできる歯周病の治し方は?
  • 歯周病が治った人はいる?

それぞれ詳しく見ていきましょう。

歯周病治療の期間はどのくらい?

患者様の口内の検査結果によって治療期間は異なりますが、一般的には約3ヵ月ほどです。また、保険適用内で治療を行う場合は、ルールで定められた範囲のみを1回の来院で治療することになるため、重度になればなるほど治療期間や通院回数は延びる傾向にあります。

一方で、自費の歯周病治療では、保険診療のルールに従う必要がないため、短期間での治療が可能です。自費診療であるTHP治療では、6〜10回の通院回数で治療が完了します。

歯周病治療にかかる費用はどのくらい?

保険内診療である基本治療であれば、治療費は3割負担で済みます。治療期間が長くなるほど治療費は高額になり、1回あたりの保険適用内の費用は3,000円程度です。

自由診療であるTHP治療は、基本治療では不可能な根本的な治療が望めますが、治療費は比較的高額になります。THP治療にかかる費用は、平均125,000円〜265,000円程度です。

40代女性で歯周病が手遅れとなる症状は?

歯科医院で手遅れと診断された場合には、抜歯が適用されます。一般的に、歯周病で手遅れと言われる症状は、以下のとおりです。

  • 舌や指で歯を触った時に、ぐらぐらする
  • 食べ物をしっかり噛めない
  • 歯茎から膿が出ている

ただし、歯周病治療の経験が豊富な歯科医院にかかると、歯を残す方法を提案してもらえる可能性もあります。重度の歯周病である歯槽膿漏の治し方が知りたい方は、こちらの記事もチェックしてください。

関連記事:歯槽膿漏の7つの治し方とは?自宅でできる予防法や治療薬の効果も解説

自分でできる歯周病の治し方は?

初期の歯肉炎であれば、ブラッシングを徹底することで症状が改善する場合があります。しかし、歯石が付着している場合や、歯ブラシが届かない場所にプラークが溜まっている場合は、歯科医院でしか除去できません。自己判断せずに、歯科医院を受診することをおすすめします。

歯周病が治った人はいる?

歯周病治療における「治る」とは、歯周病原菌の数が減少し、その状態を維持し続けられることです。歯科医院での治療に加えて、自宅でもプラークコントロールを行うことで、歯周病は治ります。

また、口内の細菌だけでなく、腸内細菌にもアプローチするTHP治療を行うことで、歯周病が生涯かかりづらい口内環境を作り出せます。THP治療は、厚生労働

省に認められた一部のクリニックにしか導入されておらず、当院もそのうちの一つです。

まとめ|歯周病の治療の流れは歯科医院で確認しよう

歯周病治療の目的は、悪化させている原因を除去することで症状を緩和させるだけではなく、歯周病が再発しづらい清潔な口内環境を作ることです。歯周病の基本治療の流れでは、最初にカウンセリングや精密検査を行い、患者様が納得する治療計画を立案します。

その後、レーザー治療やスケーリング、ブラッシングによって歯周病の原因を除去します。治療後に歯周病が再発しないためには、日々の丁寧なブラッシングや生活習慣の改善に加えて、定期的なメンテナンスを受けることが重要です。

当院では、保険適用内で受けられる予防治療と、根本的な治療ができるTHP治療をご用意しております。THP治療では、重度の歯周病であっても外科処置を行うことなく、遺伝子レベルで歯周病の改善が期待できます。当院の歯周病予防治療やTHP治療の流れが気になる方は、以下のページをご覧ください。

この記事を書いた人

加藤 直之

大阪の梅田にあるえみは総合歯科、加藤です。 当院は、歯医者さんの「痛い・怖い・行きたくない」というイメージをなくし、患者様が悩みを相談できてリラックスした状態で治療ができるそんな医院を目指し運営しております。

資格・所属

NPO法人日本歯科予防協会理事/ISOI インプラント認定医/ドライマウス認定医/日本ドライマウス学会会員/日本抗加齢歯学会会員/医療情報技師認定証/ITIインプラント認定/AQBインプラント認定/ザイブインプラント認定/POIインプラント認定/インプラント学会 所属ブローネマルクインプラント認定/SARGONインプラント認定/審美歯科学会認証