歯茎が赤黒い6つの原因とは?歯茎の腫れ・痛み等の症状や治療法も解説

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こんにちは!大阪 梅田のえみは総合歯科、理事長の加藤直之です。

歯茎が赤黒いことで、病気を疑われている方も多いのではないでしょうか。歯茎が赤黒くなる原因として、色素沈着や歯周病が考えられます。放置していると、歯を失う可能性もあるので、自己判断せずに歯科医院を受診することを推奨します。

そこで本記事では、歯茎が赤黒くなる主な原因について解説します。原因別に赤黒い歯茎を治すための治療法も掲載しているので、原因が分からずに不安な想いをされている方は、ぜひ参考にしてみてください。

また、当院での歯周病治療は、下記のページで詳しく紹介しています。歯茎が赤黒く腫れた状態を治すための治療内容や費用が気になる方は、合わせてチェックしましょう。

歯茎が赤黒い場合の主な6つの原因

健康な歯茎は薄ピンク色をしているはずなので、赤黒いということは何らかの不健康な原因が隠れています。歯茎が赤黒くなる主な原因は、以下のとおりです。

  • 色素沈着を起こしている
  • タバコの成分が血流を悪くしている
  • 被せ物の金属が見えている
  • 被せ物の成分が溶けだしている
  • 歯根に歯石がついている
  • 歯周病が進行している

それぞれ詳しく見ていきましょう。

色素沈着を起こしている

他の症状がなく、歯茎が赤黒くなっている場合は、メラニン色素の沈着が考えられます。歯茎に存在するメラニン産生細胞は、外部から刺激を受けると、組織を守るためにメラニン色素を生成します。

生成されたメラニン色素は、ターンオーバーによって体外へ排出されるのが通常です。しかし、刺激が一定値を超えるとメラニン色素の生成量が増え、排出しきれずに歯茎に沈着します。メラニン色素が沈着する原因には、飲食物・紫外線・口呼吸・タバコ・強いブラッシングなどが挙げられます。

特に、タバコに含まれるニコチンやタールといった有害物質による刺激は強く、メラニン色素が生成されることで、歯茎全体が黒ずむのが特徴です。自宅や職場などに喫煙者がいる場合、副流煙による受動喫煙でも年齢に関係なく、歯茎を黒くさせます。

タバコの成分が血流を悪くしている

タバコによって歯茎が赤黒くなる原因は、色素沈着だけではありません。タバコに含まれるニコチンや一酸化炭素の以下のような作用によって、歯茎を赤黒くします。

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ニコチンによって歯茎の中にある毛細血管が収縮し、一酸化炭素によって歯茎の組織が酸欠状態になります。結果として、歯茎の血流が悪くなることで、歯茎が赤黒くなるのです。

被せ物の金属が見えている

歯茎が直接変色しているわけではなく、被せ物の金属部分が露出して、赤黒く見えている状態が「ブラックマージン」です。ブラックマージンは、主に歯茎が退縮することで起こります。歯茎が退縮することで、被せ物の境目が露出して赤黒く見えます。

歯茎が退縮する主な原因は、以下のとおりです。

  • 歯周病を患っている
  • 被せ物の縁が歯茎に当たっている
  • ブラッシングが強すぎる
  • 加齢により歯茎の組織が退化している

歯茎が退縮することによって、虫歯や歯周病のリスクを高めるだけでなく、見た目の問題にも影響するので、注意してください。

被せ物の成分が溶けだしている

金属製の補強物から金属イオンが溶けだしたり、治療の過程で金属粒子が歯茎に沈着したりして赤黒く変色する「メタルタトゥー」が起きている可能性があります。

メタルタトゥーは、歯茎の一部分が帯状・斑点状に黒ずむのが特徴です。保険適用の補強物には、金属が使われていることが多いので、メタルタトゥーのリスクを考慮して補強物の素材を選ぶ必要があります。

歯根に歯石がついている

通常は白や黄色の歯石ですが、歯茎より下に付着した歯石は黒くなります。歯茎より下の歯根の表面にプラークが付着することで、血液や滲出液に含まれるミネラルがプラークに沈着して、黒く変色した歯石になるのです。

