虫歯を放置するとどうなる?リスクや治療法について徹底解説
こんにちは!
大阪 梅田のえみは総合歯科 理事長 加藤直之です。
「虫歯を放置するとどうなるのかを知りたい」
「歯が残せなくなったらどうしよう」
虫歯は放置するとさまざまなリスクが起こりうるため、上記のように悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、虫歯を放置して起こりうるリスクと、進行度に合わせた治療法を解説します。
抜歯になってしまったときの治療法や虫歯を再発させないポイントも合わせて紹介するので、「虫歯を再発させたくない」という方も、ぜひ参考にしてみてください。
なお以下のページでは、当院の初診の方に向けた診療の流れを記載していますので、ぜひご覧ください。
目次
基本的に虫歯を放置して治ることはない
虫歯は放置して治ることは、基本的にありません。「昨日は痛みがあったのに今日はない」と感じることもあるため、「治った」と感じてしまいがちですが、虫歯は自然に治癒することはないのです。
ただし、虫歯初期の「CO」の状態であれば、歯を削らずに治せるケースがあります。虫歯の初期に対しては、ていねいなブラッシングとフッ素塗布などによって歯の石灰化を促すことで、歯質強化が可能です。
以下の記事では、虫歯の段階について詳しく解説していますので、ぜひご覧になってください。
関連記事:虫歯の進行段階と症状は?5ステップの治療方法と原因
虫歯を放置して起こりうるリスク
まずは虫歯を放置したら起こりうるリスクを解説していきます。
- 痛みが強くなり神経が死んでしまう
- 物が噛めなくなる
- 口臭が出る
- 歯が残せなくなる
- 全身に虫歯菌が周り疾患を引き起こす
それぞれのリスクが理解できるように、詳しく見ていきましょう。
痛みが強くなり神経が死んでしまう
虫歯を放置すると起こりうる1つ目のリスクは、「痛みが強くなり歯の中の神経が死んでしまう」ことです。
虫歯が歯の神経まで進行すると、ズキズキと激しい痛みが出て、さらに「昨日までは強い痛みがあったのに、今日は痛くない」と感じることがあります。
それは歯の中の神経が虫歯菌により侵された状態(歯髄壊死)です。一度死んでしまった神経は元に戻せないため、注意しましょう。
物が噛めなくなる
虫歯が歯の内部まで進行すると、歯冠(歯の頭の部分)が崩れたり折れたりすることがあります。
そうなると、上下の歯が噛み合わなくなるため、物が噛みにくくなります。また穴が開いた歯の中に食べ物が詰まりやすくなるため、わずらわしさを感じることも。
歯冠が崩れ落ちている場合は、虫歯が重度に進行している可能性があるため、早めに治療しておきましょう。
口臭が出る
虫歯で歯に穴が開いている場合、食べ物が詰まりやすくなるため、口臭を発することがあります。細菌が食べ物を分解する過程で、臭いを発生させるためです。
さらに虫歯が進行して、歯の中の神経が死んでしまったり、歯の根っこの先に膿が溜まったりすると、強い腐敗臭を発することがあります。
歯が残せなくなる
虫歯を長期間放置して、歯の大部分を失うと、歯の根っこだけが残ります。ここまで虫歯が進行すると、歯が残せなくなります。
歯がボロボロになった状態はどうすることもできないため、抜歯しか選択肢はありません。抜歯後は、インプラントや入れ歯、ブリッジなどの方法で歯を補う必要があります。
全身に虫歯菌が周り疾患を引き起こす
虫歯を放置すると、さまざまな全身疾患を引き起こす恐れがあります。
細菌が毛細血管を介して、全身に回ることで脳梗塞や心筋梗塞などの疾患を引き起こしかねません。
虫歯は歯だけの病気と思いがちですが、放置したままだと命に関わる病気になる恐れがあることを覚えておきましょう。
虫歯の進行とそれぞれの治療法
ここからは虫歯の進行に合わせた治療法を紹介していきます。
- 初期の虫歯(CO・C1):フッ素塗布や経過観察
- 象牙質の虫歯(C2):レジン充填やインレー修復
- 重度の虫歯(C3):神経の治療
- 残根の状態(C4):抜歯
