前歯の虫歯の治療はどのように行う?前歯の治療法や予防対策も解説
こんにちは!
大阪 梅田のえみは総合歯科 理事長 加藤直之です。
「前歯が黒くなっているのが気になる」
「前歯の虫歯治療には、どんな方法があるのかを知りたい」
前歯は笑うと目立つ部分のため、虫歯治療に不安を抱いている方もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、前歯の虫歯の治療法を、進行度に合わせて解説します。
前歯の虫歯予防法とセラミックで治療した場合の費用も合わせて解説するので、「黒い部分をキレイにして自信をもちたい」という方は、ぜひ参考にしてください。
なお以下のページでは、当院での初診の方向けのご案内を記載しております。
「前歯に虫歯があるかだけ診てもらいたい」という方も、ぜひご覧ください。
前歯の虫歯は治療次第で目立ちにくくなる
前歯に虫歯ができてしまっても、治療次第で目立ちにくくすることができます。
例えば小さい虫歯の場合は、削って詰め物の治療を行います。このときに詰めるお薬は、天然の歯に近い自然な色合いの物を使用するため、目立ちにくくすることが可能です。
そして虫歯が大きく進行して歯冠(歯の頭の部分)がなくなっても、虫歯治療後に土台をたてて被せる治療で対応できます。
ただし進行しすぎて歯が残せなくなると抜歯になるため、そのときは治療が終わるまで見た目が悪くなる可能性が高いです。
前歯が虫歯になる原因
- 磨き残しが出やすい
- 唾液が伝わりにくい
一つずつ詳しく見ていきましょう。
磨き残しが出やすい
前歯は、磨き残しが出やすい部分です。「意外」と思われるかもしれませんが、奥歯は鏡で見えにくく磨きにくいとわかっているため、ていねいに磨くことが多いです。
反対に前歯は、無意識のうちに「ササッ」と磨きがちです。そして上の前歯の裏には「舌側面窩」というくぼみや、歯茎に近い部分に「基底結節」というふくらみができます。
このふくらみやくぼみに歯垢(虫歯菌の集まり)が付着しやすく、歯ブラシが届いていないと虫歯になる可能性があります。
唾液が伝わりにくい
前歯に唾液が伝わりにくいことも、虫歯ができやすい原因の一つです。
もともと唾液には、以下のようなさまざまな効果があります。
- 自浄作用
- 抗菌作用
- 再石灰化作用
上記であげたのはほんの一部で、唾液には他にもたくさん作用があります。唾液の自浄作用によって虫歯菌が洗い流され、再石灰化によって歯質強化の効果が期待できますが、上の前歯は唾液が伝わりにくいため、虫歯になりやすいです。
また口呼吸などの悪習慣があると、口内がさらに乾燥するため要注意です。口呼吸はトレーニングなどで治せることがあるため、心当たりのある方は歯科医院に相談してみましょう。
前歯の虫歯の治し方
前歯の虫歯治療方法を、進行度別で保険内治療と保険外治療に分けて、以下の表でまとめました。
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治療法の内容を、それぞれチェックしていきましょう。
虫歯が小さい場合(C1・C2)
前歯の虫歯が小さい場合、以下のような治療を行います。
- 保険内:CR(コンポジットレジン)
- 保険外:ダイレクトボンディング
C1やC2のように虫歯が小さい場合は、虫歯を削ってその場でお薬を詰めるのが一般的です。それぞれの治療法を以下から解説します。
保険内:CR(コンポジットレジン)
コンポジットレジンとは、歯質に近い色合いのプラスチックのことです。
虫歯を削ったら歯にすき間ができてしまうため、そこにCR(コンポジットレジン)を詰めていきます。
このお薬は保険に対応しているため、比較的安価で治療できます。ただし、素材に吸水性があるため、期間が経ってくると詰め物が変色したり破折することも。
