インプラントが取れたらどうする?外れた箇所ごとの原因・対処法を解説
こんにちは!大阪 梅田の えみは総合歯科、理事長の加藤直之です。
外科手術を伴うインプラント治療は、手術を終えたからといって安心できるわけではありません。何かがきっかけでインプラントが取れる・外れる・壊れるといったトラブルが発生することも十分ありえます。
そこで本記事では、インプラントが取れた場合の対処法が知りたい方に向けて、取れた箇所ごとに原因や対処法、費用について紹介します。インプラントが取れた時に行うべき行動と注意点も解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
また、当院でのインプラント治療に関しては、下記のページで詳細に紹介しています。具体的な治療内容やインプラントの寿命を長引かせるための取り組みについて気になる方は、合わせてチェックしましょう。
目次
インプラントが取れたら?どこが外れたか確認する
インプラントが取れてしまった場合は、3つの構成要素のうち、どこのパーツが取れたのかをまずは確認しましょう。どのパーツが取れたのかによって対処方法は異なります。
最初に、該当パーツの見極めが正確かつ迅速に行えると、歯科医師にも迅速かつ的確に対応してもらえます。インプラントを構成する主な要素は次の3つです。
参考:インプラントネット
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また、インプラント体の埋入手術を行いアバットメントまで装着したものの、仮歯や人工歯の装着までに期間を要する場合、ヒーリングキャンプと呼ばれる蓋をアバットメント上部に装着することがあります。アバットメントに汚れが入ったり、傷ついたりすることを防げるでしょう。
ヒーリングキャップも取れる可能性があるパーツの一つと言えます。
各箇所ごとのインプラントが取れた原因・対処法
次は、インプラントを構成する各部品ごとに取れる原因と対処法を解説します。歯科医院ですぐに取り付けられるケースから再手術が必要になるケースまで様々です。
- 上部構造の被せ物「人工歯」
- ネジ穴の蓋「ヒーリングキャンプ」
- 連結部分の土台「アバットメント」
- 人工歯根「インプラント体」
それぞれ詳しく見ていきましょう。
上部構造の被せ物「人工歯」
人工歯が取れた場合の原因と対処法は次の通りです。
■原因
- スクリュー固定式によるネジのゆるみ
- インプラント周囲炎の影響
- 歯ぎしりや食いしばりで強い力が加わった
- 噛み合わせが変わった
■対処法
- 被せ物が壊れていなければ、再装着できる可能性がある
- 被せ物が壊れないように慎重に歯科医院へ持っていく
人工歯の取り付け方には、スクリュー固定とセメント合着の2種類があります。そのうちスクリュー固定の場合は、ネジによってアバットメントと固定されているため、ネジのゆるみが生じて脱落したと考えられます。
また、セメントによって接着している場合には、歯ぎしりや食いしばり、噛み合わせの変化によって過度な力が加わり取れてしまった可能性もあるでしょう。
被せ物の状態によっては再装着が可能なので、壊れないように気を付けながら、歯科医院に持っていくのが望ましいです。
ネジ穴の蓋「ヒーリングキャンプ」
ヒーリングキャンプが取れた場合の原因と対処法は次の通りです。
■原因
- 咀嚼時に干渉を起こしたことでスクリューがゆるんだ
- アバットメントとインプラント体がフィットする前に周囲の骨と結合し、ヒーリングキャップが付いたアバットメントが不完全な接着状態となっていた
■対処法
- 歯肉の厚みに合わせたヒーリングキャップのサイズを選択・使用する
ヒーリングキャップが歯肉縁上に大きく突出していたことで咀嚼した際に干渉を起こすと、アバットメントと接続しているネジがゆるみ、脱落に繋がる可能性があります。
この場合、ヒーリングキャップが歯肉縁上に必要以上突出させないよう、歯肉の厚みに合わせたサイズに変更し、再度装着するという対処が可能です。歯肉縁からヒーリングキャップが突出する幅は1mm程度を目安とするのがよいでしょう。
連結部分の土台「アバットメント」
アバットメントが取れた場合の原因と対処法は次の通りです。
■原因
- 歯ぎしりや食いしばりで強い力が加わり、ネジが緩んだ
- アバットメントをインプラント体に取り付ける際のネジが緩かった
■対処法
- 壊れていなければ再度装着できる可能性が高い
- 被せ物とアバットメントの両方を保管する