プラークとは異なり、歯石は自宅では除去できません。黒い歯石を放置すると口臭や歯周病の原因にもなるので、早急に歯科医院で除去してもらう必要があります。

歯周病が進行している

歯周病になると歯茎は赤く腫れてきますが、進行すると歯茎は赤紫色に変色します。全国の2,097人を対象にした調査では、歯周病と診断される4mm以上の歯周ポケットを有した人の割合は約5割という結果になりました(※1)。

※1:令和4年 歯科疾患実態調査結果の概要

歯周病は身近な病気であり、歯周病が進行すると抜歯せざるを得ない事態にまで発展する可能性があります。歯茎が赤黒いこと以外にも、これから紹介するような症状が見られる場合は、早急に歯科医院を受診するのがおすすめです。

歯周病起因で歯茎が赤黒いと起きる7つの症状

歯茎の赤黒さが歯周病によるものであった場合、以下のような症状が見られないか確認してください。歯周病は歯が抜けたり、全身の疾患に繋がったりする恐れがある怖い病気です。

  • 歯茎が腫れる
  • 歯茎が痛い
  • 歯茎から出血する
  • 歯茎の色が赤紫になる
  • 口臭が気になる
  • 歯と歯の隙間が広くなる
  • 歯がぐらつく

それぞれ詳しく見ていきましょう。

歯茎が腫れる

歯周病菌が歯周ポケットに入り込むと炎症を起こし、歯茎が腫れてきます。歯周ポケットの内部にいる細菌量を減らさなければ、腫れは引きません。歯周病が進行すると、歯茎がぷよぷよとした柔らかい感触になります。

歯茎の腫れの原因や自宅でできる応急処置、歯科医院での治療法について気になる方は、以下の記事も併せてチェックしてみてください。

関連記事:歯茎が腫れる原因は?自分でできる応急処置と治し方を徹底解説

歯茎が痛い

歯周病の初期段階である歯肉炎になると、歯茎の腫れとともに痛みも感じることがあります。さらに進行し、軽度の歯周炎になると歯茎が下がり、知覚過敏による痛さを感じることもあるでしょう。

歯周病は初期段階では、ほとんど自覚症状がありません。痛みを感じるということは歯周病が進行している証拠です。患部を冷やすことで炎症による痛みが一時的に和らぐ可能性はありますが、あくまでも応急処置なので、歯科医院に受診しましょう。

歯茎から出血する

歯周病の症状が進行すると、歯茎から出血しやすくなります。歯茎からの出血は、強いブラッシングやフロスが原因の可能性もありますが、歯周病が原因の場合は、軽い力を加えただけで出血するのが特徴です。

歯周ポケットに溜まったプラークが出す毒素と白血球が戦っているために、炎症が起き、出血します。さらに進行すると歯の周りの骨も溶かすようになるので、出血は歯科医院に受診すべきサインと捉えてください。

歯茎の色が赤紫になる

先述した通り、歯周病になると歯茎の色が赤紫や赤黒い色に変色してきます。歯周病によって炎症が起きることで、歯茎の内部の血流が悪くなり、うっ血が生じるためです。

また、歯周病の進行につれて、歯茎の色は赤から紫、紫から黒へと変化していきます。歯周病の進行度合いを判断する材料になるので、黒に近い場合は早急な受診が必要です。

口臭が気になる

中等度から重度の歯周病になると、口臭が気になるようになります。プラーク内で増殖した歯周病菌が、揮発性硫黄化合物のガスを放出するためです。歯周病による口臭は、以下のような臭いに例えられます。

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歯と歯茎の隙間が広くなる

歯周病が進行するにつれて、歯と歯茎の隙間(歯周ポケット)は広くなります。        歯周ポケットが広くなると、さらに歯垢や歯石が溜まりやすくなり、進行が加速するという悪循環にはまるのです。歯周病の進行度合いごとの歯周ポケットの深さを紹介します。

