虫歯の3つの初期症状とは?初期虫歯の治療法や進行を止めるための対策も解説

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こんにちは!大阪 梅田のえみは総合歯科、理事長の加藤直之です。

虫歯は初期症状がほとんどないので、自覚しづらい病気です。知らぬ間に虫歯が進行していて、歯が溶かされていき、抜歯せざるを得ない事態にまで発展する可能性もあります。そのため、僅かな初期症状を見逃さず、異変を感じたらすぐに歯科医院を受診する必要があるのです。

そこで本記事では、虫歯の初期症状について解説します。初期虫歯に対する治療法や進行させないための対策も掲載しているので、虫歯を患っている恐れがあり、歯科医院を受診するか迷われている方はぜひ参考にしてみてください。

また、当院での虫歯治療は、下記のページで詳しく紹介しています。初期虫歯を根本的に治す方法やメンテナンスの内容が気になる方は、合わせてチェックしましょう。

初期段階での治療が重要な「虫歯」

歯の寿命を延ばすためには、初期段階で虫歯を治療するのが望ましいです。初期の虫歯では、歯の表面からリンやカルシウムが溶けだす脱灰が起こっています。脱灰した表面は、唾液が酸を中和し、溶けた歯の表面を修復する再石灰化が起こることで、元に戻ります。

そのため、初期虫歯では再石灰化を促してあげることで、歯を傷つけることなく、治療が可能です。しかし、虫歯が進行して再石灰化が追いつかないほど、脱灰が優位になっている場合、エナメル質からどんどん内部へと溶けていきます。

一度溶けた歯は元には戻りません。治療では歯を削る必要があるので、歯の寿命を縮めてしまう結果になるのです。虫歯は、日本人が歯を失う原因の第二位にランクインしています(※1)。歯を失わないためには、初期虫歯での治療が重要になります。

※1参考:第2回 永久歯の抜歯原因調査 報告書

しかし、実際には痛みを感じてから受診する方がほとんどです。痛みを感じる段階では、虫歯は既に進行していることが考えられます。初期虫歯の段階で治療を受けるためには、「僅かな初期症状を見逃さない」「定期検診を受ける」等の対策が必要です。

虫歯の3つの初期症状

初期段階の虫歯では、痛みやしみるといった症状が現れないので、自覚しづらいです。そのため、毎日のブラッシング時に、歯が以下のような状態になっていないか確認してください。

  • 歯の見た目が茶色に変色している
  • 歯と歯茎の境目が白く濁っている
  • 奥歯の溝が黒ずんでいる

それぞれの症状について、詳しく見ていきましょう。

歯の見た目が茶色に変色している

初期虫歯で脱灰された歯が再石灰化を起こすとき、食品や嗜好品などの色素を一緒に取り込んでしまい、歯の表面にブラウンスポットと呼ばれる茶色の変色を起こす場合があります。

ブラウンスポットは、歯自体に色素が入り込んでいるため、自然に戻ることはありません。歯の表面は鏡でも比較的確認しやすいので、色の変化がある場合は歯科医院を受診しましょう。

歯と歯茎の境目が白く濁っている

虫歯といえば歯が黒くなるイメージが強いかと思いますが、初期段階では白く濁るケースがあります。ホワイトスポットと呼ばれる現象で、歯の表面を覆っているエナメル質が溶けだすことで、歯と歯茎の境目が白く濁って見えるようになります。一見、プラークが付着していると勘違いしやすいので、注意してください。

奥歯の溝が黒ずんでいる

奥歯の溝は歯ブラシが届きにくく、虫歯になりやすい部分です。奥歯の溝が黒ずんでいる場合は、初期虫歯を疑ってください。表面上は溝に黒い筋があるだけでも、レントゲンを撮ると予想以上に深くまで進行している可能性があります。痛みがないから問題ないと、自己判断せずに、歯科医院で検査を受けるのが望ましいです。

虫歯の進行とともに現れてくる4つの症状

虫歯は進行度合いによって、CO~C4の5段階で表されます。COは虫歯の前兆と言われ、歯の白濁が見られます。その後、以下のような症状と共に進行していくのが特徴です。

