差し歯の寿命は何年もつ?交換時期の目安と、取れた・割れたときの対処、長持ちのコツ

差し歯が何年もつかは、一律には決まりません。差し歯は、自分の歯の根に土台を立てて、その上に人工の歯をかぶせる治療で、何年使えるかは、かぶせ物の素材だけでなく、土台を支える歯の根を虫歯や歯周病から守れるか、歯の根が割れないか、噛む力や歯ぎしりがどれだけかかるかで大きく変わります。差し歯が取れた、欠けた、ぐらつく、噛むと痛いといった変化があれば、早めに歯科で歯の根の状態を確かめてもらい、作り直すか、歯の根を残せないときはブリッジ・入れ歯・インプラントに替えるかを相談してください。インプラントに替える場合は、人工の歯の根が骨と結びつくまで待つ期間があり、梅田院の目安は次の囲みのとおりです。
院の実際の数字
梅田院では、インプラントを骨に埋めてから、骨としっかり結びつくまで待つ期間の目安を、下あごで2か月、上あごで3か月としています(院の基準)。骨の量や全身の状態、使っている薬によっては、これより長くかかることがあります。
「差し歯の寿命は何年?」「40年もつって本当?」「古い差し歯を交換したい」と考えている方に向けて、この記事では、差し歯の寿命を左右すること、交換時期の目安になるサイン、取れた・割れたときの対処、作り直しの考え方、差し歯にできないときの選び方と、長持ちさせる手入れを、えみは総合歯科 大阪梅田院がまとめます。
差し歯とは?被せ物(クラウン)とはどう違うのですか?
差し歯は、虫歯やけがで歯の大部分が失われたときに、残った歯の根を利用して人工の歯をかぶせる治療です。厚生労働省の e-ヘルスネット「むし歯の治療の流れ」は、虫歯が歯の神経(歯髄)まで進んで神経を取ったあと、神経が入っていた穴に金属やレジン(歯科用の樹脂)で土台を立て、その上にかぶせ物をする治療が一般的に行われ、土台を立てることを「差し歯にする」と表現することがあると説明しています。同じページは、「差し歯」という場合には、歯を抜くことなく、自分の歯を利用してかぶせ物をすると説明しています。
日本歯科医師会の「さし歯・冠・ブリッジ」によると、もともとの差し歯は、歯の根に心棒(ポスト)を差し込む形の人工の歯のことで、最近は、コアと呼ばれる土台を入れてから、その土台に冠(クラウン)をかぶせるのが一般的です。つまり、今「差し歯」と呼ばれているものの多くは、土台と被せ物を組み合わせた治療です。差し歯は自分の歯の根を使う治療なので、歯の根を残せないときは、差し歯にはできません。詰め物と被せ物の違いは、歯の詰め物と被せ物の違いについての記事で説明しています。
差し歯には、どんな種類と素材がありますか?
日本歯科医師会の「さし歯・冠・ブリッジ」は、かぶせ物(冠)を、使う材料によって次のように分けて説明しています。
- 金属冠:主に奥歯に使われます。金合金などの材料を使うと、保険が使えません。
- 硬質レジン前装冠:金属の枠の表面にレジンを貼り付けたもので、前歯に使った場合は保険が使えます。レジンはセラミックスより柔らかく、水分を吸う性質があるため、長く使ううちに、すり減ったり、色が変わったりすることがあります。
- 金属焼き付け陶材冠:金属の枠の表面にセラミックスを焼き付けたもので、主に前歯と、前から4・5番目の歯(小臼歯)に使われます。保険は使えません。
- オールセラミッククラウン:金属を使わず、全部をセラミックスで作ります。色が天然の歯に近い一方で、セラミックスはもろいため、主に前歯と小臼歯に使われます。保険は使えません。
- ジルコニア:セラミックスの一種で、強さがあり、奥歯にも使われます。日本歯科医師会はオールセラミッククラウンの説明の中でジルコニアを挙げていて、オールセラミッククラウンは保険が使えません。
どの素材でも、手入れと噛み合わせしだいで寿命は変わります。素材ごとの費用は、差し歯の素材と費用についての記事で説明しています。
差し歯は何年もつ?寿命は40年って本当?