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歯がぐらつく

歯周病が進行するごとに、歯のぐらつきは大きくなります。歯を支える歯槽骨が歯周病菌によって破壊されるためです。歯周病が中度歯周炎のレベルまで達すると、歯を支える歯槽骨は半分ほど破壊されています。

重度歯周炎になると、歯槽骨はほとんど破壊され、歯のぐらつきによって普段通りに食べ物が噛めません。そのまま放置していると、自然と歯が抜け落ちる可能性もあります。

赤黒い歯茎を治すための7つの治療法

赤黒く変色した歯茎を治すためには、それぞれの原因に合った治療を受ける必要があります。健康的な薄ピンク色の歯茎を取り戻すための治療法は、以下のとおりです。

  • 【色素沈着】ガムピーリング
  • 【タバコ】禁煙治療
  • 【被せ物】被せ物の素材を交換する
  • 【歯石】スケーリング
  • 【歯石】ルートプレーニング
  • 【歯周病】レーザー治療
  • 【歯周病】トータルヘルスプログラム

それぞれ詳しく見ていきましょう。

【色素沈着】ガムピーリング

外部刺激による色素沈着を除去する治療が、ガムピーリングです。特殊な薬剤を歯茎に塗り、歯茎の表面を剥がすことで健康的な歯茎を取り戻します。ガムピーリングは、以下の流れで治療が進んでいきます。

  • メラニン色素が沈着している部分に薬剤を塗布する
  • 塗布から3日~5日間で歯茎が白くなる
  • 1週間~2週間で歯茎の表面が剥がれ落ちる

ただし、ガムピーリングを行って元に戻ったとしても、根本原因となるタバコや強いブラッシングなどを解決しなければ、後戻りする可能性もありますので、注意してください。

【タバコ】禁煙治療

タバコを吸っている方は、これ以上歯茎を赤黒くしないために、禁煙治療に取り組んでみてはいかがですか。禁煙治療は、以下の条件を満たす場合に限り、保険適用で治療が受けられます。

  • スクリーニングテストでニコチン依存症と診断された方
  • 35歳以上の場合は、1日の喫煙本数×喫煙年数が200以上の方
  • 早急な禁煙を希望する方
  • 「禁煙治療のための標準手順書」に記載の治療内容に関する説明を受け、禁煙治療を受けることを文書で同意された方

禁煙治療では、ニコチン依存度に合わせた貼り薬や飲み薬が処方されます。禁煙に対するアドバイスも受けられるのが特徴です。自力で禁煙するには時間がかかりますが、禁煙治療を受けることで楽に禁煙ができるでしょう。

【被せ物】被せ物の素材を交換する

金属の被せ物によって歯茎が赤黒くなっている方は、被せ物の素材を交換するのが良いです。保険適用の素材は、金属が使われている場合が多く、金属が使われていなかったとしても被せ物自体の変色が見られます。

以下のような自由診療の素材は、費用は高くなりますが、金属を使用していないため、歯茎が赤黒くなる心配はいりません。また、保険適用よりも審美性に長けているので、自然歯のような美しい見た目が実現します。

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被せ物だけでなく、被せるための土台となるコアも、メタルコアからファイバーコアに替えることで、歯茎の黒ずみを抑えられます。歯茎を赤黒くさせない被せ物の値段が知りたい方は、以下の記事もチェックしてみてください。

関連記事:差し歯の値段は?5つの素材の相場や保険適用のメリット・デメリットを解説

【歯石】スケーリング

黒ずんだ歯石が原因で歯茎が赤黒く見えている場合の治療法は、スケーラーと呼ばれる器具で歯石を除去するスケーリングです。スケーリングでは、歯石以外にも歯垢が溜まって膜を張っている状態のバイオフィルムも除去します。

スケーラーには、超音波スケーラーや手用スケーラー、エアースケーラーなどがあり、口内の状態によって最適なスケーラーは異なります。

【歯石】ルートプレーニング

スケーリングに続いて行われる治療が、ルートプレーニングです。ルートプレーニングは、歯周ポケットの内部にまで歯石が溜まっている場合に、主に必要になります。歯根にプラークが付着すると、セメント質に浸透して「汚染セメント質」になります。

