オールオン4とは?入れ歯と比較!費用・寿命・後悔しない選び方

大阪梅田にある、えみは総合歯科の理事長・加藤直之です。
総入れ歯の患者様から、「食べ物が挟まって痛い」「喋りづらくてストレス」といったご相談を受けることがあります。
でもインプラントだと費用が高いし、治療期間も長そう・・・
そんな悩みをお持ちの方におすすめの治療が、オールオン4です。
オールオン4なら、最小限のインプラントで天然歯に近い歯を取り戻し、短期間で噛める喜びを実感できます。
本記事では、オールオン4を詳しく知らない方に向けて、仕組みやメリット・デメリット、治療の流れを解説します。
目次
オールオン4(All-on-4)とは?
オールオン4(All-on-4)は、失った歯を取り戻すためのインプラント治療の一種です。
通常のインプラント治療では、失った歯の部分ごとに1本ずつインプラントを埋め込む必要があります。しかし、オールオン4では、わずか4本のインプラントだけで、片顎12本すべての人工歯を支えることができます。
オールオン4の構造
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前歯部分のインプラント2本は垂直
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奥歯部分のインプラント2本は斜め
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4本のインプラントが支柱となり、片顎全体の人工歯を固定
この設計により、少ないインプラント本数で強度を確保し、通常のインプラント治療よりも短期間で治療を完了できるのが特徴です。
また、人工歯にはジルコニアやセラミックなどの素材が使われることが多く、審美性・耐久性ともに優れた仕上がりになります。
オールオン4と総入れ歯の違い
オールオン4と総入れ歯は、どちらも「歯を失った方のための治療法」ですが、根本的な違いがあります。
オールオン4 | 総入れ歯 | |
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イメージ | ![]() | ![]() |
固定方法 | インプラントで固定(外れない) | 取り外し式 |
噛む力 | 天然歯に近い強い咀嚼力 | 硬いものが食べにくい |
違和感 | 自分の歯のような感覚 | 異物感があり、慣れが必要 |
メンテナンス | 歯磨きやフロス | 毎日取り外して洗浄 |
寿命 | 適切なメンテナンスで10年以上 | 経年劣化しやすく、3〜5年で作り直し |
一方でオールオン4は、見た目・機能性ともに天然歯に近い状態を再現できるため、快適な噛み心地を求める方に向いています。
関連ページ:当院のオールオン4診療案内はこちら
どんな人に適しているのか
オールオン4は、次のような方におすすめです。
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歯をほとんど失ってしまった方
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総入れ歯が合わず、ズレたり痛みがある方
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治療後すぐに仮歯を装着し、日常生活に戻りたい方
オールオン4は、歯をほとんど失った方や、総入れ歯に不満を感じている方に最適な治療法です。特に、短期間で固定式の歯を取り戻したい方にはメリットがあります。
患者様の中には「オールオン4は30代や40代でも受けられる?」と疑問に思う方もいますが、年齢制限はなく、歯や顎の状態に問題がなければ若い方でも適応可能です。
ただし、糖尿病や喫煙習慣がある方は、インプラントが骨と結合しにくくなるリスクがあるため、歯科医師と相談が必要です。
オールオン6とは何が違う?
オールオン4とオールオン6はどちらもフルアーチ(片顎全体)の歯を支えるインプラント治療ですが、埋入するインプラントの本数が異なります。
比較項目 | オールオン4 | オールオン6 |
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インプラントの本数 | 片顎4本 | 片顎6本 |
安定性 | 十分な固定力がある | より強固な固定が可能 |
費用 | 約200~400万円程度 | 約250~500万円程度 |
骨の量が少ない方や、手術の負担を減らしたい方はオールオン4が適しています。
ただし上顎の骨は下顎に比べて薄く、柔らかいことが多いため、当院では6本の埋入を提案させていただくこともあります。
まずは歯科医院を受診し、骨の状態や噛む力を検査して、歯科医師から最適な方法を提案してもらいましょう。
オールオン4のメリット
オールオン4は、通常のインプラント治療や総入れ歯と比べ、多くのメリットがあります。
ここでは、オールオン4の主なメリットを詳しく解説します。
1日で仮歯が入る即日治療が可能
オールオン4の最大のメリットは、手術当日に仮歯を装着できる即日治療です。
通常のインプラント治療では、インプラントを埋入した後に通常3~6ヶ月かけて骨と結合するのを待ち、その後に人工歯を装着するという流れが一般的です。
しかし、オールオン4は特殊なインプラントの埋入方法により、手術当日に仮歯を装着できるケースが多く、治療後すぐに日常生活を送ることができます。
即日治療のメリット
