高齢になったときのインプラントは後悔する?リスクと成功のポイント

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高齢者のインプラント

大阪梅田にある、えみは総合歯科の理事長・加藤直之です。

年齢を重ねると歯に関する悩みが増え、特に歯を失った時の治療法について多くの患者様からご相談をいただきます。

インプラントは、入れ歯やブリッジに代わる選択肢ですが、「高齢者でもできるのか?」「リスクはあるのか?」と不安を抱える方も少なくありません。

そこで本記事では、高齢者が治療を受けられないケースや、メリット・デメリットを解説します。

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高齢者のインプラント治療はできる?

インプラント治療

結論から言うと、インプラント治療に明確な年齢制限はありません。

一般的に、骨の成長が完了する20歳以上であれば治療を受けることができ、高齢者でも健康な骨と歯茎があれば手術は可能です。

厚生労働省が2016年に実施した「歯科疾患実態調査」によると、インプラント装着者の全体割合は60代が最も多く、次いで70代、80代の順に多い結果でした。

当院でも、60代・70代・80代でインプラント手術を受ける方も多くいます。

実際に治療を受けた高齢者の症例写真は、以下のページに掲載しています。

関連ページ高齢者のインプラント治療の症例写真

インプラント治療ができないケース

インプラント治療NG

インプラント治療は高齢者にとって有効な選択肢ですが、すべての方が受けられるわけではありません。

若年層と比べてリスクが多く、持病や服薬状況によっては治療が適さない場合もあります。

以下の条件が当てはまる場合は、事前に歯科医院で相談が必要です。

骨粗しょう症

インプラント手術は、顎骨にインプラント体を埋め込み、骨と結合させる必要があります。

骨粗しょう症の患者でも、基本的にインプラント治療は可能ですが、治療薬の「ビスホスホネート製剤」を服薬している場合は注意が必要です。

ビスホスホネート製剤は、顎骨壊死(あごの骨が壊れる副作用)を引き起こす可能性があるため、長期間服用している場合は治療が適さない場合があります。

また骨粗しょう症の患者は、骨量が少ない傾向にあるため、骨造成の追加治療を要するケースが多いです。

すべての歯科医院が骨造成に対応しているわけではないため、治療可能な歯科医院を探す必要があります。

インプラント治療における骨造成については、以下の記事で詳しく解説しているので、気になる方はご覧ください。

関連記事インプラントでの骨移植とは?治療にかかる費用や3つの手術方法を解説

糖尿病

糖尿病の患者は免疫力の低下から、手術後の傷が治りづらく、感染症を引き起こす可能性があります。

特にインプラント周囲炎(インプラントを支える歯茎の炎症)を発症しやすく、最悪の場合インプラントが脱落するリスクがあります。

一般的な基準として、空腹時血糖の数値が「180mg/dl」を超えていると手術を受けることができません。

事前にかかりつけ医に相談し、治療できるかを必ず確認しましょう。

その上で、かかりつけ医と歯科医師が連携して、糖尿病の状態を把握することが、安全なインプラント治療の鍵となります。

糖尿病患者のインプラント治療に関しては、以下の記事で詳しく解説しているので、気になる方はご覧ください。

関連記事インプラントは糖尿病でもできる?他の全身疾患との関係についても解説

心疾患

心疾患がある方は、手術時のストレスで血圧が急激に変動したり、麻酔の影響で症状が悪化する場合があります。

代表的な心疾患は以下の通りです。

  • 心筋梗塞
  • 狭心症
  • 不整脈
  • 心不全

心疾患の治療で血液をサラサラにする抗凝固薬を服用している場合、手術時の出血が止まりにくくなることもあります。

病状や服薬によって治療の可否が決まるため、事前にかかりつけの担当医に相談しましょう。

放射線治療を受けた方

放射線を当てた部位に外科手術を行うと骨髄炎を起こすリスクがあります。

特に顎の骨に放射線を照射した場合、インプラント治療を受けるのは危険です。

また放射線治療は唾液の分泌量を減少させるため、虫歯や歯周病を発生しやすい口内環境になり、インプラント治療が難しくなります。

歯科医院で相談した上で、入れ歯など外科手術を伴わない他の選択肢を検討しましょう。

高齢者がインプラント治療を受けるメリット

インプラントのメリット

高齢になっても、自分の歯のようにしっかり噛めることは生活の質(QOL)を向上させる重要な要素です。

インプラントは、入れ歯やブリッジと比較して多くの利点があり、高齢者にとっても有益な治療法となり得ます。

ここでは、高齢者がインプラント治療を受けることで得られるメリットについて詳しく解説します。

入れ歯よりしっかり噛める

インプラントは、顎の骨に直接固定されるため、入れ歯よりも強い咀嚼力を持つのが特徴です。

入れ歯は、食事の際に動いたり、外れたりすることがありますが、インプラントは自分の歯と同じようにしっかり噛むことができます。

  • 硬い食べ物(肉・野菜・ナッツ類)をしっかり噛める

  • 食事の満足度が向上し、食べる楽しみが増す

  • 栄養の吸収が向上し、健康維持に役立つ

入れ歯では食べにくい食品も、インプラントなら問題なく食べられるため、「好きな食べ物を楽しみたい」と考える高齢者には大きなメリットとなります。

認知症の予防につながる

噛む動作は脳に刺激を与え、記憶や判断力を司る「海馬」の機能を向上させるといわれています。

実際に、日本福祉大学が2010年に実施した厚生労働科学研究によると、歯がほとんどなく擬歯を使用していない人は、20本以上歯が残っている人の1.9倍、認知症発症のリスクが高いことがわかりました。(※1)

