虫歯で頭痛が起きる6つの原因とは?死亡リスクや治療法・対処法も解説
こんにちは!大阪 梅田のえみは総合歯科、理事長の加藤直之です。
日々悩まされている頭痛は、虫歯からくるものかもしれません。虫歯が進行すると、原因菌は歯の中核にある神経や血液に入り込み、頭痛を引き起こします。そのまま放置していると、最悪の場合、死に至る可能性もあるのです。
そこで本記事では、虫歯が引き起こす頭痛について解説します。頭痛が起きる原因や頭痛の対処法・対策も掲載しているので、歯科医院を受診すべきか悩まれている方は、ぜひ参考にしてみてください。
また、当院での虫歯治療は、下記のページで詳しく紹介しています。頭痛が発生するまで進行した虫歯の治療法が気になる方は、合わせてチェックしましょう。
目次
虫歯が原因?こめかみのズキズキする頭痛
歯の黒ずみや痛みなどが代表的な症状である虫歯ですが、頭痛を併発するケースもあります。歯の中核には神経が通っていますが、頭部の神経と距離が近いため、神経まで達した虫歯が頭にも影響を及ぼすことがあるのです。
頭痛の原因にもなりえる虫歯を患っている患者の割合は、全体の約87%にも及びます(※1)。こめかみのズキズキした痛みが長引いている方は、知らぬ間に虫歯になっていて、それが引き金になっている可能性が十分あると言えるでしょう。
※1参考:令和4年 歯科疾患実態調査結果の概要
歯磨きで歯ブラシが届きづらい奥歯は特に虫歯になりやすく、自分では気付きにくいので、歯科医院で適切な検査と治療を受ける必要があります。
虫歯で頭が痛い6つの原因
虫歯による頭痛には、様々な原因があります。どの原因にも共通しているのは、虫歯の進行と共にリスクが高まる点です。頭痛に悩まされている方は、以下の6つの疾患の何れかを患っている可能性があります。
- 原因①歯髄炎
- 原因②歯性上顎洞炎
- 原因③筋緊張性頭痛
- 原因④顎関節症
- 原因⑤脳炎
- 原因⑥脳静脈血栓症
それぞれ詳しく見ていきましょう。
原因①歯髄炎
虫歯を放置したことで、原因菌や毒素が歯の内部にある神経(歯髄)にまで到達して発症する病気が、歯髄炎です。歯髄炎になると歯の痛みだけに留まらず、ズキズキとした脈打つような頭痛を引き起こす場合があります。
歯髄炎を放置すると、歯髄が死んで痛みを感じなくなるため、治ったように勘違いするかもしれません。しかし、細菌はさらに浸食していき、歯髄が腐敗することで強い腐敗臭となって、口臭を悪化させます。
原因②歯性上顎洞炎
虫歯が進行して、細菌が上顎洞に入り込んで炎症を起こす歯性上顎洞炎も、頭痛の原因の一つです。上顎に生えている歯の底が上顎洞と接近している場合、虫歯の原因菌が上顎洞に到達する可能性があります。
歯性上顎洞炎が発症すると、頭痛以外にも以下のような症状が現れます。
- 目の下や頬骨が腫れる
- 鼻水・鼻詰まりが起こる
- 全身に倦怠感がある
原因③筋緊張性頭痛
虫歯による噛み合わせのズレが引き起こす頭痛が、筋緊張性頭痛です。虫歯によって歯がしみたり、痛みを感じたりすると、虫歯になっていない方の歯で噛むようになり、噛み合わせのバランスが崩れます。また、歯が溶けることで、歯の高さが合わなくなることも、噛み合わせの悪化を誘発します。
噛み合わせがズレると、どちらかの筋肉が緊張するようになり、頭痛を引き起こすのです。一般的には、こめかみから後頭部にかけて頭痛が起こり、首や肩のコリを感じることもあります。
原因④顎関節症
顎が痛んだり、音が鳴ったりする顎関節症も、虫歯によって発症するリスクがあり、頭痛を併発する恐れがある疾患の一つです。虫歯によって噛み合わせが悪くなると、顎関節や筋肉に負担をかけることになり、顎関節症を引き起こす可能性があります。