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歯がない期間がないため、見た目の不安が少ない
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手術後すぐに食事や会話ができる
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通院回数が減り、治療期間が短縮される
手術当日に装着するのは「仮歯」ですが、これだけでも見た目は自然で、軽い食事ができるレベルになります。
最終的な人工歯(ジルコニアやセラミック)は、インプラントと骨がしっかり結合してから装着します。
費用を抑えられる
通常のインプラント治療では、失った歯1本につき1本のインプラントを埋め込め込みます。
仮に10本の歯を失った場合は10本のインプラントが必要になります。
一方でオールオン4では、たった4本のインプラントで片顎全体の人工歯を支えるため、使用するインプラントの本数が少なく、その分コストも抑えられます。
歯科医院によっては、悪い歯が見つかったらインプラント、また見つかったらインプラント・・・と治療を繰り返し、患者様がインプラント地獄に陥るケースもございます。
最初からオールオン4を使えば治療総額を大幅に抑えられるため、当院では患者様の歯の健康状態に応じて提案させていただきます。
骨移植が不要な場合が多い
通常のインプラント治療では、顎の骨が不足している場合、骨移植が必要です。
しかし、オールオン4では骨のある部分を狙ってインプラントを埋め込む技術を採用しているため、多くの場合、骨移植が不要です。
特に、後方のインプラントを斜めに埋入することで、骨量が不足している部位を避けながら、強固な支えを作ることができます。
骨移植が不要なメリット
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外科的な負担が軽減され、回復が早い
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骨移植の費用がかからず、コストが抑えられる
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骨移植による治療期間の延長を防ぎ、短期間で治療が完了する
ただし、極端に顎の骨が薄い場合や骨の状態が悪い場合は、オールオン4でも骨移植が必要になることがあるため、まずは歯科医院で診断を受けましょう。
外れないため噛む力が安定
取り外し式の総入れ歯の場合、食事の際にズレたり外れたりすることがあります。
しかし、オールオン4はインプラントによってしっかり固定されるため、安定した噛み心地を得られます。
噛む力の比較
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オールオン4 → 天然歯の80~90%ほど
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総入れ歯 → 天然歯の20~30%程度
オールオン4なら、りんごやナッツなどの硬い食べ物もしっかり噛めます。
その結果、食事の満足度が上がり、栄養バランスの良い食生活を維持しやすくなります。
自然な見た目で審美性が高い
オールオン4は、見た目が自然で、笑ったときの違和感が少ないことも特徴です。
人工歯(ブリッジ)はセラミックやジルコニアなどの高品質な素材を使用できるため、天然歯に近い美しさを実現できます。
また、総入れ歯のようにプラスチックの歯ぐき部分がないため、本物の歯と同じような見た目になります。
オールオン4の審美性のメリット
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歯ぐきのラインが自然で、違和感が少ない
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人工歯の素材によっては、変色しにくく長持ちする
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笑ったときや話すときも、自然な口元をキープできる
特に前歯の見た目を気にする方にとって、オールオン4の審美性の高さは大きなメリットです。
オールオン4のデメリット
オールオン4の治療を検討する際には、デメリットや注意点も理解しておきましょう。
ここでは、オールオン4の主なデメリットを詳しく解説します。
残っている歯の抜歯が必要
オールオン4を適用する場合、原則としてすべての歯を抜歯する必要があります。
残存歯を残したままでは、インプラントの埋入が困難になり、安定性が損なわれるためです。
なぜ抜歯が必要なのか
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オールオン4は一体型の人工歯を装着するため、部分的な歯の残存が適さない
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残った歯の状態が悪い場合、長期的なトラブルを防ぐために抜歯する方がよい
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噛み合わせを整えるため、全体を統一する必要がある
ただし、残っている歯が健康な場合、インプラントオーバーデンチャーという治療法なら抜歯せずに済みます。
