デンタルフロスの正しい使い方と選び方|歯科医師が実演解説

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この記事でわかること

毎日歯磨きをしているのに虫歯ができる、歯科に行くたびに「フロスを使ってください」と言われる——そんな経験はありませんか。

実は、歯ブラシだけでは物理的に届かない場所があります。

そこをカバーするのがデンタルフロスです。

この記事は、予防歯科専門家・加藤直之先生による動画

「【まだ使ってない!?】歯医者直伝、効果的なフロスの使用方法」

をもとに、フロスの役割・正しい使い方・種類の選び方・習慣化のコツを整理しました。

この記事を読むとわかること:

  • 歯ブラシだけでは不十分な理由
  • フロスの正しい巻き方・使い方の手順
  • ワックスあり・なし・ホルダー型の使い分け
  • 奥歯への対処法とやりがちなNG
  • フロス・歯間ブラシ・歯ブラシの役割の違い


結論:フロスなしでは汚れの40%が残ったままになる

加藤先生はこう言い切っています。

「普通の歯ブラシだと汚れの全体60%しか落とせない。デンタルフロスを使うと歯ブラシの60%プラス、上積みで20%、トータルで80%磨けると言われている」

残りの20%は何かというと、歯と歯が接触している「隣接部(りんせつぶ)」——つまり歯と歯の隙間です。

「この隙間というのは毛先が絶対入らない。汚れが一旦入ってしまうと、自然には絶対取れない」

噛む面は唾液やお茶で流されることもありますが、歯と歯の間に入り込んだ汚れはそうはいきません。先生は続けます。

「虫歯の結構高い割合はこの隣接部というところから発生することが多い」

この20%の差が、長い目で見た虫歯リスクに大きく影響します。フロスは「念のためやるもの」ではなく、虫歯予防に欠かせないケアアイテムです。


フロスの正しい使い方:手順を整理する

加藤先生が動画の中で実演しながら説明していた使い方を、手順ごとに整理します。

① 長さは「肘の高さ」まで取る

思っているよりかなり長めです。先生によると「ある程度の長さがいる」とのことで、肘の高さを目安に切ってください。

② 中指に巻きつけて短くする

利き手の中指にフロスを巻きます。反対の手の中指にも1〜2回巻いたら、利き手をくるくると巻き取り、だんだん短くしていきます。

「親指と人差し指でつまんだとき、歯1本分あるかないかぐらいのスペースになるまで短くして」

この持ち方で、歯の隙間に対してコントロールしやすくなります。

③ 汚れたら少しずつ送る

使った部分が汚れたら、巻き取りながら新しい部分を使います。

「常に新鮮なフロスを使ってください」

1回のケアで同じ部分を使い回さないことが大切です。

④ 1箇所につき1〜2回通す

同じ歯の隙間を何度も行き来する必要はなく、1〜2回で十分とのことです。


ワックスあり・なし・ホルダー型——どれを選ぶか

フロスには大きく3種類あります。自分の状況に合わせて選ぶことが、習慣化への近道です。

ワックスあり:初心者向け

ワックスがコーティングされているため滑りがよく、歯の隙間にフロスを入れる習慣がない方でも扱いやすいです。

「初心者の方はワックスつきでまずは練習してもらった方がいいかなと思います」

ただし、滑る分だけ汚れに対しても滑ってしまうため、除去率はワックスなしよりやや下がります。

ワックスなし:慣れてきた方向け

「天然の自前の歯の人は、慣れてくればワックスなしの方が汚れの除去率が全然高くなる」

ワックスありで使い方に慣れてきたら、ワックスなしへの移行を検討してみてください。

ホルダー型:奥歯が難しい方向け

指だけで行うフロスは、奥歯になると入れにくくなります。そんなときは柄(え)のついたホルダー型が便利です。