「差し歯は何年持つのか」「差し歯の寿命は40年と聞いたけれど本当か」という疑問に、一つの年数で答えることはできません。同じ素材の差し歯でも、どれだけ長く使い続けられるかは、次のようなことで変わります。
- 土台を支える歯の根を、虫歯と歯周病から守れるか
- 歯の根が割れないか
- 噛みしめや歯ぎしりの力が、どれだけかかるか
- 素材のすり減り・変色・割れやすさ
- 毎日の手入れと、定期的なメンテナンス

差し歯の寿命を考えるときは、かぶせ物そのものより、それを支える歯の根の状態が大切です。8020推進財団が2018年に全国の歯科医院で行った調査の報告書「第2回 永久歯の抜歯原因調査報告書」では、抜いた歯の状態で最も多かったのは冠(かぶせ物)がついた歯で、37.0%でした。e-ヘルスネット「歯の喪失の原因」も、冠がついている歯を、失われるリスクの高い歯の一つに挙げています。ただし同じページは、冠の治療そのものが歯を失わせるのではなく、冠がついた歯は神経を取った歯であることが多く、歯の根の先に病変が残っていることも多いためだと説明しています。同じページは、抜歯の原因のうち「破折」(歯が割れること)の多くは、神経を取った歯だと考えられるとも説明しています。
差し歯の寿命を縮めるのは、どんなことですか?
寿命を縮める原因には、次のようなものがあります。
- かぶせ物の下や周りに、新しい虫歯ができる
- 歯の根のまわりに歯周病が起きる
- 歯の根が割れる
- 噛みしめや歯ぎしりで、強い力がかかる
e-ヘルスネット「むし歯」は、大人では、歯の詰め物の下で再発した虫歯や、歯の根の表面の虫歯も多くなると説明しています。日本歯科医師会の「お口の119」も、つめ物やかぶせ物が取れる原因として、「新しいむし歯がまわりにできたケース(二次う蝕)」を挙げています。
かぶせ物と歯の境目も大切です。e-ヘルスネット「歯周病とは」は、金属やプラスチック製のかぶせ物・詰め物と歯の間に段差やすき間があると、汚れ(プラーク)が付きやすくなり、歯周病を悪化させる原因の一つになると説明しています。
強い力も、差し歯の寿命を縮めることがあります。日本歯科医師会の「お口の119」は、歯が欠けたり折れたりする原因の一つとして、噛み合わせが悪く、歯に強すぎる負担がかかったケースを挙げています。寝ている間の歯ぎしりは、自分では止められません。日本歯科医師会の「かみ合わせの異常」は、寝ている間の歯ぎしりについて、歯やその周りの組織を守るために、ナイトガードやスプリントと呼ばれる装置を口の中に着けると説明しています。歯科で自分の歯に合わせて作るマウスピース(ナイトガード)は、寝ている間の歯や差し歯への負担を軽くすることを目的に使います。
差し歯を何年で交換する?交換時期の目安になるサインは?
差し歯を何年で交換するかは、決まっていません。年数ではなく、次のような変化を交換時期の目安にしてください。
- 差し歯が取れた・取れやすくなった:かぶせ物の周りに新しい虫歯ができていることがあります。
- 差し歯が欠けた・割れた:欠けや割れの大きさによって、修理できるか、作り直しが必要かが変わります。
- 噛むと痛い・浮いた感じがする・ぐらつく:日本歯科医師会の「お口の119」は、噛むと痛い原因として、歯ぐきや歯の根の周りの炎症のほか、歯にヒビが入ったり折れたりしているケース(歯根破折など)を挙げています。
- 歯ぐきが腫れる・膿が出る:歯の根のまわりに歯周病が起きていることがあります。
- 境目に段差やすき間ができた・物が詰まりやすい:汚れが付きやすくなり、歯周病を悪くする原因の一つになることがあります。
- 色が変わった・すり減った:保険の硬質レジン前装冠などのレジンの部分は、長く使ううちに変色したり、すり減ったりすることがあります。
こうした変化は、差し歯そのものではなく、土台の歯の根に問題が起きているサインのこともあります。日本歯科医師会の「お口の119」は、つめ物やかぶせ物が取れたときについて、「放っておくとひどくなるので、はやめに歯科医院で治療してください。」としています。見た目が気になって古い差し歯を交換したい、入れ替えたいという場合も、取り替えの前に、歯の根の状態を確かめてもらうことが大切です。
差し歯が取れたら、どうすればよいですか?
