歯周病は20代でもかかる?3つの原因と放置することで起こりうるリスク

カテゴリー:

こんにちは!大阪 梅田のえみは総合歯科、理事長の加藤直之です。

歯茎の腫れや出血などの症状があるものの、20代で歯周病になるのか疑問に思う方もいるでしょう。

高齢者の病気というイメージがある歯周病は、20代でもかかります。近年では、20代でも2割以上が歯周病にかかっており、歯茎にトラブルを抱える「歯周病予備軍」は7〜8割ほどいるのが事実です。

本記事では、20代での歯周病の割合や原因を解説します。歯周病を放置することで起こりうるリスクも紹介するので、歯科医院を受診するか悩む方の参考になれば幸いです。

当院では初診時にカウンセリングを行い、患者さんの悩みや治療への不安・希望などを伺っています。治療の流れについて知りたい方は、こちらのページもご覧ください。

歯周病の人で20代の割合は?

高齢者に多いイメージがある歯周病は、20代でかかることも珍しくありません。

それぞれの年齢階級別に、歯周病罹患率を以下にまとめました。

[table id=167 /]

※参照 厚生労働省 令和4年歯科疾患実態調査結果の概要

歯周ポケットが4mm以上で歯周病になっている人の割合は、20代ですでに2割以上で、年齢が上がるごとに増加しています。

また、歯茎に何らかのトラブルがある「歯周病予備軍」の割合は、7〜8割です。

歯周病は症状なく進行するため、早めに治療しないと重症化します。定期検診の受診やセルフケアの徹底を心がけましょう。

歯周病は20代でもかかる3つの原因

20代でも歯周病にかかる原因は、以下3つです。

  • 不十分な歯磨き
  • 口腔環境の悪さ
  • 生活習慣の乱れ

それぞれ解説するので、参考にしてください。

歯周病の原因について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

関連記事:歯周病の原因は?悪化させる5つのリスクファクターと進行度別の治療方法

不十分な歯磨き

歯磨きが不十分だと歯垢が残り、歯周病菌が増殖する原因となります。

歯周病の直接的な原因である歯垢は、細菌の塊です。磨き残したままだと再石灰化して歯石となり、歯ブラシでは取れません。

歯石になってしまうと、歯科医院でスケーリング(歯石除去)を受ける必要があります。

そのまま放置すると歯垢や歯石に生息する歯周病菌が増殖し、歯茎に炎症を起こすため注意してください。

不十分な歯磨きは歯の表面に歯垢を残してしまうため、歯周病にかかる原因といえます。

口内環境の悪さ

歯周病は口腔内の環境が悪いと、進行しやすくなります。

口腔内の環境が悪い例は、以下のとおりです。

  • 口呼吸
  • 不正咬合
  • 合わない被せ物
  • 歯ぎしり・食いしばり

口呼吸は口腔内が乾燥し、歯周病菌が増殖しやすくなります。鼻の疾患や口周りの筋力低下など、口呼吸の原因はさまざまですが、可能なら鼻呼吸を意識しましょう。

歯並びが悪い部分や合わない被せ物は、歯垢が溜まりやすく磨き残ししやすい場所です。歯磨きで注意する必要がありますが、治療などで改善できる場合は検討するのをおすすめします。

歯ぎしり・食いしばりは歯や歯を支える歯槽骨に負担がかかり、局所的に歯周病が進行しやすくなります。特に、就寝中は無意識に行われているため、マウスピースを作成し歯への負担を減らす治療が必要です。