そのため、インプラントによってしっかり噛める環境を維持することは、脳の健康維持につながり、認知症予防のリスクを軽減させる可能性があります。

さらに、食事の幅が広がることで栄養バランスが改善したり、胃腸への負担が減るなど、健康寿命の延長にも寄与すると考えられています。

参考文献※1:厚生労働科学研究成果データベース

見た目が自然で若々しさを保てる

歯が抜けた状態が続くと、顎の骨は歯の支えを失うことで徐々に痩せていきます。

これは「骨吸収」と呼ばれ、入れ歯を長期間使用していると、顎の骨がやせ細り、顔の輪郭が変わる原因にもなります。

その結果、頬がこけたり、唇が薄くなったり、顔の左右バランスが崩れるなど、老けた印象を与える場合があります。

インプラントの場合は、顎の骨に直接埋め込まれるため、骨が刺激を受けて痩せるのを防ぎ、顔の形を保ちやすくなります。

またインプラントは審美性が高く、本来の歯とほとんど変わらないため、入れ歯のように留金や樹脂素材が目立つこともありません。

顔の印象を気にする方や、入れ歯のズレに悩みたくない方には、インプラントが適しています。

発音が安定し、会話がしやすくなる

歯を失うと、舌の動きや口の形が変わり、発音が不明瞭になります。

入れ歯の場合、会話の途中でズレたり、残存歯との間から息が漏れることで、発音しづらいままです。

インプラントなら歯の位置が固定されているため、ズレる心配がなく、天然歯とほとんど変わらない発音を取り戻せます。

特に人と話す機会が多い方や、社会的な交流を大切にしたい高齢者にとって、会話がスムーズになることは大きなメリットです。

高齢者がインプラント治療を受けるデメリット

インプラントのデメリット

インプラント治療は高齢者にとって多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。

特に細菌感染のリスク、手術による体への負担、治療費の高さは、高齢者がインプラントを検討する際に注意すべき重要なポイントです。

ここでは、それぞれのデメリットについて詳しく解説します。

外科手術を受ける体力が必要

インプラント治療は外科手術を伴うため、体力が低下している方には適していません。

高齢者は追加治療を要したり、骨とインプラントの結合に時間がかかる傾向にあるため、治療期間が長引く可能性があります。

また手術後はインプラントが安定するまでの数か月間、栄養バランスのとれた食事や口腔ケアの維持が必要です。

さらに、治療後の定期メンテナンスに通院したり、適切なセルフケアを継続するための体力も求められます。

体力が不安な方は、手術の負担が少ないブリッジや、外科手術を伴わない入れ歯を検討するのも選択肢です。

関連記事インプラントかブリッジか?費用・寿命などの違いやメリット・デメリットを徹底比較

細菌感染のリスクがある

インプラント手術では、歯茎を切開したり顎の骨を削る際に、傷口から細菌が侵入するリスクがあります。

前述した通り糖尿病を患っている方は無論、高齢の方は免疫力が低下するため、若年層よりも感染しやすくなります。

また年齢とともに手先の動きが鈍り、歯磨きなどのセルフケアが不十分になると、細菌が繁殖しやすい環境になります。

細菌感染を起こすと以下のようなリスクがあります。

  • インプラントと骨の結合を妨げる
  • インプラントの脱落
  • 誤嚥性肺炎や心疾患のリスクを高める

インプラント治療を受ける際には、定期メンテナンスの通院や、毎日のセルフケアができるかを考慮することが重要です。

治療負担額が大きい

インプラントの費用は、一般的に1本30万~50万円ですが、高齢の場合はさらに負担額が多くなる場合があります。

高齢になるほど細菌感染や骨密度の低下などのリスクが増え、追加治療を要するケースも多いからです。

現役世代に比べて高齢者は年金受給額に限りがあるため、大きな経済的負担になる可能性があります。

経済的負担を軽減する方法として、一部保険が適用されたり、費用が返還されるケースもあります。

高齢者のインプラント治療の補助金制度

補助金

インプラント治療は基本的に自費診療なので、助成金や保険は適用外です。

ただし交通事故や病気で顎骨に欠損がある場合、一部保険が適用されることがあります。