差し歯が取れたときは、自分で元に戻したり、市販の接着剤で付けたりしないでください。取れた差し歯は捨てずに、ケースなどに入れて保管し、受診のときに持ってきてください。取れた差し歯の土台や歯の根の状態によって、付け直せるか、作り直しが必要かが変わります。
差し歯を飲み込んだときは、日本歯科医師会の「お口の119」のとおり、すぐにかかりつけの歯科医院に連絡してください。息が苦しいなど呼吸に異常を感じるときは、すぐに耳鼻咽喉科を受診してください。
差し歯の寿命が来たら、どうなりますか?作り直しの期間は?
差し歯の寿命が来たら、古い差し歯を外して、歯の根の状態を確かめます。かぶせ物の下に虫歯があればそれを治療し、必要なときは歯の根の治療(根管治療)をやり直してから、新しい土台とかぶせ物を作ります。e-ヘルスネット「むし歯の治療の流れ」は、口の外で作るかぶせ物は、型をとって歯の模型を作り、その模型を使って作ると説明しています。作り直しにかかる期間は、歯の根の治療をやり直す必要があるかどうかで大きく変わります。
作り直しのたびに、歯を削ることがある点も知っておいてください。梅田院の虫歯の記事でも、「詰め物や被せ物を作り直す際には、再び歯を削る場合があります。」と説明しています。同じ治療をいつまでもくり返せるわけではないため、作り直すときは、かぶせ物だけでなく、歯の根や噛み合わせ全体も確かめておくことが大切です。費用は、選ぶ素材と、歯の根の治療が必要かどうかで変わります。素材ごとの費用は、差し歯の素材と費用についての記事をご覧ください。
差し歯にできないときは?ブリッジ・入れ歯・インプラントの違いは?
歯の根が割れた、歯の根の周りの骨が大きく失われたなどで歯を残せないときは、歯を抜いたあと、ブリッジ・入れ歯・インプラントで補う方法を考えます。それぞれに利点と注意点があり、残っている歯の状態や本数、手術を受けられるかどうかなどで選びます。
- ブリッジ:失った歯の両隣の歯を削り、つながった人工の歯を固定します。取り外し式ではなく、保険が使える素材で作ることもできます。一方で、日本口腔インプラント学会は「隣の歯をたくさん削る」「支える歯の負担が大きい」ことを欠点に挙げています。ブリッジの寿命は、ブリッジの寿命についての記事で説明しています。
- 入れ歯:取り外し式で、保険の入れ歯もあります。噛む力が弱いことがあり、部分入れ歯では、留め具をかけた歯に負担がかかります。
- インプラント:あごの骨に人工の歯の根を埋め、それを土台に歯を作る治療で、隣の歯を削る必要がありません。一方で、手術が必要で、日本口腔インプラント学会は「外科処置に伴う痛み・腫れ・出血・合併症の可能性がある」「噛む感覚が自分の歯と違う」ことを欠点に挙げています。健康保険が使えない自由診療で、骨と結びつくまで待つ期間があるため、治療期間は長めになります。骨と結びつくまで待つ期間の梅田院の目安は、上の囲みのとおりです。
梅田院のインプラントの案内の「リスク・副作用」には、「インプラント手術後、まれに唇・舌・頬・歯肉・歯の感覚が一時的に麻痺することがあります。」などの記載があります。インプラントの費用・期間・リスクは梅田院のインプラントの案内で、インプラントとブリッジの違いはインプラントとブリッジの違いを比べた記事で説明しています。
歯を抜いたあとは、そのままにしないことも大切です。日本口腔インプラント学会の「歯を失ったまま放置していませんか?」は、歯が抜けたところを放置すると、噛み合っていた歯が伸びてきたり、隣の歯が倒れてきたりして、噛み合わせが乱れてくる可能性があると説明しています。
差し歯を長持ちさせるには、どうすればよいですか?