顎関節症によって頭痛が起きる主な原因は、以下の2つです。
- 咀嚼筋が緊張し、神経に影響を及ぼす
- 頭蓋骨が歪み、周辺の筋肉や靭帯が引っ張られる
顎関節症になると、こめかみ部分にあたる側頭筋を含んだ咀嚼筋が緊張して、硬直します。そして、側頭筋の血管が圧迫されることで、脳の神経にも負担が加わるのです。また、顎関節症によって下顎がズレることで、頭蓋骨の歪みに繋がり、頭痛を引き起こします。
原因⑤脳炎
脳内に白血球が入り込むことで炎症が起こる脳炎も、虫歯による頭痛の原因の一つです。血液中に入り込んだ虫歯の原因菌が、脳まで運ばれることで発症します。頭痛や吐き気、嘔吐などの症状を伴い、重症化すると痙攣や意識障害を起こす危険もある恐ろしい病気です。
虫歯によって脳炎を引き起こす確率は低いですが、該当する症状が複数現れた場合は、歯科だけでなく、内科も受診されることを推奨します。
原因⑥脳静脈血栓症
脳の動脈が閉塞する脳梗塞はよく知られていますが、脳の静脈が詰まる脳静脈血栓症は、虫歯によって引き起こされるリスクがある疾患です。虫歯の原因菌が血液に乗って、脳へと運ばれると、心臓に帰る血液の流れで血栓が生じることがあります。脳静脈血栓症を発症すると、鋭い頭痛とともにめまいや吐き気が現れる場合があります。
放置するのは危険?虫歯の頭痛は死亡リスクがある
虫歯による頭痛は死亡リスクをはらんでいるため、放置してはいけません。虫歯の原因菌が脳に運ばれることで起きる脳静脈血栓症の死亡率は、約30%と言われています。死は免れたとしても、後遺症が残る恐れもあるので、早急な治療が重要です。
また、仮に血液中に虫歯の原因菌が流入したとしても、通常ならば免疫力で抑えられます。しかし、以下のような疾患を抱えている方は免疫力が弱いために、原因菌が脳や心臓に達してしまうリスクが高くなるので、特に注意してください。
- 糖尿病
- 慢性腎臓病
- HIV感染症
虫歯の頭痛が起きた時の3つの対処法
頭痛が酷くなり、今すぐにでも症状を緩和させたい場合は、以下のような対処法を試しましょう。あくまでも応急処置に過ぎないので、さらに悪化する前に歯科医院を受診することを推奨します。
- 痛み止め(鎮痛薬)を服用する
- 痛い箇所を冷やす
- 歯科医院を受診する
それぞれの対処法について、詳しく見ていきましょう。
痛み止め(鎮痛薬)を服用する
虫歯による頭痛が酷い場合は、鎮痛薬を服用することで、一時的に痛みを緩和できます。医療機関で処方された薬でも市販薬でも構いませんので、「ロキソプロフェン」「イブプロフェン」「アセトアミノフェン」が配合された鎮痛薬がおすすめです。
ただし、鎮痛剤の効果は長くても4〜6時間程度なので、歯科医院で治療を受けるまでの僅かな時間、痛みを和らげるという目的に過ぎません。用法用量を守らずに過度に服用すると、かえって頭痛を助長することになるので、注意してください。
痛い箇所を冷やす
患部を冷やすことによって痛みが和らぐ可能性があります。氷や保冷剤などを患部にあてて、冷やしてみてください。患部を冷やすことで血流を抑えられ、痛みが和らぎます。
ただし、虫歯による噛み合わせのズレからくる筋緊張性頭痛の場合は、筋肉の血流が悪くなることで起こっているので、反対に温めたり、運動したりするのが良いでしょう。
歯科医院を受診する
頭痛が起きた際の対処法として、何よりも重要なのは、早急に歯科医院を受診することです。自力で治そうと時間をかけているうちに、症状が悪化し、さらに治療が難しくなる恐れがあります。その分、治療費や治療期間を要する結果にもなりかねません。