1.初期の虫歯(CO・C1):フッ素塗布や経過観察
初期虫歯では、歯を削らずにフッ素などの薬剤を塗布して経過を診ることがあります。虫歯とは言っても歯に穴が開いていないことがほとんどで、フッ素塗布などで歯質強化を狙います。
初期虫歯の進行具合は、さらに細かく分けると以下の2つです。
- CO:歯の表面のカルシウムが溶け始めた状態
- C1:歯の一番上の層であるエナメル質が溶け始めている状態
C1では、歯科医師の判断で虫歯治療を行うこともありますが、基本的に1回で治療が済むことが多いです。
以下の記事では「初期虫歯」をさらに深掘りしているので、ぜひ参考にしてください。
関連記事:虫歯の3つの初期症状とは?初期虫歯の治療法や進行を止めるための対策も解説
※参考:初期虫歯の治療/日本歯科医師会
2.象牙質の虫歯(C2):レジン充填やインレー修復
象牙質とは、歯の表面のエナメル質の1つ下の層の部分です。この象牙質の虫歯治療は、以下のような治療法を選択することが多いです。
- レジン充填
- インレー修復
【レジン充填】
虫歯を削りプラスチックのお薬を詰める治療法です。削ったらその場でお薬を詰めるだけのため、その場で治療が終了します。
前歯の虫歯治療や、奥歯の虫歯の面積が少ない場合に用いられます。
【インレー修復】
虫歯を削って歯型を取り、後日に詰め物で修復する治療法です。この治療法で用いられる材料は、保険内だと金属が使われますが、保険外であれば白いセラミックの詰め物も選択できます。
以下の記事では、銀歯がしみたときの対処法を記載しているので、気になる方は参考にしてください。
関連記事:銀歯がしみるのはなぜ?知っておきたい3つの原因と治療方法
3.重度の虫歯(C3):神経の治療
重度になると、歯の中の神経まで虫歯が進行し、ズキズキとした痛みを伴うことがあります。
この状態では歯の神経を除去し、根っこの治療を進める必要があります。その後は、数回根管消毒の治療を行い、神経の変わりになる薬剤を詰めたら、神経の治療は終わりです。
神経を取った歯は、歯が死んだ状態になるため歯質がもろく割れやすいです。そのため残っている歯質によっては、歯の全体を被せることもあります。
4.残根の状態(C4):抜歯
残根(C4)は、虫歯が進行して、歯の頭がボロボロになっていることが多いです。ここまで来ると歯を残せなくなるため、抜歯を選択します。
抜歯後はインプラントやブリッジなどの治療法で歯を補います。ただし、抜歯後の状態や歯科医院にもよりますが、抜歯したあとに傷口の状態が落ち着くまで1~2か月ほど待ってから、次の治療に移ることも。
虫歯を放置して抜歯になったときの治療法
虫歯の放置によって抜歯になった場合、以下の3つの治療法があります。
- インプラント
- ブリッジ
- 入れ歯
それぞれの治療法をくわしくチェックしていきましょう。
インプラント
インプラントは、抜歯後の失われた歯の代わりに、人工歯根を埋め込んで、歯を補う方法です。
チタン製でできているため、身体に対して親和性が高く、身体に馴染みやすいのが特徴です。そしてインプラントは保険適用外のため費用がかかりますが、そのぶん以下のようなメリットが得られます。
- 天然の歯と同じくらい噛める
- 他の歯に負担がかかりにくい
- ブリッジのように歯を削る必要がない
インプラントは顎の骨に直接埋め込むことでしっかり噛めるため、他の歯に負担がかかりにくいです。
ブリッジ
ブリッジとは、健康な歯に人工歯を挟んだ被せ物のことです。抜歯した両隣の歯を削り、そこを支え(土台)にして歯を入れます。
ブリッジは金属であれば、保険適用で治療できますが、健康な歯をまるっと削る必要があります。
そして失った歯が多くなるほど、土台の歯にかかる負担はより大きくなるため注意が必要です。
そのため神経が残っている歯でも歯根(歯の根っこ)が破折する恐れがあることを覚えておきましょう。
以下の記事では、インプラントとブリッジを比較しているので、どちらが良いか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
