虫歯の進行段階と症状は?5ステップの治療方法と原因
こんにちは!大阪 梅田のえみは総合歯科、理事長の加藤直之です。
歯が黒くなっていると、虫歯なのかどれくらい進行しているのか知りたいと思う方もいるでしょう。
虫歯は初期のものから5段階に分類され、進行段階に応じた治療が必要です。
本記事では、虫歯の進行段階ごとの症状や治療方法を解説します。併せて虫歯の原因についても紹介しますので、セルフケアや定期検診の重要さを知るきっかけとなれば幸いです。
当院では、初診時に口腔内の状態を検査し、治療計画を立てます。現在の状態や今後の治療方法を詳しくご説明しますので、お悩みや不安などありましたらお気軽にお申し付けください。
目次
虫歯における5段階の進行度と症状
虫歯における進行度と症状を5段階にまとめました。
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それぞれ詳しく解説するので、進行段階の参考にしてください。
CO(初期虫歯)
COは虫歯の初期段階で、歯の表面であるエナメル質のみが虫歯菌によって溶かされた状態です。
COの症状は以下のとおりです。
- 歯の表面が白っぽく濁った色になる
- 痛みはない
COの場合、歯に穴はあいておらず、歯の表面が白く濁って見えたり黒く着色したりしますが自覚症状はほとんどありません。
歯の表面の変化だけでは自分で気づくのが難しく、歯科検診などで指摘されることが多いでしょう。
COの段階であれば、必ずしも治療が必要とは限らず、正しい歯磨きなど適切な治療を受けることで虫歯の進行を止められます。しかし、気づかず放置すると虫歯は進行するため、定期的なチェックがおすすめです。
C1(エナメル質の虫歯)
C1は虫歯がCOよりもエナメル質の内部に進行した段階で、歯の表面が黒く着色した状態を指します。
C1の症状は以下のとおりです。
- 歯の表面が黒っぽくなる
- 冷たいものがしみることがある
- 痛みはない
C1は、歯に穴があくかあかないかの瀬戸際です。冷たいものがしみる場合もありますが、症状はほぼないことが多く、自覚できないケースも少なくありません。
穴があいていない状態であれば必ずしも治療が必要とは限らず、歯磨きや適切な処置で経過をみることもあります。
歯が黒くなった部分が虫歯か詳しく知りたい方は、こちらの記事もチェックしましょう。
関連記事:歯の黒い点・線・汚れの6つの原因とは?白くするための治療法も解説
C2(象牙質の虫歯)
C2は、虫歯がエナメル質の内側にある象牙質まで達した状態です。
C2の症状は以下を参考にしてください。
- 冷たいもの・甘いものがしみる
- ときどき痛むことがある
- 熱いものでも痛みや違和感を覚えることがある
C2でしみるのは、象牙質がエナメル質よりも神経に近いためです。冷たいものや甘いものにしみるようになり、ときには痛みを感じることがあります。
虫歯の深さによっては、熱いものでも痛みや違和感を感じることがあるため、C1よりも症状の強さを覚えるでしょう。
症状が出ることで虫歯があると自覚できますが、治療はCOやC1と比べて複雑になります。
C3(神経に達した虫歯)
C3は虫歯が歯の神経(歯髄)まで達した段階です。
虫歯がC3まで進行した際の症状は、以下のとおりです。
- 熱いものがしみる
- 何もしなくてもズキズキと激しく痛む
C2から虫歯がさらに進行し歯髄まで達すると、熱いものがしみるだけでなく、何もしなくてもズキズキと強い痛みを感じます。
痛みが強いと痛み止めが効きにくく、日常生活に支障をきたすケースも少なくありません。
また、ゆっくりと虫歯が進行した場合には、稀に痛みを感じないケースがあるのも事実です。しかし、自然に治った訳ではなく、根の先に膿が溜まると腫れや激しい痛みを伴うこともあります。
C3まで虫歯が進行すると強い痛みを伴うため、早めに歯科医院を受診して治療を受けましょう。
C4(歯根に達した虫歯)
C4はさらに虫歯が進行し、歯根にまで達した段階です。
虫歯がさらに進行した際の症状には、以下が挙げられます。
- 歯の大部分が溶けてなくなる
- 痛みはなくなる
- 根の先に膿が溜まると腫れと痛みが出る
C4は歯の頭の部分がすべて虫歯になり、歯根だけ残った状態です。C3から虫歯がさらに進行すると神経が死んでしまうため、痛みはなくなります。
しかし、ずっと痛みが出ないわけではなく、体の免疫力が下がり根の先に膿が溜まると腫れや痛みが出るのも事実です。
また、見た目の面では、他人から見ても虫歯とわかるため、前歯の場合は人前で笑えないなどの精神面での負担を感じることもあるでしょう。
C4まで放置すると、痛みだけでなく機能面や審美面でも支障が出るため、早めの治療がおすすめです。
虫歯の進行段階ごとの治療方法5ステップ
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虫歯が進行するほど治療方法は複雑化し、通院回数も増えます。それぞれの治療方法を解説するので、参考にしてください。
当医院では、初診時に口腔内の検査を行い、患者さんにあった治療計画を立てております。
CO