もしそのようなことが起きた場合は、再治療で対応することが多いです。
保険外:ダイレクトボンディング
前歯の虫歯が小さくて保険外治療を選択した場合、ダイレクトボンディングという処置がとられます。
この治療法はコンポジットレジンよりも、さらに歯の色合いや質感に近づけたお薬を使用し、虫歯治療後のすき間を埋めていく方法です。
複数のレジンを用いることで、色合いだけでなく歯独特の透明感や質感が再現できます。
こちらは保険外治療のため比較的費用はかかりますが、セラミックを含む材料のため、保険内のレジンと比べると強度が増し、変色もしにくいです。
虫歯が大きい場合(C3)
虫歯が比較的大きい場合の治療法は、以下の通りです。
- 保険内:レジン前装冠
- 保険外:セラミック
虫歯が大きい場合は、残っている歯質が少ないため、薬を詰めるだけだと材料が破折したり脱離したりする恐れがあります。
そのため、虫歯の治療が終わったら、土台をたてて被せる治療を行うのが一般的です。
それぞれの治療法を解説していきます。
保険内:レジン前装冠
レジン前装冠とは、金属の表面にプラスチック素材であるレジンを貼り付けた被せ物のことです。一般的に、前歯(左右の犬歯から犬歯までの6本)に適応されます。
メリットとデメリットは、以下の通りです。
【メリット】
- 保険適応のため、比較的安価で治療できる
【デメリット】
- プラスチック素材のため月日が経つと変色することがある
- 衝撃を与えたときに破折することがある
- 歯垢が付着しやすい
- 金属アレルギーを起こすことがある
レジン前装冠は金属も使用しているため、アレルギーにも要注意です。
セラミックは陶器と同じ素材でできています。さまざまな色味が選べて、歯科技工所でセラミックを作る際に、細かい色味や質感の微調整ができます。
セラミックのメリットとデメリットは、以下の通りです。
【メリット】
- 比較的長持ちしやすい
- 表面がツルツルしているため歯垢が付きにくい
- 変色しにくい
- 天然歯独特の質感を再現できる
【デメリット】
- 保険外のため費用が高額
- とても硬いが、ごくまれに破折することがある
セラミックは見た目の美しさはもちろん、人体との親和性が高いため、しっくりなじみやすいです。
歯垢や着色も付きにくいため、審美性が長く保てるのも特徴です。
ただし保険が適用されていないため、高額な費用がかかります。
以下の記事では、セラミックが高い理由を深掘りしているので、合わせて参考にしてください。
関連記事:セラミックが高い5つの理由とは?歯の詰め物・被せ物の素材ごとの費用も解説
虫歯が進行して歯を残せない場合(C4)
虫歯が進行して、抜歯しか選択肢がない場合は、以下の方法で歯を補います。
- 保険内:ブリッジor入れ歯
- 保険外:インプラントorセラミックブリッジ
それぞれの治療法を詳しく解説します。
保険内:ブリッジor入れ歯
【ブリッジ】
ブリッジは「橋」を意味しており、両隣の歯を支台にして歯を補う治療法です。そのため、歯が欠損している両隣に歯が残っていないと、ブリッジの治療ができません。
そして「虫歯にもなっていない健康な歯を、まるっと削る必要がある」「ブリッジは歯間部に汚れが溜まりやすい傾向にあるため、より念入りな清掃が必要」といったデメリットがあります。
ただし、保険適用しているので、比較的費用を安くおさえることが可能です。
前歯のブリッジの場合は、犬歯から犬歯までの6本の範囲内であれば、白い歯のレジン前装冠で対応できます。
【入れ歯】
入れ歯は、両隣の歯に金属のバネをかけて歯を補う治療方法です。ブリッジのように両隣の歯を削る必要はありません。
ただし入れ歯を安定させるために、両隣の歯にバネをかけます。保険で治療する場合は、このバネが金属になるため、見た目があまり良くありません。
