親知らずを40代まで放置した結果…最悪どうなる?予防歯科の専門家が語るリスクと対策

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親知らずを40代まで放置した結果…最悪どうなる?予防歯科の専門家が語るリスクと対策

カテゴリ:歯の健康 / 親知らず / 口腔ケア想定読了時間:約10分


「痛くないから大丈夫」と思っていませんか?

実は、40代まで親知らずを放置すると、想像をはるかに超える大変な事態になることがあります。


はじめに:「いつまで親知らずを放置していますか?それ以上は危険です」

南大阪を拠点に予防歯科の専門家として20年以上のキャリアを持つ加藤先生。

口腔ケアから幅広い分野で多くの患者さんのお悩みを解決してきた先生が、今回はズバリ語ってくれました。

「40代以降の親知らず抜歯は、想像以上に大変です」

親知らずは上下に1本ずつ、合計4本あるのが一般的です。

全部必ず抜かないといけないわけではありませんが、”抜いた方がいい歯”をずっと放置しておくのは、やはりよくないと加藤先生は言います。

そして特に強調されていたのがこの言葉——

「特に40代まで親知らずを放置している人は、結構大変なケースが多い」

では、なぜ40代になると危険なのでしょうか?

その理由を、先生の解説をもとに詳しくご紹介していきます。



なぜ40代以降の親知らず抜歯は危険なのか?【理由①:歯根膜(しこんまく)がなくなる】

「歯と骨ってくっついてると思いますよね?」と加藤先生。

実は歯と骨の間には、肉眼ではほぼ見えないレベルの薄い膜が存在しています。

これを歯根膜(しこんまく)といいます。

先生はこれを、車のサスペンションに例えて説明してくれました。

「車でサスペンションがあって、路面が荒れていてもバネが衝撃を吸収して滑らかに走れるじゃないですか。

歯根膜もそれと同じで、硬いものを噛んでも力を吸収してくれるクッションなんですよ」

そして抜歯の際には、この歯根膜のわずかな隙間に細い器具を差し込み、くさびの原理で歯を浮き上がらせて抜くのが基本的な方法だと教えてくれました。

ところが——

40代以降になると、この歯根膜が極端に減ってくるのです。

膜の隙間がなくなることで、歯と骨がほぼ一体化した状態(癒着)になってしまいます。

つまり、抜きたくても抜けないという状況が生まれてしまうわけです。


理由②:年齢とともに増える内科的なリスク

40代を超えてくると、体の事情も変わってきます。

加藤先生が挙げていたのは、こんなケースです。

  • 高血圧を患っている
  • 糖尿病の診断を受けている
  • 血液をさらさらにする薬(抗凝固剤など)を服用している

こうした内科的な問題を抱えている状態での親知らず抜歯は、体への負担が大きく、リスクがどんどん高まっていきます。

若い頃は特に問題なかった親知らずも、時間の経過とともに「悪くなった状態」で放置され続けます。

すると、その周辺はじわじわと炎症を繰り返し、体が知らないうちにむしばまれていく——という悪循環が起きているのです。


理由③:抜いた後の腫れが「洒落にならない」レベルに

長年放置した親知らずを40代以降に抜くと、抜歯後の顔の腫れが非常に強く出ることがあると先生は語ります。

その理由は——

「慢性的に水面下で炎症を何度も繰り返して、もういわば熟成した状態になってることが多い。

そこから菌が散るので、顔がパンパンに腫れてきたりする」

そして免疫力も落ちている40代以降では、腫れが長引くことも。

先生が口腔外科にいた頃の経験として、こんな話をしてくれました。

「顔の腫れがひどいと、飲み薬では対応できなくて、朝晩の点滴を3日から4日続けるということになる」

点滴が3〜4日続く——それだけ聞いても、いかに大変な状態かが伝わってきます。


癒着した親知らずの抜歯は「化石の発掘作業」

ここからが、この動画の中でも特に衝撃的な場面です。

歯と骨が完全に一体化(癒着)してしまった場合、どうやって抜くのか?