初期の虫歯であるCOは必ずしも治療が必要とは限らず、フッ素塗布や歯磨き指導などにより、虫歯の進行を抑制し経過をみます。
フッ素は歯の表面を強化するうえ、虫歯菌の活動を抑制するのに効果的です。また、虫歯の原因となる歯垢を効果的に除去できるように、必要に応じて歯科医師や歯科衛生士による歯磨き指導を受けることもあります。
ほかにも、フッ素配合の歯磨き粉を使用したり、食生活の面では虫歯菌の好む糖質を取りすぎないように注意したりと自分自身でも対策できます。
初期虫歯は自分で気づくのが難しいため、日頃から定期検診を受けるなどの習慣づけが重要です。
症状がないからと受診を後回しにしがちですが、自分の歯を守るためにも定期的にチェックを受けましょう。
C1
C1の場合、エナメル質にできた虫歯の部分のみを削り、CR(コンポジットレジン)と呼ばれる歯科用プラスチックで直接詰めて修復します。
ごく軽度で虫歯の範囲も狭いため、麻酔の必要もなく治療できるケースがほとんどです。
なかでも、C1の状態でも歯の表面に着色しているだけで穴があいていないケースでは、COと同様に歯磨きとフッ素塗布で経過をみることもあります。
ただし、歯磨きの状態が悪く放置していると、虫歯は徐々に進行します。C1はCOと同様に症状が少ないため、自覚できないケースも少なくありません。
痛みを伴うような虫歯に進行しないように、定期的に歯科医院を受診しましょう。
C2
C2の状態では、必要応じて麻酔を行ったうえで象牙質まで進行した虫歯を削り、補う面積に応じた詰め物で修復します。
C2での虫歯治療で行われる治療方法は以下のとおりです。
- CR
- インレー
- アンレー
- クラウン
虫歯を修復するための治療方法は、虫歯の深さや範囲によって選択します。
虫歯の範囲がそれほど広くない場合は、C1と同様にCRを詰めて修復することも少なくありません。
部分的な詰め物であるインレーやアンレーは、CRでは補えない範囲の虫歯の場合に行われる治療方法で、型どりをしたあと完成した詰め物を接着剤で装着します。
詰め物が歯を補う面積は、インレー・アンレー・クラウンの順に広くなります。クラウンはインレーやアンレーよりも広範囲の虫歯を補い、歯を全周にわたって削り被せ物を装着する治療方法です。
どの治療方法も、保険適用の材料では金属になる場合がありますが、自費診療を選択すればセラミックなどの白い詰め物で治せます。
C3
虫歯が歯髄まで達した場合、歯の根の中にある神経を取り除き消毒する根管治療が必要です。
根管治療を伴う際の流れは以下のとおりです。
- 麻酔後に神経を除去する(抜髄)
- 数回にわたって根の中の消毒をする
- 根の中を材料で詰める
- 土台を作る
- 被せ物を装着する
最初に行われる抜髄では麻酔を用いて虫歯の部分を削り、神経を取り除きます。
根の中の消毒は症状に応じて数回必要になりますが、2回目以降の治療では基本的に麻酔は不要です。根の中の消毒が終わったら、材料を詰めて根管治療は終了します。
根管治療後は歯の状態に合わせて土台を作り、被せ物を入れて噛み合わせを戻します。
抜髄をすると今まで感じていた痛みが落ち着くため、治療を中断する方も珍しくありません。しかし、神経を取り除いただけでは治療は終わっておらず、放置すると根の先に炎症を起こして腫れや痛みを引き起こします。
痛みが落ち着いたからと安心せず、最後まで通院しましょう。
C4
歯の大部分が虫歯で溶かされたC4では根管治療を行うこともありますが、残せずに抜歯になるケースがほとんどです。
現代の歯科治療では、できるだけ歯を残せるように治療を進めます。そのため、残った根の状態によっては根管治療後に被せ物を入れるケースもあるでしょう。
ただし、根管治療ができず歯を残すのが難しいケースでは、麻酔後に抜歯し以下の治療方法で噛み合わせを戻します。
- ブリッジ
- 入れ歯
- インプラント
歯を1本失った場合、保険適用のブリッジや入れ歯では周囲の歯に負担がかかります。一方、インプラントは周囲の歯に負担はないものの、外科手術を伴う点や自費診療である点に抵抗を感じる方もいるでしょう。
歯を1本失う代償は大きいため、C4まで放置せず早めに受診し治療を受けることをおすすめします。
虫歯による抜歯や、抜歯後の治療方法に関してはこちらの記事も参考にしてください。
関連記事:インプラントかブリッジか?費用・寿命などの違いやメリット・デメリットを徹底比較
歯の中で虫歯になる3つの原因
- 細菌
- 糖質
- 歯の質
虫歯は口腔内のミュータンス菌という菌が、歯の表面に付着した糖質をエサに酸を作り、歯を溶かします。
食べ物に含まれる糖質は、ミュータンス菌が酸を作るのに使われます。したがって、間食などで甘いものを多く摂る習慣があると、歯質が酸にさらされる時間が長くなるため注意が必要です。
歯の質には個人差がありますが、乳歯や生えたばかりの永久歯は虫歯になりやすいと言われています。
丁寧な歯磨きを心がけるだけでなく、丈夫な歯を作れるようにタンパク質やカルシウム・ビタミンなどの栄養素を摂るように意識しましょう。
虫歯の進行段階に関するよくある質問
- 虫歯初期の場合は治療した方が良いのか?