特に、以下のような症状がある場合は、虫歯や合併症が重度まで進行している恐れがあるので、速やかに歯科医院を受診してください。
- 頭痛が24時間以上続き、痛みが激しくなっている
- めまいや吐き気の症状も併発している
- 一時期あった歯の痛みが急になくなった
- 歯が溶けてきた
虫歯による頭痛を悪化させないための対策
虫歯は自然治癒しない病気ですが、初期虫歯であれば、以下のような対策を行うことで進行を止められます。また、虫歯治療で一度歯を削ると再発リスクが高まるので、再び頭痛で苦しまないためにも、予防策を徹底してください。
- 正しいブラッシングを行う
- 長時間食べ物を口の中に入れない
- 定期健診を受ける
それぞれの対策について、詳しく見ていきましょう。
正しいブラッシングを行う
ブラッシングは、虫歯予防の基本です。正しいブラッシングを行うことで、虫歯の原因菌の温床であるバイオフィルムを破壊し、菌自体を除去できます。ブラッシングで使用する歯ブラシ、歯間ブラシ、デンタルフロスの正しい使い方は、以下のとおりです。
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長時間食べ物を口の中に入れない
食べ物が口の中に長時間滞在していると、糖分を餌にする虫歯の原因菌が活発に動き、歯のエナメル質を溶かす酸を作り出します。以下のポイントに気を付けて、食べ物が口の中に滞在する時間を減らしましょう。
- 食事後はすぐに口をゆすいだり、歯を磨いたりする
- 甘い飲み物を飲んだ後は、水を飲むようにする
- お菓子などの間食を控える
定期健診を受ける
歯科医院の定期健診を受けることで、虫歯を早期発見できます。虫歯は初期の段階では自覚症状がほとんどないので、自分では気付きにくいです。歯科医院で定期的に検査を受けることで、虫歯を早期発見でき、歯をほとんど削らずに治療を終えられます。
また、専門的な器具を使うことで、自宅で磨き残した汚れを綺麗に落としてもらえます。フッ素を塗布してもらうことで、虫歯への抵抗力も高められるのが特徴です。
当院では、虫歯や歯周病の検査や、歯垢・歯石の除去を目的としたクリーニングを行っております。
頭痛を根本解決するための虫歯の3つの治療法
虫歯に起因する頭痛を根本的に治すには、虫歯治療が必要です。虫歯治療には、進行度合いに応じて、主に以下のような治療法があります。
- フッ素塗布
- 充填治療
- 補綴治療
- 根管治療
- 抜歯治療
あなたの症状に合った治療法はどれか確認しながら、見ていきましょう。
フッ素塗布
幼い頃に、定期健診で歯科医院を受診した際、フッ素を塗ってもらった経験がある方も多いのではないでしょうか。フッ素を歯に塗ることによる効果は、以下の3つです。
- 歯の脱灰を防ぐ
- 歯の再石灰化を促す
- 原因菌による酸化を抑制する
フッ素には、歯質を強化する効果があるので、歯が酸によって溶ける「脱灰」を抑制できます。また、一度脱灰した歯が元に戻ろうとする再石灰化を助ける役割もあります。さらに、虫歯の原因菌を弱体化させることで、酸の産出量を減らせるのです。
充填治療
虫歯によって侵された部分を削り、空いた穴に詰め物をする治療法が、充填治療です。虫歯がエナメル質や象牙質に留まっている場合に用いられます。充填治療で採用される詰め物は、保険適用と保険適用外の以下のような素材です。
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補綴治療
