舌磨きはやった方がいい?専門家がズバッと結論を出します【口臭ケア】

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「舌、磨いちゃダメ?」その不安、解消します

「舌磨きってダメなんですか?ずっとやってたのに……」

動画の冒頭、スタッフの田中さんがこんな不安を打ち明けます。YouTubeで「舌磨きはダメ」という動画を見かけて、ずっとやっていたことが間違いだったのかと心配になってしまったとのこと。

実は、これ、かなり多くの方が感じている疑問です。ネット上でも「舌は磨かない方がいい」「舌苔はとってはいけない」という情報が広まっていて、混乱されている方は少なくありません。

今回は予防歯科の専門家・加藤先生が、口腔外科20年の臨床経験をもとに「舌磨きの正しい考え方と方法」についてズバッと答えてくれました。

「舌をきれいにしてはいけないというのは、間違った考え方です」(加藤先生)

では、いったいどうすればいいのか?詳しく解説していきます。


舌の表面に白いものがつく理由とは?

田中さんがもう一つ気になっていたのが、「口を開けた時に舌に白いものがついている」という現象。自分で取ったりしていたけれど、そもそもなぜできるのか知りたかったそうです。

加藤先生は舌の模型を使いながら、こう説明します。

「舌の表面には、味を感じるための細かい突起(乳頭)があります。大体3日くらいのサイクルで新陳代謝を繰り返していて、用済みになった細胞が排出されていきます。皮膚の垢と同じようなイメージですね」

つまり、白や黄色がかった色がつくのは、ほとんどの場合新陳代謝の産物であり、特に心配するものではないとのこと。

さらに先生はこんな例え話でわかりやすく説明してくれます。

「舌の表面って、天気に例えると雨の日と晴れの日でまったく見た目が変わります。それくらい舌って表情が豊かで、体調や環境によって全然別人のように変わってしまうんです」


舌が地割れのように見える「地図状舌」も怖くない

「舌の表面にひびが入ったように深い溝が走っていて、ぱっくり2枚に割れそうで怖い……」という経験をされた方もいるのではないでしょうか。

加藤先生はこれを**「地図状舌(ちずじょうぜつ)」**と呼びます。

「地図状舌というのは、文字通り世界地図のような複雑な模様が舌の表面に現れるものです。地震の地割れみたいに、奥底まで亀裂が入ったように見える場合もある。それがびっくりして飛び込んでくる患者さんもいるんですが、これ自体は問題ありません」

先生はこの分野の深い専門性も語ってくれています。口腔外科の大学病院教授でも「舌のことは加藤君に見てもらって」と言われるほど、舌の表面を誰よりも多く診てきたという実績。総合病院では内科・耳鼻科・口腔外科のどの科が担当するか曖昧だった「舌の症状」を、一手に引き受けてきたそうです。

「口腔外科の大学病院教授の先生でも、”舌に関してはちょっと私よりよくわかんないから加藤君見といて”みたいな感じで言われたりとか(笑)。相当、舌は見てたかなと思います」


「舌磨きはダメ」という情報の本当の意味

では、なぜ「舌磨きはダメ」という情報が広まっているのでしょうか?

加藤先生はこう解説します。

「舌の色が少し変わっただけで、ずーっとゴシゴシこすり続けてしまう人がいるんです。でも舌の表面はとてもデリケートで、繊細な感覚を持っている部分です。やりすぎると、その感覚が痛みに変わってしまったり、傷から細菌が入って炎症を起こしたりする。だから”逆効果になるのでやめてください”という話なんですよ」

つまり「舌磨きはダメ」というのは、「やりすぎること」に対する警告であって、舌を清潔にすること自体を否定しているわけではない、ということです。

「綺麗にする仕方が大事なんであって、舌を磨いてはいけないというのは本当は間違った考え方です」(加藤先生)

ここが非常に重要なポイントです。


舌につく「カンジダ菌」が引き起こす連鎖症状

舌の表面を清潔に保つべき理由として、加藤先生が挙げたのが**「カンジダ菌(カビの一種)」**の存在です。

「舌にはけっこうカンジダ菌がつくんですよ。免疫力が高かったり、唾液が十分に出ている方は、多少ついても流し出したり免疫で対処できます。でも、抵抗力が弱っていたり、ドライマウスで唾液が出ない方は、カンジダ菌がつきやすくて……口の中でハウス栽培してるみたいなもんで、どんどん増殖していくんです」

カンジダ菌が増殖すると引き起こされる症状として、先生は以下を挙げています:

  • 強い口臭
  • 舌の痛み(舌痛症)
  • 味覚異常

「カンジダ菌って弱いんですけど、一旦ついてしまうと縄張り力が強くて、なかなか除去できない。根気よく除菌が必要になってきます」

先生のクリニックでは除菌の薬として3種類を使用しているそうです。1つは軟膏を塗るタイプ、もう1つはシロップで飲むタイプ、そして最近登場したシールを貼るタイプ(口腔内でゆっくり成分が溶け出すもの)