差し歯と歯ぐきの境目や、歯と歯の間は、汚れが残りやすい場所です。e-ヘルスネット「歯間部清掃(デンタルフロス・歯間ブラシ)」は、歯ブラシだけでは歯と歯の間の清掃は十分ではなく、すき間の小さい所にはデンタルフロス、すき間のある所には歯間ブラシが便利だと説明しています。
- 歯ブラシの毛先を、差し歯と歯ぐきの境目に当てて、やさしく磨く。
- 歯と歯の間は、デンタルフロスや歯間ブラシで清掃する。歯間ブラシは、歯や歯ぐきを痛めないように、すき間より少し小さめのものを選ぶ。
- 寝ている間の歯ぎしりや食いしばりに心当たりがあれば、歯科で相談する。
- 症状がなくても、定期的に歯科で確かめてもらう。
梅田院のよくある質問でも、歯磨き粉を多量に使って強く磨くと、歯や歯ぐきに傷を付ける可能性があるため、力を抜いて磨くことが重要だと説明しています。
定期的なメンテナンス(e-ヘルスネットでは「メインテナンス」と書いています)では、差し歯の状態も確かめます。e-ヘルスネット「メインテナンス」は、メインテナンスでは、歯みがきの状態、歯ぐきの状態、噛み合わせに加えて、義歯や修復物(詰め物やかぶせ物)の状態をチェックすると説明しています。同じページは、修復物が壊れたり、すき間があいたりしていると歯垢がつきやすくなるため、問題がみつかれば作り直すこともあると説明しています。神経を取った歯は痛みが出にくく、かぶせ物の下の虫歯に気づきにくいことがあるため、症状がなくても検診を続けることが大切です。検診の間隔は、検査の結果と相談で決めます。
前歯と奥歯で、差し歯の寿命は違いますか?
差し歯をつける場所だけで、寿命が決まるわけではありません。ただし、前歯と奥歯では、選ばれることの多い素材と、交換を考えるきっかけが違います。
前歯の差し歯は、見た目に関わるため、色の変化やすり減りが交換を考えるきっかけになることがあります。日本歯科医師会の「さし歯・冠・ブリッジ」によると、前歯に保険で使われる硬質レジン前装冠のレジンの部分は、長く使ううちにすり減ったり、色が変わったりすることがあります。前歯の差し歯を交換したいときは、色や形だけでなく、歯の根と歯ぐきの状態も確かめてもらってください。
奥歯は噛む力を強く受けるため、割れや欠けに注意が必要です。日本歯科医師会の同じページは、金属冠は主に奥歯に使われ、ジルコニアは強さがあり奥歯にも使われる一方で、セラミックスはもろいため主に前歯と小臼歯に使われると説明しています。
この記事の出典と、梅田院の案内で確かめたこと
この記事は、次の公的な情報と、えみは総合歯科 大阪梅田院が公開している案内をもとに、2026年10月に書き直しました。
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「むし歯の治療の流れ」・「むし歯」・「歯の喪失の原因」・「歯周病とは」・「歯間部清掃(デンタルフロス・歯間ブラシ)」・「メインテナンス」:差し歯(土台を立ててかぶせ物をする治療)の説明、詰め物の下で再発する虫歯、冠のついた歯と歯の根の割れ、かぶせ物との段差と歯周病、歯間の清掃、メインテナンスで確かめること。
- 日本歯科医師会 テーマパーク8020「さし歯・冠・ブリッジ」・「かみ合わせの異常」・「お口の119 かむと痛い 歯が浮く」・「お口の119 つめ物・かぶせ物が取れた 飲み込んだ」・「お口の119 歯が欠けた、折れた、抜けた」:差し歯と冠の種類と素材の性質、寝ている間の歯ぎしりとナイトガード、噛むと痛い・取れた・欠けたときの原因と対処。
- 8020推進財団「第2回 永久歯の抜歯原因調査報告書」(2018年6月・全国の歯科医院で調査):抜いた歯の状態で最も多かったのが冠のついた歯(37.0%)であること。
- 日本口腔インプラント学会「入れ歯やブリッジとの違いは」・「インプラントのメリット・デメリット」・「歯を失ったまま放置していませんか?」:ブリッジ・入れ歯・インプラントの利点と欠点、歯を失ったまま放置したときに起こりうること。
- 梅田院のインプラントの案内:インプラントの「リスク・副作用」。
- 囲みの数字は、梅田院の院の基準です。
梅田院で相談するには、どう伝えればよいですか?
差し歯の寿命が気になる、取れた・欠けた、作り直すかインプラントにするか迷っている、といったときは、予約のときに今の状態をそのまま伝えてください。取れた差し歯があれば、捨てずに持ってきてください。梅田院では、初診の検査としてレントゲン検査、歯周病検査、虫歯検査、細菌検査などを行い、その結果をもとに治療計画を立てています。
えみは総合歯科 大阪梅田院は、大阪府大阪市北区大深町6番38号にあり、電話番号は06-4256-5871です。医院については、医院の案内をご覧ください。
- 監修: 加藤 直之(歯科医師/医療法人えみは会 理事長)|最終確認日: 2026-10-17