ブリッジと比較すると入れ歯は自分で着脱ができるので、歯磨きはしやすい傾向にあります。そして入れ歯の着脱を繰り返しているとバネがゆるむこともあるため、そのときは歯科医院で調整してもらう必要があります。
抜歯したあとの保険外での前歯治療には、インプラントとセラミックブリッジで歯を補う方法があります。
【インプラント】
インプラントは顎の骨に人工の歯根を埋めて、歯を補う治療法です。
ブリッジや入れ歯と違うのは、インプラントは骨としっかり結合しているため、天然の歯と同じように強く噛むことができる点です。
ただし、顎の骨にインプラントを埋め込む手術を行わないといけません。
もしそのような外科手術をしたくない場合は、以下の変色しにくいセラミックのブリッジを被せる方法もあります。
【セラミックブリッジ】
前の項目で解説した、「保険ブリッジのセラミックバージョン」ととらえるとわかりやすいでしょう。
セラミックのブリッジでは、保険内ブリッジのように金属は使用しません。
そのため、天然歯に近い質感を出すことができます。ただし、両隣の歯を削る必要があるため、支台になる歯が健康な場合は、あまりおすすめできないでしょう。
以下の記事では、前歯のインプラントについてさらに深掘りしているので、ぜひご覧になってください。
関連記事:前歯のインプラントは10年後も大丈夫?費用や後悔しない歯科医の選び方も解説
前歯が虫歯にならないための対策法5つ
前歯の虫歯治療法が理解できたら、前歯が虫歯にならないための対策法を見ていきましょう。
- 歯磨きを見直す
- フロスや歯間ブラシで歯間部の清掃を行う
- フッ素入りの歯磨き粉や洗口剤を使用する
- 糖分の摂取を控える
- 歯科医院で定期検診を受ける
「せっかく治療したから、また虫歯を再発させたくない」という方も参考にしてください。
1.歯磨きを見直す
前歯の虫歯を防ぐうえで、毎日の歯磨きがしっかりできているかを見直してみましょう。
歯垢(虫歯菌の集まり)が歯の表面に残ったままだと、歯の表面が溶かされて虫歯が進行してしまいます。
以下のポイントをおさえて、歯磨きを行ってください。
- 磨く順番を決める
- 歯ブラシはペングリップ(ペンを持つように)で持つ
- 1本ずつ磨くように少しずつ歯ブラシを動かす
- 前歯の外側には歯ブラシを寝かせて歯の根元に当てる
- 前歯の内側には歯ブラシのつま先やかかとを当てる
適切な歯磨きができているかは、歯ブラシの持ち方を意識するだけでも変わります。歯ブラシをギュッと強く握ってしまうと、余計な力が入ってしまい、強くガシャガシャと動かしてしまいがちです。
鉛筆やペンを握るように歯ブラシを持ち、電動ブラシのように振動させながら歯ブラシを動かしましょう。
そして前歯の外側や内側など、歯の面によってブラシのどこを当てるかでも、当たりやすさは変わってきます。特に内側は鏡でも見えにくいため、かかとやつま先を当てるなどして、動かしてみてください。
2.フロスや歯間ブラシで歯間部の清掃を行う
「歯の表面だけでなく、歯間部の清掃ができているか」も、前歯の虫歯を防ぐうえでとても大切なことです。
「歯ブラシでしっかり磨けた」と思っても、実際にフロスなどを通すとごっそり歯間部から汚れが取れてくることがあります。
そのため歯ブラシとフロスなどのアイテムは、できるだけセットで使うようにしてください。
そしてフロスや歯間ブラシを使用する際は、「ただ通して終わり」ではなく、「歯面に沿わせる」ということを意識しましょう。
フロスを通して、「ここ少し歯間部のすき間が大きいかな」と感じた場合は、歯間ブラシを使うなどして、それぞれのアイテムを使い分けるのがおすすめです。
3.フッ素入りの歯磨き粉や洗口剤を使用する
適切な歯磨きに加えて、虫歯予防効果の高い「フッ素」も大いに活用しましょう。