歯周病の直接的な原因は歯垢ですが、さまざまな環境が重なることで進行しやすくなるため、注意しましょう。

生活習慣の乱れ

生活習慣が乱れると体の免疫力が低下し、歯周病を引き起こしたり悪化しやすくなったりします。

生活習慣の乱れとして代表的なものは、以下のとおりです。

  • 寝不足
  • 不規則な生活
  • ストレス
  • 偏った食生活
  • 喫煙

寝不足や不規則な生活・ストレスは免疫力を低下させてしまいます。

また、間食などで糖質を多く摂る食生活は歯垢を作るため、改善するのがおすすめです。

喫煙は血行不良を引き起こし、治療しても治りが悪くなります。口腔内だけでなく、体の健康のためにも、可能なら禁煙しましょう。

歯周病は20代でも重度になる?4段階の進行度と症状

歯周病は「若いからかからない」とは限らず、20代でも条件が揃えば重度歯周病へと進行します。

歯周病の症状を進行度別に、以下にまとめました。

[table id=168 /]

初期の歯周病は自覚症状なく進むため、少しでも症状を感じるようなら歯科医院を受診しましょう。

当院では、カウンセリングにて患者さんの悩みや不安などをお聞きしています。

歯肉炎

歯肉炎は歯茎のみに炎症を起こしている状態で、歯周ポケットは2〜3mmです。

症状には歯茎の腫れや歯磨き時の出血が挙げられますが、自覚症状が少なく気づかない方も少なくありません。

治療は歯科医院でのスケーリング(歯石除去)と、丁寧な歯磨きで症状は改善します。

しかし、歯肉炎に気づかず放置していると、症状が出たときには手遅れだったというケースもあります。定期的に受診していれば歯周病の進行は防げるため、症状がなくてもメンテナンスを受ける習慣をつけておきましょう。

軽度歯周炎

歯を支える歯槽骨の吸収が始まる軽度歯周炎は、歯周ポケットが3〜4mmの状態です。

軽度歯周炎の症状は歯茎の腫れと軽い出血を伴いますが、歯肉炎と同様に自覚症状が少なくすぐには気づけません。

歯科医院での治療は、歯肉炎と同様にスケーリングを行います。必要に応じてブラッシング指導を行い、歯磨き方法を見直します。

軽度歯周炎も、基本的な治療と丁寧な歯磨きで症状は改善するので「たかが歯磨き」と侮らず、セルフケアを徹底させましょう。

歯周病の初期症状を知りたい方は、こちらの記事もぜひチェックしてください。

関連記事:歯周病の初期症状とは?5段階の進行度別の症状や治療・予防法も解説

中等度歯周炎

中等度歯周炎は歯槽骨が半分近く吸収しており、歯周ポケットは4〜6mmです。

軽度歯周炎の症状に加え、歯のぐらつきや口臭・排膿などの症状が伴います。歯周ポケットが深くなるため、ポケット内にも歯垢や歯石が溜まるのが特徴です。

歯科医院ではスケーリングだけでなく、SRP(スケーリング・ルートプレーニング)という歯周ポケット内の歯垢・歯石除去も行います。

しかし、治療しても失われた歯槽骨は元の状態には戻りません。完治するのは難しいため、症状の改善や進行予防を目的とした治療が行われます。

重度歯周炎

重度歯周病(歯槽膿漏)は歯槽骨が3分の2以上吸収された状態で、歯周ポケットは6〜7mm以上です。

今までの症状だけでなく、歯のぐらつきや強い口臭・排膿などの症状が顕著に現れます。他にも、歯槽骨の吸収が大きいために噛むと痛む・上手く噛めないなどの症状があるのも特徴です。

治療はスケーリング・SRPをした後、必要に応じて歯周外科を行います。

治療を受けずに放置していると、自然に歯が抜け落ちることも珍しくありません。

歯周病を放置すると起こりうる2つのリスク

歯周病は歯肉炎から始まり、徐々に進行します。放置しても自然に治ることがない歯周病は、少しずつ確実に進行します。

歯周病を放置することで起こりうるリスクを、以下にまとめました。

  • 歯周病が進行し歯を失う
  • 全身の健康に影響する

リスクをきちんと理解して、歯周病が進行しないように注意していきましょう。

歯周病が進行し歯を失う

歯周病の治療をせず放置し続けるとさらに進行し、最終的には歯を失ってしまいます。

歯周病は自然に治らず、少しずつ進行する病気です。進行して歯槽骨の吸収が半分位以上になると、歯を支えきれなくなり抜歯が必要になります。

なかには、歯が自然に抜け落ちることも珍しくありません。

歯が抜けると、ブリッジや義歯・インプラントで噛み合わせを戻す必要があります。ブリッジと義歯は保険適用内で治療できますが、抜けた歯の噛み合わせを戻すために、少なからず周りの歯に負担がかかります。

