歯周病で「抜歯」と言われたら|抜くかどうかの判断と、残すための選択肢(大阪・梅田)
「この歯は、抜いたほうがいいでしょう」。歯科医院でそう言われて、その場では返事をしたものの、家に帰ってから決めきれずにいる。そんな方は少なくありません。
結論から申し上げます。歯周病で抜歯を検討するかどうかは、一つの数値だけで決まるものではありません。 歯ぐきの検査、歯の動き方、エックス線で見える骨の状態などを組み合わせて、その歯を残した場合の見通しまで含めて判断されます。何を見て判断されているのかが分かると、説明を聞き直すときの手がかりになります。
※本記事は、実在の患者さんに基づかない一般的な解説です。実際の診断・治療方針は、診察のうえで判断します。
当院の重度歯周病根本的改善プログラムの特徴について詳しくみる
抜くかどうかは、何を見て判断されるのか
日本歯科医学会が令和2年3月にまとめた「歯周病の治療に関する基本的な考え方」には、歯周病の検査として次の項目が挙げられています。
- 歯周ポケットの深さ(プロービングデプス)
- プロービング後の出血(BOP:探った後30秒以内に出血してくる部位を記録する)
- 歯の動揺(Millerの動揺度の分類に従い、0度から3度で示す)
- エックス線検査(読影する項目として、①歯槽骨の吸収程度 ②骨吸収の形態 ③歯冠歯根比 ④歯根の状態〔長さ・形態など〕が挙げられています)
同資料は、これらの検査結果をもとに診断を行い、治療計画は診断結果に基づいて「予後を判定し」たうえで立案する、としています。つまり「いまどうなっているか」だけでなく「この先どうなりそうか」まで含めて考える、ということです。
見えているのは歯ぐきだけでも、判断の材料は歯を支えている骨や根の状態にもあります。歯周病の進行の段階については 歯周病の初期症状とは?5段階の進行度別の症状や治療・予防法も解説 でも整理しています。
治療の途中には、いくつかの分かれ道がある
歯周病の治療は、原因となるプラークや歯石を取り除く歯周基本治療から始まります。同資料は、原因除去を主体とした歯周基本治療によって歯肉炎や歯周炎の進行は停止し、歯周組織は健康を回復するとしたうえで、「中等度以上の歯周炎では、歯周外科治療および口腔機能回復治療を要する場合が多く、より複雑な歯周病治療が必要となる」と述べています。
そして歯周基本治療が一通り終わった時点で再評価の検査を行い、その結果によって次のいずれに進むかを検討する、という流れが示されています。
- 継続的な管理(歯周病重症化予防治療、またはSPT〔歯周病安定期治療〕)やメインテナンスに進む
- 改善が不十分なところに、もう一度SRP(歯石の除去と歯根面の清掃)を行う
- 歯周外科治療に進む
同資料は、この場面について「安易にSRPを繰りかえさない」とも記しています。同じ処置を続けるのではなく、検査の結果を見て次の段階に進むかどうかを判断する、という考え方です。「手術を勧められた」という場面は、多くの場合この分かれ道にあたります。
歯そのものではなく、根の一部を扱う方法もある
奥歯は、根が2本以上に分かれています。この分かれ目(根分岐部)に病変ができた場合の治療として、同資料には次のような方法が挙げられています。
ファーケーションプラスティ、トンネリング、ルートリセクション、根分割抜歯(トライセクション、ヘミセクション)、歯根分割掻爬術(ルートセパレーション)、歯周組織再生療法
このうちルートリセクションや根分割抜歯は、歯を丸ごと抜くのではなく、傷んでいる根の側を分けて処置するという考え方の治療です。同資料は、これらを行うには根分岐部病変の分類による適切な診断が前提であり、その後ご自身で清掃できる形態に整えることを目的とする、としています。
すべての歯に当てはまる方法ではありません。どの方法が選べるかは、検査と診察のうえで判断します。
歯がぐらついてきたとき
歯の動揺が強くみられる場合には、暫間固定(となりの歯と一時的につないで動きを抑える処置)を行うことがあると同資料に記されています。また、歯周外科の処置による侵襲で一時的に歯の動揺が増し、治りに影響すると考えられる場合には、手術の前に暫間固定を行うことがあるともされています。
これは歯を安静に保つための処置であり、これだけで歯周病そのものが治るわけではありません。
抜くという判断になることもあります
同資料には、治療計画を立てるうえで「保存の可否」という判断が出てきます。検査の結果、その歯を残すことが難しいと判断されることもあります。