  • C1:歯の表面が黒ずむ
  • C2:冷たいものがしみて痛みを感じる
  • C3:何もしなくても痛みを感じる
  • C4:歯の大半が溶けてなくなる

それぞれの症状について、詳しく見ていきましょう。

C1:歯の表面が黒ずむ

歯のエナメル質が溶かされると、次第に表面が黒ずんできます。痛みやしみるといった症状はまだありません。黒くなった範囲が広い場合は、歯を削る必要もあるでしょう。ただし、歯に穴は空いていないので、削る範囲は最小限で済みます。削った部分には、レジンで詰め物をするのが一般的です。

C2:冷たいものがしみて痛みを感じる

エナメル質のさらに内側にある象牙質にまで虫歯が進行した状態が、C2です。C2では、冷たいものや甘いものがしみたり、痛みを感じたりといった症状が現れます。この段階で初めて虫歯を自覚する方も、少なくありません。

C2になると、以下のような症状も同時に現れる場合があります。

  • 歯に穴が空く
  • 口臭が酷くなる

そのまま放置していると、神経にまで達する恐れがあるので、早急に治療が必要です。

C3:何もしなくても痛みを感じる

歯の神経と言われる歯髄にまで達した状態が、C3です。C3では、何もしなくても激しい痛みを感じるようになります。そのまま放置していると歯髄は死に、これまでとは打って変わって痛みがなくなります。

歯髄が生きていたとしても、回復は難しく、神経を抜く抜髄治療が必要です。この段階は重度の虫歯なので、C3まで進行する前に歯科医院を受診する必要があります。

C4:歯の大半が溶けてなくなる

末期のC4では、歯根にまで進行が及び、歯の大半が溶けて崩壊している状態です。神経は完全に死に、痛みは感じませんが、歯根に膿が溜まることで再び痛みだす場合があります。C4にまで進行していると、一般的には抜歯が必要です。抜歯したまま放置していると、以下のような悪影響を及ぼすため、インプラントやブリッジ、入れ歯の治療に移ります。

  • 噛み合わせが悪くなる
  • 消化器官に負担がかかる
  • 他の歯の脱落リスクが高まる
  • 顎関節症のリスクが高まる
  • 認知症のリスクが高まる

初期の虫歯に対する3つの治療法

脱灰が起こっている初期の虫歯では、再石灰化を促す以下のような治療が必要です。何れも歯を削ることなく治療できるので、歯の寿命に影響を与えません。

  • ブラッシング指導
  • フッ素塗布
  • 歯のクリーニング

初期虫歯に対するそれぞれの治療法について、詳しく見ていきましょう。

ブラッシング指導

正しいブラッシングによって、歯の脱灰を抑える治療がブラッシング指導です。脱灰はプラークによって引き起こされ、口の中にプラークが長く滞在していると、再石灰化よりも脱灰のスピードが速くなります。

初期の虫歯では、ブラッシングによってプラークを綺麗に掃除することで、再石灰化を優位にさせることが重要です。ブラッシング指導では、歯科衛生士から正しいブラッシング方法を教わるだけでなく、普段磨けていないポイントを教えてもらうことで、自宅でのセルフケアの精度が上がります。

フッ素塗布

歯の再石灰化の促進や歯質の強化、虫歯の原因菌が出す酸の抑制などの効果があるのが、フッ素です。歯にフッ素を塗布することで、初期段階の虫歯を修復します。市販の歯磨き粉にも、フッ素が配合されたタイプがあるので、自宅のセルフケアにおすすめです。

歯のクリーニング

自宅のブラッシングでは、全ての汚れを落とせるわけではありません。特に、プラークが固まった歯石は、歯ブラシで除去するのが難しいです。20〜70歳男女100名を対象にした調査では、約8割の人に磨き残しがあることが分かっています(※2)。