また地方自治体や福祉団体による助成金制度が存在する地域もあり、高齢者向けの医療補助として治療費の一部を負担するケースもあります。

他にも一定の条件を満たせば医療費控除の対象となり、支払った治療費の一部が税金から控除されます。

まずは利用可能な助成金や制度を把握して、適切に活用することが重要です。

医療費控除については、以下の記事で解説しているので気になる方はご覧ください。

関連記事インプラント治療に保険は適用できる?生命保険や医療費控除についても解説

インプラント治療を受ける際の注意点

インプラントの注意点

高齢者のインプラント治療を成功させるためには、事前の準備や治療後の管理が非常に重要です。

ここでは、インプラント治療を受ける際の注意点を解説します。

信頼できる歯科医院を選ぶ

インプラント治療は専門性の高い治療のため、歯科医の経験や技術によって治療結果が変わります。

特に高齢者の場合、骨密度や全身の健康状態を考慮した慎重な治療計画が必要になるため、適切な歯科医院を選ぶことが大切です。

歯科医院を選ぶポイントは以下の通りです。

  • インプラント治療の実績が豊富
  • CTスキャンなどの高度な診断機器が整っている
  • 治療後のメンテナンス体制が整っている

インプラント治療の実績数はもちろん、高度な診断機器が充実していることも重要です。

また歯科医院によっては、インプラント治療は行なっているものの、メンテナンスは非対応のケースもあります。

インプラントは定期的なメンテナンスを要するため、アフターフォローがしっかりしている医院を選ぶことが重要です。

単に「近いから」「費用が安いから」という理由だけで決めるのではなく、慎重に判断することをおすすめします。

 

通院できない場合の対策

インプラントはメンテナンスを怠ると、歯茎の炎症や骨の吸収を引き起こし、インプラントが脱落する原因になります。

高齢者の場合、定期的な通院が負担になることがあるため、あらかじめ対策を考えておく必要があります。

訪問診療を行う歯科医院も増えていますが、すべての歯科医院が提供しているわけではないため、事前に対応可能か問い合わせておきましょう。

家族や介護者に協力をお願いするのもひとつの方法です。

治療前の段階で、家族や介護スタッフと相談し、通院時のサポート体制を整えておくと安心できます。

介護施設に入所予定の方は、入所後のメンテナンスが難しくなることもあるため、施設の歯科ケア方針を事前に確認することが重要です。

無料相談を活用する

高齢者のインプラント治療は、骨の状態や持病によって、治療の可否やリスクが変わるため、慎重に検討する必要があります。

そのため、事前に複数の歯科医院で無料相談を受けることをおすすめします。

無料相談では、治療の流れや費用、手術のリスク、メンテナンス方法などを詳しく説明してもらえるため、自分に合った歯科医院を選ぶ際の判断材料になります。

特に高齢者の場合、骨の状態や持病の影響によって治療の可否が変わることがあるため、相談時に自分の健康状態をしっかり伝えることが重要です。

当院でもインプラント治療の無料カウンセリングを実施しています。

カウンセリングを受けたからといって、その場で契約する必要はありません。

じっくりと比較検討し、最適な医院を選ぶためにも、まずは無料カウンセリングであなたの悩みをお聞かせください。

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この記事を書いた人

加藤 直之

大阪の梅田にあるえみは総合歯科、加藤です。 当院は、歯医者さんの「痛い・怖い・行きたくない」というイメージをなくし、患者様が悩みを相談できてリラックスした状態で治療ができるそんな医院を目指し運営しております。

資格・所属

NPO法人日本歯科予防協会理事/ISOI インプラント認定医/ドライマウス認定医/日本ドライマウス学会会員/日本抗加齢歯学会会員/医療情報技師認定証/ITIインプラント認定/AQBインプラント認定/ザイブインプラント認定/POIインプラント認定/インプラント学会 所属ブローネマルクインプラント認定/SARGONインプラント認定/審美歯科学会認証