- 虫歯を確かめる方法はあるのか?
- 虫歯でしみるのはどの進行段階か?
それぞれ解説するので、参考にしてください。
虫歯初期の場合は治療した方が良いですか?
穴があく前の状態である初期虫歯の場合、歯を削るなどの治療は必要なく丁寧な歯磨きやフッ素塗布などで進行を予防できます。
歯科医院でのフッ素塗布だけでなく、フッ素配合の歯磨き粉を日常的に使用することで、溶かされた歯の表面を健康な状態に戻す再石灰化が期待できます。
市販の歯磨き粉にもフッ素が配合された商品は数多く陳列しているため、成分表もチェックしましょう。
一方、初期虫歯でも治療が必要なのは、以下のケースです。
- 清掃状態が悪い
- 虫歯リスクが高い
- 歯科医院での定期検診を受けられない
初期虫歯であるCO〜C!の状態であれば、痛みもなく短時間で治療できます。しかし、初期虫歯が治療を要するのか自分で判断するのは難しいため、気になったら早めに受診してください。
虫歯を確かめる方法はありますか?
虫歯かどうかのセルフチェック方法は、以下の4つです。
- 歯が白く濁った色をしている
- 冷たいもの・甘いもの・熱いものがしみる
- 歯に穴があいたり欠けたりしている
- 噛んだときの痛みや何もしなくてもズキズキとした痛みがある
しみたり痛みを感じるなどの症状や、歯に穴があいているなどの状態であれば虫歯か判断しやすいでしょう。
しかし、初期虫歯である歯の色の変化は前歯などの見やすい部位でなければ、なかなか気づけません。
セルフチェックで当てはまった場合は虫歯の可能性がありますが、最終的には歯科医院でチェックしてもらう必要があります。
虫歯は一度発症すると自然には治らないため、早期発見・早期治療が重要です。虫歯が進行するほど治療回数や期間は長引くため、気になったら早めの受診を心がけましょう。
虫歯を放置した場合の予後や自然治癒するのか知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
関連記事:虫歯を放置するとどうなる?リスクや治療法について徹底解説
虫歯でしみるのはどの進行段階ですか?
虫歯でしみるのは以下の進行段階です。
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進行段階によってどのようなものにしみるかは異なりますが、C1〜C3の段階で症状を感じるでしょう。
C1では無症状である場合も少なくありません。一方、C3では熱いものがしみるうえ、強い痛みを伴うのが特徴です。
C4まで虫歯が進行すると神経が死んでしまうため、しみなくなります。ただし、根の先に炎症を起こし膿が溜まると強い痛みを生じます。
しみる症状を感じた際は、どのようなものにしみるのか、他に伴う症状はあるのかを確認すると、進行段階を知る判断材料になるでしょう。
まとめ|虫歯治療は進行する前に早めに受診しよう
虫歯は歯の表面のエナメル質から始まり、徐々に内部へと進行していく感染症です。
虫歯は放置しても自然に治ることはなく、少しずつ確実に進行します。
進行するほど治療は複雑化し回数や期間が延びるため、早期発見できるように定期検診を受ける習慣をつけるのが重要です。
初期虫歯では、すぐに治療せず経過をみるケースが多いのも事実です。しかし、自己判断は難しいため、歯の表面が白く濁る・黒いなどの見た目の変化が認められた場合は早めに受診し、チェックしてもらいましょう。
当院では、WEBでの初診予約も可能です。口腔内のお悩みなどもお伺いしておりますので、お気軽にご来院ください。