したがって、1本の歯を失う代償は大きいといえるでしょう。

抜歯後の治療方法に関しては、こちらの記事も参考にしてください。

関連記事:インプラントかブリッジか?費用・寿命などの違いやメリット・デメリットを徹底比較

全身の健康に影響する

歯周病を放置し続けると歯を失うだけでなく、歯茎の血管から全身へと影響を及ぼします。

歯周病が及ぼす全身への影響は、以下のとおりです。

  • 糖尿病
  • 動脈硬化
  • 誤嚥性肺炎
  • 早産・低体重児出産

例えば、糖尿病で高血糖状態になると、免疫力が低下し歯周組織を修復する働きも低下します。口腔内では歯周病になりやすく、進行しやすい状態になるでしょう。

一方、歯周病菌により量産された毒素や炎症物質は、インスリンの働きを妨げ血糖コントロールに悪影響を与えるため、糖尿病が悪化しやすいといわれています。

ほかにも、口腔内の細菌が誤嚥により肺に入り込むと、肺炎を起こす場合があるのも事実です。歯周病菌が原因になることが多い誤嚥性肺炎は、咳反射や嚥下機能が低下している高齢者や要介護者にみられます。

歯周病菌によって作られた炎症物質が歯茎の血管から全身へ巡り子宮へ到達すると、収縮する刺激を受けるため、出産予定日よりも早く出産に至ることがあります。

歯周病は口腔内だけの疾患と思われがちですが、さまざまな影響があるのを理解しておきましょう。

歯周病と全身疾患について詳しく知りたい方は、こちらの記事も併せてチェックしてください。

関連記事:歯周病と全身疾患とのつながりとは?疾患の特徴と歯周病予防について解説

20代における歯周病の治し方4選

20代での歯周病治療は、一般的な流れに沿って行われます。

治療の流れは、以下のとおりです。

  1. ブラッシング指導
  2. スケーリング
  3. SRP(スケーリング・ルートプレーニング)
  4. 歯周外科処置

それぞれの治療法を解説します。詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。

関連記事:歯周病治療の流れとは?重度の歯周病を治す治療法や治療期間・費用も解説

ブラッシング指導

歯周病を改善するためには、セルフケアの徹底が必要不可欠です。

毎日歯磨きしていても、きちんと磨けていなければ治療の効果も発揮できません。

したがって、歯科医院では磨き残しを赤く染め出し、磨けていない部分の指導を行います。歯ブラシだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシの使用など、患者さんに合ったブラッシング方法を指導してもらいましょう。

ブラッシング指導は歯周病の予防だけでなく、治療を効率的に進めるためにも重要な治療です。

スケーリング

スケーリングは、歯の表面に付着した歯垢や歯石を除去する歯周病の基本的な処置です。

スケーラーや超音波スケーラーと呼ばれる専門の器具を使用して、歯に付着した汚れを落とします。

歯石は歯垢が再石灰化して硬くこびりついたもので、歯磨きでは落とせません。柔らかい歯垢のうちに歯磨きで落とせるのが望ましいでしょう。

SRP(スケーリング・ルートプレーニング)