※2参考:日本口腔衛生学会2015年発表

歯科医院で専用の器具を使った歯のクリーニングを受けることで、隅々まで汚れを除去することが可能です。また、検査を行うことで、初期虫歯の早期発見にも繋がります。

当院では、虫歯の検査やプラーク・歯石の除去を目的とした歯のクリーニングを行っております。また、虫歯の原因菌を遺伝子レベルで特定することで、虫歯の根本治療が可能です。

虫歯の初期で歯を削らないケースがある3つの理由

CO、C1の初期の虫歯では、歯を削らずに上記で挙げた治療のみを行う場合があります。歯を削る治療は以下のような理由から、できれば避けたいものです。

  • 二次う蝕のリスクが高い
  • 詰め物にも寿命がある
  • 予防治療で虫歯の進行を止められる

それぞれの理由について、詳しく見ていきましょう。

二次う蝕のリスクが高い

一度歯を削ってしまうと、二次う蝕と呼ばれる虫歯の再発リスクが高まります。歯を削った後は詰め物や被せ物をするのが一般的ですが、時間の経過とともに、詰め物の周りや被せ物と歯肉の隙間が虫歯になりやすくなるのです。

歯が削った後に二次う蝕のリスクが高まる理由には、以下の3つが挙げられます。

  • 詰め物や被せ物が劣化するから
  • 歯科用セメントが劣化するから
  • 悪習慣が口腔内環境の悪化を招くから

詰め物や被せ物の素材によっては、劣化しやすいです。特に保険適用の素材を使用する場合、歯と詰め物・被せ物の間に隙間が生じやすく、虫歯の原因菌が入り込みます。また、虫歯の原因菌を吸着しやすいのも特徴です。

詰め物と歯を接着するための歯科用セメントも、次第に劣化していきます。歯科用セメントが劣化することで、詰め物と歯の隙間に隙間ができ、虫歯の原因菌の侵入を許してしまいます。また、歯を削って虫歯を除去したとしても、プラークが溜まりやすい悪習慣が改善していなければ、虫歯が再発するのも時間の問題と言えるでしょう。

詰め物にも寿命がある

歯を削った後に入れる詰め物や被せ物にも、寿命があります。詰め物や被せ物を作り直す際には、再び歯を削る場合があります。そうして、詰め物や被せ物を作り直す度に歯を削っていると、歯はどんどん小さくなり、抜歯せざるを得ない段階にまで至る恐れがあるのです。

詰め物や被せ物の素材は、以下のように保険適用の有無によって寿命が異なるので、歯の寿命を延ばしたい方は、保険適用外の素材を選ぶと良いでしょう。

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予防治療で虫歯の進行を止められる

初期虫歯であれば、歯を削らなくても、虫歯の進行を止められます。歯のクリーニングやブラッシング指導などで、歯の表面に付着しているプラークを取り除くことができれば、唾液による歯の再石灰化が促進され、虫歯の進行は止まるのです。そのため、歯を削って歯の寿命を縮めるよりも、歯の再石灰化を促し、定期観察を行う場合があります。

虫歯の進行を初期で食い止めるための3つの対策

歯科医院を受診し、初期の虫歯と診断された場合、以下のような対策を行うことで虫歯の進行を食い止められます。万が一進行していたとしても、定期健診を受けていれば安心です。

  • 糖分の摂取量を減らす
  • 正しいブラッシングを行う
  • 定期健診を受ける

それぞれの対策について、詳しく見ていきましょう。

糖分の摂取量を減らす

虫歯の原因菌は、食べ物に含まれる糖分を餌に酸を産生し、歯を溶かしていきます。そのため、糖分の摂取量を減らすことで、原因菌による活動を抑えられるのです。また、1回の糖分の摂取量は少なくても、摂取する頻度が高ければ意味がありません。

口内に糖分が残り続けることに問題があります。間食を控えて、糖分が口内に残る機会を減らすとともに、糖分を摂取した後は必ず歯磨きをするよう心掛けてください。

正しいブラッシングを行う

虫歯の原因菌の温床になるプラークを除去するためには、日々の正しいブラッシングが欠かせません。しっかり磨けているつもりでも、実際には磨き残しがある場合がほとんどです。以下のポイントを踏まえて、今一度ブラッシング方法を見直してみてください。

