歯茎が腫れる原因は?自分でできる応急処置と治し方を徹底解説

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こんにちは!

大阪 梅田のえみは総合歯科 理事長 加藤直之です。

「最近、歯茎が腫れてきたけれど原因がわからない」

「応急処置の方法があれば知りたい」

突然歯茎が腫れると、上記のような不安を感じる方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、歯茎が腫れる原因を紹介したうえで、自分でできる応急処置や歯科医院で行う治療法について解説します

腫れを防ぐためのセルフケアや、ストレスとの関係についても掲載しているので、「歯茎の腫れをしっかり予防したい」と思っている方も、ぜひ参考にしてくださいね。

また下記のページでは、当院での初診の方へ向けた診療の流れを紹介していますので、気になる方はぜひご覧ください。

歯茎が腫れる原因は、以下の6つが考えられます。

  • 歯周病で歯茎が腫れている
  • 虫歯が進行して歯茎が腫れている
  • 歯ブラシで傷が付いている
  • 歯根が割れている
  • 親知らずが原因で歯茎が腫れている
  • 口腔ガンがある

それぞれの原因が理解できるように、詳しく見ていきましょう。

歯周病で歯茎が腫れている

歯周病とは、「汚れが歯周ポケットに溜まり、炎症を起こした状態」をいいます。

歯垢(歯周病菌の集まり)が原因で歯周病が進行していき、そのまま放置しておくと歯茎が炎症を起こし歯茎が腫れます。

ただし実際は、軽度の歯周病だと自覚症状が起きにくい傾向にあるため、自分が歯周病だと気づかないまま進行してしまうことが多いです。

歯周病が進行すると歯茎が腫れるだけでなく、歯周ポケットが深くなることで歯がぐらつき、自然に脱落する恐れもあります。

歯周病を防ぐには、歯科医院でメンテナンスを受けることが大切です。こまめにメンテナンスを受けることで、歯周病の進行を防ぐことができます。

歯周病の治療について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

関連記事:歯周病の原因は?悪化させる5つのリスクファクターと進行度別の治療方法

虫歯が進行して歯茎が腫れている

虫歯は、歯の表面のエナメル質が溶け始める初期段階では、症状が出ないことが多いですが、虫歯が歯の神経に達すると、歯根(歯の根っこ)に炎症が起きて膿が溜まり、歯茎が腫れることがあります。

この状態だとズキズキとした激しい痛みが伴い、顔が腫れたり発熱が起こることも少なくありません。

また、過去に虫歯治療を受けた歯(歯の根っこの治療を行った歯)が、細菌感染を起こし、歯の根っこで膿が出ることがあります。これを歯根嚢胞(しこんのうほう)と呼び、歯の神経が死んでいる状態のため、痛みが出ないことが多いです。

歯ブラシで傷が付いている

歯ブラシで歯茎を傷つけてしまった場合も、歯茎が炎症を起こし腫れることがあります。

歯磨きのときに強く磨いてしまうと、歯茎を傷つける恐れがあるため、ゴシゴシと強く磨かないように注意しましょう。

正しい歯磨きの方法を理解するには、歯科医院で歯磨き指導を受けることがおすすめです。

歯根が割れている

歯根が割れる(歯根破折)と、歯茎が腫れることがあります。

歯根が割れたときにできる根っこのヒビに細菌が入り込むことで、歯茎が腫れるのです。

歯根破折の原因は、以下の原因が考えられます。

  • 歯の神経を抜いたことにより歯根の強度が低下する
  • 食いしばりや歯ぎしりなどで過度な力がかかる

歯根は歯茎に覆われており、歯の神経を抜いていると痛みを感じにくいため、ヒビが入っていることに気づかない場合があります。

親知らずが原因で歯茎が腫れている

親知らずが原因で細菌が繁殖し、歯茎が腫れる(智歯周囲炎)ことがあります。

智歯周囲炎の主な症状は、以下の通りです。

  • 奥歯が痛む
  • 頬が腫れる
  • 口を開け閉めするときに違和感がある
  • 口臭が気になる

親知らずが他の歯と同じように真っすぐ生えている場合は、歯茎が腫れることは少ないです。ただし斜めや横向きに生えている状態だと、細かい部分まで歯ブラシが届きにくいため、食べ物や歯垢が溜まりやすくなり、歯茎が腫れることがあります。