歯ぎしりや食いしばりのくせがある方は、アバットメントに強い力が加わり続け、ネジが緩んで脱落する恐れがあります。また、歯科医師がアバットメントを取り付けた際に、ネジの締めが弱い可能性も考えられます。
アバットメントが破損していなければ再度装着できるので、アバットメントと被せ物を忘れずに速やかに歯科医院を受診しましょう。アバットメントの締め直しは比較的簡単な処置のため、短時間で終わることが予想されます。
再発防止のためにも、噛み合わせの異常や歯ぎしり、食いしばりの癖がないかなども併せて確認してもらうのがよいでしょう。
人工歯根「インプラント体」
埋入手術を行った人工歯根である「インプラント体」が取れるケースは、最も深刻な症例の一つと言えるでしょう。
インプラント体は顎の骨と結合しているので、外れるようなことはめったに起きませんが、考えられる原因と対処法は次の通りです。
■原因
- インプラント周囲炎により歯槽が炎症を起こした
- 噛み合わせの変化、歯ぎしりや食いしばりによる影響
- インプラントを支えている顎の骨が痩せた
■対処法
- 再手術を行う
インプラント周囲炎に感染し、歯槽が炎症を起こしたり、顎の骨が痩せたりするとインプラント体を支えきれなくなり脱落します。また、噛み合わせの変化や歯ぎしり・食いしばりによって噛む力が強くなり、インプラント体に負担がかかり続けていた可能性もあります。
インプラント体が脱落してしまった場合は、簡単に取り付けることは不可能です。再手術の必要がありますので、各パーツ全てを保管し、歯科医院を受診しましょう。
また、インプラント治療後も歯科医院で定期メンテナンスを受けていると、噛み合わせの変化やインプラント歯周病にかかっているかを定期的に診てもらえます。インプラントのメンテナンスについて詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
関連記事:インプラントのメンテナンスは必要?内容や重要性について解説
インプラントが取れたら違う歯医者も受診できる
インプラントが取れてしまったにも関わらず、当時手術を受けた歯科医院が近くにない場合や、他の信頼できる歯科医院で受診したいケースもあるでしょう。結論として、インプラントが取れた際は、施術した歯科医院と異なる歯医者でも受診できます。
また、治療時と異なる歯科医院を選ぶ際は、埋入したインプラントのメーカーを取り扱っているかも事前に確認するとよいでしょう。
当院では、他の歯科医院で埋入した方のインプラントメンテナンスも多く承っています。健康な状態を維持できるよう、十分なアフターケアを行っておりますので、お気軽にご相談ください。
受診前に知りたいインプラントが取れた際の3つの注意点
インプラントの部位に関わらず、部品が取れてしまった際は必ず歯科医院を受診しましょう。その際には、事前に注意しておくべき点が3つあります。
- 自力で治そうとしない
- 取れた箇所に負担をかけない
- 早急に受診する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
自力で治そうとしない
取れてしまったインプラントの各部品を自力で戻そうとするのは厳禁です。なぜなら、破損したパーツを無理やり取り付けたことで口腔内が傷ついたり、インプラント周囲炎に感染しているところに取り付けて感染を広げたりする事態にもなりかねません。
また、自力で戻そうとすると不衛生な手で口内を触ってしまい、細菌感染のリスクが高まります。ましてや、市販の接着剤などでくっつけようとすることは絶対に止めましょう。
患部には一切触れずに歯科医師に診てもらうことが大切です。
取れた箇所に負担をかけない
歯科医院で受診の予約が取れたら、歯科医師に診てもらうまでは患部に負担をかけないように生活しましょう。負担をかけてしまうと、状態が悪化してしまったり、細菌に感染したりするリスクもあります。負担をかけない生活の具体例は次の通りです。
- スルメやせんべい、ナッツなどの硬い食べ物を避ける
- 患部を直接手で触れない
- 患部を舌でいじらない
部品が取れた箇所は、本来あるべき姿ではない状態になっています。その患部に対して、硬い食べ物を食べて強い力が働くとさらなる破損を招きかねません。
また、患部を舌や手でいじってしまうと、患部周辺だけでなく他の健康な歯についても、歯周病などの細菌に感染する恐れがあります。
早急に受診する