汚染セメント質があると、歯周ポケットを掃除しても歯茎と歯根がくっつきません。そうなると、歯周ポケットが浅くならずに再度プラークや歯石が溜まってしまいます。そのため、ルートプレーニングでは、汚染セメント質を除去した上で歯根表面を滑らかにします。

【歯周病】レーザー治療

歯周ポケットに入り込んだ歯周病の原因菌を除去する場合に、用いられる治療法がレーザー治療です。歯周ポケットにレーザーを照射することで、歯周病菌を殺菌し、消毒します。さらに、出血や腫れを抑えられたり、傷の治癒を高められたりと効果が高いです。

歯周病のレーザー治療のメリット・デメリットや費用について気になる方は、以下の記事も参考にしてみてください。

関連記事:歯周病のレーザー治療とは?進行度別の費用やメリット・デメリットも解説

当院では、保険適用の範囲内でのレーザー治療が可能です。歯周病の温床になっている箇所を正確に無駄になく取れるレーザー治療を導入しています。

【歯周病】トータルヘルスプログラム

根本的歯周病治療と呼ばれるトータルヘルスプログラム(THP)は、遺伝子レベルで歯周病菌を特定し、細菌量をコントロールします。重度の歯周病で多く見られるPG菌のコントロールも可能なので、治療後に再発するリスクを抑えられます。

当院は、南大阪のエリアで唯一、THP治療が受けられるクリニックです。歯周病認定医やTHP認定歯科衛生士が在籍しているので、豊富な経験とノウハウから患者様の歯周病治療のお手伝いをさせていただきます。

歯茎が赤黒い症状に関するよくある質問

最後に、歯茎が赤黒い症状について、よくある質問を紹介します。赤黒く変色しているのは歯茎自体ではなく、歯茎にできたできものや黒子のような斑紋のケースです。

  • 歯茎の赤黒いできものの正体は?
  • 歯茎の赤黒い点の正体は?

それぞれ詳しく解説します。

歯茎の赤黒いできものの正体は?

歯茎にできた赤黒いできものの正体として、以下の3つが考えられます。

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血豆と萌出嚢胞は時間の経過とともに治りますが、ヘルペス性口内炎は歯科医院での治療が必要です。

歯茎の赤黒い点の正体は?

赤黒い点が歯茎にある場合は、血豆や色素性母斑、悪性黒色腫の可能性があります。色素性母斑は、メラニン色素を作る細胞が増殖したことでできる「ほくろ」のことです。

悪性黒色腫は、メラニン色素を作る細胞が悪性化することで発症します。転移するリスクもあるので、早急に歯科医院や口腔外科を受診してください。

まとめ|歯茎が赤黒い方は歯科医院を受診しよう

歯茎が赤黒くなる理由として、外部刺激による色素沈着や被せ物の金属による影響、歯周病が挙げられます。特に、歯茎からの出血や腫れが見られる場合は、歯周病の可能性が高いと言えるでしょう。

歯周病によって歯茎が赤黒くなっている場合は、自宅で治療することはできません。レーザー治療などで歯石を除去する必要があるので、歯科医院を受診しましょう。

当院では、赤黒くなった歯茎の原因に合わせた治療を、各分野の専門医が行っております。重度の歯周病の場合は、原因菌を根本的に減少できるTHP治療も可能です。当院の歯周病治療について気になる方は、下記のページをご覧ください。

この記事を書いた人

加藤 直之

大阪の梅田にあるえみは総合歯科、加藤です。 当院は、歯医者さんの「痛い・怖い・行きたくない」というイメージをなくし、患者様が悩みを相談できてリラックスした状態で治療ができるそんな医院を目指し運営しております。

資格・所属

NPO法人日本歯科予防協会理事/ISOI インプラント認定医/ドライマウス認定医/日本ドライマウス学会会員/日本抗加齢歯学会会員/医療情報技師認定証/ITIインプラント認定/AQBインプラント認定/ザイブインプラント認定/POIインプラント認定/インプラント学会 所属ブローネマルクインプラント認定/SARGONインプラント認定/審美歯科学会認証