口腔ガンがある

口腔ガンの中の「歯肉ガン」で、歯茎が腫れることがあります。歯肉ガンは、歯茎のどこからでも発生し、初期の場合は痛みを感じることが少なく、無痛性の歯茎の腫れが見られることがあります。

見た目が口内炎と似ている場合もあるため、誤診されやすく患者さんもすぐに治るだろうと放置している場合が多いです。

もし口内炎の症状が改善しない、あるいは白くいびつな物ができて大きくなる場合、早急に口腔外科を受診しましょう

歯茎が腫れたときの自分でできる応急処置

ここからは、以下の歯茎が腫れた場合の応急処置を紹介します。

  • 腫れている部分を冷やす
  • 腫れている部分は柔らかいブラシで優しく磨く
  • 歯茎が腫れて痛いときは痛み止めの薬を飲む

それぞれの応急処置が理解できるように詳しくみていきましょう。

腫れている部分を冷やす

以下のように歯茎を冷やすことで、腫れを抑えられやすくなります。

  • 保冷剤や袋に入れた氷水を当てる
  • 冷感シートを貼る
  • 冷水を含ませたタオルを当てる

この際、肌へのダメージを軽減させるため保冷剤や袋に入れた氷は、タオルなどに包んでから肌に当てるようにしましょう。

腫れている部分は柔らかいブラシで優しく磨く

歯茎が腫れている部分は、柔らかいブラシで磨くようにしましょう。腫れたところが気になるからと歯ブラシを全く当てないでいると、お口の細菌が増えてしまい、歯茎の炎症が悪化することがあります。

柔らかい歯ブラシを使って優しくなでるように当てて、丁寧にセルフケアを行うことが大切です。

歯茎が腫れて痛いときは痛み止めの薬を飲む

歯茎が腫れて、痛みが気になる場合は痛み止めを服用しましょう。歯科医院で相談して薬を処方してもらうのが一番ですが、すぐにでも痛みを止めたい場合は、市販の痛み止めでも構いません。

ただし、日常的に飲んでいる薬がある場合は、薬の相互作用に問題がないかなどを、処方された薬剤師などに相談するようにしましょう

歯科医院での歯茎が腫れている場合の治し方

次に、以下の歯科医院での歯茎が腫れている場合の治療法を紹介します。

  • 歯周病の治療を行う
  • 虫歯の治療(根管治療)を行う
  • 抜歯を行う
  • 親知らずの消毒を行う

歯茎の腫れの原因によって治療法が変わるため、一つずつチェックしていきましょう。

歯周病の治療を行う

歯周病の原因となる歯垢や歯石を除去することで、歯茎の腫れを治すことが可能です。

治療内容としては、レントゲン撮影や歯茎の検査を行い、歯周病の進行の度合いを診ていきます。そして歯石取りやブラッシングの指導を行い、歯周病の原因となる口腔内細菌の除去を行います。

歯周病が軽度や中等度の場合は、上記の治療内容(歯周基本治療)で終了して、メンテナンスに入ることが多いです。

ただし歯周病が重度になると、歯周病が進行している部分の歯茎を切開し、歯周病菌を除去する外科治療が必要になることがあります

よって歯周病の治療は、軽度のうちに治療を行ったほうが、身体への負担が少なく済むため、歯茎の腫れなどの症状が出る前に、歯科医院で診てもらうことがおすすめです。

なお当院では、歯周治療を行う際も入念にカウンセリングを行い、患者様の同意を得てから治療に入るよう努めております。歯茎の腫れ・違和感などのささいなお悩みも、お気軽にご相談ください。

虫歯の治療(根管治療)を行う

虫歯が重度に進行して歯根の周囲が腫れている場合は、歯の根っこの治療(根管治療)を行います。

虫歯が歯の神経まで進行している場合、神経が死んでしまっていて歯の根っこも汚染されています。死んだ神経を除去し、根っこの中の洗浄・消毒を行って、最後に神経の代わりになる薬を詰めて被せ物を行ったら終了です。

