定期検診に通っているのに虫歯になる理由——歯科医師が教える「意味のある検診」の5つの条件

この記事でわかること
「定期検診に通っているのに、また虫歯ができていた」「毎回クリーニングして終わりで、本当に意味があるのだろうか」——そんな疑問を持ったことはありませんか。
この記事は、予防歯科専門家・加藤直之先生による動画「知らないとヤバい。
定期的に歯医者に行く理由」をもとに、定期検診が必要な理由・本当に意味のある検診の5つの要素・検診間隔の考え方を整理しました。
この記事を読むとわかること:
- 定期検診が「意味ない」と感じる本当の原因
- 意味のある定期検診に必要な5つの要素
- 検診間隔を一律に決めてはいけない理由
- 担当者が変わることへの正しい向き合い方
- 歯科医院選びの視点

結論:定期検診が「意味ない」のではなく、中身が問われている
定期検診に通っているのに虫歯になった——そう感じたとき、多くの方は「定期検診に通う意味がない」と結論づけてしまいます。
しかし加藤先生はこう指摘します。
「定期検診をしていて虫歯になるというのは、ちゃんと定期検診をしてくれている歯医者さんの選び方がちょっと間違っている可能性もあります」
問題は定期検診そのものではなく、その中身です。
クリーニングだけで終わる検診と、5つの要素を網羅した検診では、長期的な口腔の健康への影響が大きく異なります。
また、定期検診の習慣と口腔疾患の関係について、加藤先生は日本と海外の比較からこう述べています。
「アメリカとかヨーロッパは定期検診が主流になっていて当たり前に定期検診に行く。
その差がどうなるかというと、やっぱりアメリカとかヨーロッパは日本に比べて虫歯や歯周病の率がだいぶ低い。
定期検診をすることで最終的に歯のトラブルや歯周病などのトラブルを未然に防げるというのは、もうそのデータが出ています」
定期検診の有用性は否定できません。
ただし、それが機能するためには中身が伴っている必要があります。
意味のある定期検診の5つの要素
加藤先生が定期検診で確認すべき「メインのところ」として挙げた5つを、順に解説します。
① 全身の状態・服薬の確認
定期検診では、口の中だけでなく体全体の状況を把握することが出発点になります。
「口の中と全身というのはかなり密接に結びついている。
体の状況が分からずして歯なんか見てもダメだし、逆もしかり」
たとえば糖尿病をお持ちの方であれば、血糖値のコントロール状況が歯茎の状態にも影響します。
また、新たに飲み始めた薬が口腔内に影響を与えるものかどうかの確認も必要とのことです。
毎回「最近体の調子はどうですか」「薬は変わりましたか」と確認してくれる歯科医院は、この視点を持っていると言えます。

② 歯と歯茎の状態チェック
虫歯がなかった人でも、初期の虫歯が始まっている場合があります。
歯茎の状態の変化も含め、毎回丁寧に確認することが必要です。
「もし変化があれば、詰めて直すとか被せるとかすぐにできない場合もありますから、弱っているところがあれば根気よくそこをケアして治療していく必要がある」
問題を見つけたらすぐに削る・被せるではなく、状態を見ながらケアを続けるという視点も、質の高い定期検診の条件のひとつです。
③ レントゲン・CTによる骨の状態の確認
歯は骨の中に埋まっています。外から目で見るだけでは、その内部の状態は半分も把握できないと加藤先生は述べています。
「見えていないところに大きな病気が隠れていて、去年大丈夫で今年レントゲンを撮ったら前になかった病巣ができていた——顎の中に良性腫瘍があるとか、そういうものが確認できます」
特に親知らずが顎の骨の中に埋まっている場合、その周囲に嚢胞(のうほう:液体を含む袋状の病変)が形成されることがあります。
顎の中を走る神経に近い位置に病変ができると、顎の麻痺につながる可能性もあるため、定期的なレントゲンによる確認が重要です。
④ リンパ節など口周辺のチェック
顎の痛みが顎関節に起因するものなのか、歯茎の炎症によるものなのかは、見た目だけでは判断しにくいケースがあります。
そうした際に、リンパ節を触診して炎症の有無を確認することも、定期検診の重要な一部です。
「リンパ節に炎症があると腫れが出てきたりする。左右に差があるとあまりよろしくない」
加藤先生は、患者さん自身でも首周辺を触ってみて、いつもと違う腫れを感じたら歯科医師に伝えることを勧めています。
⑤ プロによるクリーニング
どれほど丁寧に歯磨きをしても、歯石(プラークが石灰化して硬くなったもの)は自分では取り除けません。
加藤先生はこう話しています。
「僕も実は恥ずかしながら磨いていてもたまにスタッフに見てもらうと歯石がついていますよと言われる。
どんだけうまいことやっても歯石はつく時はつきますから、プロの人に取ってもらうのが大事」
クリーニングの積み重ねが、虫歯・歯周病の疾患率を下げることにつながります。
ただし、クリーニングだけで定期検診が終わるようであれば、上記の4つの視点が抜け落ちている可能性があります。