虫歯が歯髄にまで進行し、根管治療の後に欠損した大部分を覆うように被せ物を装着する治療法が、補綴治療です。補強治療で採用される被せ物は、詰め物よりも多くの素材から選べます。
当院では、オールセラミックよりも強度があり、審美性にも優れたジルコニアという素材を推奨しています。ジルコニアの審美性や耐久性はそのままに、費用を抑えたいという方には、ジルライトがおすすめです。
根管治療
虫歯が歯髄にまで及んでいるC3、C4と呼ばれる重度の段階で行われる治療法が、根管治療です。虫歯の原因菌が歯髄にまで入り込むと、歯の痛さが増すばかりか、歯の内部や歯が溶けていきます。以下のような根管治療を行うことで、歯の内部の細菌を除去します。
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抜歯治療
根管治療を行っても完治しなかった場合や歯根の先端に病巣が出来ている場合、歯がグラグラで今にも抜けそうな場合などには、抜歯治療が必要です。抜歯後には、インプラント・ブリッジ・入れ歯の何れかの方法によって、欠損歯を補います。
虫歯に対する抜歯治療の流れや抜歯後の欠損歯に対する治療法について詳しく知りたい方は、こちらの記事も併せてご覧ください。
関連記事:虫歯で抜歯が必要なケースとは?その後の注意点や3つの治療方法
虫歯による頭痛に関するよくある質問
- 虫歯で歯は痛くないのに頭痛が起きることはある?
- 虫歯で頭痛や肩こりが起こる原因は?
- 後頭部の頭痛は虫歯が関係している?
それぞれ詳しく見ていきましょう。
虫歯で歯は痛くないのに頭痛が起きることはある?
痛みがないにも関わらず、頭痛が起きている場合は、虫歯以外の原因が潜んでいる可能性があります。歯の一番側のエナメル質の下には象牙質があり、虫歯の原因菌が象牙質の途中まで達すると神経に触れて、痛みを感じます。
頭痛が起きるのは、象牙質の更に内側にある歯髄まで進行した場合なので、頭痛より前に痛みが生じる可能性が高いのです。
虫歯で頭痛や肩こりが起こる原因は?
虫歯の症状は頭痛だけでなく、肩こりなどの全身にも波及する場合があります。虫歯になって、冷たい物でしみたり、痛みを感じたりすると、その部分を避けるように食事を摂るようになります。その結果、片側の筋肉に負担がかかり、頭痛や肩こりなどを引き起こすのです。また、口腔周辺にある筋肉やリンパ組織は、頭や首とも繋がっているため、虫歯の原因菌による炎症が伝播しやすいのです。
後頭部の頭痛は虫歯が関係している?
虫歯による「筋緊張性頭痛」は、頭の周りから後頭部にかけて痛みを感じます。筋緊張性頭痛は、歯痛以外にも過労や睡眠不足、仕事のストレスなどが合わさって発症している可能性があります。入浴やマッサージによって筋肉の緊張が解けて、一時的に症状が緩和しますが、根本的に解決するためには、歯科医院への受診が不可欠です。
まとめ|虫歯による頭痛は歯科医院でないと判断できない
虫歯の原因菌が歯髄にまで達すると、頭の神経や血管にまで影響を及ぼし、頭痛が起こります。また、痛む側の歯で噛むのを避けることから、筋肉のバランスが崩れ、頭痛や肩こりを引き起こすことになるのです。
虫歯による頭痛を放置していると、最悪の場合、死に至る危険があります。鎮痛薬を使用して痛みを和らげるのはあくまでも対処療法なので、早急に歯科医院を受診してください。
当院では、虫歯の原因菌を遺伝子レベルで特定し、虫歯の根本的な解決まで導きます。充填治療や補綴治療における詰め物・被せ物の種類も豊富に取り揃えているため、患者様のご要望に合った素材をご提案させていただきます。当院の虫歯治療について気になる方は、下記のページをご覧ください。