歯茎から膿が出る原因は何?5つの原因と治療法を徹底解説

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こんにちは!

大阪 梅田のえみは総合歯科 理事長 加藤直之です。

「歯茎から膿が出ている。原因を知りたい」

「膿から臭いがするから恥ずかしい」

歯茎から膿が出ている原因が分からないため、不安になる方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、歯茎から膿が出る原因と治療法について徹底解説します

実際に膿が出たときの注意点や応急処置も合わせて解説するので、「まずは膿が出たときの対処法が知りたい」という方も、ぜひ参考にしてくださいね。

下記のページでは、当院での初診の方へ向けた、診療の流れを紹介していますので、気になる方はぜひご覧ください。

歯茎から膿が出る原因は?

まず最初に、歯茎から膿が出る以下の5つの原因を紹介します。

  • 歯周病が進行している
  • 歯根の先に膿が溜まっている
  • 歯根が割れている
  • 親知らずの歯茎が炎症を起こしている
  • 口腔ガンにかかっている

それぞれの原因が理解できるように、チェックしていきましょう。

歯周病が進行している

歯周病が進行していることで、歯茎から膿が出ることがあります。

歯周病は、歯垢(歯周病菌の集まり)が原因で歯茎に炎症を引き起こし、さらに進行すると歯槽骨(歯を支えている骨)が溶ける病気です。

歯周病で歯茎に強い炎症が起きたときに、歯茎が腫れて膿が出ることがあります。

ここまで歯周病が進行している場合は、患部の歯周病の原因となる歯垢や歯石を除去したり、歯茎を切開して中の膿を出す治療を行います。

歯周病について詳しく知りたい方は、下記のページもご覧ください。

関連記事:歯周病の原因は?悪化させる5つのリスクファクターと進行度別の治療方法

歯根の先に膿が溜まっている

「歯の神経を抜いた歯」もしくは、「神経が死んでしまった歯」においては、歯根の先端に膿(根尖病巣)が溜まって、歯茎から膿が出ることがあります。

このように膿が溜まった状態でも、慢性的な経過をたどっている場合では、特に痛みなどの症状を出さないことが多いです。ただし急性に変化すると、強い痛みを引き起こすことがあるため、注意が必要です。

膿瘍が大きくなってくると、歯茎にフィステルが形成され、その部分から膿が出ることがあります。歯茎の表面のフィステルは、おできやニキビのような見た目です。

フィステルについて詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

関連記事:歯茎が白い原因12選|症状別の対処法と受診の目安

歯根が割れている

歯根が割れていると、歯茎から膿が出ることがあります。

強い力で物を噛んだり、歯ぎしりやくいしばりが習慣になっていたりすると、歯根には強い力がかかります。

歯に強い力がかかり続けていくと、歯根にひび割れが起きる恐れが。そこから歯周病菌が入り込みやすくなり、歯茎に炎症が起きて膿が溜まるため注意が必要です。

歯根が割れていても早期で自分で気づくことは難しく、歯茎の腫れや痛みで気づくことが多いです。

親知らずの歯茎が炎症を起こしている

親知らずが原因で歯茎が炎症を起こし、歯茎から膿が出ることがあります。

親知らずが他の歯と同じように真っすぐ生えている場合は膿が出ることは少ないです。ただし、「親知らずが歯茎の中に埋まっている」もしくは「完全に生えきらずに、斜めに生えている」場合は歯茎が炎症を起こしやすいため、注意が必要です。

そして親知らずが磨きづらく、清掃しにくい場合でも、細菌が繁殖して歯茎から膿が出ることがあります。

口腔ガンにかかっている

口腔ガンは歯茎・頬の内側の粘膜などにできる悪性の腫瘍です。

口腔ガンができると粘膜がただれて膿が出る以外にも、違和感・痛み・出血・変色といった症状が出てくることがあります。

ガンの一種のため早期の治療が必要不可欠であり、放置していると、口が開けづらかったり、物が飲み込みにくかったりといった、日常生活で支障が出ることも。

歯茎の膿が治らない、違和感や痛みがある場合には、できるだけ早急に歯科医院を受診しましょう

歯茎から膿が出たときの応急処置

ここからは、歯茎から膿が出たときの応急処置を、以下の4つに分けて紹介します。

  • 口の中を清潔に保つ
  • 患部を冷やす
  • 痛み止めを服用する
  • 十分に休養をとる

それぞれの応急処置が理解できるように、詳しく見ていきましょう。

口の中を清潔に保つ

歯科医院を受診するまで、細菌が繁殖しないようにこまめなケアを行っておくことが大切です。口の中が清潔に保たれていないと、細菌が活発に活動して歯茎からの膿がひどくなる恐れがあるからです。

飲食のあとは、歯磨き・うがい・フロス・歯間ブラシなどで口の中に食べかすを残さないように心がけましょう。歯ブラシは毛先が柔らかい物を選び、うがい薬は歯茎への刺激を避けるためノンアルコールの物がおすすめです。