関連記事:インプラントかブリッジか?費用・寿命などの違いやメリット・デメリットを徹底比較
入れ歯
入れ歯は、抜歯した歯の両隣を支えにしてバネ(保険内であれば金属)をかけ、人工歯で歯を補う方法で、ブリッジとの大きな違いは以下の通りです。
- 着脱が自分でできる
- 両隣の歯を削る必要がない
入れ歯は自分で着脱可能なため歯磨きがしやすく、両隣の歯を削る必要もありません。ただし、噛み合わせなどの状態によっては、バネをかける歯をうっすら削ることはあります。
そして着脱するときや噛むときに、バネをかける歯に負担がかかりやすいため、注意が必要です。
着脱を繰り返していると、バネが緩んでくることもあるため、そのときは歯科医院で調整してもらいましょう。
虫歯を放置せずに治療すると得られるメリット
- 治療費用が少なくてすむ
- 治療期間が短くなる
- 痛みに苦しむことが少なくなる
- 健康な自分の歯を維持できる
- 見た目の美しさを維持できる
虫歯を放置して万が一抜歯になってしまった場合、「放置しないで早く治療しておけば良かった」と悔やんでしまうことは少なくありません。
虫歯は軽いうちに治療しておけば、麻酔の必要がなく痛みに苦しむことも少ないです。
そして1回で治療が終わることもあるため、そのぶん費用も安くすみます。
健康な歯や美しさが維持できるように、早期発見で治療することが大切です。
虫歯を再発させないための対策
再発させないためには、以下のことを意識しましょう。
- 正しいブラッシング
- フッ素塗布
- 口腔内の乾燥を防ぐ
- 定期検診を受ける
虫歯予防には、自宅でのブラッシングがしっかりできているかを意識することが大切です。ブラッシングができているか不安な場合は、市販の染め出し液でチェックしたり、歯科医院で診てもらうと良いでしょう。
フッ素が配合された歯磨き粉を使用することで、歯質強化などの虫歯予防効果も期待できます。そして口の中が乾燥していると、唾液の自浄作用が弱まって虫歯になりやすくなります。
良く噛んで唾液分泌を促し、定期検診を受けて虫歯が早期発見できるように努めましょう。
当院では、徹底した予防プログラムで定期検診を行っています。
虫歯の放置に関するQ&A
最後に虫歯の放置に関するQ&Aについてお答えします。
- 虫歯放置は10年以上経ったらどうなりますか
- 虫歯を放置したら痛みがなくなるのは何故ですか
疑問が解決できるようにチェックしていきましょう。
虫歯放置は10年以上経ったらどうなりますか
虫歯を10年以上放置すると、以下のような状態になっている恐れがあります。
- 歯の中の神経が壊死している
- 歯冠(歯の頭の部分)が崩れたり折れたりして噛めなくなる
- 虫歯の進行が進んで食べ物が詰まりやすくなり、口臭を発生させる
- 虫歯菌が全身に回って命に関わる全身疾患を引き起こす
虫歯の放置はやめて、早めに歯科医院を受診してください。
虫歯を放置したら痛みがなくなるのは何故ですか
全く治療をしていないのに、虫歯の痛みが消えた場合は、注意してください。虫歯の痛みが消えたということは、歯の中の神経が死んでしまったサインかもしれないからです。
自然に痛みが消えると、「虫歯が治ったのかも」と思いがちですが、虫歯が自然に治ることはなく、逆に進行しすぎて悪化している状態かもしれません。
虫歯が進行しすぎると歯を残せなくなることもあるため、早めに治療を受けましょう。
まとめ|虫歯は放置せずに早めに治療して健康な歯を維持しよう
そうならないためにも、「虫歯かも」と思ったら、できるだけ早めに治療を受けることが大切です。
さらに、「虫歯にならないために定期検診を受けて、天然の歯を削らない」ということを意識するとなお良いでしょう。
当院では、「虫歯になりやすいから予防方法について知りたい」など、さまざまなお悩みをカウンセリングにてお伺いしています。
スタッフ一同、心よりお待ちしていますので、些細なことでもお気軽にご相談ください。