歯を残すことだけを目的にすると、かえって選択肢が狭くなることもあります。大切なのは、どの検査結果にもとづく判断なのかを一緒に確認したうえで決めることです。説明を聞いてすぐに決められないときは、その根拠をたずねてみてください。
治療のあとも、「維持」の段階が続く
同資料は、歯周ポケットの深さが4mm未満になっても炎症が残る場合や、適切な治療を行っても深い歯周ポケットや根分岐部病変が残る場合などは、歯周病の再発や重症化の危険性が高いとしています。そのため、良好な状態を長く保つには、治療の一環として継続的な管理(歯周病重症化予防治療やSPT)が必要になるとされています。
歯を残せるかどうかは、治療が終わった時点だけで決まるものではない、ということです。
検査で、もう少し詳しく調べるという選択肢
同資料では、基本の検査やエックス線検査に加えて、「その他の検査」として細菌検査(リアルタイム-PCR法、DNAプローブ法など)や歯肉溝滲出液の検査が挙げられています。原因となっている菌を調べることも、検査の選択肢の一つとして位置づけられているということです。
治療を続けているのに改善を感じにくい、という段階の考え方は 歯周病がなかなか治らない方へ|原因と検査の選択肢 で整理しています。
自由診療という選択肢——重度歯周病根本的改善プログラム「THP」
当院では、保険診療の歯周病治療に加えて、自由診療(保険適用外)のプログラム「THP(トータルヘルスプログラム)」をご用意しています。重度の歯周病に対して、検査の結果に基づいて治療計画を立て、継続的な管理までを一つの流れとして行うプログラムです。
治療の内容:遺伝子検査(PCR検査)で歯周病の原因となる菌を調べ、お口の中の細菌の数や唾液の状態などとあわせて確認したうえで、一人ひとりの状態に合わせた治療計画を立てます。骨の再生を助ける目的で、ポリリン酸を用いた治療を行うこともあります。
費用:自由診療のため、公的医療保険は適用されません。費用の目安は 125,000円〜265,000円(税込) です。金額はお口の状態や必要な処置によって異なります。詳しい内訳は検査後にお見積りとしてご説明します。
治療期間・通院回数:THPの標準的な治療期間は約3ヶ月、通院回数は6回〜10回程度(うち検査に1回)です。お口の状態によって前後しますので、実際の計画は初診時の検査・診断のうえでご説明します。
【THPの主なリスク・副作用】
- 治療に伴い、一時的な痛み・出血・知覚過敏が生じることがあります。
- 歯周組織が回復する過程で、歯ぐきが引き締まり、歯が長く見えたり、歯と歯の間にすき間ができたりすることがあります。起こりやすさは、お口の状態や治療の内容によって異なります。
- 歯周病の進行度によっては、保存が難しい歯の抜歯をご提案する場合があります。
- 治療後も、再発予防のため定期的なメンテナンスが必要です。
効果のあらわれ方には個人差があります。適応やリスクは、検査・診察のうえで個別にご説明します。初診時のカウンセリングでも、お口の状態に合わせて詳しくご説明しています。
プログラムの詳しい内容は 重度歯周病根本的改善プログラム(THP)のご案内 をご覧ください。
まずは検査・ご相談から
- 歯周病で抜歯を提案され、決めきれずにいる方
- 歯周外科の手術を勧められ、判断に迷っている方
- 歯がぐらついてきたと感じている方
- 検査を通じて、いまの状態をもう一度確かめたい方
上記に当てはまる方は、まず検査・ご相談から。お口の状態を確かめたうえで、選べる方法をご説明します。
ご予約・お問い合わせ
お電話:06-4256-5871(えみは総合歯科 大阪梅田院)
大阪・梅田(JR大阪駅直結・グラングリーン大阪)にある当院へのアクセスは 診療時間・アクセス をご覧ください。
この記事の監修・参考情報
監修:医療法人えみは会 理事長 加藤直之(歯科医師)/口腔外科歴20年以上。平成25年8月まで青山病院にて非常勤(歯科口腔外科・ドライマウス・舌痛症外来を担当)
参考情報
- 日本歯科医学会「歯周病の治療に関する基本的な考え方」(令和2年3月)
https://www.jads.jp/assets/pdf/basic/r02/document-200401-1.pdf
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「歯周治療の流れ」(監修:米田雅裕・福岡歯科大学 総合歯科学講座 教授/2020年1月6日 最終更新)
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/teeth/h-03-005.html