歯ブラシや歯間ブラシなどの清掃用具を使用する際は、できるだけ患部を避けて当てるように注意してください。

患部を冷やす

歯茎からの膿・痛み・腫れがある場合は、頬の上から患部を冷やすだけでも鎮静効果が期待できます。

濡れタオル・濡れハンカチ・冷却材を活用して患部を冷やしましょう。ただし、患部を直接冷やすために氷を口にして冷やすことは避けてください

患部に氷が触れてしまうことで、逆に痛みが出る恐れがあります。痛みがあるときは、できる限り患部には触れないようにして、頬の上から冷やしましょう。

頬の上から当てる際にも濡らしたタオルなどを活用して、冷たくなりすぎないようにしてください。

痛み止めを服用する

患部にジンジン・ヒリヒリとした痛みがある場合には、痛み止めを服用しましょう。

痛み止めは頭痛や歯の痛みのような広い範囲の痛みに効果があるため、飲み慣れた痛み止めを服用するようにしてください。

歯科医院で痛み止めを処方してもらうのが一番ですが、歯科医院に行く暇がなくすぐにでも痛みを止めたい場合は、市販の痛み止めでも構いません。

そして患部の状態を把握するためにも、できるだけ早急に歯科医院を受診することが大切です。

十分に休養をとる

十分に休養をとることも、歯茎の膿を悪化させないようにするために大切です。

歯茎の腫れや膿などのトラブルは、免疫力が低下しているときに起こりやすいため、風邪などで身体が弱っているときは特に注意が必要です。

歯科医院を受診するまでは、積極的に身体を動かすようなことは避け、十分に休養をとって、身体を休めるように心がけましょう

歯茎から膿が出たときの注意点

応急処置が理解できたところで、以下の3つの注意点を見ていきましょう。

  • 膿を自分で無理やり出そうとしない
  • 歯ブラシで強く擦らない
  • 激しい運動と入浴は避ける

それぞれ詳しく解説します。

膿を自分で無理やり出そうとしない

歯茎から膿が出ていると、自分で出してしまいたくなりますが、歯茎を自分で押して無理やり潰すようなことはやめましょう。

患部を直接手で触れてしまうと、「傷口が広がる」「細菌に感染する」などの恐れがあり、症状を悪化させてしまう恐れがあるからです。

歯茎に不快感があっても、触らないように注意してください。

歯ブラシで強く擦らない

歯茎から膿が出ている部分は、すでに細菌が侵入している状態です。患部を傷つけないように、歯ブラシでゴシゴシと強く擦るようなことは避けましょう

使用する歯ブラシも硬いブラシは避け、柔らかいブラシを使用するか、歯科医院で診てもらうまでは、患部を避けて歯磨きを行うようにしてください。

激しい運動と入浴は避ける

長時間の入浴は、歯茎の炎症を悪化させてしまう恐れがあるため避けましょう。運動も血行を良くする作用があるため、長時間続けないように安静に過ごすことがおすすめです。

ただし患部に強い痛みがなければ、シャワーや軽い入浴程度は可能です。

歯茎から膿が出たときの治療法

次に歯科医院で行う、歯茎から膿が出たときの治療法を解説します。

  • 歯茎を切開して膿を出す
  • 歯周病の治療を行う
  • 根管治療を行う
  • 歯根端切除術を行う
  • 噛み合わせを調整する
  • 抜歯を行う

それぞれの治療法が理解できるように、詳しく見ていきましょう。

歯茎を切開して膿を出す

歯茎が腫れて膿が出ている場合は、歯茎を切開する処置を行うことがあります。この切開する処置は根本的な治療ではなく、あくまで応急処置です。

歯茎の中に膿が多く溜まっているのに、膿の排出ができていない場合に歯茎を切開して膿を出すことが多いです。

部分的に麻酔を行って歯茎を切開し、膿を出してから消毒して、抗生剤などの薬を処方して終了するのが一般的です。

歯周病の治療を行う

歯茎の膿の原因が歯周病の場合、以下の流れで歯周病の治療を行います。

  1. レントゲン撮影
  2. 歯茎の検査・ブラッシングのチェック
  3. 専門の器具や機械を使って、歯垢や歯石を除去する

レントゲン撮影は、現時点の歯周病の度合いをチェックするために欠かせません。レントゲンを撮ることで、歯槽骨(歯を支えている骨)や歯石の状態を細かく診査することができます。

歯科医院でのクリーニングだけでなく、セルフケアも大切なためブラッシングのチェックも行います。

歯茎の検査から歯石取りを行ってみて、その後の経過を観察し状況が改善しない場合は、歯周外科処置を行うこともあります

以下の記事では、歯周病を自宅で治す方法についても記載しているため、合わせて参考にしてください。

関連記事:歯周病の治し方は?自宅での歯磨きでは治せない理由と3つの予防方法

根管治療を行う

歯茎の膿の原因が根管(歯の根っこ)にある場合は、以下の流れで根管治療を行います。

  1. 感染した歯髄(歯の中の神経)を除去して溜まっている膿を吸い取る
  2. 根管を消毒する
  3. 歯髄の代わりになる薬を詰めて、被せ物を装着する

根管治療は精密な治療で、根管の中がキレイになってから薬を詰めるため、回数がかかることが多いです。

歯根端切除術を行う

歯根端切除術は「根尖性歯周炎」や「歯根嚢胞」など、歯の根っこの部分に問題がある場合に行います。

根っこの先の悪い部分を外科的に切除し、治癒を促すための治療で、根管治療を行っても状況が改善しない場合に行われることが多いです。

ただし、全ての歯に対して行えるのではなく、根っこが一つの歯(前歯・小臼歯)にのみ行います。大臼歯(前から6・7番目の歯)は根の構造が複雑であるため、歯根端切除が行われることは少ないです。