SRP(スケーリング・ルートプレーニング)は、深いポケット内に溜まった歯垢や歯石を除去する処置です。

専用のスケーラーをポケット内に挿入し、歯の根の表面に付着した歯垢・歯石を除去します。

必要に応じて麻酔するため、複数回に分けての治療が必要です。歯周ポケットが深い部位が多いほど、治療回数は増えてしまいます。

歯周外科処置

歯周外科処置は歯茎を切開し、歯垢や歯石を直接見えるようにして徹底的に除去する処置です。

基本治療であるスケーリング・SRPでも改善が見込めない場合、必要に応じて行われます。

保険適用でできる処置から、自費診療として扱われる歯周組織再生療法など状態に応じて処置します。

歯周外科処置は1回の治療時間も長くなり、少なからず体への負担もある処置です。不安や疑問点などがあれば、担当医に相談しましょう。

20代での歯周病に関するよくある質問

20代における歯周病に関して、よくある質問を以下にまとめました。

  • 20代で歯周病になると総入れ歯になるのか
  • 20代で歯周病になる人には女性が多いのか

それぞれ解説するので、ぜひチェックしてください。

20代で歯周病になると総入れ歯になりますか?

入れ歯は高齢者がつけるものというイメージがありますが、20代の人でも総入れ歯になる可能性はあります。

特に、以下の項目に当てはまる人は歯周病が進行しやすいので注意してください。

  • 歯磨きする習慣がない
  • 虫歯や歯周病を放置している
  • 歯ぎしりの習慣がある
  • 歯に衝撃が加わってしまった

入れ歯とは、歯茎を模したピンク色の土台に人工歯を並べて作った噛み合わせを戻す装置です。なかでも、全ての歯を失ったケースで使われる入れ歯を「総入れ歯」と呼びます。

入れ歯は基本的に保険適用内で治療費の負担が少なく、インプラントのような外科処置が必要ないなどのメリットがあります。

一方、自分の歯と違って違和感が強く、慣れるまでに時間がかかるというデメリットがあるのも事実です。

総入れ歯の使用が必要な状態になるまでには、ある程度の時間がかかります。全ての歯が失われる前に、歯科医院を受診しましょう。

20代で歯周病になる人には女性が多いのは本当ですか?

20代に限らず、男性よりも女性の方がホルモンの影響を受けやすく、歯周病になりやすいです。

歯周病菌は女性ホルモンを好む種類が存在し、ホルモンの分泌量が増えると細菌も増殖します。

女性ホルモンは歯と歯茎の境から少しずつ染み出し、特に月経前に増加するという特徴があります。そのため、月経前に歯茎のトラブルを感じる人が多いでしょう。

また、女性の方が唾液の分泌量が少ないことが多く、口腔内が酸性に傾きやすいのも特徴の一つです。酸性に傾いた口腔内は、環境が悪化しやすいといわれています。

まとめ|20代での歯周病には早めの治療と予防で対策しよう

歯周病は20代でもかかることがあり、放置すると重症化してしまいます。

特に、初期状態では自覚症状が少なく、症状を感じる頃には進行していることも少なくありません。手遅れにならないためには定期的に歯科医院を受診し、検診やメンテナンスを受けるのが重要です。

セルフケアも大切ですので、受診した際にはブラッシング方法の指導も受けましょう。

当院では治療前に口腔内の検査を行い、患者さんに合わせた治療計画を立てています。ブラッシング指導も実施していますので、お気軽にご相談ください。

この記事を書いた人

加藤 直之

大阪の梅田にあるえみは総合歯科、加藤です。 当院は、歯医者さんの「痛い・怖い・行きたくない」というイメージをなくし、患者様が悩みを相談できてリラックスした状態で治療ができるそんな医院を目指し運営しております。

資格・所属

NPO法人日本歯科予防協会理事/ISOI インプラント認定医/ドライマウス認定医/日本ドライマウス学会会員/日本抗加齢歯学会会員/医療情報技師認定証/ITIインプラント認定/AQBインプラント認定/ザイブインプラント認定/POIインプラント認定/インプラント学会 所属ブローネマルクインプラント認定/SARGONインプラント認定/審美歯科学会認証