  • 歯と歯の隙間、歯と歯茎の境目、奥歯にプラークが溜まりやすい
  • 唾液の分泌量が減る就寝前の歯磨きは、入念に行う
  • 150~200gの軽い力で小刻みに動かす

定期健診を受ける

日々のブラッシングが正しく行えているかは、歯科医院でなければチェックできません。歯科医院で定期健診を受けることで、知らぬ間に虫歯が進行しているのを防ぎます。定期健診を受けることには、以下のようなメリットがあります。

  • 虫歯を進行させるプラークや歯石を除去できる
  • 虫歯・歯周病を早期発見できる
  • 正しいブラッシング方法が身に付く
  • 長期的に見ると医療費を抑えられる

定期健診の間隔は3ヵ月に一度がおすすめです。ただし、日々のセルフケアが十分に行えている場合は、間隔を延ばしても問題ないので、歯科医院で相談してみてください。

虫歯の初期症状に関するよくある質問

最後に、 虫歯の初期症状について、よくある質問を紹介します。

  • 初期虫歯による黒い点を自分で治す方法はある?
  • 子供の前歯の裏が初期虫歯になりやすい原因は?

それぞれ詳しく見ていきましょう。

初期虫歯による黒い点を自分で治す方法はある?

歯にできた黒い点が初期虫歯の症状であった場合、自分で治す方法はありませんが、進行を止めることは可能です。初期の虫歯にあたるCOの段階であれば、以下のようなポイントに気を付けることで、脱灰よりも再石灰化を優位にさせ、虫歯の進行を止められます。

  • フッ素が配合された歯磨き粉を使う
  • 歯間ブラシやデンタルフロスを用いて、プラークの除去率を上げる
  • 糖分の摂取量と摂取頻度を減らす

ただし、自宅では虫歯の進行度を判断できないので、定期健診も受けましょう。

子供の前歯の裏が初期虫歯になりやすい原因は?

子供に限らず、成人であっても、前歯の裏は虫歯になりやすい部分です。前歯の裏は目視で確認することができないため、磨き残しがあっても気付けません。また、前歯の裏側には舌側面窩と呼ばれるくぼみがあり、汚れがつきやすいのが特徴です。

さらに、洗浄・殺菌作用がある唾液は、下の歯の付近に多く貯留しているため、上の前歯には届きにくいです。唾液が届かなければ、再石灰化よりも脱灰のスピードが速くなるリスクが高まります。

まとめ|虫歯の初期症状は受診することで治る

虫歯の初期段階では、歯の表面・歯と歯茎の隙間・奥歯の溝などに白や茶色、黒の変色が見られます。痛みやしみるといった症状がないので、自覚しづらいのが特徴です。

初期の虫歯は、表面のリンやカルシウムが脱灰によって溶けだしている状態で、唾液による再石灰化を促すことで、進行を食い止められます。歯を削る治療は、歯の寿命を縮めることに繋がるので、初期虫歯の段階でブラッシング指導やフッ素塗布などの治療を受けることが重要です。

当院では、虫歯に一生かかりにくい口内環境を実現すべく、遺伝子レベルでの検査や虫歯治療を行っております。当院の虫歯治療について、気になる方は下記のページをご覧ください。

この記事を書いた人

加藤 直之

大阪の梅田にあるえみは総合歯科、加藤です。 当院は、歯医者さんの「痛い・怖い・行きたくない」というイメージをなくし、患者様が悩みを相談できてリラックスした状態で治療ができるそんな医院を目指し運営しております。

資格・所属

NPO法人日本歯科予防協会理事/ISOI インプラント認定医/ドライマウス認定医/日本ドライマウス学会会員/日本抗加齢歯学会会員/医療情報技師認定証/ITIインプラント認定/AQBインプラント認定/ザイブインプラント認定/POIインプラント認定/インプラント学会 所属ブローネマルクインプラント認定/SARGONインプラント認定/審美歯科学会認証