※参考:歯根端切除術 | e-ヘルスネット(厚生労働省)

噛み合わせを調整する

歯の噛み合わせが原因で、膿が溜まる場合に行われます。

例えば、奥歯を守るはずの犬歯(前から3番目の歯)が、歯並びの乱れによって正常に機能していなかったり、人工的な詰め物や被せ物の噛み合わせが高い場合などに、噛み合わせの調整を行うことがあります。

噛み合わせの調整によって、歯に不自然な力がかからないようにし、歯茎や歯根への負担の軽減を図ります。

抜歯を行う

抜歯は、どのような治療を行っても改善が難しいと判断された場合に、最後の手段として行われます。

特に歯の損傷がひどく、歯を保存するのが困難な場合や、膿が広範囲に広がっている場合に、抜歯が選択されます

抜歯後は、インプラント・ブリッジ・入れ歯などで見た目や機能を回復します。以下の記事では、インプラントとブリッジについて詳しく記載しているので、合わせて参考にしてください。

関連記事:インプラントかブリッジか?費用・寿命などの違いやメリット・デメリットを徹底比較

歯茎から膿が出ることに関してのQ&A

最後に、歯茎と膿に関する、よくある質問について解説します。

  • 歯茎からの膿が自然に治ることはありますか
  • 歯茎からの膿は市販の抗生物質で治りますか
  • 歯茎の膿を自分で出す方法はありますか

それぞれの疑問が解決できるように、詳しく見ていきましょう。

歯茎からの膿が自然に治ることはありますか

歯茎にできた膿は、自然に治ることは難しいため、歯科医院で治療を行って原因を取り除く必要があります

膿をそのまま放置しておくと、激しい痛みを感じたり、症状が悪化したりする恐れがあるため注意が必要です。

歯科医院に早急に行けない場合は、患部を冷やしたり痛み止めを服用したりするなどを行って、できるだけ早めに歯科医院で適切な治療を受けましょう。

歯茎からの膿は市販の抗生物質で治りますか

一般的に抗生物質は全て医療用医薬品のため、ドラックストアなどでは販売されていません。

そのため歯茎から膿が出た場合、市販の薬で解決しようとはせず、早急に歯科医院で対応してもらってください。

その際普段から服用している薬があれば、必ず歯科医院にその旨を伝えましょう。薬によっては飲み合わせができないケースがあるからです。

抗生物質は細菌感染に効果がある薬ですが、医師による副作用の管理も大切です。個人輸入で抗生物質を購入できますが、副作用や飲み合わせの危険性などから考えると、あまりおすすめできません。

歯茎の膿を自分で出す方法はありますか

歯茎に膿が溜まって腫れてきたりすると、ニキビなどと同じように自分で膿を出したくなりますが、それはおすすめできません。

むやみに自分で患部を触ると、そこから細菌感染が起こる恐れがあるからです。そのため、歯茎の膿や腫れが出てきた場合は、早急に歯科医院で診てもらってください。

まとめ|歯茎からの膿の原因が理解できたら歯科医院を受診しよう

歯茎からの膿は、歯周病などの歯茎からの問題だけでなく、歯根が割れているなどの「歯そのものに原因がある」ケースもあります。

歯茎に膿が溜まる症状は、必ず何かしらの異常があるサインです。できるだけ早急に歯科医院で診てもらい、原因に合わせた治療を行ってもらいましょう。

なお、当院では歯茎の膿に対する治療はもちろんのこと、歯茎の違和感や腫れなどの気になる症状に合わせて、治療プランをご提案いたします。

当院の歯周治療について詳しく知りたい方は、以下のページも合わせてご覧ください。

この記事を書いた人

加藤 直之

大阪の梅田にあるえみは総合歯科、加藤です。 当院は、歯医者さんの「痛い・怖い・行きたくない」というイメージをなくし、患者様が悩みを相談できてリラックスした状態で治療ができるそんな医院を目指し運営しております。

資格・所属

NPO法人日本歯科予防協会理事/ISOI インプラント認定医/ドライマウス認定医/日本ドライマウス学会会員/日本抗加齢歯学会会員/医療情報技師認定証/ITIインプラント認定/AQBインプラント認定/ザイブインプラント認定/POIインプラント認定/インプラント学会 所属ブローネマルクインプラント認定/SARGONインプラント認定/審美歯科学会認証