虫歯は自然治癒する?促進させるための9つの方法も解説
こんにちは!
大阪 梅田のえみは総合歯科 理事長 加藤直之です。
「虫歯が自然に治るのかを知りたい」
「できるだけ歯を削りたくない」
上記のように虫歯が自然治癒できるのか、気になっている方もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、虫歯が自然治癒できるのかを解説します。
自然に治るように促す方法や、自然治癒する期間についても紹介するので、「歯をできるだけ削らずに健康に保ちたい」という方も、ぜひ参考にしてください。
なお以下のページでは、当院の初診の方に向けた診療の流れを記載していますので、ぜひご覧ください。
目次
虫歯が自然治癒できるかは虫歯の進行度合いによる
虫歯が自然に治るかは、虫歯の進行度合いによります。
ひと言で「虫歯」と言っても、初期の段階から重度まで多岐に渡るのですが、その中でも自然治癒できるのは、初期虫歯のみです。
「虫歯で歯に穴があく」などのように、虫歯が進行してしまったら自然に治ることはないため、歯科医院で治療を行う必要があります。
一般的に初期虫歯の段階では、フッ素塗布をしたり経過観察で様子を診ることがほとんどです。様子を診ていくうちに、自然に治ることもあります。
ただし、初期虫歯から進行すると歯科医院での治療が必要になります。極端に言えば、虫歯で痛みが感じられるようであれば、自然治癒する可能性は低いと言えるでしょう。
虫歯の自然治癒とは再石灰化のこと
虫歯の「自然治癒」とは歯科用語で言うと、「再石灰化」のことです。
歯の表面では、「酸によってミネラルが溶け出し、そのあと唾液中のミネラルが歯に沈着して再び固まる」ということが繰り返し行われており、この過程を「再石灰化」と呼びます。
再石灰化が繰り返されることによって、唾液中のカルシウムなどが歯に溶け込み、歯を強くできるのです。さらに普段のブラッシングで使用する歯磨き粉のフッ素によって、より再石灰化を促進できます。
治療せずに虫歯が自然治癒できるのは初期虫歯まで
前の項目で、虫歯が自然に治るのは初期虫歯までと解説しましたが、初期虫歯が進行すると、歯科医院で治療を行う必要があります。
虫歯は以下のような流れで分類され、進行していきます。
- CO(要経過観察):歯の表面のミネラルが溶けだしている
- C1(エナメル質の虫歯):エナメル質が溶けて黒く着色する
- C2(象牙質の虫歯):痛みを感じることがある
- C3(神経まで達する虫歯):何もしないでズキズキ痛むことがある
- C4(歯の根っこの虫歯):歯の頭がボロボロの状態で抜歯に至る
この虫歯の段階の中で、歯が溶けだしてもまだ穴が開いていない状態(COと一部のC1)が、虫歯の自然治癒(再石灰化)が期待できるのです。
虫歯の段階をより詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
関連記事:虫歯の進行段階と症状は?5ステップの治療方法と原因
初期虫歯の自然治癒を促す9つの方法
ここからは、初期虫歯を自然治癒させるポイントを9つ解説します。
- 歯磨きを見直す
- フロスや歯間ブラシで歯冠部の清掃をする
- フッ素を活用する
- 間食を控える
- スポーツドリンクやジュースを控える
- キシリトールを活用する
- 歯磨き後に重曹でうがいする
- ストレスや疲れを緩和する
- 歯科医院で定期検診を受ける
それぞれ詳しくチェックしていきましょう。
1.歯磨きを見直す
適切な歯磨きができていないと、虫歯の自然治癒は難しいです。歯磨きをていねいに行わないと、虫歯の原因である歯垢(虫歯菌の集まり)を除去できないからです。
とは言え歯磨き後に、完璧に口内の歯垢が除去できたかを確認するのは難しいところ。不安な場合は、市販の染色液(歯垢を染め出す液)を使用したり、歯科医院でブラッシングのチェックをしてもらうと良いでしょう。
2.フロスや歯間ブラシで歯間部の清掃をする
どんなに表面をていねいに磨いても、歯間部に歯垢が残っていると意味がありません。ブラッシングに加えて、フロスや歯間ブラシも活用して、歯間部の清掃も徹底しましょう。
それぞれのアイテムの違いは、以下のとおりです。
- フロス:歯と歯の間の清掃で使用
- 歯間ブラシ:歯と歯の間にすき間ができた部分のケアに使用
それぞれの使用方法を詳しく解説します。
