歯石取りに使う器具を徹底解説|スケーラーや超音波機器の役割とは?

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歯石取り

はじめに

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歯科医院での定期的なケアの中でも「歯石取り(スケーリング)」は、多くの患者さんが経験される処置のひとつです。しかし「歯石ってなぜ取らなければいけないの?」「どんな器具で歯石を取っているの?」と疑問に思われる方も少なくありません。

歯石は自宅の歯みがきでは落とせないため、歯科医院で専用の器具を用いて除去する必要があります。本記事では、歯石の正体や放置したときのリスク、そして実際に歯科医院で使われている器具の種類と役割について詳しく解説します。

1. 歯石とは何か?

1-1. 歯石ができる仕組み

歯石は、歯の表面に付着した歯垢(プラーク)が、唾液中のカルシウムやリン酸などのミネラル成分と結合し、数日から数週間で硬化することで形成されます。
プラークは柔らかいため歯ブラシやフロスで除去できますが、硬くなった歯石は通常のセルフケアでは取り除けません。

1-2. 歯石ができやすい部位

特に歯石が付きやすいのは、

  • 下の前歯の裏側(唾液腺の出口に近い)
  • 上の奥歯の外側(耳下腺の出口に近い)
    といった、唾液の流れが集中する場所です。

1-3. 歯石を放置するとどうなる?

歯石は細菌の温床となり、歯ぐきに炎症を引き起こします。初期には「歯肉炎」と呼ばれる歯ぐきの腫れや出血が見られ、放置すると「歯周炎」に進行して、歯を支える骨が破壊されていきます。最悪の場合、歯を失う原因にもなります。

2. 歯石取りに使われる代表的な器具

歯科医院での歯石除去にはいくつかの器具が使われています。ここでは、代表的な3種類を解説します。

2-1. 手用スケーラー

「スケーラー」は歯石取りの基本とも言える器具です。ステンレス製で先端が鋭く、歯の表面や歯と歯の間に入り込んだ歯石を削り取ります。
手で操作するためコントロール性が高く、歯の形に沿って細かく調整しながら歯石を取り除けます。

特に、超音波スケーラーでは取りきれなかった細かい部分の仕上げや、歯並びが複雑な部位に適しています。

2-2. 超音波スケーラー

近年の歯科医院で広く使われているのが「超音波スケーラー」です。
先端が毎秒数万回振動することで歯石を粉砕し、同時に水を噴出して洗い流します。
大きな特徴は処置のスピードと効率の高さで、短時間で広範囲の歯石を除去することができます。

ただし、細かい部分や歯周ポケットの奥深くまでは届きにくいため、後述の手用スケーラーやキュレットと併用されるのが一般的です。

2-3. キュレットスケーラー

「キュレット」は歯周病治療に欠かせない器具で、歯ぐきの中の見えない歯石を除去するために使用されます。
形状はカーブしており、歯周ポケットに挿入しやすく設計されています。
また、歯の根の表面をなめらかに整えることで、細菌の再付着を防ぎ、歯周病の進行を抑える効果も期待できます。

3. 歯石取りの一般的な流れ

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3-1. 診査

まずは口腔内を診査し、歯石の付着具合や歯ぐきの炎症の程度を確認します。

3-2. 超音波スケーラーで大まかな除去

大きな歯石や表面の付着物を効率的に取り除きます。

3-3. 手用スケーラーやキュレットで細部を仕上げ

歯と歯の間や歯ぐきの奥に隠れた歯石を丁寧に除去します。

3-4. 歯面研磨(ポリッシング)

専用のペーストを使って歯の表面を磨き、汚れや細菌が付きにくい状態に整えます。

4. 自宅ケアとの違い

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歯ブラシやフロスは「プラーク」を取り除くためのものですが、歯石になってしまうと落とすことはできません。
つまり、歯科医院での処置は「セルフケアでは落とせないもの」を取り除く役割を担っています。

多くの方は「歯石取りは痛いのでは?」と不安に思われますが、実際には超音波スケーラーの進化により、以前に比べて処置中の不快感は大幅に軽減されています。

5. 副作用やリスクについて

歯石取りは基本的に安全な処置ですが、以下のような一時的な反応がみられることがあります。

  • 歯石に覆われていた部分が露出することで一時的に 歯がしみる(知覚過敏)
  • 歯ぐきに炎症がある場合は、処置中や処置後に 出血 が見られる
  • 歯周ポケットが深い場合、数回に分けて処置を行うことがある

これらは一過性であり、多くは数日から数週間で落ち着きます。

6. 定期的な歯石取りの重要性

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6-1. どれくらいの頻度で必要?

一般的には 3〜6か月に1回の歯科検診と歯石除去 が推奨されています。
ただし、歯周病リスクが高い方や、唾液の性質で歯石が付きやすい方は、より短い間隔でのメンテナンスが望ましいケースもあります。

6-2. 歯石除去で得られるメリット

  • 歯周病や口臭の予防
  • 歯ぐきの健康回復
  • 将来的な歯の喪失リスクの低減

歯石取りは単なる「お掃除」ではなく、口腔全体の健康を守るための治療 です。

7. よくある患者さんの質問(Q&A)

FAQ

Q1. 歯石取りは痛いですか?
A. 歯ぐきが炎症を起こしている場合には、少し痛みを感じることがあります。ただし、器具や技術の進歩により、以前に比べると格段に快適になっています。

Q2. 自分で歯石を取る器具を使ってもいいですか?
A. 市販の歯石取り器具もありますが、自己流で使用すると歯や歯ぐきを傷つける恐れがあります。必ず歯科医院で専門の器具を用いた処置を受けましょう。

Q3. 歯石を取ると歯が削られるのでは?
A. 歯石取りの器具は歯の表面を削るものではありません。歯石を除去することで本来の歯の表面が現れるため、見た目が変わったと感じる方もいますが、歯自体を削っているわけではありません。

まとめ

まとめ

歯石は、歯垢が硬化してできるもので、自宅での歯みがきでは除去できません。そのため、歯科医院で専用の器具を使った歯石取りが欠かせません。

  • 手用スケーラー:細かい部位の仕上げ
  • 超音波スケーラー:広範囲を効率的に除去
  • キュレット:歯ぐきの奥の歯石を除去

これらを適切に使い分けることで、歯科衛生士や歯科医師が安全かつ効果的に処置を行っています。

定期的な歯科検診と歯石除去は、歯を長く健康に保つための最も確実な方法です。歯周病や口臭を予防し、いつまでも自分の歯で食事を楽しむために、ぜひ定期的な受診を心がけましょう。

 

この記事を書いた人

加藤 直之

大阪の梅田にあるえみは総合歯科、加藤です。 当院は、歯医者さんの「痛い・怖い・行きたくない」というイメージをなくし、患者様が悩みを相談できてリラックスした状態で治療ができるそんな医院を目指し運営しております。

資格・所属

NPO法人日本歯科予防協会理事/ISOI インプラント認定医/ドライマウス認定医/日本ドライマウス学会会員/日本抗加齢歯学会会員/医療情報技師認定証/ITIインプラント認定/AQBインプラント認定/ザイブインプラント認定/POIインプラント認定/インプラント学会 所属ブローネマルクインプラント認定/SARGONインプラント認定/審美歯科学会認証