そして驚きのエピソードも明かされました。

「製薬会社の方が来てくれた時に聞いたら、南大阪でカンジダ菌の薬を処方している医師・歯科医師の中で、私が一番多いらしいんです。それだけカンジダ菌と戦ってるわけで(笑)」

南大阪エリアで、医科・歯科含めて最多処方というのは、それだけ多くの患者さんが舌の問題で悩まれていること、そしてそれだけ加藤先生が積極的に向き合っている証でもあります。


正しい舌の磨き方:1日1回、なぞるだけでOK

では、実際にどう磨けばいいのか?加藤先生が教えてくれた方法はとてもシンプルです。

使うもの:舌専用クリーナー(スポンジタイプ推奨)

「いろんなクリーナーがあるので何でもいいですが、避けてほしいのは歯ブラシをそのまま使って舌の表面も磨いてしまうこと。歯ブラシの毛先はデリケートな舌に対してちょっと攻撃的なので、傷ついてしまいます」

先生が勧めるのは、専用の舌クリーナー(ブラシ状のもの、またはスポンジタイプ)。クリニックで推奨しているアイテムを実際に手に取りながら見せてくれます。

頻度:1日1回

「1日1回でいいです。しかも軽くスーッとなぞるぐらいで十分です」

力加減:なぞる程度(ゴシゴシ禁止)

「あまり強くやりすぎると模型みたいにだんだん剥げてきます。舌の表面ってデリケートで、薄皮を1枚めくっただけでも相当痛い。髪の毛が1本入っただけでも気持ち悪いと感じるくらい繊細な部分なので、本当に優しく扱ってあげてください」

まとめると、正しい舌ケアのポイントは次の通りです:

ポイント 内容
使用ツール 舌専用クリーナー(スポンジ or 専用ブラシ)
歯ブラシ NG(攻撃的で傷がつく)
頻度 1日1回
力加減 軽くなぞる程度
やってはいけないこと ゴシゴシこすり続けること


加藤先生のクリニックでの舌ケアの取り組み

動画の後半では、先生のクリニックでの実際の診療アプローチも紹介されています。

「見た目で判断する先生も多いかと思いますが、うちは初診の時に採血もしますし、”(舌)培養検査”といって舌の表面を検査して、カンジダ菌が実際に出ているかどうか確認してから薬も使っていきます。その辺はしっかりやっています」

単に見た目で「舌が汚れている」と判断するのではなく、血液検査・(舌)培養検査という科学的なアプローチで舌の状態を評価する。先生の丁寧な診療姿勢が伝わってくるコメントです。


まとめ:舌磨きはやるべき。ただし「正しい方法で」

今回の動画で加藤先生が伝えたかったことを整理すると、こうなります。

✅ 舌磨きはやった方がいい → カンジダ菌など細菌の繁殖を防ぐため、ある程度清潔に保つことは大切

❌ 「舌磨きはダメ」は間違い(正確には「やりすぎがダメ」) → 過度なケアが逆に舌を傷つけ、炎症・感染・痛みの原因になる

✅ 1日1回、専用クリーナーで優しくなぞるだけでOK → 歯ブラシはNG。スポンジタイプや専用クリーナーを使用

✅ 舌の白・黄色い苔・地図状舌はほとんど問題なし → 天気のように変化するのが舌。過剰に心配しなくてよい


「舌磨きってしていいの?」と迷っていた方、ぜひ今日から正しい方法で舌ケアを始めてみてください。口臭が気になる方、舌の痛みや味覚の変化を感じている方は、カンジダ菌が関係している可能性もあるので、専門家に診てもらうことも一つの選択肢です。

🎬 動画はこちらからご覧いただけます

▶️ 「結局、舌磨きはやった方が良い?結論を出します【口臭ケア】」 👉 https://www.youtube.com/watch?v=eMdEHbERm2E

模型を使った視覚的な解説や、加藤先生の軽快なトークは動画ならではです。記事と合わせてぜひご覧ください!

この記事の監修・執筆者

加藤 直之(かとう なおゆき)

医療法人えみは会 理事長
愛知学院大学歯学部卒業。大阪府羽曳野市にて「加藤総合歯科・矯正歯科」を開院。一般歯科から高度なインプラント治療、矯正歯科まで幅広く手掛ける。青山病院にて歯科口腔外科、ドライマウス、舌痛症外来の非常勤講師・担当医を兼任するなど、難治性の口腔疾患や外科的アプローチにおいても深い知見を持つ。

資格・実績

Clinical Oral Implantology (インプラント認定医)NPO法人日本歯科予防協会理事AQBインプラント認定ISOI インプラント認定医、 ザイブインプラント認定、 ドライマウス認定医、 POIインプラント認定、 日本ドライマウス学会会員、 インプラント学会所属、 ブローネマルクインプラント認定、 日本抗加齢歯学会会員、 SARGONインプラント認定、 医療情報技師認定証ITIインプラント認定審美歯科学会認証