「これだと持ち手があるので奥も入りやすいですから、曲げたりしてやりやすい。全然ありやと思います」

ホルダー型は使い捨てが基本です。雑菌がつくため、1回使ったら捨ててください。


やりがちなNG:前歯だけやって奥をサボる

加藤先生がとくに強調していたのがこの点です。

「前歯やりやすいんで前歯ばっかりやって奥をやらない人がいる。これは絶対ダメ。前だけフロスして奥はサボってるフロスは全然意味ないですから」

前歯は見えやすく指も届きやすいため、ついそこだけで終わらせてしまいがちです。しかし奥歯こそ汚れが溜まりやすく、フロスの効果が大きい場所です。


習慣化のコツ:「気分次第」をやめてルーティンを決める

フロスを長く続けるためのポイントとして、加藤先生はルーティン化を勧めています。

「気分次第でやるんじゃなくて、漏れがないようにルーティンを決めてもらったらいいかなと思います」

たとえば「右奥から始めて前歯を通り、左奥へ、それから上の歯へ」というように、自分なりの順番を決めてしまうと全体をカバーしやすくなります。歯ブラシも無意識のうちに決まった順番で動かしている方が多いように、フロスも同様に体に染み込ませることが目標です。

加藤先生自身も、海外への移動時に必ずフロスと歯間ブラシを自前で持参するそうです。

「フロスと歯間ブラシをしないと気持ち悪いというくらいまで習慣づけてもらえるといいかな」


フロス・歯間ブラシ・歯ブラシの役割の違い

動画の後半で、加藤先生は3つのケアアイテムの使い分けについてもこう話しています。

「デンタルフロスで隙間を磨いて、歯間ブラシで歯と歯の間を磨いて、最後に歯ブラシで全体を磨いてもらうのがいいんじゃないかなと思います」

それぞれの役割を整理すると、以下のようになります。

アイテム 主な役割
デンタルフロス 歯と歯の接触部分(隣接部)の汚れ除去
歯間ブラシ 歯と歯茎の間の汚れ除去
歯ブラシ 全体の仕上げ・歯面の清掃

3つすべてをこなすことが理想ですが、まず取り組んでほしいのは「歯ブラシだけ」という状態からの脱却です。フロスひとつ加えるだけで、清掃できる範囲が大きく広がります。


まとめ:フロスを取り入れるための3ステップ

  1. まずワックスありのフロスを1本買う → 使い始めるハードルを下げる
  2. 毎回同じルーティンで全体をカバーする → 前歯だけで終わらせない
  3. 慣れてきたらワックスなし・歯間ブラシも加える → 除去率をさらに高める

フロスは技術より習慣です。完璧にできなくても、毎日続けることの方がずっと大切です。


この記事は、加藤幸先生による動画

「【まだ使ってない!?】歯医者直伝、効果的なフロスの使用方法」

をもとに作成しています。

フロスの巻き方やホルダー型の使い方など、実演のシーンはぜひ動画でも確かめてみてください。


フロスの選び方や使い方について、気になることがあればお気軽にご相談ください。

この記事の監修・執筆者

加藤 直之(かとう なおゆき)

医療法人えみは会 理事長
愛知学院大学歯学部卒業。大阪府羽曳野市にて「加藤総合歯科・矯正歯科」を開院。一般歯科から高度なインプラント治療、矯正歯科まで幅広く手掛ける。青山病院にて歯科口腔外科、ドライマウス、舌痛症外来の非常勤講師・担当医を兼任するなど、難治性の口腔疾患や外科的アプローチにおいても深い知見を持つ。

資格・実績

Clinical Oral Implantology (インプラント認定医)NPO法人日本歯科予防協会理事AQBインプラント認定ISOI インプラント認定医、 ザイブインプラント認定、 ドライマウス認定医、 POIインプラント認定、 日本ドライマウス学会会員、 インプラント学会所属、 ブローネマルクインプラント認定、 日本抗加齢歯学会会員、 SARGONインプラント認定、 医療情報技師認定証ITIインプラント認定審美歯科学会認証