加藤先生はこう表現しました。

「化石の発掘作業」

「土の中に骨が埋まっていて、それをのみとトンカチでカンカンカンってやって掘り起こす感じ。

もう骨を割っていって、歯を骨の中から発掘していく」

麻酔はしているとはいえ、患者さんには「頭に直接ガンガンと衝撃が来るような感覚」があるといいます。

「やっている方はいいんですけど、やられている患者さんは、もう頭に直接叩いてるみたいな感じで、どんどん衝撃がくる」

さらに——

「半分だけ抜くとか、骨と一体化しすぎてどこまでが骨でどこまでが歯か分からない状況では、そのまま放置して様子を見るということもある」

つまり、せっかく抜こうとしても途中で断念せざるをえないケースもあるということです。


大学病院の教授でも「うっ…」となる処置

動画の後半で、加藤先生が口腔外科時代のエピソードを語ってくれました。

これがまた強烈です。

癒着した親知らずの抜歯のために、大学病院の口腔外科の教授にわざわざ来ていただくことがあったそうです。

その教授は、全身麻酔での癌の手術(12時間に及ぶこともある)を行うような、まさにトップクラスの先生。

ところが——

「教授の先生が来た時点で、『今日は癒着している親知らずをお願いします』と言った瞬間の、先生のなんとも言えない悲壮感というか…。書いていいかな、みたいな雰囲気」

癌の大手術もこなすような教授でさえ、癒着した親知らずの抜歯と聞いて憂鬱になる——それほど大変な処置なのだということが、このエピソードから生々しく伝わってきます。


痛くなってから抜けばいいじゃないか?→それが一番危険

「痛くなければ行かなくていいよね」——これ、正直みんな思いますよね。

加藤先生も「その気持ちはめちゃめちゃわかる」と共感しつつも、こう説明します。

実は、問題のある親知らずでも「痛くない時期」が長く続く理由があります。

「バイ菌はあるんですけど、皆さんの体の免疫力がバイ菌を押さえ込んでくれているんですよ。

だから、体が勝手に押さえ込んでくれているので、大丈夫と思ってしまう」

ところが——

  • 仕事が重なって疲れた
  • 睡眠不足が続いた
  • 風邪をひいて熱が出た

こういった免疫力が下がったタイミングに、一気にバイ菌が暴れ出します。

「疲れてる、風邪引いてしんどいのに、そんな時に限って親知らずが腫れて顔がパンパンになる、ということが起こってくる」

そして——腫れている最中は、抜歯ができません。

「腫れている時に抜いたら余計に腫れる。だからまず薬と消毒で腫れを引かせて、その後に抜く。抜いたらまた腫れる。つまり2回腫れないといけない

誰も得しない、この二重の苦しみ。

だから先生は言います——「親知らずは早めに処置した方がいい」と。


40代の知人が「今さら親知らずが生えてきた」エピソード

動画の中で、加藤先生の知り合いが40代で初めて親知らずが生えてきたというエピソードが紹介されました。

「そんなことってあるんですか?」という問いに対して、先生はこう説明します。

「あまりないですが、例えば手前の永久歯が悪くなって抜歯になると、それまで埋まっていた親知らずが使われていたスペースに自然に出てきたりすることがある」

問題はその生え方で、餃子の皮の角のように「斜めに顔を出す」状態になると——

「少しでも隙間があると、口の中のバイ菌がどんどんその隙間に入ってくる。でも歯ブラシでは中まで綺麗にできないので、親知らずがもうバイ菌の巣窟みたいになってしまう」



抜くなら「学生のうち」がベスト。その理由とは?

では、いつ抜くのが一番いいのでしょうか?