インプラントが取れた場合は、まず部品を大切に保管し、歯科医院を早急に予約しましょう。取れたままの状態で放置していると、細菌感染リスクなどが高まり、さらに治療が難しくなる場合もあります。また、患部が細菌にさらされる時間も長くなるため、感染のリスクも高まります。
できるだけ早めに診療を受けることができれば、その分治療期間が短くなり、治療費も安く済むでしょう。
インプラントが取れた場合の費用
インプラントが取れた場合の費用については、単純に取れただけなのか、又は壊れているのかによって異なります。取れた時は再装着で終わるケースがほとんどですが、壊れた場合は修理費用が別にかかります。
- 被せ物が取れた場合の費用
- 被せ物やインプラントが壊れた場合の費用
それぞれ詳しく見ていきましょう。
被せ物が取れた場合の費用
アバットメントに接続している被せ物が取れただけの場合は、そのまま装着し直すことが多いので、費用はほとんどかかりません。ただし、インプラント治療は自由診療なので、接着費用に加えて再診料などもかかった場合には、500円〜5000円と歯科医院によって幅があることを覚えておきましょう。
また、インプラントが破損または脱落した際は保証が適用できる場合があります。新しいインプラントへの交換費用が無料になったり、減額されたりしますが、保証内容は歯科医院によって異なるため、治療後に確認しておくと良いでしょう。
当院では、2年間の保証期間を設けています。また、1本あたり33,000円(税込)をお支払いいただくことで、保証期間を10年に延ばすことも可能です。
被せ物やインプラントが壊れた場合の費用
被せ物が壊れたり割れたりしている場合は、再び取り付けることができません。被せ物を修理するか、再度作り直す必要があります。作り直す場合は、インプラント治療時に支払った被せ物の費用と同額がかかる可能性もあるでしょう。
インプラントの被せ物の相場は、1本あたり約5万~15万円と言われています。当院のジルコニアを使用した被せ物は、アバットメント込みで165,000円(税込み)です。
インプラントが取れた方のQ&A
最後に、インプラントが取れた場合に関するよくある質問にお答えします。
- アバットメントのネジは締め直せるか
- インプラントの歯茎に違和感を感じることはあるか
- インプラントの噛み合わせはどのように調整するか
それぞれ詳しく解説していきます。
インプラントの被せ物が取れたが放置しても問題ないか
インプラントの被せ物が取れたまま放置していると、患部のみならず周りの歯にも悪影響を及ぼしかねません。考えられる主な影響は次の通りです。
- 噛み合わせが変わり、残っている他の歯に負担がかかる
- むき出しになったインプラントを構成する他のパーツに負荷がかかる
- 歯茎に細菌が入り込んで炎症を起こす
上記のように状態が悪化した頃に歯科医院を受診すると、治療がさらに困難になるばかりか、治療期間が長くなり治療費も多くかかることが想定されます。
ネジのゆるみや折れた場合の対処方法は?
アバットメントのネジが緩んでいる場合は、噛み合わせの変化や歯ぎしりなどが絡んでいることがあります。そのため、単にネジを締めるだけでは根本解決にならないことも多いので、歯科医院を受診しましょう。
ネジが折れた場合は、歯科医院でネジの除去キット等を用いてまずは折れたネジを除去します。どうしてもネジが取れない場合や内部のネジ穴が壊れている際は、インプラント体を除去した上で再度、埋入手術を行うこともあります。
インプラントが取れた際の応急処置は?
インプラントが取れた場合は、まず取れた全てのパーツを保管しましょう。保管する際には、パーツは洗わずに衛生的な容器に入れておくのがよいです。なぜなら、インプラントのパーツは小さいので、洗っている際に排水溝に落ちてなくす恐れもあるからです。
保管ができたら、歯科医院を早急に受診してください。診療を受けるまでは、患部に刺激を与えずに安静にしておくのがよいでしょう。
まとめ|インプラントが取れたら歯科医院に相談しよう
インプラントが取れた場合は、取れたパーツを全て回収し、インプラント体、アバットメント、人工歯のどれにあたるのかをまず確認してください。その後、それぞれのパーツに応じた対処法を歯科医院に検討してもらいましょう。
受診するまでの間は、決して自力では治そうとせず、取れた箇所にできるだけ負担をかけずに過さなければなりません。
また、当院ではインプラント治療を他院で行った方に対してもメンテナンスを行っております。ご興味のある方は、ぜひ以下のページをご覧ください。