もし歯茎の膿が大量に溜まっていて、歯根の内部から膿を出し切れない場合は、歯茎を切開して、外から膿を出すこともあります。

抜歯を行う

歯根が割れてしまって歯茎が腫れている場合は、抜歯を行うことが多いです。ごくまれに割れてしまった歯を、接着剤でくっつける方法を試みることもありますが、この処置は再度歯が割れやすく、あまり予後が良いとは言えない状態のため、その際も抜歯を行います。

抜歯を行ったあとは、ブリッジ・入れ歯・インプラント等で歯を補う治療を行います。

インプラントやブリッジについて詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

関連記事:インプラントかブリッジか?費用・寿命などの違いやメリット・デメリットを徹底比較

親知らずの消毒を行う

親知らずが原因で歯茎が腫れている(智歯周囲炎)場合は、一般的に歯茎の炎症を緩和する処置を施すことが多いです。

具体的には、患部の消毒を行い、抗菌薬・消炎鎮痛剤・うがい薬を処方し様子を見ます。

そして腫れが落ち着いてきたら、親知らずの抜歯を検討します。

智歯周囲炎は症状がいったん治まっても、抜歯を行わない限り再発を繰り返すことがあるため、抜歯を行ったほうが良いかを歯科医師に相談してみましょう。

歯茎の腫れを予防するセルフケアの方法

歯科医院での治療法が理解できたところで、事前に歯茎の腫れが予防できる以下のセルフケアの方法を解説します。

  • 食事をバランスよく摂る
  • 歯磨きを見直す

それぞれ詳しく解説します。

食事をバランスよく摂る

歯茎の腫れを予防するためには、食事をバランスよく摂ることが大切です。食事がバランス良く摂れていないと、栄養不足によって身体の免疫力が低下して、歯茎の腫れを引き起こしてしまうからです。

栄養が偏ってしまう例としては、以下のことが挙げられます。

  • 野菜・果物・魚介を食べる機会が少ない
  • インスタント食品やファーストフードばかり食べている
  • 過度な食事制限ダイエットをしている

免疫力を高めるためには、1日3食の中で様々な栄養をバランス良く摂ることが大切で、おすすめは以下のような食材です。

  • ピーマン
  • ほうれん草
  • 人参
  • 小松菜
  • ブロッコリー
  • トマト
  • 大豆

また、腸内環境が悪化すると、自律神経が乱れて免疫力の低下を招く可能性があります

乳酸菌やビフィズス菌といった善玉菌や食物繊維などを含む食品を摂り、腸内環境を整えることもおすすめです。

歯磨きを見直す

歯茎の腫れを予防するうえで、歯磨きを見直すことも大切です。正しい歯磨きの方法でお口の中の汚れを除去することで、歯周病を予防できるからです。

歯ブラシの毛の硬さは、大きく分けて「硬め」「普通」「柔らかめ」があります。

「硬め」の歯ブラシは歯や歯茎を傷つけてしまう恐れがあり、歯と歯茎の隙間や歯間部の汚れにブラシの毛先が届きにくいため、適度な硬さで汚れが除去しやすい「普通」を選ぶのがおすすめです。

この際に歯茎の炎症が極度に強い場合は「柔らかめ」を選びましょう。そしてデンタルフロスや歯間ブラシを使用して、歯間部の汚れも除去するように心がけてください。

歯茎の腫れに関するQ&A

最後に、歯茎の腫れについてよくある疑問を紹介します。

  • 歯茎の腫れが自然に治ることはありますか
  • 歯茎の腫れは疲れやストレスが原因でも起こりますか
  • 奥歯の歯茎が腫れるのはなぜですか
  • 歯茎が腫れていて白いのが気になります