加藤先生のすすめは——

「社会人になる前、学生のうちに」です。

理由はシンプル。

社会人になってから腫れると、スケジュールが全部飛ぶからです。

「親知らずで腫れ方によっては、仕事を休まないといけない。有給を取るとかって、なかなか大変じゃないですか」

さらに——腫れている最中は抜けないので、まず腫れを引かせ、その後改めて抜歯をする必要があります。

これが「2回腫れ問題」です。

一方、学生時代ならまだ比較的スケジュールの融通が利く。体も若くて回復も早い。歯根膜もしっかりある。

良いことずくめです。

また、ドライソケット(抜歯後の傷口がふさがらず、骨がむき出しになって痛みが続く状態)のリスクも、年齢が上がるほど高くなると先生は言います。

「40代を超えてから抜くという場面になった時はしょうがないですけど、できたら若い時に抜かれる方がいいかなと思います」


「でも今さら手遅れじゃないの?」という方へ

「もう40代だし、今さら関係ない話だよ」と思った方、そうではありません。

加藤先生はこうも言っています——

「何歳になっても親知らずは抜けます。

ただ、抜いた方がいいのかそのまま置いておいた方がいいのか、その判断は鏡を見ても全然わかりません」

大切なのは——まず、かかりつけの歯科医院に相談することです。

レントゲンを撮ってもらい、現在の状態を診断してもらう。その上で、専門家と一緒に「抜くべきか・様子を見るか」を判断するのが一番です。

40代以降で問題が出てきた場合は、状況によって口腔外科への紹介やCT撮影、場合によっては手術室での処置が必要になることもあります。

「CTも撮って、手術みたいな感じで、何回も病院に足を運んでもらわないといけない。本当に大変なんで、若いうちにトラブルが出そうな親知らずは取っておかれた方がいい」


まとめ:親知らずを放置するとどうなる?

加藤先生のお話を整理すると、こうなります。

年齢を重ねるほど、親知らず抜歯のリスクと難易度は上がる

具体的には——

  1. 歯根膜(しこんまく)が減り、歯と骨が癒着して「抜けない状態」になる
  2. 高血圧・糖尿病・抗凝固剤など、内科的な事情が増えて抜歯の負担が増す
  3. 長期の炎症蓄積により、抜歯後の腫れが激しくなる(点滴が必要なケースも)
  4. ドライソケット(抜歯後に骨がむき出しになる状態)のリスクが上がる
  5. 最悪の場合、半分しか抜けない・抜歯を断念するケースも

それでも「痛くないから放置」を続けると——免疫力が下がったタイミングで突然腫れ上がり、しかもその状態では抜歯もできない、という最悪のシナリオが待っています。


おわりに

「痛くないから大丈夫」は、親知らずに関しては禁句かもしれません。

加藤先生が動画を通じて繰り返し伝えていたのは、「若いうちに、かかりつけの歯科医院に相談してほしい」というメッセージです。

「自分の親知らずが抜いた方がいいのか分からない」という方は、まず歯科医院でレントゲンを撮って現状を確認するところから始めてみてください。

それだけで、将来の大きなトラブルを防げるかもしれません。


動画はこちらから視聴できます(加藤先生のチャンネル)

親知らずを40代まで放置した結果…最悪、〇〇します

この記事の監修・執筆者

加藤 直之(かとう なおゆき)

医療法人えみは会 理事長
愛知学院大学歯学部卒業。大阪府羽曳野市にて「加藤総合歯科・矯正歯科」を開院。一般歯科から高度なインプラント治療、矯正歯科まで幅広く手掛ける。青山病院にて歯科口腔外科、ドライマウス、舌痛症外来の非常勤講師・担当医を兼任するなど、難治性の口腔疾患や外科的アプローチにおいても深い知見を持つ。

資格・実績

Clinical Oral Implantology (インプラント認定医)NPO法人日本歯科予防協会理事AQBインプラント認定ISOI インプラント認定医、 ザイブインプラント認定、 ドライマウス認定医、 POIインプラント認定、 日本ドライマウス学会会員、 インプラント学会所属、 ブローネマルクインプラント認定、 日本抗加齢歯学会会員、 SARGONインプラント認定、 医療情報技師認定証ITIインプラント認定審美歯科学会認証