フッ素には虫歯菌の活動を抑制して、再石灰化を促す作用があるからです。
普段のブラッシングのときはフッ素入りの歯磨き粉を積極的に使用することで、歯の表面に保護膜を形成し、歯を守ってくれます。
さらに、食後や就寝前にフッ素入りの洗口剤を使用することで、より歯質強化(歯を強くする効果)が期待できます。
4.糖分の摂取を控える
甘い物には糖分が多量に含まれており、それが虫歯菌の栄養源となって歯質を溶かすため、虫歯になる可能性が高くなります。
そのため日常的に甘いジュースやコーラ、スポーツドリンクなどの飲料水を頻繁に摂る場合や、チョコレート、甘いクッキーなどを好む場合は、要注意です。
そして長い時間ダラダラ食べたり、飲んだりすることも控えましょう。口内が酸性になってしまい、虫歯が進行する恐れがあります。時間を決めて短い時間で間食を摂るようにしてください。
5.歯科医院で定期検診を受ける
歯科医院で定期検診を受けることで、前歯の虫歯を予防することができます。定期検診でレントゲンを撮ったり、虫歯のチェックを行うことで、初期虫歯が早期に発見できます。
そしてブラッシングのチェックや、口内のクリーニングを行うことによって、効果的な虫歯の予防が可能です。
歯科医院は「何か(痛みなど)あったら治療してもらう場所」ではなく、「フッ素塗布やクリーニングで予防する」という意識を持っておきましょう。
前歯の虫歯に関するQ&A
最後に、前歯の虫歯に関する疑問を紹介します。
- 前歯の虫歯を治療したときのセラミックの値段を知りたいです
- 前歯の神経を抜く治療はどのような流れになりますか
- 前歯の虫歯が初期の場合、治療はどうなりますか
それぞれ理解できるように見ていきましょう。
前歯の虫歯を治療したときのセラミックの値段を知りたいです
セラミックの種類によって値段が変わり、一般的な費用相場は、8~18万円ほどです。
なお当院でのセラミックの特徴と費用相場は以下の通りです。
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前歯の神経を抜く治療はどのような流れになりますか
前歯の虫歯が神経まで進行していた場合、以下のような流れになります。
- 麻酔後に虫歯を除去
- 専用器具を用いて歯髄(歯の神経)を除去
- 根管長測定器を用いて歯根の長さを測定
- 根管内を消毒して薬剤を入れて仮のフタをする(数日おく)
- 根管内に神経の代わりになる最終的な薬剤を詰める
- 治療後の確認のためのレントゲン撮影をしたら根管治療は終了
- 土台をたてて被せ物を入れる
歯の神経を除去したら、最終的な被せ物を入れるまで、治療回数がかかります。
前歯の神経治療中の見た目が気になる場合は、治療中は仮歯を入れることも可能です。
前歯の虫歯が初期の場合、 治療はどうなりますか
初期虫歯は、歯のミネラルが溶けだした状態です。この状態では歯質が元に戻る可能性があるため、歯を削って詰めるような治療はまだ行いません。
歯磨きを徹底してもらい、フッ素塗布とクリーニングで経過を見ていくことが多いです。
以下の記事では初期虫歯をより深掘りしているので、合わせて参考にしてください。
関連記事:虫歯の3つの初期症状とは?初期虫歯の治療法や進行を止めるための対策も解説
まとめ|前歯の虫歯は程度によって治療法が異なる
前歯の虫歯は進行の度合いによって、治療法が変わります。
虫歯が軽度であれば、削ってお薬を詰めるだけで終わることもあるのです。
ただし、「歯を削って詰めて」の繰り返しでは、いずれ歯を失ってしまう恐れもあります。今回の記事を参考に、虫歯予防の対策も行って、再発を防ぎましょう。
「歯が黒くなってそうだから、チェックだけでもしてもらいたい」という方も、お気軽にご相談ください。スタッフ一同、心よりお待ちしております。