「全員3ヶ月に1回」は正しいのか
多くの歯科医院では「3ヶ月に1回」「半年に1回」といった間隔を一律に案内しています。しかし加藤先生はこう述べています。
「皆さん同率に2ヶ月に1回とか半年に1回とか、こういう決まり事でやっているところはちょっと違うかなと思います」
口腔ケアの習慣が整っていて歯磨きが上手な方は、間隔を開けても問題ないケースがあります。一方、リスクが高い方には短いスパンでのケアが必要です。
「タイミングをプロの人に測ってもらって、あきすぎるとまずい人は縮めてもらって、問題ない人は開けてもらう。この辺のタイミングをやっぱりプロの観点からちゃんと見てもらうのが大事」
自分の状態に合った間隔を、担当の歯科医師や歯科衛生士と相談して決めることが、より意味のある定期検診につながります。
担当者が変わることを、むしろプラスに捉える
毎回同じ担当者に見てもらえることは、安心感や継続性という意味で大切です。しかし加藤先生は別の視点も提示しています。
「1人の目線で見ているとやっぱり抜けが出る場合もある。たまに違う人に見てもらうというのも1つあり」
信頼関係のある担当者との関係を大切にしながら、ときに別の視点からチェックしてもらうことが、見落としを防ぐという意味で有益な場合があるとのことです。担当者が変わったことに対して過度にネガティブに捉えず、「別の視点を得る機会」として前向きに受け取ることも一つの考え方です。
歯科医院選びの視点
最後に、加藤先生は良い歯科医院の見分け方についてこう述べています。
「ホームページを見たり、今時はSNSで発信しているところがあるのでそういうところで当たりをつけて。担当の衛生士さんがちゃんと見てくれるか、手に余るようであれば院長先生や担当の先生がちゃんとフォローしてくれるか、連携が取れているところを選ぶのが大事」
また、流れ作業のような定期検診については明確にこう言っています。
「ちょっと流れ作業みたいになって定期検診を見てしまっているようなところは、やめた方がいいかなと思います」
まとめ
- 定期検診が「意味ない」と感じるなら、通院をやめるのではなく検診の中身を見直す
- 意味のある定期検診には全身確認・歯と歯茎のチェック・レントゲン・リンパ節確認・クリーニングの5要素が必要
- 検診の間隔は一律ではなく個人の状態に合わせて決めるもの
- 担当者が変わることは別の視点を得る機会として前向きに捉えることもできる
- 流れ作業になっている定期検診は見直しのサイン
この記事は、加藤直之先生による動画
「知らないとヤバい。定期的に歯医者に行く理由」
をもとに作成しています。
先生の語り口や具体的な臨床エピソードは、ぜひ動画でも確かめてみてください。
定期検診の内容や間隔について「自分に合っているか確認したい」という方は、お気軽にご相談ください。