インプラントオーバーデンチャーとは、残っている歯を利用して総入れ歯を固定する治療法です。
詳しくは下記の動画で紹介しているので、気になる方はご覧ください。
自由診療で健康保険が適用されない
オールオン4は、日本では自由診療のため、治療費は全額自己負担となります。
そのため、費用負担が大きくなる点がデメリットです。
また使用するインプラントの種類、人工歯の素材、術式によっても費用は変わります。
もっとも通常のインプラント治療と比べて少ない本数で済むため、1本ずつインプラントを埋め込むよりも費用は抑えられます。
治療できる歯科医院が限られる
オールオン4は、高い技術が求められる治療法のため、すべての歯科医院で受けられるわけではありません。
実績が豊富な歯科医院は限られているため、専門の歯科医を見つけるのが困難です。
治療できる歯科医院を選ぶポイント
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オールオン4の症例数が多い歯科医院
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CTスキャンなどの設備が整っている
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無料カウンセリングを活用し、複数の医院で相談する
インプラント手術の技術は歯科医師のスキルによって大きく差が出るため、信頼できる医院を選ぶことが重要です。
メンテナンスを怠るとトラブルのリスクがある
オールオン4は、メンテナンスを怠ると、下記のトラブルを引き起こす可能性があります。
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インプラント周囲炎
→歯ぐきが腫れる、出血する、最悪の場合インプラントが脱落する -
人工歯の破損や摩耗
→強い力が加わることで、人工歯が欠けたり摩耗する -
噛み合わせのズレ
→ 長年の使用により、噛み合わせが微妙にずれる
オールオン4を長持ちさせるには、定期検診を受けたり、日々のケアを行うことが重要です。
術後に腫れや痛みが出る可能性
オールオン4は、術後に一時的な腫れや痛みが出る可能性があります。
ただし、従来のインプラントよりも身体的な負担が少ないため、回復は比較的早いのが特徴です。
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腫れや痛み
→ 数日~1週間で軽減 -
出血や違和感
1~2日程度で落ち着く
数日程度で症状が治らず、長引く場合は歯科医院に相談しましょう。
オールオン4の費用
オールオン4の費用は、片顎で約200万~400万円が一般的な相場です。
クリニックによって価格に幅があるのは、使用するインプラントのメーカー、人工歯の素材、手術の難易度、保証内容などが異なるためです。
人口歯の素材は主に、ジルコニア、セラミック、アクリルレンジの3種類があり、審美性や耐久性が優れた種類ほど費用が高くなります。
人口歯の種類 | 費用目安(片顎) | 特徴 |
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アクリルレジン | 約150万~250万円 | コストは低いが、変色や摩耗しやすい |
セラミック | 約200万~350万円 | 自然な見た目で審美性が高い |
ジルコニア | 約300万~450万円 | 最も耐久性が高く、審美性・強度ともに優れる |
最も安価なアクリルレジンは、経年劣化や過剰な力が加わることによる破損のリスクがあります。
コスト・耐久性・審美性を考慮した上で、自分に合った素材を選びましょう。
デンタルローンや医療費控除
オールオン4は自由診療のため、治療費は全額自己負担です。
費用負担を軽減する場合は、「デンタルローン」や「医療控除費」を活用しましょう。
デンタルローンとは
デンタルローンは、歯科治療専用の分割払いローンです。
例えば、総額300万円の治療を60回払いにした場合、月々の支払いは約5万5,000円~6万5,000円程度です。
月々の支払額に幅があるのは金利のためです。
最大分割回数や金利に関しては、歯科医院や金融機関によって異なります。
事前に金利や審査条件を確認し、無理のない返済計画を立てましょう。
医療費控除とは
オールオン4の治療費は、一定の条件を満たせば「医療費控除」の対象となります。
医療費控除を活用すれば、支払った治療費の一部が税金から控除され、所得税や住民税の負担を軽減できます。
項目 | 内容 |
---|---|
適用条件 | 1年間の医療費が10万円以上 |
控除額の計策 | (医療費総額-保険金補てん額)-10万円 |
控除額の上限 | 200万円 |
対象費用 | インプラント治療費、検査費、通院の交通費など |
オールオン4の治療の流れ
オールオンの治療は、下記の手順で進みます。
- カウンセリングと術前診断
- 抜歯とインプラント埋入手術
- 仮歯の装着と術後の注意
- 最終の人口歯を装着
各手順の詳しい内容を紹介します。
1.カウンセリングと術前診断
オールオン4の治療を始める前に、治療計画を立案するためのカウンセリングが行われます。
主なカウンセリング内容は下記のとおりです。
- 治療の流れ・リスク・費用の説明
- 歯の状態や健康状態をチェック
- 不安や疑問点を解消し、治療方針を決定
カウンセリングの際に、治療に関する不安や希望をしっかり相談することで、より適したプランを提案してもらえます。