フロスの使い方
フロスにはホルダータイプと指巻きタイプに分かれています。
初心者の方はホルダータイプ、「糸の長さを自分で調整したい」という方は指巻きタイプがおすすめです。
【ホルダータイプの使い方】
- 鏡で確認しながらフロスを歯間部に入れる
- ゆっくりとノコギリを引くように歯面に沿わせながら動かす
【指巻きタイプの使い方】
①フロスをカットして(手先からヒジぐらいまでの長さを目安に)両手の中指に巻きつける
②両手の親指と人差し指で糸をつまむ
③ホルダータイプと同様に歯面に入れて動かす
フロスは大人はもちろん、子供にもとても有効です。一般的なフロスは子供には太すぎることがあるため、そのときは子供用のフロスを使いましょう。
※画像引用:歯と歯の間のケア方法
歯間ブラシの使い方
歯間ブラシの使い方のポイントは以下を参考にしてください。
- 必ず鏡を見ながら使う
- 歯間ブラシの先を歯茎に刺さないように挿入して、歯面に沿わせるように動かす
- 片側からだけでなく、できるだけ外側(口唇側)と内側(舌側)の両方から通す
歯間ブラシの初心者の方は、小さいサイズから使ってみましょう。
歯間部に無理なくスッと挿入でき、動かすときにスムーズに動かせるようなサイズがおすすめです。
※画像引用:歯と歯の間のケア方法
3.フッ素を活用する
フッ素には歯を強くする効果があるため、歯科医院でのフッ素塗布はもちろん、自宅でもフッ素入りの歯磨き粉や洗口剤を活用しましょう。
歯磨き粉のフッ素の濃度は、500ppm以上のものがおすすめです。歯磨き後は少量の水ですすぎ、2時間は飲食を控えるとより効果的です。
そしてフッ素の洗口剤に関しては、1日1回(回数は商品による)歯磨き後に洗口剤でうがいするだけで、まんべんなくフッ素が口内に行き渡ります。
洗口剤を使うタイミングは、就寝前がおすすめです。毎日の歯磨きに加えて、洗口剤でも歯質強化を狙いましょう。
4.間食を控える
食べ物によっては口内で脱灰(歯が溶ける現象)を引き起こす可能性が高くなります。
例えば、砂糖が多く入っている物、酸っぱい食べ物は要注意です。特にキャラメルや飴などは歯にくっつきやすく糖分がたくさん含まれています。長い時間ダラダラ食べることも避けてください。
口内で脱灰するような飲食を控え、長時間食べ続けることを避けることで、虫歯の進行を防ぎ、自然治癒を促すことができます。
5.スポーツドリンクやジュースを控える
以下のような飲み物は、虫歯になりやすくなるため、できるだけ避けましょう。
- 炭酸飲料
- 乳酸菌飲料
- スポーツドリンク
- 果汁100%ジュース
コーラやサイダーなどの糖分が多く含まれている炭酸飲料水や、スポーツドリンクに加えて、近年流行している乳酸菌飲料も砂糖が多く含まれているため要注意です。
果汁100%ジュースは、他の飲料水と比較すると糖分が含まれていないものが多いですが、果汁由来のショ糖という糖分が多く含まれ、虫歯を誘発する可能性があります。
また強い酸性を持つため口内が酸性になるため、虫歯を引き起こすことも。
アルコールの摂取も、糖分が多く含まれているものが多く利尿作用が高いため、長時間飲まないように気をつけたいところです。利尿作用が高いとトイレに行く回数が増え、唾液の減少に繋がってしまいます。
6.キシリトールを活用する
キシリトールを活用すると、初期虫歯の自然治癒(再石灰化)の効果が期待できます。キシリトールには、以下の効果があるからです。
- 酸を作らない
- 虫歯菌の代謝を阻害する
- 唾液分泌
- 再石灰化
通常のキャンディやガムには糖分が多く含まれているため、虫歯を進行させてしまう恐れがあります。
一方でキシリトールは虫歯の原因になる酸を作ることはなく、虫歯菌の代謝を阻害し、再石灰化することで歯を強くするのです。
実際に日本歯科医師会でも、「キシリトールを使用した場合、30~80%の確立で虫歯発生を防いでいる」という報告がなされています。
※参考:キシリトールについて – 歯とお口のことなら何でもわかる テーマパーク8020
7.歯磨き後に重曹でうがいする
歯磨きの後に重曹水でうがいをすることも、自然治癒を促す方法の一つです。
重曹は弱アルカリ性なので、重曹を水に溶かしてうがいをすることで、虫歯の原因となる酸性を中和できます。
そして口の中の酸が中和されると、歯の再石灰化が促進されるため、初期虫歯の自然治癒が期待できます。