それぞれの疑問が理解できるように詳しく見ていきましょう。

歯茎の腫れが自然に治ることはありますか

歯茎の腫れが口内炎によって起こっている場合は、1~2週間で自然に治ることが多いです。

ただし歯周病や虫歯などが原因の場合は、自然に治ることは難しい傾向にあります。

歯周病・虫歯の治療を行って、腫れの原因を取り除くことが大切です。

また体調が悪いときや疲れが溜まったときなどの免疫力が落ちたときは、繰り返し歯茎の腫れや痛みが起こる可能性もあります。

歯茎の腫れは疲れやストレスが原因でも起こりますか

日頃の疲れやストレスなどが原因で、歯茎が腫れることもあります。疲れやストレスがあると、身体の免疫力が落ちることがあるからです。

解決策としては、規則正しい生活を意識することで、身体のリズムが整いストレスへの抵抗力が高まります。

規則正しい生活のポイントは以下の通りです。

  • 朝は決まった時間に起きて太陽の光を浴びる
  • 昼間はしっかり活動して身体を動かす
  • 軽い有酸素運動を習慣にする
  • 好きな音楽を聴いたり旅行を楽しんだりする
  • 質の良い睡眠を摂る

自分の好きなことをして、リラックスする時間を作るとストレスの解消につながるでしょう。

奥歯の歯茎が腫れるのはなぜですか

奥歯の歯茎が腫れる原因は、以下の通りです。

  • 歯周病
  • 虫歯
  • 親知らず

歯周病

奥歯の歯茎が腫れる原因として考えられるのは、歯周病の可能性があります。奥歯は噛む力が強い部分のため特に歯周病が進行しやすく、歯茎が腫れたり、痛んだりすることがあります。

虫歯

奥歯に虫歯ができて重度に進行していると、歯茎が痛んで腫れることがあります。また治療済みの歯であっても、膿が再発して痛みや腫れが出ることもあります

親知らず

親知らずが原因で歯茎が腫れたり、痛みが出たりする原因には、以下のことが考えられます。

  • 親知らずが斜めや横向きに生えていて、智歯周囲炎を起こしている
  • 上下のどちらかにのみ親知らずが生えていて、それが歯茎に当たってる

歯茎が腫れていて白いのが気になります

歯茎が腫れて白くなっているのは、一般的な原因として以下のようなものがあります。

  • 歯周病
  • 口内炎
  • フィステル
  • 骨隆起
  • 口腔ガン

フィステルとは、虫歯が進行して神経が死んでしまうなどといった原因により、歯の根っこが炎症を起こし、根の先に膿がたまったニキビのようなものです。

骨隆起とは、歯茎の中の骨がボコッと盛り上がって歯茎が薄くなった状態です。歯茎が盛り上がり中の骨が透けて見えることで、歯茎が白く見えます。

そして前の項目で解説した口腔ガンでも、歯茎が白くなることがあります。

さらに歯茎が白い原因について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

関連記事:歯茎が白い原因12選|症状別の対処法と受診の目安

まとめ|歯茎の腫れの原因と対策を理解して歯科医院を受診しよう

歯茎の腫れには、歯周病・虫歯・親知らずなどの様々な原因があります。

そしてその原因を早めに除去しておかないと、手遅れになって抜歯になる可能性もあります。

「何かおかしい」と感じる前に、定期的なメンテナンスで歯周病や虫歯のチェックを行い、歯茎の腫れを防ぐことを心がけましょう。

当院ではカウンセリングで患者様の症状やお悩みをお聞きして、一人ひとりに合わせた治療プランをご提案いたします。

スタッフ一同心よりお待ちしていますので、お気軽に当院へご相談ください。

この記事を書いた人

加藤 直之

大阪の梅田にあるえみは総合歯科、加藤です。 当院は、歯医者さんの「痛い・怖い・行きたくない」というイメージをなくし、患者様が悩みを相談できてリラックスした状態で治療ができるそんな医院を目指し運営しております。

資格・所属

NPO法人日本歯科予防協会理事/ISOI インプラント認定医/ドライマウス認定医/日本ドライマウス学会会員/日本抗加齢歯学会会員/医療情報技師認定証/ITIインプラント認定/AQBインプラント認定/ザイブインプラント認定/POIインプラント認定/インプラント学会 所属ブローネマルクインプラント認定/SARGONインプラント認定/審美歯科学会認証