カウンセリングの後は、詳細な口腔検査が実施されます。歯科用CTを用いて顎の骨の状態や歯ぐきの健康状態を精査し、手術が安全に行えるかどうかを診断します。
2.抜歯とインプラント埋入手術
検査結果に問題がなければ、最短で2回目の来院時に手術が可能となります。
手術には局所麻酔または静脈内鎮静が使用し、痛みや不安を最小限に抑えることが可能です。
残っている歯がある場合は抜歯を行い、同日にインプラントの埋入を実施します。
一般的に手術時間は片側で2〜3時間程度です。
3.仮歯の装着と術後の食事制限
手術当日に仮歯を装着することが可能です。
これにより、治療後すぐに見た目が改善し、食事や会話にも支障が少なくなります。
ただし、インプラントが顎骨に結合するまでに時間がかかるため、術後1ヶ月半程度は硬い食べ物を避け、柔らかい食事を摂りましょう。
期間 | 食事のポイント |
---|---|
術後1週間 | 柔らかい食事を中心に(スープ、ヨーグルト、豆腐など) |
1週間〜1ヶ月 | 少し弾力のある食事もOK(煮魚、オムレツ、蒸し野菜など) |
1ヶ月以降 | 通常の食事に戻していく(ただし、硬すぎるものは避ける) |
人口歯装着後 | 硬いものもOK(ナッツ、せんべい、ステーキなど) |
仮歯の装着期間は一般的に3〜6ヶ月程度です。
この期間にインプラントと顎骨の結合状況の確認が行われるため、少なくとも1ヶ月に1度は歯科医院を受診する必要があります。
4.最終の人口歯を装着
インプラントが顎骨と完全に結合すると、最終的な人口歯を装着します。
この工程では、患者の噛み合わせや審美性・予算などを考慮しながら、最適な人口歯を選び、精密に調整を行います。
人口歯が完成したら、噛み合わせやフィット感を細かく調整しながら装着し、装着後に違和感があれば必要に応じて微調整を行います。
治療の最終段階では、人工歯を長く維持するためのケア方法について指導が行われます。
定期的なメンテナンスや適切な歯磨きの習慣を身につけることで、人工歯の寿命を延ばし、健康的な口腔環境を維持できます。
オールオン4の寿命とメンテナンス
オールオン4の耐用年数は、適切なメンテナンスを行なった場合、10年以上が見込まれます。
ただし、上部構造である人口歯の寿命は使用する素材によって異なります。
人口歯の種類 | 寿命 |
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アクリルレンジ | 約5年〜7年 |
セラミック | 約10年 |
ジルコニア | 約15年以上 |
メンテナンス方法と費用
オールオン4を長く快適に使用するためには、日常のセルフケアと歯科医院での定期的なメンテナンスが不可欠です。
セルフケアの基本は適切な歯磨き習慣です。
歯ブラシの毛が硬い場合、人口歯を傷つけてしまう恐れがあるため、毛の硬さは「ふつう」か「やわらかい」を選びましょう。
歯ブラシでは届かない部分の汚れには歯間ブラシやフロスが有効です。
歯茎と人口歯の間に汚れが溜まりやすいため、ウォーターピックの使用も検討しましょう。
定期的な歯科メンテナンス
- 3~6か月に1回のクリーニング
- インプラント周囲炎のチェック
- 噛み合わせの調整
メンテナンス費用の目安は下記のとおりです。
メンテナンス内容 | 費用 |
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定期検診・クリーニング | 5,000~15,000円 |
インプラント周囲炎の治療 | 1万~5万円 |
人工歯の交換 | 10万~40万円(※素材によって異なる) |
適切なメンテナンスを行うことで、インプラントの寿命を延ばし、余分な治療費を抑えることができます。
インプラントのメンテナンスの重要性については、以下の記事で詳しく解説しているので、気になる方はご覧ください。
関連記事:インプラントのメンテナンスは必要?内容や重要性について解説
見た目や顔の変化はある?
オールオン4は、失った歯を補うだけでなく、顔の印象を改善する効果も期待できます。
歯が抜けた状態が続くと、顎の骨は歯の支えを失うことで徐々に痩せてしまう傾向があります。
これにより、以下のような見た目の変化が起こる可能性があります。
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頬がこけ、顔全体がやつれた印象になる
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唇が薄く見え、老けた印象を与える
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噛み合わせが変わり、顔の左右バランスが崩れる
オールオン4では、人工歯が適切に支えとなるため、骨の吸収を防ぎ、口元の形状を維持することが可能です。
結果として、顔の輪郭が整い、若々しい印象になることが期待できます。
ただしオールオン4による顔の変化は、個人の骨格や治療の設計によって異なります。
まとめ|オールオン4を検討している方へ
オールオン4は、少ないインプラント本数で固定式の歯を取り戻せる画期的な治療法です。
総入れ歯よりも安定性が高く、短期間で治療が完了するため、多くの方に適しています。
ただし、費用やメンテナンス、適応条件をしっかり理解した上で、専門の歯科医と相談することが大切です。
大阪梅田にある、えみは総合歯科では、無料カウンセリングを実施しております。
お気軽にお問い合わせして、あなたのお悩みをお聞かせください。