ただし、重曹には強い研磨作用があるため、重曹の水でのうがいをひんぱんに繰り返すと、エナメル質が削られて着色しやすくなる可能性があるため注意してください。
重曹を水で溶かすときは薄めて濃度を調節し、うがいはたまに行う程度にとどめることが重要です。
8.ストレスや疲れを緩和する
仕事やプライベートなどでストレスが溜まると、自律神経が乱れて唾液の分泌量が減ってしまいます。唾液が減ると口内は乾いた状態(ドライマウス)になり、虫歯菌が繁殖しやすくなるのです。
そしてストレスを感じていると、新陳代謝が下がり血流も悪くなります。これが白血球やリンパなどが身体に行き渡らない原因になります。
白血球やリンパなどは、悪影響を及ぼす菌を倒してくれる役割があるため、血流が悪くなると虫歯菌が口内から出ていかなくなり、虫歯になりやすくなるのです。
日頃からストレスや疲れを溜めないように、以下のようなことを実践してみるのがおすすめです。
- 肌ざわりの良い寝具やアロマでベッド周りの環境を整える
- 入浴の際はお気に入りの入浴剤を入れてリラックスできるようにする
9.歯科医院で定期検診を受ける
歯科医院で定期検診を受けることで、初期虫歯が自然治癒できることがあります。
初期虫歯は痛みなどの症状が出ないことが多いため、自身では気づきにくいからです。
定期検診では虫歯のチェックを念入りに行うので初期虫歯でも発見できます。もし初期虫歯だと判断された場合、「フッ素塗布を行う」または「経過観察で様子を診るか」などの処置がとられることがあります。
なお当院では、入念に口内をチェックし、患者さまそれぞれの状態に合わせたクリーニングを行っております。
虫歯が自然治癒する期間
初期虫歯が自然治癒するのに、明確な期間は決まっていません。
自然治癒によって歯が元の健康な状態に戻っても、歯磨きや定期検診などの日頃のケアを怠ってしまうと、すぐに虫歯になる恐れがあります。
期間を決めて自然治癒を促すのではなく、日常的に自然治癒(再石灰化)を促す口腔ケアを行って、虫歯の予防に努めましょう。
虫歯の自然治癒に関するQ&A
最後に虫歯の自然治癒でよくある質問をご紹介します。
- 歯が黒くなっていたら虫歯の治療をしたほうがいいですか
- 虫歯は唾液によって治ると聞きましたが本当ですか
- 虫歯は象牙質まで達する(C2)と自然治癒しませんか
歯が黒くなっていたら虫歯の治療をしたほうがいいですか
奥歯の噛み合わせの部分が黒くなっている場合、単なる着色(虫歯ではない)であるときや、治療しなくてもいいような初期虫歯もあります。
ただし、見た目がただ黒くなっているような場合でも、歯の内面に虫歯が大きく進行していることもあります。
虫歯の治療が必要かは、歯科医院で診てもらうと良いでしょう。
以下の記事では、歯が黒くなっている原因などを深掘りしているので、合わせて参考にしてください。
関連記事:歯の黒い点・線・汚れの6つの原因とは?白くするための治療法も解説
虫歯は唾液によって治ると聞きましたが本当ですか
初期虫歯の状態に限り、唾液によって自然治癒の効果が期待できます。
唾液には再石灰化を促進させる作用や抗菌作用(虫歯菌の働きを抑制する)などがあるからです。
ただし、むし歯がある程度進行ししみる・穴が開いているなど自覚症状がある場合は、歯科医院で治療する必要があります。
虫歯は象牙質まで達する(C2)と自然治癒しませんか
虫歯が自然治癒できるのは初期(CO・C1)までで、象牙質まで達した虫歯(C2)は自然治癒できません。
C2の虫歯の場合は、虫歯を削ってその場でプラスチックの材料を詰めるか、歯型を採取して銀歯などを詰めるなどの処置をとられることが多いです。
まとめ|初期の虫歯だったら自然治癒することがある
虫歯が自然治癒できるかは、どれだけ進行してるかによります。基本的に初期虫歯の状態でのみ、自然治癒できる可能性が高いです。
ただし初期虫歯をそのまま放置してしまうと進行して歯を削らないといけなくなります。
そうならないためには、今回解説した対策法を実践して、歯科医院で定期検診を受けることが大切です。
当院では、「虫歯にならないように対策法を教えてほしい」など、気になることやさまざまなお悩みを、カウンセリングにてお伺いしています。
スタッフ一同、心よりお待ちしていますので、些細なことでもお気軽にご相談ください。